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本当の事で、意識していない事を言われるのが、一番キツイ

 世の中には数多くの罵詈雑言の類がありますが、みんながみんな、心に刺さってくるわけではありません。

 例えば私の場合「バカ!」とか「アホ!」などの、よく使われる、これらの暴言は全く心に刺さりません。だって、私はバカでも無ければ、アホでも無いので「何言ってんだ、こいつ?」としか思わないのです。「死ねばいいのに」と言われても「それはお互い様だよね」と思ってしまうので、これも全然心に刺さりません。

 以前は「音痴!」と言われると凹んでいましたし、今でも音程を外して歌ってしまう事もあるのですが、でも音痴と蔑まれるほどの外し方はしなくなったという自負がありますので、以前ほど凹まなくなりました。

 「デブ!」と言われると、つい「うん、知ってる」と思っちゃいます。デブの自覚はありますし、もう何十年もデブ人生を送っていますので、今更デブって言葉程度では凹みませんが、その言葉を発する人の悪意にはうんざりしますし、デブを見下す態度に反発心を覚えます。

 たぶん、今の私に一番効く暴言は「ハゲ!」かな? と言うのも、一応私は自分がハゲている事は知っていますが、それを普段は全く意識せずに生活しています。デブってのは、自分で認識できるので、常に自覚できますが、ハゲは自分の普段の意識には上らないのですよ。だって、自分の頭なんて、普段は見ないし、私のハゲは“後頭部のハゲ”だから、鏡に自分の姿を写しても見えないのです。だから意識はしないのです。でも、見えないけれど、自分がハゲている事は、床屋で髪を切って、その確認をするたびに身にしみていますので、知っているのです。

 だから、もしも他人から「ハゲ!」とか暴言を言われたならば、事実だから否定できないし、普段意識していないから、その暴言が心のすきまから入ってきて、グッサリと刺さりそうです。

 うん、心の用意の無いところで「ハゲ!」と言われたら、かなりキそうです。

 同じように「臭い!」と言われても、心に刺さりそうです。自分の匂いって、自覚ないでしょう? これでも身ぎれいにしているつもりだし、清潔や衛生に心がけています。でもジジイだから、加齢臭とかオジン臭がしている事は知っているし、夕方頃に自分が自分で臭くて閉口してしまう事がないわけじゃないし、特にマスクをして過ごした後に、マスクを外して外気を吸った時に、自分が臭かったら…かなりショックで、凹んでしまう経験がしばしばあるんですよ。だから、そんな経験があるのし、でも普段は自分の臭さを意識していないのですから、悪意ある人から「臭い!」と言われたなら、たとえその時、本当は臭くなかったとしても、かなり凹みそうです。「臭い!」って言われたら、相当にキツイなあ…。

 「ハゲ!」と「臭い!」が今の私に刺さる、二大罵詈雑言かもしれません。

 本当の事で、でも意識していない事を言われるのが、一番キツイです。たぶん、クチが達者で性格のキツイ人って、他人のそういう部分を簡単に見抜いて、的確に罵詈雑言を浴びせるんだろうなあって思います。

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