スポンサーリンク

倍音と倍音練習

 フルートのレッスンに行きました。

 今回はセッション・レッスンの日なのですが、私が我流で倍音練習をやっている事を知った笛先生は、レッスンの前に、ちゃんとした倍音練習のやり方を教えてくださいました。感謝です。

 まずは練習方法を教えてもらいながら、私の出す倍音の音質を見て(聞いて)もらいました。

 さて、言葉の説明から。倍音、倍音って言いますが、ここで言う“倍音”はフルートにおける“倍音奏法”の倍音であって、楽器の音色を形作る倍音とか、合奏合唱で音波の共鳴共振の結果生まれる倍音とは、ちょっと違いますので、ゴッチャにしないでください。

 倍音…テクニック的には、フルートのオーバーブローによって、基音の高次倍音を鳴らすことです。高次倍音とは、高次振動のことで、基音の周波数に対して2倍、3倍、4倍…の周波数を持つ音とその振動のことです、って書くと難しいね。簡単に言っちゃうと、フルートを勢い良くピーって吹くと、高い音が出ますが、あの音を意識に出して、自分のコントロール下に置きましょうって練習です。

 具体的に言うと、低音Cの運指のまま、素直に音を出せば、これが基音のCです。運指を替えずに、息の勢いなどを変えて、高い音を出します。息の吹き込み方によって出てくる音が変わりますので、そのあたりをコントロールしていく練習なんですね。

 低音Cを例に、簡単なものから、難しいものへ並べていくと、

 ・基音(第1倍音 低音C)
 ・第2倍音(中音C)[基音の1オクターブ上]
 ・第3倍音(中音G)[基音の1オクターブ+完全5度上]
 ・第4倍音(高音C)[基音の2オクターブ上]
 ・第5倍音(高音E)[基音の2オクターブ+長3度上]
 ・第6倍音(高音G)[基音の2オクターブ+完全5度上]

 こんな感じ? もちろん、倍音自体は、もっと先まであります。

 ちなみにここで( )に入っている音をチューナーで確認すると、たぶん、どれも微妙にズレていると思う。というのも、ここで( )に入っている音は、純正律での音高だから。

 この倍音の関係を基本にして音程を作っていくのが、いわゆる純正律です。一方、1オクターブを12等分したのが平均律だから、純正律と平均律だと、同じドレミでも、だいぶ音の内容が違うことが、何となく分かるでしょうし、フルートって、本来、平均律ではなく、純正律の楽器だって事も分かると思います。

 みんな~、もっと、純正律を愛してあげよー!

 で話を戻すと、この倍音なんだけれど、これをC~Esまでは第5倍音までを、Eから上は第4倍音までを、順番に出していくのが、倍音練習です。

 具体的に書きます。

 最初に、メトロノームを適当なテンポに合わせ、一定の速度で行いましょう。

 まずは、運指は低音Cのままにして、素直に「低音C」を出します(もちろんロングトーンね)。次に運指を替えずに、息をやや強めの細めにして「中音C」を出します。ここまでは比較的簡単。

 次に指は替えずに、さらに息をもっと強めの細めにして「中音G」を出します。そろそろ難しくなってきます。さらに、もっともっと息を強めの細めにして「高音C」を出し、さらに、もっともっともっと強めの細めの息にして「高音E」を出します。ここまでがノルマ。必ずやること。さらに可能なら、もっともっともっともっと強めの細めの息で「高音G」を出せるとすごい。

 そんな風に第5(または第6)倍音まで順番に登って行ったら、今度は同じ要領で、順番に下ってくる。低音Cまで到着したら、運指をCisに変えて、中音Cis -> 中音Gis -> 高音Cis -> 高音F(-> 高音Gis)と上がって下がる。次に、運指を低音Dに替えて…と、運指を半音進行にして、中音Cisまで同じ要領でやる。ただし倍音のノルマは、C~Esまでは第5倍音まで、Eから上は第4倍音までです。

 こんな感じ、これだけ。要領つかむまでは、結構難しいですが、要領つかむと、それほど難しいものではないと思う。なので、定期的に、この練習をして、狙った倍音を出すための体の感覚をつかんでおくとよいそうです。

 実際にやってみると、ノルマ達成はなかなか難しいです。とりあえず、C~Esは第5倍音まで、E~Gまでは第4倍音まで出せます、つまりノルマ達成です。でもね、左手領域に入って、Gis~Hは第3倍音がやっと、C~Cisは第2倍音(つまりオクターブ上まで)がやっとやっと。私の場合、管長が短くなるほど、倍音を出すのが下手くそになるみたいです(汗)。

 ま、習うより慣れろ? ですね。あと、この練習をしておくと、倍音を出すのが得意になるばかりでなく、当然ですが、強めの細めの息の練習にもなるので、高音域の音が出しやすくなると思います。あと、倍音は、きちんとフルートの音の出るポイントに当てないと出ないので、フルートのポイントをつかむ練習にもなりますね。

 「倍音も一種の替え指なんですよ」と、先生がおっしゃってました。確かにそうだよね。

 長くなったので、セッション・レッスンの話は明日アップします。

コメント

  1. 小夜子 より:

    低音Cの指配置で高音E…できたらGですか???
    ひゃぁ!難しそう。。。
    でも、きっと良い練習になるでしょうね。
    私の使っているトレバーワイの本は、最初の最初にその練習が載ってます。(すとんさんが挑戦しているような全パターンじゃないけど)
    久しぶりにやってみようかな(^^)

  2. すとん より:

    >小夜子さん

     倍音練習はとりあえず、毎日やってますが、たぶんこれ、アンブシュアの基礎固めにいい練習だと思います。低音Cの指配置はまだいいんです。問題はやっぱり基音が高くなって来ると難しいです。たぶんピッコロでこの練習は…キビシイでしょうね。

     トレバーワイの本は、今度の週末に立ち読みして、おもしろそうだったら一冊くらい買ってくるかな?
     

  3. ムラマツEXⅢ より:

    倍音練習、難しいですよね。。。

    大スランプ脱出の時にいろいろ試した『いろいろ』の一つなのですが、今では腹筋スタッカートと並ぶ欠かせない日課練習のメニューになっています。

    その効果は絶大ですので、是非続けてみてください!

    最近は欲張りすぎて日課練習だけで1時間近くかかるメニューになってしまいました。。。

  4. すとん より:

    >ムラマツEXⅢさん

     おお、腹筋スタッカートですか。やってますよ、私も。毎日の練習は、まず、その腹筋スタッカート(私は“ノンタンギングでのスタッカート”と呼んでます)から始まるくらいです。

     ノンタンギングでのスタッカート、ソノリテ、倍音練習、スケール、オクターブ練習、(ロングトーンの代用として)アダージョな曲の演奏、というのが私の今の日課練習でしょうか。時間は…分からないや(笑)。合間に休憩入れたり、声楽の練習(最近はミックスでやっていることが多いです)をしたり、ブログしたり、色々やりながらなんで(爆)。

    >その効果は絶大ですので、是非続けてみてください!

     はい、しばらく続けていきます。

  5. めいぷる より:

    ゴールウェイでしたっけ? パユでしたっけ?
    色んな音が出るんで、小さい頃面白がってそればっかりやって遊んでいたので、いざ吹く時、指以外の準備は全て出来ていたそーですから(^^)

    出した音と、正規の指使いの音と、音色や音程を揃えてみましょう! 効果「大」です。

  6. すとん より:

    >めいぷるさん

    >出した音と、正規の指使いの音と、音色や音程を揃えてみましょう! 効果「大」です

     うへ。今の私の出す倍音は「とりあえず出てます?」みたいな感じの、やせたギスギスした音だという事を、なぜにご存じ? ううむ、油断ならない、お人だな。

     おっしゃるとおり、倍音は、正規の指使いの音と同じであるべきでしょうね。またそうでなければ「倍音も一種の替え指なんですよ」とおっしゃった先生の言葉も意味を持たないけれど、そーゆーことなんですね。すごく納得。

     納得したけど、それって難しいよ(汗)。ま、どうせ、倍音練習は毎日するつもりなので、練習をする時に「倍音が出たからOK」じゃなくて「正規の音と同じ音色で同じ音程の音が出す」を目標に、コツコツやることにします。そう、コツコツね。

     練習の目標ができました。感謝です。

  7. まきりん より:

    お久しぶりです。古い記事にコメントごめんなさい。
    フルート 倍音 練習 で検索したら、すとんさんのブログにヒット!

    この記事、読んだような…でも当時の私には難しすぎて、理解できなくて。
    今の私なら、少しわかります。
    今のすとんさんなら、楽勝ですよね、倍音練習。

    あ、なぜ、倍音練習を検索したかというと…
    最近の私の音色がちょっと…で、今週のレッスンで倍音の事を少ししました。
    …っていうか、全然やってなかったので、8音だせませんでした…
    また、地味に頑張ります。
    来月の発表会まで、あと1ヶ月きりました。今年はドニゼッティのフルートソナタです。
    指がまわらないので、スローテンポですが、がんばれるとこまで、がんばります。

  8. すとん より:

    まきりんさん、お久しぶりです。

     そう言えば、最近は倍音練習はやってなかったなあ…(汗)。

     ええと、今の実力なら、プラ管フルートで、どれくらい出るものかと試してみました。フルートのすべてのトーンホールを塞いだ状態(通常なら低音Cが出る運指)で、チャレンジしてみたところ、第10倍音まで出ました。

     ちなみに、コントロールして出せるのは、第8倍音までかな? 第9と第10は、無理やりひねり出した感じで、ちょっといただけないかも(笑)。

     一応、倍音列と音名の関係はこんな感じね。

     第1倍音 低音C
     第2倍音 中音C
     第3倍音 中音G
     第4倍音 高音C
     第5倍音 高音E
     第6倍音 高音G
     第7倍音 高音Bb
     第8倍音 最高音C
     第9倍音 最高音D
     第10倍音 最高音E <- プラ管での限界
     第11倍音 最高音F#
     第12倍音 最高音G

     最高音と言うのは、4オクターブ目の音域ですから、私の場合、ほぼフルートの音域すべてを倍音で出せたというわけです。

     楽器として造りの雑なプラ管でもここまで出せましたので、総銀フルートだったら、もう一つ二つ上まで出るんじゃないかな? 我ながら、上達したものです。

     発表会まで一ヶ月ですか、追い込みですね、ガンバってくださいね。

    >今年はドニゼッティのフルートソナタです。

     ドニゼッティと言うと、オペラアリアしか思い浮かびません(涙)。さっそく、YouTubeで検索かけて聞いてみました。うむ、いい曲ですね。でも中間部以降が難しそう。でも、ドニゼッティらしいメロディがふんだんにあって吹いてて楽しそう。

タイトルとURLをコピーしました