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趣味はフルートです

 先週、声楽は、歌うのも、聞くのも大好きだけれど、フルートは大好きだけれど、聞く方はあまり積極的になれない…と書きました。

 そんな私ですが「あなたの趣味は何ですか?」と尋ねられて「趣味は歌うことです」とか「声楽が趣味です」とは答えるには、ためらいがあります。

 それはなぜかと言うと…歌が好きって他人に言うのって、恥ずかしくありませんか? 私は、なんとなく、恥ずかしいです。

 その一方で「私の趣味はフルートです」とか「フルートを吹くのが好きです」とか「毎日、フルートを吹いてます」とかは、割と平気で言えちゃいます。

 おもしろいでしょ?

 でも、なぜそうなんだろうかと、考えてみました。

 まず、声楽と器楽の違いはあるかな?って思いました。フルートは器楽で、フルートという道具(楽器)を媒介として音楽を奏でるわけです。つまり、自分と相手の間に道具が介在するわけです、モノが介在するわけです、ワンクッション置くわけです。モノを介することで、なんか安心できるような気がするんです。

 一方、声楽は自分の声がダイレクトに相手に伝わります。特別な道具は使いません。演奏者と観客(つまり、私とあなた)が直接つながるわけです。

 声楽の方が、器楽よりも、肉体性が高いと言うか、より我が身に近いと言うか、なんか道具を介在させないために、むき出しっぽい感覚になると言うか、スッピンで舞台に立つような…とにかく、声楽って、恥ずかしいんですよ。より、私がさらされているようで、なんとも言いようのない感覚になるわけです。それで素直に「声楽が好きです」と言いだしにくい部分はあります。

 その根本には、やはりコンプレックスの問題が存在すると思います。

 器楽は楽器を使いますから、楽器さえちゃんとしていれば、少なくとも音痴にはなりません。歌は…少なくとも私の場合は、フレーズが難しいとか、音域的に無理があるとか、きちんと音が取れていないとか、音程跳躍が激しいとか、疲れているとか、眠いとか、体調悪いとか…とにかく、様々な理由で音程が甘くなってしまう事もあり、ややもすると音痴状態に陥ることだってあります。歌は楽器ほど、正しい音程で演奏するのは簡単ではありません。それが私にとって、一つのコンプレックスになっている事は事実です。

 それと、世の中に笛が吹ける人は、吹奏楽部の普及もあって、世間には結構たくさんいます。ですから「フルートが趣味です」と言っても、そんなに怪訝な目で見られることはありません。しかし声楽は…ねえ。「趣味はコーラスです」なら、コーラスの人口は多いので、フルート同様に、さほど怪訝な目で見られる事もないのでしょうし「趣味はカラオケです」だったら、ごくありふれた趣味ですから「いるよね!」とか共感されたりするでしょうが、趣味が声楽ってなると…ねえ。ほんと、人数が少なくなります。

 「声楽…って、カラオケと違うの? 一体、何を歌うの?」なんて尋ねられて「イタリア歌曲とか、オペラのアリアとか歌うんだよ」なんて、ストレートに答えたら、まずドン引きだしね。特に、私のようなオッサンだと、変態扱いされかねません。

 なんか、オペラとか歌曲とかって、クラシック音楽の中でも、割と尖った音楽扱いされるんだよね。クラシック音楽なら、やはり、ピアノでしょうし、交響曲でしょ? 歌ものであったとしても、合唱ですよ。特に、女性の趣味で“合唱”というのは、割とあります。でも、声楽は…なかなかいないです。

 見も知らない人に、趣味を真面目に答えた結果、ドン引きされて、変態扱いされるなんて、私、耐えられないです。

 それに、フルートを吹くのは、本当に大好きだし「趣味はフルートです」なら、嘘をつくことにもなりませんし、胸を張って大声で言えるんです。

 なので「私の趣味はフルート」…だったりするわけです。声楽は趣味なんだけれど、なんとなく、公言するのがはばかられる感じがするんです。

 ちなみに、声楽も恥ずかしい趣味だと思ってますが、実はブログもかなり恥ずかしい趣味だと思っていたりしますので、なかなか実生活で「私、ブログをやっているんですよ」って言えなかったりします。ああ、趣味って、ほんと恥ずかしい。

 逆に言うと、フルートをやっている事は、別に恥ずかしくないし、むしろ誇らしいと思っている私ですが、それは一体なぜなんでしょうね?

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コメント

  1. tetsu より:

    こんばんは。

    > 趣味はフルートです。

    こちらも理解していただける方はヘタウマの評価を除いてギリギリのところでわかっていただいているという雰囲気(?)です。

    先日、フルート調整のためたまたま事務所に楽器を持っていたら、シャチョーが吹いてみて、と言われてしまいました。
    音出し禁止の部屋ですが、少し吹いたら音量の大きさにビックリされていました。木管楽器でも天井低い部屋ではかなり大きな音になってしまいます。

    別件ですが、先日シャチョーがフランスの会社と事務所でskypeで英語で打ち合わせしていていました。こちらはフランス語はパンキョー1年だけで、読むのはなんとかなるつもりですが会話は挨拶だけで、趣味はフランス語とは口が裂けても言えません。いろいろ読みたい本はありますが。

    ピアノは全く弾きませんが、聴くのはフルートよりも好きな趣味です。
    先日2015ショパンコンクールの入賞者ガラコンを聴いてきました。最初の6位の方がメチャ良くて、これで6位という感じでした。2位の方のソナタ、1位の方の協奏曲とアンコールの英雄ポロネーズは、こんなに軽々と演奏できるのかビックリでした。
    シャチョーは以前「ピアノの森」のイヴェントに関わっていられたようで、この漫画最後にショパンコンクールが出てくるようで、こちらもビックリでした。

    趣味の話題だけで長々と失礼しました。

  2. すとん より:

    tetsuさん

     私もピアノは弾けませんが、聞くのは割と好きです。とりわけ、ショパンはいいですね。テレビで流れていると、ついつい聞いてしまいますが、他に優先する事があれば、即座に打ち切って次の行動に移行できる私です。いやあ、器楽曲を聞き惚れるという事は、私の場合、あまりないんですね。声楽曲だと、ついつい最後まで聞いちゃいますが(笑)。

    >音出し禁止の部屋ですが、少し吹いたら音量の大きさにビックリされていました。

     やっぱりフルートでも、聞き慣れない人が聞いたら、ビックリされる音量なのですね。私などは、すでに慣れてしまってますが。フルートでビックリされるなら、金管楽器はもちろん、その他の木管楽器でも、驚かれるでしょうね。フルートよりも小音量の楽器なんて、グラスハーモニカぐらいしか思いつきませんもん、私。

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