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ままよ、ままよ

 先日、ネットを徘徊していたら『アナと雪の女王』の『Let it go』の古文訳バージョンを見つけました。私が見つけたのはオリジナル(?)のもので、歌詞を英語から古文に訳された石敢當さんご自身が歌っているモノでした。

 いやあ、衝撃でしたよ。今どきの歌を、それも洋楽を古文に訳して歌っちゃうんですから。

 まあ、訳された歌詞が学術的に正しいかどうかは別として、その心意気が素晴らしいと思いました。もっとも、歌詞の正否もそうだけれど、平安時代と現代では、日本語の音韻が相当違うわけだから、現代語風の発音で歌ってしまっては、実はそれは厳密には違うのだけれど、まあ、そんな事はどうでもいいじゃない。古文(文語)で歌っているのが素晴らしいんです。

 そして、実際に歌われている石敢當さんの歌唱力も実に素晴らしいです。それだけでも聞く価値ありなんです。

 ただ、残念なのは、この方、男性なんですよ。だから男声で歌われているんですね。でもやはり、この曲は女性の歌で聞きたいじゃないですか。

 探しましたよ、女性が歌っている古文バージョンをね。

 そうしたら、見つけました。それがこれです。この画像は女性が歌っている上に、歌詞(古文&その現代語訳)が付いているので、なかなかよいですね。難点を言えば、歌唱力は、まあまあなんですが、録音があまり良くない(ってか、エコーの掛け過ぎ)のが残念かなって思いました。でもやはりスゴイよね。

 ちなみに、歌われている歌詞はこんな感じです。

雪深み山の夜は
跡だに分かず

ひとりゆく我こそ
新山守(にいやまもり)よ

山おろし漏る木(こ)の下風は
神にはえ隠さじ

なさせそ、な見えそ
つねには用意すべし
ふたぎて、隠しね
いかでか

ままよ、ままよ
さもあればあれ
ままよ、ままよ
置きて門鎖(かどさ)せ
いさや
人は言へ
風よ吹け
などかは寒かるべき

漕ぎ出でて見れば
やすげなり
心の鬼も
消えにけり

今こそ見るべけれ
えなさぬことなし
ほだしなく思いの
ままに

さこそ、あらめ
風となり空に
ままよ、ままよ
さらに泣くまじ

我は
ここなり
風よ吹け

ちはやぶる神のいはばしる
水もこほりて千々に降りそそく

あはれ垂氷(たるひ)も珠(たま)のごと

ゆめ帰るまじ、悔ゆるものかは

ままよ、ままよ
春はあけぼの

ままよ、ままよ
谷の底なれ

蓮(はちす)はたふとからずや
風よ吹け

などかは寒かるべき

 この古文は、英語詩から訳したそうなので、我々が知っている日本語詩とは一部内容が違いますが、まあ、それは大した問題ではありません。それにしても、やはり古文って、歌に合いますね。現代語は冗漫で歌詞向きではないと常日頃から思ってましたが、こうやって古文(ってか文語)の歌詞を見ると、それを強く思います。しかし、耳で聞いて意味が取れないのではダメですから、今や文語の歌詞の歌が絶滅してしまっても仕方ないのですけれどね。

 それにしてもネットって、おかしなものが転がっているんですね(笑)。

 で、こういう変化球な歌を聞くと、本物が聞きたくなるものです。で、おクチ直し用に、本物(笑)も貼りけておきますね。

 いやあ、やっぱり、英語で歌うイディナ・メンゼルよりも、こっちの方が絶対に良いよね。

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コメント

  1. だりあ より:

    聴きました~♫、すごいですね。
    レリゴーは、ままよ~、と訳されたセンス、抜群ですね。
    ままよーままよー さもあらばあれ~
    私、この歌は、英語の歌詞では「レリゴー」のところしかわからないし、歌えないけど、
    日本語の古典語なら、がんばれそうです。
    特に、後半のほうの、「ままよ、ままよ、春はあけぼの。ままよ、ままよ、谷の底なれ。
    蓮(はちす)はたふとからずや、風よ吹け、などかは寒かるべき。
    古い時代の日本語って、ほんとうにきれいですね。学生時代の古典の授業を思い出しました。
    この方の歌のお声もリンとしていて幻の清少納言さんが歌ってるように感じました。

  2. すとん より:

    だりあさん

     ほんと、訳された方の言語センスは、なかなかのモノだと思いますよ。日本語は、現代語の方が饒舌で細かい描写には向いていると思いますが、どうにも美的ではないのです。そこへ行くと、古典語は言葉自体がぎゅっと凝縮していて、リズムが良くて美的だと思うのです。特にメロディに乗りやすいんですよ。なぜ、和歌や俳句では、現代でも文語で詠む人がいるのか、分かるような気がするんです。

     今度、カラオケに行ったら、古典語で歌ってみるかな(笑)。

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