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メトのライブビューイングで「チャンピオン」を見た

 とは言っても、いつものように映画館で見たわけではなく、CSで無料放送があったので、それを録画して見ました。「チャンピオン」は、2022-23シーズンに上演された新作オペラです。作曲者は、ジャズのトランペット奏者&作曲家のテレンス・ブランチャードです。

 キャスト&スタッフは以下の通りです。

 指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
 演出:ジェイムズ・ロビンソン

 エミール・グリフィス:エリック・オージェンズ(バリトン)
 エミール・グリフィス(青年時代):ライアン・スピード・グリーン(バリトン)
 エメルダ・グリフィス:ラトニア・ムーア(ソプラノ)
 キャシー・ヘイガン:ステファニー・ブライス(メゾソプラノ)

 実在の黒人ボクサーの栄光と挫折の人生をオペラ化した作品で、アメリカの底辺社会やゲイの息苦しさ、認知症で苦しむ老人など、まあ、ポリコレな内容のオペラです。ポリコレ作品としての価値は私には分かりませんが、演劇として見るなら、まあ(言っちゃあなんだけれど)可もなく不可もなくといった凡庸な作品だと思います。オペラとして見るなら、何も面白い部分はありません。私的には、お金を支払ってまで見たい作品ではありません。今回は無料放送だったので、興味本位で見ましたが、ちょっと時間がもったいない気がしました。

 そんなわけで、皆さんには、全くお薦めしません。まあ、新作ですからね、当たりハズレはあるし、万人に受け入れられるってモンじゃないです。

 とは言え、オペラ業界的には、新作オペラって作り続けていかないといけません。でないと、オペラが決定的にオワコンになってしまいますからね。しかし、新作オペラというのは、当然ですが、玉石混交で、それらはまだ“時の試練を経ていない”のですから、まあ大半は凡庸な作品ばかりでも不思議はありません。わゆるクラシックな作品というのは、みな等しく、時の試練を経ているので、すべてが名作ぞろいですから、それらと比べるのは酷というものです。

 日本でも、落語や歌舞伎などの伝統芸能であっても、新作は作り続けられているし、それらの中には、素晴らしいものをチラホラと見かけますが…オペラの新作には、あまり良いものが見られないのは残念です。

 これには、おそらくミュージカルの存在が関係するんでしょうね。オペラはミュージカルとの差別化を考えなぎゃいけないわけだし、何でもアリのミュージカルと比べると、オペラにはあれこれと枷があって、作品制作上の自由も少なく、そんなわけで、オペラ新作って面白くないんでしょうね。

 おまけにミュージカルなら、作曲家にとって、一発当てれば御殿が立つほどの経済的な成功が約束されていますが、オペラ新作では、いくら当てても御殿が立つことなんてあるのかな? そう考えると、有能な才能の持ち主たちはミュージカルを制作しても、オペラを書こうとはしないでしょうね。

 そこが新作オペラのキツイところかもしれません。ですから、私は新作オペラには、ほとんど期待していません。実際問題、私、オペラって、すでにオワコンだと思っていますから。

 それでも、チャレンジし続ける事は尊いと思うし、チャレンジし続ける人は応援したいと思います。でも、ダメな作品はやっぱりダメだとも思ってます。

 そんな姿勢が、私の新作オペラに対する向き合い方なのでした。

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