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ピアニストがうらやましい

 ピアニストがうらやましい…と言っても、別にピアニストになりたいわけでもなければ、ピアノが達者に弾けるようになりたいわけでもありません。いや、ピアノは達者に弾けるようになりたいですが、そこは今日の本筋とは関係ありません。

 「ピアノを弾くように、歌が歌えたらいいのになあ…」と思ってます。それで、うらやましいと思ってます。

 …ピアノを弾くように、歌が歌えたら?…これ、音程の話です。

 ピアノって、ちょっと乱暴な言い方だけれど、誰が弾いても「ド」の鍵盤からは必ず「ド」の音が出るでしょ。「ド」のキーを弾いて「ミ」が鳴ったら、調律師さんを呼ばなきゃいけません。もちろん、音の美しさは度外視して言ってます。

 「ド」を出そうと思って「ド」の鍵盤を叩いて「ド」が鳴る。……当たり前だけれど、そんな世界がうらやましいです。

 だってね、歌って、音程を自分で作っていかないとダメでしょ。「ド」を出そうと思っていたのに合唱なんかだと、「ド」じゃなくて「ミ」で歌ったり「ラ」で歌ったりなんて、ないわけじゃないです。音形が複雑だったり、跳躍が激しかったり、自分のパートだけちょっと動きが違ったりとか…。いや、それなら、大きくはずれているけれど、まだハモれる(オイ!)からいいです。むしろ問題は「ド」を出そうとしても、体調によっては「ド」みたいな音になっちゃう時(涙)だってあるでしょう。ちょっと足りないとか、ちょっと余るとかね。…悲しいよね。

 常に正しい音程を作るには、絶対音感を持っている事が必要でしょうね。または、優れた耳&相対音感を持っていれば、常ではないけれど、大方は間に合うはずです。でも、悲しい事に、そのどちらも持ち合わせていない私のような人は、常に音程で苦労します。ピアノのように、決まりきった音程が出せる楽器がうらやましいです。

 もちろん、全然お話にならないくらいの音痴というわけではありません。音取りをきちんとすれば、そんなに大変な事にはなりません。でも、いつもいつも音取り練習バッチリってわけに行かないのが現実なんです。

 だから、問題は音取り練習が不足している時ですね。多少練習が不足していても、オーソドックスなメロディの動きの中なら、そんなにひどい事にはならないでしょう。でも、合唱のハモりパートって、往々にして変な動き(つまり、不自然な動きね)をしたり、不用意に大きな跳躍があるとか、そういう個所がちょっと続くと…あんまりうまくはいかないです。

 だから、「ド」を出そうと思えば、確実に「ド」が出て、「ソ」を出そうと思えば、確実に「ソ」が出る。そういう世界に憧れます。

 ほとんどの楽器は(もちろん例外もあるけれど)基本的には、正しいキーを叩くとか、正しい運指で演奏すれば、誰でもだいたい正しい音程の音が出せます。

 でも、歌は、そうじゃない。まず、良い耳を作って、正しい発声方法を知らないと、きびしいものがある。もちろん、世の中には「ナチュラル・ボーン・シンガー」という、訳の分からない天才タイプの人はいるけれど、ああいう人は別格です。普通の人は,耳と声をそれなりに鍛えていかないと、歌すらまともに歌えやしない。

 ああ、だから楽器がうらやましいです。特にピアノはいいね。

 ピアノがいいねと思うのは、音程が常に正しい以外に、重音がたやすく出せることも、うらやましいです。だって、声で重音ってのは、ちょっと厳しいでしょ。一人で重音が出せるなら、一人でハモれて楽しいけれど、ちょっとそんなわけにはいかないです。結局、ハモりたければ、合唱などをしないとダメでしょ。

 楽器だって、美しい音楽を奏でるには色々と大変な事がある事は承知しているし、楽器でも弦楽器などは、声楽同様に、奏者が音程を作っていかなければいけないのだから、その苦労が大変だというのも分かってます。あ、フルートも、シビアな話をすれば、やっぱり奏者が音程を作っていく部分ってあるよね。おそらく、どの楽器だって、シビアな話をすると、大なり小なり、そういう事になっていくと思います。

 まあ、つまり、音程には苦労するね、という話です。でも、音程を自分で作っていくというのは、色々と突き詰めて考えてから音を出すわけで、実はこれがなかなか豊かでおもしろい話になりそうな気もしますが、それはまたいずれね、という事で(笑)。

コメント

  1. みるて より:

    歌い手にとって音程は永遠の課題ですよね。
    ましてや自分の耳で聞いている声と外に出ている声は違ってきこえますからたちが悪い。
    ピアノはニュアンス勝負だけど、声はまずは音程からだものねぇ。

  2. すとん より:

    >みるてさん

    >ましてや自分の耳で聞いている声と外に出ている声は違ってきこえますからたちが悪い。

     そうそう、これこれ! 音程もそうだし、音色もそうだし、自分で聞いている声と他人が聞いている声が違うというのが問題なんですが…ここが声楽の宿命と言えば言えるので、頑張るしかないわけです。

     何度も自分の声や歌を録音して、聞き返しては歌い、歌っては聞き返すを、くり返して練習できればいいのですが、実際問題、練習時間は貴重ですから、声を出し続けていたいという思いもあり、なかなか録音を日常化できません。ああ、練習時間がたっぷりあればいいのに…。

     やっぱり、ピアニストがうらやましい。

  3. 神音(かのん) より:

    ピアノにも表情はあるけど、なにをやってもピアノのピッチでしか聴けなくなってしまいました。それで、カラオケで音痴ね、と言われたことがあります。
    ピアニストなら別なのかな。

    ピアノがすごいと思うのは、一人で音楽が完成できること。オケに匹敵することもできちゃう。なんで習ってた頃にそのすごさに気づかなかったんだろ。

  4. すとん より:

    >神音さん

    >それで、カラオケで音痴ね、と言われたことがあります。

     うわ、キッツー。それは大きなお世話というものですな(プンプン!)。

     それはともかく、もしかすると、神音さんは絶対音感の持ち主? 絶対音感の持ち主は便利な面と不便な面かあると聞きますが、カラオケにうまく合わせられないというのは、絶対音感所持者ゆえの悩み?かもしれませんね。私なんかは、逆に、伴奏からズレて歌えません。伴奏に引っ張られます(笑)。

     歌は、平気で移調するし、音階もピアノのような平均律ではなく、純正律で歌うのが基本ですから、絶対音感所持者でも、相対音階の訓練をしていないと、厳しいそうです。ただし、絶対音感+相対音感になると、ほぼ無敵状態だそうですが(うらやましいです)。
     フルートも、基本的に平均律ではなく、純正律ですね。アンサンブルの時に、ピアノのような音の取り方をすると、ハーモニーが濁ります。

     なんて、エラそうな事を書いちゃう私ですが、平均律と純正律の実際の違いなんて、なんとなくしか分からない、ボンクラ野郎なんですけれど(笑)。

    >ピアノがすごいと思うのは、一人で音楽が完成できること。オケに匹敵することもできちゃう。

     そうですね、鍵盤楽器って、すごいと思います。さらにこれがパイプオルガンや電子オルガンになると、本当にオーケストラ並になります。すごいですよ。でも、その分、習得に時間がかかるし、演奏も困難なんだろうと推測します。え? 私ですか? 私は人生の可能性の中から「ピアノが弾けるようになる」というカードをさっさと捨ててしまった人です(笑)。

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