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ビートルズ『Get back』を見た感想 その1

 ディズニープラスで配信している、ビートルズの『Get back』を見ました。今回は、その感想をアップしますが…長くなってしまったので、2回に分けてアップします。
 まず、今回の『Get back』は、映画『Let it be』とは、まるで違いました。同じフィルムから編集されたはずですが、ぜんぜん違うんです。その違いは何かというと“悲しみ”の有無じゃないかな?って思います。『Let it be』には全編に“悲しみ”が漂っています。その悲しみは、いわゆるメランコリーと呼ばれる閉塞感漂う悲しみなのです。ビートルズという偉大なバンドが解散しちゃうよ、悲しいね、悲しいね…って感じなのです。何しろ、ビートルズの解散というニュースにからめて公開された映画ですから。
 当然の話ですか、それが『Get back』にはありません。何しろビートルズの解散なんて50年も前の歴史的事実でしかありませんから。
 『Get back』はドキュメンタリーと銘打つように、割と客観的な、第三者的な語り口の作品です。なので、悲しみの代わりに何があるのかと言えば、彼らの“素”がそこにあると思います。で、彼らの“素”って…実は“ガキっぽさ”じゃないかと思うのです。特に前半の、トゥイッケナム・フィルム・スタジオで撮影されている部分は、本当にガキくさいんですよ。
 当時の彼らは30歳前後だったはずで、本当はいいオトナなのですが、やっている事はまさに“ガキ”なんですよ。幼稚なんですね。なんか思春期の男の子たちの集団みたい(笑)。なんか部活の部室のノリなんですよね。
 例えば、先輩たちが、年下の後輩をずっとずっといじり続けてキレさせて喜んでみたり、彼女を連れ込んでイチャイチャしていたり、それを見ている後輩たちはイライラしているのに文句言えなかったり、先輩たちは平気で練習に遅刻してきたり、それを悪びれもせずにいるのに、周りもそんなモンとして受け入れて、ずっとずっとルーズなままだし…なんかもう、全然、ビジネスライクじゃないし、オトナの言動ではないのです。ほぼほぼ、やっている事は子ども、ガキなんです。
 で、そんなガキ臭い4人を見ながら、周囲のオトナたちがハラハラしているのが、なんとも落ち着かないです。たぶん私は、若者であるビートルズのメンバーではなく、周囲のオトナたちにシンパシーを感じてしまっているのかもしれません。
 でも、そういうガキっぽい部分がふんだんにあるから、あれだけの創作ができたのかなとかとも思うわけです。
 ちなみに彼らの名誉のために書き添えておくと、後半になってスタジオを、自分たちのアップル・スタジオに移動してからは、割と真面目にセッションをしていますので、全部が全部、ふざけているわけではないのです。
 さて、1回の放送分が2~3時間で全3回ですから、全部で8時間程度あるわけで、それだけあると、彼ら一人ひとりのパーソナリティーもよく分かります。
 グループの中心人物は、ポール・マッカートニーですね。彼が常に現場の中心にいます。孤軍奮闘しています。やや空回りぎみの感じもします。
 で、彼のグループでの役割は、まとめ役というか、実質的なリーダーというか、ツッコミです(笑)。特に好き勝手にボケまくるジョンに、適宜、適切なツッコミを入れていくわけで、たぶんこの時点では、彼がいなければビートルズはグループとして存在できなかったんだろうなあって思いますし、後に彼がビートルズを放り出したから、ビートルズが解散しちゃったんだろうなあって思いました。
 ジョン・レノンは、よく言えば“悪ガキ”。はっきり言えば“奇人”でしょう。行動は本当に自由だし、よく奇声も発していますし、周りが全然見えてません。無責任と言えば無責任だし、大切なのは自分と自分の彼女だけで、もはやビートルズの面々は視界に入っていないんじゃないの?というくらいに、心ここにあらず…って感じです。でも、そんな彼だけれど、間違いなくグループのキーパーソンで、彼の影響力は抜群で、彼がグループにいる事で、ビートルズがビートルズになり得ているという事が分かります。
 おそらくジョンはひらめき型の天才で、ポールは努力と調整力に長けた秀才なんだろうと思います。
 良くも悪しくも、ビートルズって、ジョンの狂気をポールが分かりやすく翻訳していたり、ポールの優等生部分にジョンがキラキラしたトゲを差し込んでいたり…っていう関係で成り立っていたグループであって、とても組み合わせの良いコンビなんだなって思います。で、ビートルズってのは、実質、この二人のコンビ名なんですよね。
 今回は、これくらいです。続きはまた明日。

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コメント

  1. 如月青 より:

    ビートルズって、私はコアなファンではないけど、語り始めると幾らでもネタが出てくるって感じですね。
    4人の立ち位置については、合唱で言うと、ポールが音楽的にも普段の生活でもバランスのとれた指揮者で、ジョンがわがまま気まぐれな天才ソリストっていうのは誰でも了解すると思います。
    ジョージは接着剤ですかね。これ、ソロで聞くと声量はないし正確に歌えてるだけでぱっとしないけど、こういう人が個性の強いメンバーの間に入ると独唱+独唱が「合唱」になるという得難い人材です(音大生の合唱が声はすごくいいのに決して上手くないのはこういう役割のひとがいないから?)。
    難しいのはリンゴですね。一見お間抜けに見えて実はチームのスパイス的な役割を自覚してイジラレ役を買ってくれる苦労人にも見えなくはないけど・・・
    というわけで続編期待してまーす!

  2. すとん より:

    如月青さん
     ジョージが接着剤というのは納得です。実際、ビートルズの曲のハモリ部分って、ジョージが歌っているんですよね。二人のヴォーカリストがツイン・ヴォーカルで歌っている中に、コーラス部分のハモリを担当しているのがジョージなわけで、確かに彼の歌は接着剤なんでしょうね。
     リンゴは…まあ、基本的に歌わない人だから(笑)。でも、歌えないから歌わないのではなく、ドラム叩くのが忙しくて歌わないだけで、今現在、ヴォーカリストとして活躍している事からも分かるように、決して歌えないわけじゃないんだよね。
     そういう点では、ビートルズは全員が歌えるバンドだったんです。レベル高いよね。日本のバンドで、全員が歌えるバンドなんて、どれくらいあるんだろ? 楽器は弾けても歌えないバンドマンって、実はたくさんいるからなあ…。

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