先日、私の趣味である“見知らぬ人の発表会に行く”を決行しました。それも1日で2門下の発表会をハシゴです。いやあ、ほんと、素人さんの歌が好きな私です。
両門下の発表会とも、実に興味深くて楽しかったですよ。
最初に行った発表会の先生は、声楽家ではなくピアニストさんでした。ピアニストさんが声楽教室を開いていて、そこで声楽を習うのって、どうなの?って思いました。だって、先生ご自身は歌えるわけでもないし、発声指導できるわけ無いし、模範歌唱もできないし、どうなっているんだろう?って思ったわけです。
でも聞きに行って、この門下もアリだなって思いました。発表会のピアノは、当然の事ですが、ピアニストである先生自ら演奏されていたわけですが、考えてみれば、この門下の生徒さんたちは、いつもこの先生のピアノで歌っているわけです。つまり、普段の練習の時から本番ピアニストさんと合わせているわけですよ。
これ、すごいアドヴァンテージですよね。おまけに、歌っていた曲目がなかなか面白かったです。他所の声楽発表会では、なかなか聞けないような名曲がたくさんありました。そりゃあそうですよ、伴奏ピアノが難しくて、なかなかレッスンしてもらえないような曲も、先生がピアニストなら楽勝ですものね。選曲に幅があって当たり前っもんです。
私もいずれ自分の発声が完成した暁には、ピアニストさんが先生をやっている声楽教室に通って、音楽としての歌を学び、レパートリーの幅を広げるのも悪くないかなって思いました。
その後に行ったところは、手広くやっている先生のところの発表会で、60組6時間の規模の発表会でした。すごいなあ…。まあ、私は最初からではなく、途中から聞いたわけで、60組すべての演奏を聞いたわけではありませんが…。キング先生のところ(40組4時間)もスゴイけれど、それ以上の規模の発表会でした。それだけ大勢の生徒さんがいると、すべてがクラシック声楽と言うわけにはいかず、ミュージカルもJ-POPもありましたけれど、まあ、選曲に幅があって楽しかったですよ。
どちらの発表会も出演者の皆さんが一生懸命に歌っていて好感が持てましたし、私自身も色々と勉強になりましたし、チャンスがあったら歌ってみたい曲も数曲見つけました。それにここんところ、仕事が忙しくて心が参っていましたが、ちょっと元気を取り戻せました。
それにしても、アマチュアの、とりわけオトナの趣味人たちの発表会に行って思う事は『歌なんて簡単です』と、うそぶく人たちの無責任さです。
実際に、ネットでは、そんなふうに言っている人たちを、よく見かけます。私は、そんなふうに言う人達には、三種類の人間がいると思ってます。それは、1)天才 2)商売人 3)嘘つき です。
世の中には天才と呼ばれる人がいます。クラシック声楽の世界にも天才はいます。私の前の先生であるキング先生も、よくご自分の事を天才だと言ってましたし、実際に豊かな才能の持ち主だと私も思います。あれだけの才能を持っていれば、歌なんて簡単なんだと思います。だから、天才が「歌なんて簡単です」と言っても、それはある意味、正直な発言なんですが、我々凡才に対する想像力と配慮に欠ける発言と言えます。
商売人も「歌なんて簡単です」と言います。もちろん、この場合の商売は、声楽教師という商売ですね。だって「クラシック声楽は難しいです。オトナになって始めたって、そうそう簡単に歌えるようにはなりません。数年もの間、真面目に練習しつづけないと上達の兆しさえ見えないでしょう。そういう意味では、気軽に始められるモノではないかもしれません」なんて正直に言ったら、多くの人が習おうとする前に諦めてしまうでしょう。それでは、せっかくのビジネスチャンスを不意にしてしまうわけですから「歌なんて簡単です」と言うしかありません。商売上の方便って奴ですね。この場合は、ビジネストークと見抜けずに、真に受ける方が馬鹿なのかもしれません。
三番目の嘘つきは、人として論外です。
ほんと、オトナの趣味人にとって、歌は難しいですよ。今回は、それを強烈に思わされました。だって、この日だけで、30人以上のアマチュア歌手たちの歌を聞きましたが、当然の事ですが、どなたの歌唱も熱心だけれど、たいていどこかにキズがありました。CDのように歌える人なんて、せいぜい片手程度しかいませんでした。それって、絶対に「歌って簡単なんです」って言えるレベルの話じゃないよね。
ほんと、歌って難しいんだなあって思いました。でも、どんなに難しくても、練習をし続けていれば、少しずつは上達していく…と思いました。だから、私も頑張ろうって思ったわけです。
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コメント
こんばんは!他の門下の発表会はいいですね!先生のカラーがわかって面白そう!私もさいきん、たまたま、YouTubeで声楽コンクールのものを色々、みて楽しんでました。中でも、韓国の方の声楽コンクール?の動画をみて、レベルがハンパなく高い!韓国語とかイタリア語ほどではないがかなり、奥まった発音がありますから、骨格的には日本人と似ていても普段の言語の違いから有利なのかしら。本当に皆さん、上手すぎて、かなり美声でした!良かったら、ごらんになってみて!
アデーレさん
先生のカラーもそうですが、指導力や指導方法の良し悪しや偏りなども見えるので、それはそれで面白いですよ。
YouTubeはすごいですよね。今まで見ることができなかった、海外の番組もたくさん見ることができるようになりました。日本のサブカルが世界に進出できているのも、YouTube様々でしょう。
>骨格的には日本人と似ていても普段の言語の違いから有利なのかしら
いやいやいや、骨格的には決定的に違いますよ。彼らは我々よりもアゴが発達し、アゴの骨が大きいんです。俗に言う“エラ張り”ですが、あれだけエラが張って、アゴが大きいので、口腔内の容量がかなり大きいと思います。おまけに首も太くて短いでしょ? そのせいもあって、声がデカイんですよ。韓国語が威圧的に聞こえるという人も多いのですが、それは彼らの地声が大きいからであって、言語のせいではないと私は思ってます。
60組6時間!とか40組4時間!という発表会って凄いですね。
クラッシックの声楽って関東方面は盛んなんですか?!
私の周りは(関西)ゴスペルとかコーラスの様なものが多いように感じます。
いつか歌を習ってみたいな!クラッシックを習いたいです!
うさぎさん
>60組6時間!とか40組4時間!という発表会って凄いですね。
いやほんと、私もスゴイと思いますよ。
>クラッシックの声楽って関東方面は盛んなんですか?
どうなんでしょうね。でも、ウチの近所でも、毎週のように、どこかの門下が発表会をしていますし、オペラ歌手さんたちも関東に集中して住んでいるようですから、他地域と比べると、きっと盛んなんだと思います。
>私の周りは(関西)ゴスペルとかコーラスの様なものが多いように感じます。
ゴスペルはともかく、コーラスはクラシック声楽以上に盛んです。近所のホールの練習室や会議室は、毎日のように、どこかの市民合唱団の練習が入っていたので、以前、アマチュア歌劇団の代表をやっていた時は、練習場所の確保に苦労したくらいです。コーラスはマジで盛んです。一方、ゴスペルは…そう言えば、あまり見聞きしませんねえ。少なくとも、私は、アマチュアのゴスペルグループの演奏って聞いたことないかも…。
地域的な事を言うと、私の近隣地域は、吹奏楽もあまり盛んではないんです。吹奏楽よりもアマオケの方が盛んかもしれませんし、それ以上にロックバンドやフォークグループ、ジャズバンドの方が盛んです。
>いつか歌を習ってみたいな!クラッシックを習いたいです!
ウチの近所なら、贅沢言わなきゃ、徒歩圏内に何軒も声楽教室がありますから、先生は選び放題です(笑)。もちろん、先生との相性もあれば、月謝の多寡や先生の得意不得意もあるので、実際に師事するとなると、色々と考えて選び始めてしまうわけです。
私がY先生に師事しているのも、彼の舞台に感動したからです。まずは彼のファンになって、それから生徒になったんです。憧れの歌手さんから直接教えを請えるというのも、贅沢な話です。
コーラスは人数も多いから、会場の大きさなど考えると
お稽古場確保も大変かもしれませんね!
関西はゴスペル合唱?わりとあります!鬘被って歌ったり、スイングしたり楽しそうです。
関西人とゴスペルって何となくマッチしている感じでしょ!
吹奏楽も盛んです!淀工とか橘とか!高校生でもびっくりするぐらい上手です。
でも一般のアマチュア団体まで有るのかは知らないです。
アマオケが盛んなのは、ハイセンスなイメージ!
生涯にわたり何か楽しめているって素敵ですね。
うさぎさん
そうです、コーラスはお稽古場の確保が大変なんです(涙)。
>関西人とゴスペルって何となくマッチしている感じでしょ!
うむ、納得です…ってか、関東の人って生真面目な人が多いので、ゴスペルのように弾けるのが前提というのは難しいですね。
関東でも、北関東(群馬とか栃木とか埼玉)なんかは、関西とは比べ物にならないにせよ、吹奏楽がそれなりに盛んなんですが、東京や神奈川などの南関東は、あまり元気ないですね。その代わりにバンド活動が盛んです。
つまり、若い子が音楽をやりたいと思った時に、吹奏楽に行くか、ロックやジャズに行くかって事なんだと思います。吹奏楽は学校で部活として出来ますが、ロックやジャズは学校外でやる方が多いので、そういう環境があるかどうかかもしれませんね。東京や神奈川だと、貸しスタジオとかライブハウスとかジャズ喫茶/バーが、いくらでもあるからね。