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余裕はあった方が良いのだろうか?

 もちろん、一般論としては「何事であれ、余裕は無いよりもあった方が良い」に決まっています。
 では、私は何を悩んでいるのかと言えば、もちろん歌に関してです。「歌う時に余裕はあった方が良いのだろうか?」という問いに悩んでいるわけです。
 もっと具体的に言うと「歌詞をしっかり暗譜して、発声や表現に気を回せるくらいの余裕を持って歌えたら、本当に良いのか?」という、ナニソレ?的な悩みに悩んでいるのです。
 と言うのも、歌う時に、歌詞が全然入っていなくて、楽譜ガン見で、発声にも表現にも気が回らない状態で歌った歌は、最初はもちろんロクに歌えません(そりゃそうだ)。でも、必死に練習して、歌詞を覚えていないにせよ、なんとかクチが回るくらいになってくると、ようやく最後まで歌える感じになります。
 おそらく、この状態が今の私のピークなんです。
 その後、練習を重ねて、歌詞を暗譜できるようになり、発声とか表現とかに注意しながら歌っていくと、おそらく歌唱としての完成度は上がってくるのだろうけれど、今度は最後まで歌えなくなります。具体的に言えば、声が足りなくなってしまいます。結果、ドンドンとドツボにハマっていき、なんかダメになっていきます。
 分かりますか? たぶん問題は“声のスタミナ”なんだと思います。
 今の私が持っている声のスタミナでは、一曲をきちんと仕上げて最後まで歌うには足りないみたいです。だから、歌唱の完成度を上げてしまうと、声が足りなくなってしまうわけです。むしろ、まだまだ歌唱としの完成度が低い時の方が声のスタミナと完成度のバランスが良いみたいで、そこそこの仕上がりながら最後まで歌えたりするわけです。
 要は、もっと声のスタミナが付けば問題解決なんだろうけれど、現状はスタミナが全然足りないので、歌唱の完成度を上げてしまうと、声か足りなくなってしまうのです。
 これが昨年の発表会で失敗した原因の一つだろうと思うし、あの時からさほど成長していない今の私の偽らざる姿って奴です。
 「だからどうなの?」って感じの悩みであるとは自覚していますが、ほんと、自分でも「だからどうなの?」って思っています。
 声にかぎらず、スタミナなんて一朝一夕で身につくわけないもんなあ。
 そういえばフルートの演奏でも似たような事をしていたような気がします。
 だいたい、練習を重ねて、譜が読めてきて、指が回るようになってくると、決まって演奏中にクチビルが震えるようになるんだよねえ…。皆さんは経験がありますか? 曲の後半になると、クチビルが自分の意思とは無関係に震えだすのです。まあ、自然にビブラートがつくから儲けもの…なんて楽観的に考えられないほどに、クチビルが暴れるわけで、そうなると自分ではどうにもならなくなって、心の中で泣きながら笛を吹いていた記憶しかありません。
 あれも、おそらくは、スタミナの問題だと思います。何のスタミナが足りなくなって、クチビルが震える(ってか、痙攣?)するのかは分かりませんが、直感的に“スタミナ不足”が原因だと思います。
 余裕を感じるようになると、たぶん、無意識でアレコレやってしまい、その結果、スタミナが足りなくなるんだろうなあと思います。歌でも、笛でも。
 さて、私のスタミナ問題。どーしたもんだか。

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コメント

  1. 如月青 より:

    私の先生によると体がきちんと使えれば、歌の最中で疲れることはないので、幾つになってもどんな曲も歌える、と。
    この前テレビで森山良子の生中継を見ましたが、サトウキビ畑って長く案外音域の広い曲を見事に歌いきってました。
    74歳で、見た目は年相応なのに、若いときより格段に声がよくなっている❗
    昭和40年代の映像だと、節回しはうまいけど、美声ではない、と思われたのですが、年とともに高音が突き抜けて、正統派の響きのよい声になっていくようです。
    たまたまその前日か、彼女が新聞のインタビューで、同世代のソプラノ歌手のトレーニングを受けて、幾つになっても音域が伸びることが分かった、と言ったのを見ましたが、そのとおりでした。
    我々にも希望はある、と信じましょう。

  2. すとん より:

    如月青さん
    >体がきちんと使えれば、歌の最中で疲れることはないので、幾つになってもどんな曲も歌える
     これはたぶん正解です。そう、体がきちんと使えれば良いのだと思います。問題は、私が自分の体をうまく使えずに、それゆえにこそ、ガス欠とかスタミナ切れとかを起こしてしまう事です。そういう意味では、方法は2つです。テクニックに磨きを掛けていく…のか、根性と体力を増やしてバテないようにする…のか。私は根が体育系ですから、ついつい後者を選びがちです(笑)。
    >幾つになっても音域が伸びることが分かった
     それねえ…。私の以前の先生、このブログではキング先生と呼んでいる先生には「テノールは五十歳まで。それ以降は、声は衰え、音域も声量も狭くなるだけ」と言われ続けてきました。実際、プロのテノール歌手の皆さんは、その前後で声が衰えて引退されるんです。
     だから「私も…」と、ある意味、呪いをかけられています。もうアラカンだもん。高い音が出なくても仕方ないよ。声が割れたり枯れたりしても仕方ないよ。声量だって乏しくなって当然だよ…って、ついつい言っちゃうんですよ。でも、それって寂しいよなあとも思ってます。
     だからあがいてます。あがいた結果、少なくとも音域はまだ広がっていると思ってますが、声そのものは…やっぱり衰えてきたかもしれませんし、声量も減っているような気はしています。
     ああ、なんかなあ。

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