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姿勢が良いと音程も良いのです

 ああ、寒い寒い。身も心もブルブルふるえながら、フルートのレッスンに行ってきました。今回も姉様はお休みだったので、先生と二人きりでロングトーンの練習をしました。

 キンキンに冷えたフルートを組み立てて、急いで息を入れて管を温めて、始めます。

 で、例によって、ちょっとズレてしまう音程を、音を曲げて調整しながら吹いていたのですが、その時になぜか、アルタスの田中会長に言われた言葉が、ふと心に浮かんだのです。……下手なフルーティストは、たいてい下を向いて吹く……、私、この時、明らかに下を向いていました。いや、視線を下に落としていました。私は背が高いので、譜面台に譜面を載せると、あきらかに低いので、どうしても楽譜を読むために、目線を下に落とすわけで、その姿勢が癖になっていたようです。

 声楽の時は、ちゃんと正面を向いて歌えるのに、なぜかフルートでは、いつも下を向いちゃうんだな…

 …あ、私。今、下手なフルーティストかもしれない…

 そこで、声楽の時のように、背を伸ばして、気道をまっすぐにし、正面やや上向きの姿勢でフルートをやや高く掲げて吹いてみました。

 音程、バッチリ。嘘みたい(笑)。

 ふと見ると、目の前でロングトーンしているH先生も背を伸ばして、スクッとしたフォームでフルートを吹いているじゃないですか? ああ、今まで、なんか音程が微妙に違っていたのは、私の演奏姿勢が良くなかったせい…かな? 背を伸ばして、スクッと立って演奏すると、本当に音程を合わせるのが楽になりました。ああ、いつもこの姿勢で演奏できると良いのですね。

 でも、この姿勢では、絶対に楽譜が見れない(だって、私の身長にピッタリな譜面台なんて無いもの)ので、残念ながら、ロングトーン練習以外では、下を向かざるを得ないかな…(涙)。
 
 
 さて、アルテ15課7章H-durです。合格したのは、3番だけ。2番「アルペジオ基本練習」と4番「H-durのスケールとアルベジオ」、5番「H-durのクロマティック」は不合格でした。残念。

 不合格になったものは、H先生曰く「間違いなく、ちゃんとは出来ているんだけれど、しかし、それにしても間違いが多い(間違える前に止まってしまったり、吹き直しをしてしまったり…とかね)。これでは合格を上げるわけにはいかないので、次回、もう一度だね」 はい、全体的に吹き込みが足りないのは自覚しています。もっと練習して、吹き込んでおきます。

 先生がおっしゃるには「早く仕上がらなくてもいいですよ。それよりも、一つ一つの課題を確実に身に付けるようにしてください」との事です。ラジャーです。
 
 
 ミニオン・エチュードは19番です。不合格でした(笑)。前回注意されたテンポを直したところ……指が追いつかない追いつかない(涙)。それで、部分的に崩壊している箇所があって、そういう意味では、まだまだ練習が足りていないわけです。

 それと、細かく見ていくと、何ヶ所でリズム的に崩壊しているところ(表拍が裏に入ったり、逆に裏拍が表に来ちゃってたり)がありました。しっかりメトロノームを入れて練習をする必要がありそうです。

 ただのスタッカートとスラーでつながれたスタッカートの違いを表現する事。スラーの最後の音は、書いてなくても、ほぼスタッカートで演奏すること。ritenの箇所がまだまだ、あざとすぎる事なども、注意されました。

 寒くて、思わず力が入ってしまったのかもしれませんが、久し振りに「吹きすぎ!」と注意されました。フルートは鳴らす楽器ではなく、鳴る楽器、なんですね。はい、ちょっと気合が入りすぎていたようです、反省です。
 
 
 さて、今回の雑談は、演奏家の副業と学校の話。

 ザックリ言えば、演奏の仕事だけで食える演奏家は少ないので、生活のために、どうしても副業的なことをやらざるをえないのだそうです。そういう副業的な仕事の中で、非常勤教師として学校で働く(授業をしたり、部活のコーチをしたり)というのは、安定した収入を得るという点では、なかなか良い仕事なんだそうです。だから学校で働きたいという演奏家は、少なくないのだそうです。

 ま、学校の先生は(それも非常勤ならなおさら)昼間数時間働くだけだし、時間はきちんと決まっているので、色々と予定はたてやすいし、土日は基本的に休みなので、演奏活動への支障は少ないわけだし…。確かに、副業としては悪くないでしょうね。いや、副業どころか、そのまま正式に学校教員になっちゃっても、悪くはないでしょ?

 私が授業をやらせてもらっている学校の音楽の先生たちは、どなたも生粋の学校の先生ではなく、みな若い時は演奏の仕事で食べていた人たちばかりです。演奏の仕事だけでは色々と厳しくなり、非常勤教師として学校で教えているうちに、エラい人の目にとまって、そのまま教員として正式に採用された人たちばかり。そういう人を見ていると、H先生のおっしゃることも、なんか分かる気がします。

 演奏の仕事が少なくても、若い時なら、なんとか頑張れるけれど、ある程度年齢がいったにも関わらず、いつまでも仕事が少ないままで、副業に頼りっぱなし生活では…人生設計にも支障が生じるわけで、ついつい安定を求めたくなる気持ちも分からないではありません。そこに、学校の先生のクチがかかれば…そりゃあ、演奏家を止めて、教育の道に行きたくなりますよね。

 「H先生は学校の先生になろうとは思わなかったのですか?」と尋ねてみました。案の定、若い時は、あちらこちらの中学校高校から、非常勤講師や部活顧問の依頼があったそうです。でも、先生は演奏の仕事だけで十分食べていけた事と、学校で教えること自体が好きではないので、断り続けたそうです。

 「学校で教えるのはイヤですか?」……イヤなんだそうです(笑)。なんでも、やる気のない人間に教えるのは“無理!”なんだそうです。なので、普通の中学高校の音楽の先生なんて“絶対に無理!”なんだそうです。ま、確かに、普通の学校の音楽の授業となれば、音楽大嫌いな生徒も大勢いますからね。

 それに、フルートを教えるならともかく、音楽そのものを教えるのは面倒くさい(笑)んだそうです。

 H先生が音大で教えていた時、自分の学生の教育実習を見に、中学高校に行った時に、そこの生徒たちに話を聞いてみたら、その実習生の授業で、音楽が余計に嫌いになったと答える生徒がたくさんいた事に驚いたそうです。

 実習生なんて、みんな若くて情熱があるわけだし、教育実習ならなおさら、一生懸命教えたんだろうけれど、音楽って、教える方だけが熱くなっても、教わる方がその気でなければ、決してうまくいくものじゃないから、先生の熱意が空回りをして、熱すぎて、生徒たちに拒否反応が生まれてしまった…んでしょうね。

 容易に想像がつきます。元々、音楽大嫌いな生徒に、音楽しか知らない若い教師が熱い熱い指導をしたら……そりゃあ、生徒に拒否られて当然、余計音楽嫌いになるだけだね。

 音楽を好きになってもらいたくて、熱心に指導をしたにも関わらず、余計に音楽嫌いをこじらせたら、そりゃあ悲しいなあ。

 やる気のない人間を指導すると言うのは、どんな教科でも難しいけれど、音楽みたいな教科は、本当に難しいね。私は今年から、音楽のセンセもやっているけれど、たしかに音楽嫌いな子の指導って(私のようなベテランセンセでも)難しいものね。ましてや、教育実習生とか、演奏家上がりの先生(音楽はプロだけど教師としては新米)には、荷が重いことは確かだね。

 だから教えるなら、音大生・音大受験生・趣味人など、前向きな人たちばかりを教えたいというH先生の気持ちは、よくよく分かりますよ。私だって、生徒を選べるなら選びたいもの。ま、生徒の方だって、センセを選びたいだろうけれど(笑)。

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コメント

  1. Yuhko より:

    譜面台に下駄をはかせては…・
    高さが足りないのでしたら、下に何かを置いてみたら良いと思うのですが・・・
    折り畳みの台が、千円前後で、売っていますし。
    さもなかったら、自作するとか。

  2. めいぷる より:

    姿勢良く…というか自然な立ち姿で、譜面全部が視界に入る位置に立つ。 普通の人は顔が全部隠れますよ…笑。譜面台をすごく低くしてもキチンと吹ける方法もありますから工夫してみてくださいませねー^^  良い見本は酒井先生。。。ものすごく譜面台低いですよ。

    音大の先生も、多くは非常勤ですよ。常勤になると雑務も増えるので演奏活動の多いヒトは嫌がるそうです。(^。^;)

  3. operazanokaijinnokaijin より:

    >>>前向きな人たちばかりを教えたいという
    >>>H先生の気持ちは、よくよく分かりますよ
    ああ、なんて共感できるフレーズでしょう。
    涙が出るほど共感できるフレーズです。
    (T_T)

    私はしがないサラリーマンですが、
    中高年になって、上司から、会社から与えられるお題に、
    「後輩、部下への指導、人材育成」なんてのがあって、
    ( ̄▽ ̄;)

    それに則って、例えば、英語。
    若者の間違った英語を添削すると、
    素直に従ってくれる若人もいますが、
    素直でなくて、「別に通じるからいいじゃないですか!」
    と口を尖がらせる若者がいて、
    「いや、この表現じゃ、知的なアメリカ人には馬鹿にされちゃうよ。」
    と説明しても、
    「僕が相手しているアメリカ人、そんなに知的じゃありませんから。」
    とか、なんとか、反論にもならない反論。
    ( ̄□ ̄;)!!

    すとん様におかれましては、会社員?でありながら、
    がっこの先生もやっていらっしゃる、とお察ししますが、
    部下や生徒に対するご指導、色々と大変でありましょう。
    何事も、相手を見ながら、様子を見ながら、ほどほどに、
    でしょうか?
    (/_\;)

    あ、ごくまれに、向上心溢れる若人がいて、
    彼や彼女との会話は楽しいです。

    (⌒∇⌒)ノ”おしまい

  4. すとん より:

    Yuhkoさん

     自宅ではちゃんと下駄履かせてます…ってか、机上用の譜面台を旧式のパソコンデスクのプリンタ置き場(150cmぐらいの高さかな)の上に置いてます。これがちょうど目の高さになるので、すごく使いやすいんですよ。譜面台だけじゃなくて、音取り用のキーボードなども立ったまま弾けるように20cmほど下駄を履かせてます。これでも結構苦心してます(笑)。

     で、自宅では、なんとか自分専用の環境を作って乗り切っているのですが、外ではなかなかそうはいかないわけで…。レッスンの時は、教室の譜面台を使ったり、本番では会場の譜面台を使ったりするわけだけれど、これらが実に標準サイズで、私には低いんですね(笑)。で、デフォルトで下を向いて吹くうちに、外でフルートを吹く時は、最初からなんとなく下を向いて吹く…ようになっちゃったみたいなんです。

     いけませんね、下ばかり見ていては。下を見ていても何もいいことはありません。だいたい、下を見て、お金が落ちていても、フルートを吹いていると、両手がふさがっているので、そのお金すら拾えません(爆)。

  5. すとん より:

    めいぷるさん

     工夫します。下を向いたり、前屈姿勢になるのは、気道が曲がってしまいますので、なんとか、これらを回避した姿勢でフルートが吹けるようにしたいです。

     酒井先生と言うと、洗足の酒井秀明先生の事ですよね? さっそく画像検索をかけたら、たしかに譜面台…低いですね。腰の辺りの高さに楽譜置いてます。その高さもそうだけれど、あの距離(楽譜がだいぶ遠いですね)でよく見えるなあ…とも思います。暗譜…も当然しているだろうけれど、案外、プロ奏者って、楽譜をガンミしているんですよね、ほんと、あの距離でよく見えるなあ…。色々参考になりそうです。

     普通の人(特にアマチュアさん)は、楽譜をよく見えるように譜面台を調整しますが、あれって観客的には困るんですよね。と言うのは、大抵の人が譜面台の楽譜で演奏者の顔が隠れてしまうんですよ。さすがにプロ奏者の方は顔を隠すような事はしませんが、酒井先生ほど譜面台を下げちゃえば、お客さんから顔が見えないって事はないですね。

    >音大の先生も、多くは非常勤ですよ。常勤になると雑務も増えるので演奏活動の多いヒトは嫌がるそうです。(^。^;)

     さもありなん。逆に言うと、固定客がついて、演奏活動を安定して行えるようになると、スケジュール調整もうまくできるようになるので、演奏家であっても、音大の先生ができるようになるわけで、だから音大の先生って、御大が多いのは、そういう理由なわけですね。

  6. su_zan より:

    おつかれさまです。
    音楽が必要ない人はいるんです。
    わたしがスポーツにまったく興味ないように。笑

    わたし、姿勢ですきなのは佐久間由美子先生かな。
    まねしてましたが、その理由がわかります。
    あと、指のかたちとか。
    だからああなるのだなあって。
    出てくるものは全く違いますが。笑

  7. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

     しがない会社員のすとんです。不況に強く“9 to 5”の公務員の方々が時折うらやましく感じます。

     若者に限らず、他人に指導されたり、指示されたりするのを、極端に嫌がる人っていますね。大半は男性なんですが…。かっこ良く言うと“一匹狼”の“アウトロー”なんですが、悪く言うと“コミ障”の“お山の大将”だったりします。私が見るに、そういう人は、大抵が『傷つきやすい』と申しますか『自我が弱い』タイプの人なんですね。ただ、その自分の繊細さや弱さを弱点だと自覚しているせいか、そういう面を他人に見せまいとして、すぐに拒絶反応を取るわけでして…つまりは『弱い犬ほどよく吠える』ものだと思います。

     私はそういうタイプの人を、心の中で“チワワちゃん”とか“スピッツちゃん”って呼んでます(笑)。

     優秀な人ほど、他人の話をよく聞くものなんだけどね。

     ま、相手がチワワちゃんなら、チワワちゃんなりの接し方ってか、チワワの調教方法ってのがありますので、それなりのやり方で接すれば、うまく行きます。…とにかく、相手に不信感や不安感を与えないことと、小さなプライドを傷つけない事ですね。

     ちなみに、本物のワンコのチワワは…好きですよ。私、基本的にワンコ大好き人間なんです。チワワはワンコのくせし、ニャンコっぽいところが好き。あと、ウルウルした瞳がかわいいよね。

  8. すとん より:

    su_zanさん

    >音楽が必要ない人はいるんです。

     いらっしゃいますね、残念な事に。まあ、私が残念がっても、あちらに言わせれば「大きなお世話」ってモンでしょうが。

     フルートの演奏姿勢と言うと、私はイアン・アンダーソン[ロック・フルーティストさん]が大好き。邪道だけれど、一本足でフルートを吹いたり、激しいアクションをつけながらフルートを吹いても、全然音が乱れないのがすばらしいと思ってます。やっぱ、フルートでエレキギターに対抗するなら、あれくらいド派手じゃないとね。

     でも、真似をしたら、絶対にいけないタイプのフルーティストだと思います(笑)。

  9. su_zan より:

    すとんさま

    地域によりますが、運動が強い学校と音楽が強い学校に分かれますよね?
    島根の出雲第一中学校吹奏楽部、全国に40回以上の出場です。
    あそこの伝統はすごいんだろうと思います。

    佐久間由美子さん、ご存知?
    わたしの青春時代でした。笑
    年齢がわかりますね。

  10. すとん より:

    su_zanさん

    >地域によりますが、運動が強い学校と音楽が強い学校に分かれますよね?

     そうそう、そして、音楽が強い学校はたいてい進学校で、運動が強い学校はヤンチャな学校だったりします。

     佐久間由美子さんは、アラン・マリオン氏とのCDを持っているだけで、コンサートで直接演奏を聞いたことはありません。聞いてみたいとは思うのだけれど、縁が無いんですよね。一度、聞いてみたいのですが…ねえ。

  11. su_zan より:

    すとんさま

    佐久間さんのCD、今手に入らないんですねえ。
    ニールセンはどうだろう。
    わたし、このひとのCDたまたま見つける癖があります。
    先日、ヤフオクで一枚。パリの息吹。持ってるんですが予備で。
    ニールセンはたまたま楽器屋さんにふらっといったらあった。
    コンサートいきたいんですがねえ。

  12. すとん より:

    su_zanさん

     本とかCDとの出会いって、一期一会だと思ってます。「欲しいのだけれど、今は持ち合わせがないから、また今度」と思ったものって、大抵、欲しくなった時には入手困難になっています。これは不思議ですね。

     だから、なるべく、気になった時に購入するようにしていますが、その一方で、購入したままで、読んでいない本や聞いていないCDを少なからずあります。本やCDは墓場の中には持っていけませんから、今後はなるべく買うのを控えて、今あるもので楽しみ尽くす方が大切かな…とは思ってます。

     でもやはり、CDよりもコンサートかな? だって、コンサートで聴く方が、色々な情報量も多いし、こっちの集中力も違うし、絶対にコンサートの方が楽しめますって。でも、チャンスがないんだな(笑)。

  13. めいぷる より:

    酒井先生は私より遥かに小柄の上にあの譜面位置なので、私には譜面が見えません(;>_<;)で、レッスン時に譜面台を上げてもらいました…(T_T)

    どーしても譜面台高めで行くには、自分が下がるか、お客さんから見て自分との間に譜面を挟まない…譜面を目の前に置かずに平行に立ち位置を決めると譜面に邪魔されずに音が通ります。

    そーいえば、酒井先生は非常勤なんですよ。うちの師匠は常勤ですが。

  14. すとん より:

    めいぷるさん

     そうか、観客にちゃんと音を通すための一つの方法として、譜面台を低めにしているんですね。なるほど…。確かに、譜面台をどう置くかで、フルートの音は変わると思います。

     となると、譜面台が低いのも、決して悪い事じゃないんですね。問題は、演奏者の姿勢だな。うむ、色々と研究してみなきゃ。

     今まで、他人が譜面台をどう使っているかなんて、興味なかったのですが、今度、プロの方のフルートの演奏会に行ったら、その人が譜面台をどう活用しているかにも注意して見てみたいと思います。譜面台の置き方一つでも、色々と学べるものですね。

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