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先生って大変なんだと思う  その2

 話は昨日の続きです。問題は、私のような趣味のオジサンオバサンを教える場合なのです。と言うのも、この“趣味のオジサンオバサン”を教えるくらい、厄介で面倒な事はないだろうと…教える立場になって考えると、思うわけです。

 まず趣味のオジサンオバサンには、3つのタイプの人がいます。まずはそこを見極めないといけません。

 最初のタイプは、音楽よりも人間関係を拡げる方に重点を置いている人がいます。俗に言う“友達づくりのために音楽を習う”っていう人です。もちろん、先生と友達になりたいという人もいるでしょうが、それよりむしろ、習い事を通して、同好の人との人間関係を広げたいって考える人です。実は数としては、このタイプの人は結構いるんですよ。変な意味ではなく『出会いを求めて、習い事を始める』というわけで、こういう人の目的は、習い事そのものではなく、そこでどんな人と出会えるか…が目的なのです。

 こういう人にシビアに接してはいけません。そもそも、音楽が好きなのかどうかすら怪しいのですからね。レッスンが厳しければ、簡単に辞めてしまうでしょう。楽しくなくても辞めちゃうでしょう、もちろん、友達が出来なきゃ辞めちゃうし、友達が出来れば、その友達と一緒に辞めちゃうかもしれません。

 音楽を学びに来ているのではなく、社交の場を求めてやってきているのですから、先生としては、大きな期待もできなければ、真剣に教えてあげるわけにもいきません。なんとも、割り切れないモノが心に溜まっていくでしょうが、そこは先生業という商売として割り切るしかありません。

 次のタイプは、自分探しのために来ている人です。こういう人は、基本的に真面目です。先生の指示に従い、コツコツと練習もしてくるでしょう。音楽を学ぶ事で、自分の中の新しい自分を探しに来ているわけですから、本当に真面目だし、真摯な学習態度の方が大半です。先生としては教え甲斐のある良い生徒と言えるかもしれません。

 ただ、こういう人って、永遠に自分を探しているわけですから、いつまでも同じ場所にはいません。音楽だって、ある程度やったら、自分なりに見切りをつけて辞めちゃいます。それは実にスパッと切り替えるんです。先生としては、目をかけて教えていただけに、辞められてしまうとガッカリします。裏切られたような気がするかもしれません。そんな生徒が数人連続すると、先生のメンタルにだって影響を与えるでしょう。やがて「趣味の人に真剣に教えても…無駄」と思うようになる先生だっているわけです。ある意味、先生は被害者(?)なわけで、同情しますが、生徒の立場になれば、そんな生徒ばかりじゃないんですよ…と言ってあげたくなります。

 3番めのタイプは、音楽が好きな人です。このタイプの生徒さんは、一見は良さそうですが、実は教える立場で考えると…必ずしも歓迎できる生徒さんではないわけです。

 このタイプの人は、基本的に熱心です。熱心で行き急ぎます。自分の実力を顧みずに、大曲に挑みたがります。先生としては、段取り踏んで順序よく教えていきたいのですが、そのあたりの細かいところをすっ飛ばして来るわけです。はっきり言って、教えづらいでしょうね。

 おまけに…特に趣味のオジサンに多いのですが…あれこれご意見を言ってきます。教えるのは先生なのに、その先生の教え方にあれこれ意見を言ってきます。挙句の果てに、名演奏家を例にあげて演説を始めたりします。先生としてはウザい生徒でしょうね。

 またこういう人は、自己流であれこれやってきたらしく、変な癖が付いている事も多く、先生としては、新しい事を教える前に、これらの癖を直してあげなきゃいけないわけで『ゼロからの出発』どころか『マイナスからの出発』なわけで、先生的には正直「難儀だな…」と思っても仕方ないタイプの人たちです。

 また、音楽が好きな事は確かだけれど、たまに好きなだけで、音楽的な才能が皆無な人もいます。いわゆる“下手の横好き”タイプの人です。で、こういう人は「自分には音楽の才能が無い」「いくらやっても芽が出ない」と分かっても、音楽愛が強いので、いつまでも諦めずに食らいついてくるんですね。まるで、寝床の旦那の義太夫みたいなモンです。こういう人を“愛らしい”と思ってくれる先生ならいいのだけれど、中には“うっとおしい”と考えてしまう先生もいるようです。

 でも、なんだかんだ言っても、最後まで残るのは、このタイプの生徒さんなんです。そりゃあ、教える側から見れば、あれこれ面倒くさいタイプかもしれないけれど、本当の意味で、教室を支えてくれるのは、この人たちです。この人たちを大切にしてあげられる教室は繁盛すると思いますよ。なにしろ、音楽に対する愛にあふれていますからね。

 愛は人を裏切りませんから。

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コメント

  1. おぷー より:

    あ、私、最後のタイプだ。

  2. アデーレ より:

    あ、私もだ(笑)実力を顧みず、大曲が大好物。簡単な曲をていねいに、の逆。大曲を大雑把に、無理くり?仕上げます(笑)舞台では間違いを歌っても、何食わぬ顔で歌えます(笑)先生は教えづらいね、こんな生徒。あい、すみません(笑)

  3. すとん より:

    おぷーさん

     実は私も、たぶん、最後のタイプだと思います。さすがに先生に教え方にアレコレ注文は付けませんが、言いたいことは言っちゃうので、ウザい生徒さんだろうなあ…とは思います。

     長く続いている人は、多かれ少なかれ、このタイプではないかと思います。

     結局、最後は愛なんだと思います。

  4. すとん より:

    アデーレさん

     アデーレさんが書かれた事は、ほぼ、そのまま、私にも当てはまります。まあ、先生からすれば、教えづらくて扱いづらい生徒さんだと思います。そんな私に付き合ってくださっている先生方に、感謝感謝です。

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