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オレの歌を聞いてくれ!…の精神で歌うこと

 声楽のレッスンに行ってきました。とりあえず、パソコンはハイスペックじゃないといけないし、ハードディスクは無限に感じるほどの大容量でないと、音楽制作は覚束ないという事が、うっすらと分かりました。

 さて、体操が増えました。今までのスクワット60回とお辞儀60回に加えて、立ち腹筋40回が加わりました。立ち腹筋とは、片足立ちの姿勢(それも立っている足は伸ばさずに、ちょっと曲げている所がミソです)で正面を向いたまま腹筋を収縮させる運動です。収縮させると言うのは、最初のスタートの段階で腹筋を思いっきり後ろに引いておいて、そこから更に縦方向に収縮というか、ギュッと腹筋を縮める方向に引っ張るんです。これが見た目以上にキツいんだわ。これが40回です。あ、10回ごとに、立っている足はチェンジね。

 「ジムに行ったつもりで練習してきてください」と言われています。これらの体操、最初に始めてから、やっと一カ月くらいですし、体操と言っても、当初はスクワットとお辞儀だけでしたが、これらの効果はそれなりに出ていると思います。先生も「下半身が少しすっきりしたね」と言ってくれました。あと「足がきちんと閉じるようになってきたね」とも言ってました。自分的には、多少、声にハリとツヤが出てきたような気がします。あと、フルートで楽に高音が出るようにもなりました(って声楽と関係ないね)。

 先生から「三カ月も続けていると、声が変わった事に気づくと思うから、それを楽しみにしましょう」との事。声楽は、楽器を買い換える事はできないけれど、自分を鍛えれば鍛えるほど、自分の楽器がドンドン良いものにバージョンアップしていわけで、そこが楽器と違って面白いところです。ある意味、無料で良い楽器が手に入るわけで、それはまるで『努力次第で、無料でゴールドフルートが手に入るようなもの』なので、まことに声楽って、貧乏人に優しい音楽ジャンルです。

 さて、レッスンは発声練習もそこそこに、コンコーネ50番(以下、コンコーネ)の1番からです。「キチンとやるよ」の宣言どおり、きちんとやっていただきました。

 最初の二小節だけで、どれだけ時間がかかったことか…。とにかく、音程が甘いと言われ続けました。コンコーネは高声用を使っているので、1番はD-durなんですが、♯がついている音が、私は全然低いのだそうです。つまり、FisとCisを低く取る癖がついているのです。これは移調ドで育った人の特徴(♯や♭の処理が曖昧になりがち)なんだそうです。実際、D-durにおけるFisとCisは第3音と第7音なので、ピアノの音よりも高く取らないと長調に聞こえないのだそうですが、私はそれらの音を高めどころか、ピアノよりも幾分低い音で歌ってしまっているのだそうです。これでは、D-durなのか、D-molなのか分からなくなってしまうそうです。だから、、FisとCisは、意識的に高く歌うように言われました。

 「高く歌え」と言われてやってみると「それはダメ」と言われます。と言うのも、私は高い音を出そうとすると「音程をあげる」よりも「音色を明るく」して誤魔化す(つもりはありませんが)ようなのです。これ、無自覚でした(汗)。

 だから「音色は変えずに、音程だけを高くして」と言われました。ははは、意外と難しい(涙)。自分にそんな癖があったなんて、知りませんでした。

 さらにFisやCisなどの♯の音に気をつけても、休符やブレスの後の歌いだしの部分の音程がぶら下がりがちなので、またまた注意。何度歌い直しても、ぶら下がります。どうも、休符やブレスの時に、体がいちいち休むので、それで音程が下がるのだろうという事で、休符でもブレスでも、体を休めないようにして歌ってみました。具体的には「息を支えたまま、お腹も引いたまま、背中を伸ばしたまま」歌い続けました。…見事、音程キープに成功。ただし、もうちょっとで腹筋を初め、体のあっちこっちの筋肉がツルところでした。すっごくつらいです。

 先生に「いかに今まで、楽して歌っていたのか、よく分かったでしょう」と言われました。はい、よく分かりました。

 とにかく、私はお腹がゆるむと音程が下がるのです。だから、常にお腹を緊張させて歌わないといけません。そんなこんなで、コンコーネの1番と取り組みました。当然、次回も、また1番です。

 歌は「オ・ソレ・ミーオ」です。注意点はコンコーネと同じで「常にお腹を緊張させて、お腹を引き続けて歌いなさい」です。それにさらに付け加えて「もっと頭の後ろを開けて声を出せ」です。難しい難しい。「後ろを開けて声を出す」というのを、ついつい忘れがちな私です。もう先生に何百回、注意された事か…。

 でも、先生がおっしゃるには「以前よりも、だいぶ良くなってきましたよ。以前はGに問題があったけれど、今はGはひとまず許容範囲で、むしろAに問題を感じるようになってきました。だから、進歩していますよ」という事です。うれしいです。

 Aかうまく歌えないのはAを意識しすぎるからだと言われました。その通りです。Aが高い音だと思うから、体が萎縮して声が出なくなるわけで、一番いいのは、Aの事など忘れて、ただ「オレ様の歌を聞きやがれ!」の気持ちで歌えば、必ずうまくいくそうです。私もそう思います。でも、Aを前にすると、体中がすくむんだよね。まるで崖の上から下をのぞき込んだ時のようにね。理屈じゃないのよ、高音が控えていると思うと、体が緊張するんだよ。

 そう言えば、フルートの発表会で歌った「デスペラード」のヴォーカルには、このAがそれなりにあるんだよね。でも、全部、乗り切った。音が高いとかそういう騒ぎではなかったからね、あの曲は。だから気にしないで歌えば、きっとどうにでもなる高さなんだと思う。とは言え、一応、高音Aってのは、通常“男声の最高音”って考えられている音だって知っているからね。やっぱり、山の頂上に登る時は、緊張するってものです。

 …でも、オペラのテノールは、この山の頂上が、ある意味、スタートなんだよね。Aより高い音を、どれだけ美しく、長く、力強く、何度も歌えるかが、ポイントだったりするわけで、人間業を超えた所にオペラアリアの醍醐味があるんだから、こりゃ仕方がないわけサ。

 とにかく「オ・ソレ・ミーオ」はもう少しやります。でも、次の曲が決まりました。次は、モーツァルトの「フィガロの結婚」第3幕3場の、伯爵とスザンナの小二重唱「Crudel! Perche finora (憎いぞ! なぜこれまで私をこのように焦らしおった?)」をやります。はい、私が伯爵を歌います。バリトンの役です。先生からは「伯爵はバリトンだけど、かなり高いバリトン(ハイ-バリトン)ですよ。まだ高い音が出ないうちに、この曲をやっておきましょう」と言われました。ま、私はまだオペラのテノール役を歌うには力不足だから、バリトン役でもやむなしだね。でも、始めて、レッスンでオペラの曲をやってもらえるので、たとえバリトン役でも、ワクワクします。ああ、楽しみ。ちなみにスザンナは妻がやります(当然か)。

 この曲を知らない人のためにYouTubeの画像を貼っておきます。これは最近の演奏なので、演出が実に現代的ですし、演奏も現代的ですが、ま、こんな感じのちょっと色っぽい曲なんです。何しろ、女が男を誘っている歌ですから。あ、本来、踊る必要はありません。

コメント

  1. Cecilia より:

    おお~、この二重唱をやるのですか!
    うらやましい~!
    相手がいないので私はできません。
    ちょっとエロティックな場面ですよね。
    うちにあるビデオではフィッシャー・ディースカウの伯爵がフレーニのスザンナに絡む場面が何とも言えません。
    女たらしの伯爵が何ともうれしそうなのが可愛くもあり・・・という感じです。
    こちらですね。
    http://www.youtube.com/watch?v=6D7c8HSTAVs

    貧乏人に優しい声楽ですが、調子が悪くなるとひたすらお金がかかります。
    私も「あたくしの歌を聴いて!」という気持ちで歌うことにします。(笑)

  2. すとん より:

    >Ceciliaさん

     声楽は、考えようによっては、他人の前で大声で奇声(?)をあげるわけですから、やはり心臓に毛がウジャウジャ生えてないとダメなのかもしれません。「歌を聞いてください」と言った控え目な態度ではなく、「歌を聞いてくれ~」「聞けー」「耳元で歌うぞー」くらいの積極性がないとダメなのかもしれません。

     それに、“音”を気にするのではなく“歌”を気にするべきだ、という解釈もできますね。

    >貧乏人に優しい声楽ですが、調子が悪くなるとひたすらお金がかかります。

     楽器も、調子が悪くなると、メンテとか調整とかオーバーホールとか、目玉が飛び出すほどかかる時もあるので、やっぱり声楽は貧乏人の味方だなあと思いますよ。

  3. たかさん より:

    いくら「聴いてくれーッ」と言われてもね~、
    聴かされる身になれば「助けてくれーッ」です。

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