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ミュージカル練習が熱気を帯びて参りました

 歌劇団の練習に行ってきました。今回は、練習後に新ピアニストさんの歓迎会があるので、いつもより練習時間が短めのため、集合時間が早めに設定されましたが、皆さん、ちゃんと時間に間に合いました。さすが、オトナですね。

 と言うわけで、発声練習を終えたら、すぐにミュージカルの練習に入りました。

 練習に先立って、先生からの注意(?)がありました。まず、練習はシーンごとに行っていくので、日によって、キャストによって、練習量がだいぶ変わってくる事。ある人は、出づっぱりで練習するかもしれないし、その一方で、ほとんどベンチに座りっぱなしで何もしない人もいるかもしれないので、その点を覚悟しておくこと。オペラとかミュージカルの稽古ってのは、そういうものらしいです。

 小道具的なものは自分で用意すると良いです。小道具的というのは、郵便屋さんの肩掛けカバンとか、あかずきんちゃんの頭巾とか、おばあさんの帽子とか…。もちろん、本番で使用するものは、それ用のものを考えて団で用意するけれど、ちょっとした演技の助けになるものを用意しておくと練習の時に便利ってことです。

 さて、実際の練習です。

 最初は、郵便配達のアリア「おはよう皆さん」からです。リズムが難しいです。今回は、歌にからんでくるお母さん役の方がお休みなので、歌だけの練習です。

 次は、狼のアリア「おれは森の狼」~赤ずきんちゃんのアリア「みんなみんなおはよう」~狼と赤ずきんちゃんの二重唱「花が好きな者には」です。狼は私なんだけれど、どうも、私の持っている狼のイメージと、先生が持っている狼のイメージが、だいぶ離れていて、たくさん軌道修正をしないといけないようです。

 まず狼は悪役なので『胡散臭さ』を常にかもしだす様に言われました。そのためには、動作やセリフ回しは遅めでおおげさなくらいの方が良いそうです。『分かりやすい悪者』を目指しましょうとの事です。私的には“白いタキシードを着込んだ詐欺師”とか“街のチンピラ悪徳金融業者”とか、狼をそんな感じにキャラ設定をしてみたけれど、どうも、それでは、演出家の先生の意図とはだいぶ違うみたいです。

 先生が望むのは、悪役と言っても、演劇的な悪役ではなく、オペラっぽい悪役です。オペラの悪役って…スカルピア? イアーゴ? どっちもバリトンじゃん。テノールの悪役と言えば、マントヴァ公爵? でもこれだと“白いタキシードを着込んだ詐欺師”と分からないねえ。ああ、狼のキャラ設定が難しいです。ちなみに、相方の赤ずきんちゃんは、見事に、赤ずきんちゃんになりきってましたね。ううむ、上手上手。

 次は山鳩のアリア「おしゃれな一日を」の練習になりました。山鳩の役はウチの息子君がやるのですが…明らかに練習不足で、それを先生にチクリチクリと言われていました。親がいくら言っても練習しないのですから、先生に言ってもらって有り難いくらいです。

 しかし、どうして子どもってのは、練習しないで平気なんでしょうね? 別にこれはウチの歌劇団やウチの子どもだけの問題ではなく、子どもって(もちろんその子にもよるのたけれど)ピアノでもなんでも、練習もせずにレッスンに行ったり、練習が不足したままとか、全然出来上がっていないのに、発表会などのステージに出ちゃったりするんだよね。不安にならないのかね?

 次はおばあちゃんのアリア「ゴホンゴホンああつらい」~アリア「命乞いの歌」です。ここは狼とおばあちゃんの絡みのシーンです。私の狼キャラがうまくできていないので、おばあちゃんにはたっぷりと迷惑をかけてしまいました(謝)。

 ミュージカルでは、声楽的な美しい歌よりも、キャラに応じた歌が必要とされます。例えば、ここのおばあちゃんのアリアでは、おばあちゃんはキレイな声楽的な歌を歌のではなく、風邪をひいてつらい感じを出すために、あえて声楽的にはダメな歌い方をする必要があります。

 セリフの声ですが、ミュージカルという事もありますが、基本的には歌う声でセリフを言う必要があります。話し声の延長でセリフは言わない事。これ、難しい。特に狼は、胡散臭さを出すために、低めの声で話した方がいいけれど、私自身の歌声は甲高いのです。だからと言って、甲高い声では胡散臭さは出ないわけで…難しいですね。また、このシーンでは「狼が赤ずきんちゃんの声を真似て、変な声でしゃべる」と言うのがありますが、これなんか、わざと汚いオカマ声でしゃべるわけで、結構ハードル高いです。

 演技的にも、逃げるおばあちゃんを狼が襲うわけだけれど、逃げるおばあちゃんは、なかなか上手だけれど、狼の襲い方がダメダメでした。ううむ、実生活で、私は女性を襲った事ないからなあ…。襲わなくても、あっちからやってくるという人生だったので、どうやって女性を襲えばいいのか、全く分からないです(笑)。私がやると、どうしても『下手人を捕らえた銭形平次』になってしまうそうで…勉強してきます。

 短い休憩を入れた後は、終曲の合唱「森は平和になった」の練習です。この曲のポイントは、役になりきったまま歌うという点です。なので、合唱曲だから言って、きれいに合唱すればいいってものじゃないのです。…って『(改心したとは言え)狼がやっつけられて平和な森になってうれしいな』って歌を、狼のまま歌うのって、なんか自虐っぽくない?

 ここでのポイントは、やはり合唱曲ですから、音程ですね。女声は取りづらい音程もあるけれど、しっかり歌う事。男声は女声を支えるために、たっぷりした声で歌う事が必要です。

 最後の合唱曲の練習が終わっても、まだ練習時間が残っていたので、狩人のアリア「狼をしとめたぞ」の練習をしました。この曲はYテノールさんだし、アリアなので、実際の楽譜よりも1音上に上げて歌う事になりました。狩人、おばあさん、赤ずきんちゃんの三人が絡み合うシーンで、演技的に、ちょっとばかり難しいシーンです。ま、このシーンに関しては、また次回、たっぷり練習する事にしましょう。

 短かったけれど充実した練習を終えて、会場を変えて、炭火焼きとりの店で、ピアニストさんの歓迎会(&暑気払い)をしました。たっぷり飲んだし、食べました。やっぱり炭火焼き鳥は美味しいね。たくさん話もしました。その多くは、ここに書けないような話でしたが…書ける話を一つ書いておくと…。

 …演技について。今回のミュージカルでは、先生が演出家になるわけだから、最終的には先生の演出の方向で、演技をまとめていくけれど、それに頼らずに、必ず事前に、それぞれ各自で自分の役に関するイメージを持っておく事が大切なんだそうです。そして、その自分が持っている、そのイメージでの演技を先生の前で披露し欲しいのだそうです。つまり、役のイメージを、演ずる我々者と、演出家である先生とですり合わせて、本番に向かって練り上げていくわけだけれど、まずは歌手が自分の役のイメージを持っていて、それがベースになるので、よろしくって事です。(つまり演出家の言いなりの演技じゃダメよって事です)。

 こんな感じで、練習と宴会の両輪で、ウチの団体は結束していくわけです。

 ちなみに二次会は、有志のメンバーでビール専門店に移動しました。日本茶のビールとか桃のビールとかが置いてある店で、ビールも料理も美味しかったです。終電ギリギリまでねばりましたが、みんな無事に帰れたかな? 二次会の時に「ガラコンサートでベッリーニ歌いたい」って言ったら、即座に却下されました。残念。

 次回は、通常通りの練習をしますが…私は仕事の都合で練習をお休みせざるを得ないのです。来月の歌劇団の練習の記録は…どうしましょうね。

コメント

  1. グレッチェン より:

    テノールで 悪役の狼って想像出来ないです。狼的な悪役って自分の考えをすぐに曝け出したりしないと思うのですが テノールというと自分の感情に正直でたとえば、マントヴァ公のような悪役でも感じるがままの行動の末の悪事ではあって、赤頭巾ちゃんの狼のような悪魔的な腹黒い事にはそぐわないイメージがあります。そのミュージカルを知らないで言うのはいけないのですが… かくいう私は小学校三年の学芸会の折に狼した事がありますね 一応女の子でしたし 背の順で前から4番目でしたが。他のクラスメートが 森の小鳥だのお花だのと言う役に飛び付いてる間に 狼やる子がいなくなって(クラスに男子は20人くらいいたのですよ) 逃げ足の遅い私が捕まった、と言うワケです。今だにトラウマ、ルチア歌っても消えません!あ、すとん様は狼ですよね、ごめんなさい。ベッリーニ却下残念ですね。でもご自分でお勉強なさる分には差し支えありませんでしょう?優雅な月よの前の2の曲や マスカーニのセレナータなど私のイメージのすとん様にぴったりなのですが?ごめんなさい、聴いた事ないクセに。でもご家族で歌えるのは良いですね!我が家は種を明かせば全員オンチなので出来ないんです。

  2. Yテノール より:

    ミュージカル練習、お疲れさまでした〜♪

    このミュージカルの狼は、悪役だけど、やはり、主役級の役ですよね。
    いや、実質的には、赤ずきんちゃんより狼の方が主役でしょ。
    だから、やはり、テノールがやるべきだし、終始格好良くやれば好いと思います。
    まさに、ストンさんの独壇場ですよ。
    キング先生がうさん臭さを、やってみせてくれてましたが、
    悪徳業者のうさん臭さではなく、チラッ、チラッ、って、下心が、観客にだけほの見える感じでしたね。
    そこで観ている方は、ドキッとスリルを感じてしまいす。
    悪役の凄みがチラって見えるって格好良くありませんか〜♪
    そのチラッをどの程度にするかが、大人向けか子供向けかのさじ加減と言うことかなって思いました。

    私の狩人は、まともに、アリアのリズムも取れませんでしたね。
    演技どころのさわぎではありませんでした〜大汗

  3. すとん より:

    グレッチェンさん

    >テノールで 悪役の狼って想像出来ないです。

     はは、実は私もです。まあ、普通、悪役というのは狡賢いイメージのあるバリトンがやるものですからね。テノールはどうしても、バカだし、単純だし、ええカッコしいだし(笑)。でもそこは“新境地開発!”って奴で、なんとかテノールの悪役というのを考え出してみたいと思います。

     小学生の時の狼役はお気の毒さま。狼はおチビ(失礼)な女の子がやる役じゃあないですね。担任の先生は、そのあたりの気遣いはなかったのかなあ(ちょっと疑問)。そうそう、私は狼の役自体は、結構気に入っています。うまくやれなくて悩んでいるだけですので、お気遣いはご無用ですよ(笑)。

     自慢するつもりはありませんが、家族全員で歌えるのっていいですよ。でも、ひとつ問題があります。全員が舞台に上がっちゃうので、誰も写真をとってくれないし、ビデオを回してもくれません。歌わない家族がいたら、その人に頼めるのですが、こればかりはどうにもなりません(大笑)。

     ベッリーニは、私にとって「優雅な月よ」はリベンジの対象曲なんです。いつかはやっつけないといけないと思ってます。なので、三つのアリエッティをどこかで歌ってしまおうと思ってます。ただ、あの曲はメゾの曲なので、私の声が完全にテノールになってしまう前にやっつけておかないと声域的に厳しくなるので、ちょっと急いでいるのです。

  4. すとん より:

    Yテノールさん

     いやいや、ミュージカル「赤ずきんちゃん」のメインの主役は、やっぱり、かわいい赤ずきんちゃんでしょう。

     よくオペラって、基本的に“王子様”“お姫様”“ライバル”の三つ巴の構成になり、それぞれを、テノール、ソプラノ、バリトンまたはメゾが担当する事になってます。“お姫様”担当は赤ずきんちゃんなのは論を待ちませんが、狼は、そこで“王子様”ってわけもなく、やっぱり“ライバル”って位置だと思います。その“ライバル”である狼をやっつける“王子様”が狩人じゃないかな? なので、終曲の合唱では、狩人は、もっと二枚目っぽく歌わないと(笑)。

     そういう意味では「赤ずきんちゃん」は悪役が映えるミュージカルなのかもしれないです。

     なんにせよ、かんにせよ、どういうキャラクターを設定するかで、歌い方から動き方まで全部変わってくるわけですから、まずは狼のキャラクターをきちんと設定するところから始めないといけません。しかし、胡散臭い人物で、なおかつ高音でしょ。どんな感じにすればいいのかな? スネ夫? ベルクカッツェ? シァアじゃかっこよすぎるし(笑)。

  5. プリロゼ より:

    胡散臭いテノールって面白そうですわ。
    白いタキシード着た詐欺師・・・うん、アリだな♪

    キング先生のちら見せ下心・・・そそられるぅ[E:heart04]

    しかし、歌ってセリフしゃべって演技してって相当難しいですわね。
    >わざと汚いオカマ声でしゃべるわけで、結構ハードル高いです。
    これが一番聴いて(見て)みたいわ(笑)

    本公演、見に行っちゃおっかな[E:note]

  6. すとん より:

    プリロゼさん

     歌ってセリフしゃべって演技して…はい、難しいですよ。実はそれ以外に、狼と赤ずきんちゃんにはダンスもあります(笑)。もちろん、我々では、どう頑張っても、学芸会レベルのものにならざるを得ませんが、それでも、ほんのちょっとでも完成度をあげて、見ている方が楽しめるようなステージにしたいと思ってます。

     汚いオカマ声は……赤ずきんちゃんのモノマネをして、おばあちゃんを騙す時に声です。おばあちゃんに「なんか変な声だねえ~」と言わせるので、きれいな美少女っぽい声ではなく、あえて汚いオカマ声で行きます(笑)。

    >本公演、見に行っちゃおっかな

     カモ~ン。まだ会場が押さえられないので、日にちが決まりませんが、来年の秋ぐらいを検討しています。

  7. キングz より:

    狼についてですが、
    赤ずきんちゃんはあくまで童話なので、
    見た目にわかりやすい悪い狼をやってもらいたいのです。
    小さい子供が見て「あ、悪役だ!」と思わせるような。

    かといって、愛嬌がまったくないと最後の改心はみんなから許されないですから。

    “街のチンピラ悪徳金融業者”は、子供にはわかりにくいのですよ(笑)

    あと横レス失礼。

    きれいな美少女ボイス、出せるならぜひ!!!!(笑)

  8. すとん より:

    キング先生

    >見た目にわかりやすい悪い狼をやってもらいたいのです。

     それが難しいです。童心を失ってから、幾数年、そういうのが変に難しく感じるんですね。簡単なもの、単純なものほど、難しいんです。…でもなんとかします。

    >愛嬌がまったくないと最後の改心はみんなから許されないですから。

     あ、この視点は抜けてました。あー、またまた役作りのハードルが上がった…。

    >きれいな美少女ボイス、出せるならぜひ!!!!

     「出せる」とは言い切りませんが、出すべくトライすることは可能だし、そっちの線で頑張って練習してもいいのですが、それじゃあ、ストーリー的にダメなんじゃないですか? 汚いオカマ声が良いと思います。美少女ボイスはまた別の機会で(笑)。

  9. キングz より:

    いえいえ。
    すとんさんの見た目で美少女ボイスだせるならそっちのほうが面白くなりますよ(*^ー゚)b

    でも、のどつぶさないようにね・・・・w

  10. グレッチェン より:

    リベンジってどなたにもあるのでしょうか?私はグラナドスのアンダルーサ5番です それはそうと直に存じ上げないのに空想の翼が拡がってとても魅力のある狼さんが舞台に立ちそうですわ!

  11. すとん より:

    キング先生

    >すとんさんの見た目で美少女ボイスだせるならそっちのほうが面白くなりますよ

     そうですか? なら、頑張りますか? 声楽とはノドやカラダの使い方が違いますが、メラニー法という発声方法があるので、以前から興味がないわけでもないので、トライしてみますか? 以下のサイトに詳しい説明があります。
    http://itseo.web.fc2.com/melanie.html

     これをやると、導入時は声が(男声に)戻らなくなるって書いてあるのが、ちょっとオッカナイですけれど(汗)。でも確実に女声にはなるみたいですよ。

  12. すとん より:

    グレッチェンさん

     私のリベンジの話は、ちょっと長くなるので、割愛しますが、ベッリーニの「優雅な月」は、人生のどこかでやっつけておかないと、死んでも死にきれないのですよ。私にとっては、そういう曲なんです。

    >とても魅力のある狼さんが舞台に立ちそうですわ!

     魅力のある狼さんになりたいです。頑張りますよ。

  13. キングz より:

    メラニー法

    ざくっと読んでみましたが、
    のどが痛くなりそうですねぇ。

    普通の裏声で大丈夫ですよ^^
    しゃべり方だけ美少女意識でお願いします。

  14. すとん より:

    キング先生

     普通の裏声では“美”でもなければ“少女”でもなく、単なる“女形”ですよ。

     先生がおっしゃるなら、普通の裏声で行きますが…ちょっぴり残念です。そうそう、メラニー法をマスターすると、メールアルトになれるような気もします。

    >美少女意識でお願いします。

     そうします。

     蛇足。「メラニー法」を変換する時、必ず最初に「米良にー方」となるのは、ちょっと笑えます。

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