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フルートの音色に影響を与えるもの

 先週、ひさびさにフルートネタの記事をアップしたのですが、その記事のコメントに書いた内容を、そのまま埋もれさせてしまうのも、なんか勿体ない気がしたので、その要旨を拾ってきて、今回の記事に仕立てました。再利用、再利用。
 フルートの音って、普通の音楽ファンが聞くと、どんな高価な楽器を使っても、みんな“フルートの音”にしか聞こえません(当たり前)。笛吹きにすれば、高い楽器も安い楽器もみな同じ“フルートの音”に聞こえちゃうなんて、かなり残念な側面を持つ楽器ですが、でもでも笛吹きとしては、たとえそうであっても、楽器にはやっぱりこだわりたいものです。
 で、少しでも良い音で聞いてもらいたいと、日々ソノリテに励んでみたり、より高価な楽器に持ち替えてみたり、頭部管だけ交換してみたり…なんて事をして、フルートの美しい音色を模索していくわけです。
 というわけで、色々な要素がある中、何がフルートの音色に影響を与えるのか、それについて考えてみました。
 で、私が考える“フルートの音色に影響を与えるもの”を、影響の大きな順に並べてみました。
1)演奏者の違い
 やはり、一番大きな影響を与えるのは、演奏者でしょうね。演奏者の力量はもちろん、体格とか体力とかも含めて、フルートの音って個人差がかなり大きいと私は思うのです。だからこそ、ソノリテを始めとする音色を美しくするための基礎練習って欠かせないモノだと思うし「楽器を買い換えるくらいなら、まずは練習の虫になれ!」ってのが、正論なのかな?って思うのです。
2)頭部管の違い
 具体的には歌口の形とかサイズとかカット断面の形とかね。これはほんと、すごく音色に影響があると思うし、音色を変えたいと思ったら、まずは頭部管の交換を考える…というのは、よく理解できます。
3)管体の厚みによる違い
 これは私のフルートのH先生の受け売りなのですが、管体の厚みを厚くしたり、薄くしたりするのは、かなり音色に影響があるそうです。厚めがH先生の好みだし、愛笛は18Kの厚管なのですが、厚めだとかなり吹きづらくなるそうです。ちなみに、市販されているゴールドフルートは大抵薄めなんだそうです。だから、金なのに吹きやすいのだそうですが、その代わり音色的には銀とあまり変わらない感じになってしまうのだそうです。つまり「ゴールドフルートを買うなら、ぜひ厚管で買え!」って事のようですが、お財布がきびしいよね。
4)製作者(メーカーやモデル)による違い
 色々とフルートを吹き比べてみると、やはりメーカーによる音の違いというか、傾向は違うし、同じメーカーでもモデルで音は違うし、同じメーカーの同じモデルでも音に顕著な違いがあったりして、よくよく聞いてみると、製作している職人さんが違っていたりします。職人さん同士だと、音を聞くと、誰が作ったフルートなのか、だいたい分かるそうです。
 皆さんは、ご自分の愛笛を製作された職人さんをご存知ですか? 私は知っていますし、何度かお話をした事もありますし、ご本人に調整を依頼した事もあります(ちょっと自慢)。
5)材質による違い
 金のフルートは金なりの、銀のフルートは銀なりの音がするというのは、私も感じますが、問題は価格だよね。価格の違いほど音色は変わるのかというと、私は「そこまでじゃないよね」って思ってます。正直な話、プラスチックのフルートの音と、総銀ルートの音って、違うっちゃあ違うけれど、じゃあ、どちらが美しいのって言われると…何とも言えないよねって、私は思います。プラスチックのフルートも、奏者に腕があれば、案外、うっとりするほど美しい音色で鳴るんだよねえ…。
 私は自分のフルート(総銀)の音が大好きです。音色だけなら、ゴールドやプラチナにも負けていないと思ってます。しかし、洋銀やプラスチックのフルートだって、良い音色だという事も知ってます。なので、音色に関して言えば、材質の違いは無視してもいいかな?って思ってます。ただ、比重の重い材質とか、物理的に重い楽器の音は、遠鳴りするとは思ってます。その分、鳴らすのが大変ですが…。
6)仕様(Eメカの有無とかメッキの違いとか)による違い
 違うと断言する人もいますが、私はその違いが全く分かりません。単音演奏なら、心を落ち着けて、耳を澄ませて聞けば、その違いが分かるかもしれませんが、曲演奏になると、曲に集中してしまい、音の違いなんて分からなくなります。つまり、それくらいの違いしか無いんだろうなあと思ってます。
 …って感じかな? 2022年春の段階では、こんな感じに考えています。
 ぶっちゃけ、私はこんなふうに考えてますが、皆さんは別の考えであっても当然だろうと思うし、異論はもちろん認めます(上から目線でごめん)。それに材質に関して言えば、材質によって音が違うという事にしておかないと、アマチュアの皆さんが、どんどん高価なフルートに買い替えてくれないので、業界的にはそういう事にしておきたいというオトナの事情の事も理解してます。
 大原則としては、フルートってのは、管体の中の空気が渦となって振動して音になる楽器なわけで、振動するのは空気であって、管体ではありません。
 だから…1)の演奏者は、楽器に空気を送り出す装置(?)なので影響大と考えています。2)の頭部管は、空気の渦を作るきっかけとなる部品なので、これも影響は大です。
 3)の管体の厚みは、空気の渦をどれだけしっかり受け止めていくかに影響を与え、いわばジャンパーに対するジャンプ台みたいなものです。音色にも影響を与えるでしょうが、むしろ音量に強く影響を与えると考えます。4)の製作者は、そもそもの楽器の設計や出来に関する部分で、製作者の意図が強く反映する部分です。音色への影響が無いとは言えないでしょう。5)の材質は音色よりも価格に直結するモノだと考えます。6)は楽器のモデルごとの差別化のためのもので、本来は音色にも関係するはずですが、私には聞き分けできません。
 …そんな感じなのです。

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コメント

  1. tetsu より:

    こんばんは。
    先日事務所でいつも流れているネットのラジオで久
    しぶりにジャズのフルートを聴きました。
    音源はたぶんこちら。
    Elaine & Daffy ; Lionel Hampton And His Orchestra
    https://www.youtube.com/watch?v=ihy-j943ym0
    こういうフルートの音色ってとてもマネできません。
    楽器がどうこうって話題をぶっ飛ばしているような。
    ジャズのフルートではHubert Lawsの名前しか知りませんでした。
    見つかった動画は次。いいですね。
    Hubert Laws Quintet – Land of Passion
    https://www.youtube.com/watch?v=yBrl4ujR8I8
    失礼しました。

  2. すとん より:

    オペラ座の怪人の怪人さん
     怪人さんのあげたフルーティストさんたちは、みなジャズ畑の人ですね。ジャズの人って、高価な楽器を使っている人もいれば、スクールモデルを使っている人もいて、皆さん、自分に合った楽器をチョイスしているなあって思ってます。こういう人たちの演奏を聞いていると「楽器の良し悪しの前に腕を磨けよ」って思います。
     特にヒューバート・ロウズは、私もたくさん聞き込みました…ってか、最初に習った笛先生からは「とにかくヒューバート・ロウズをたくさん聞きなさい」と言われたものです。
     ジャズのフルートって…いいよねえ。

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