私は二本のフルートを常用しています。練習用のヌーボ(プラ管)とレッスン用のアルタスA1307R(総銀)です。アルタスの方は、アゲハという名前を付けて愛でています。
さて、ヌーボとアゲハですが、実は両方とも吹きづらい楽器です。どう吹きづらいのか言うと…
ヌーボはウワバミです。息をいくらでも飲んでしまいます。ですから油断していると、あっという間に息が無くなってしまいアップアップになってしまいます。ヌーボを吹く時は、しっかりと腹筋を意識してブレスコントロールをしないと吹けません。ヌーボはいくらでも息を飲みますが、別段、少量の息では鳴らない…なんて事はありません。この楽器を吹くのに必要な息の量は、他の楽器とほぼ同じです。ですから同じように吹けばいいだけなのですが、いくらでも息を飲んでしまうので、ガンガン吹き込んでいくと、あっという間に息が足りなくなってしまうのです。危険だね。ブレスコントロールの大切さを身にしみて知らされます。
ですから、値段が安価なので、初心者向けの楽器と思われやすいのですが、こんなにきちんとブレスコントロールをしないと吹けない楽器なんて、絶対に初心者向けではありません。
アゲハは…と言うと、スイートスポットとでも言うのかな? 良い音で鳴る場所がやたらと小さい上に、少しでも乱暴に吹くと、すぐに音がダメになります。これ、何気にキツイですよ。アゲハをオーバーホールに出した時に、別のメーカーのフルートを代替器として借りたのですが、その楽器の吹きやすかった事…ほんと、涙がちょちょぎれちゃうほどでした。ああ、世間一般のフルートって、こんなに奏者に優しいんだ…と思いました。とにかく、息を吐き出す量と方向を常に意識していないと、ちゃんとした音色で鳴ってくれない楽器なんて、かなり手強いと思います。
そんなわけで、私が常用している二本のフルートは、二本とも吹きづらいのですが、決して嫌いなわけではありません。二本とも、私には良いコートであり、トレーナーです。だって、これらの楽器を吹いているだけで、ブレスコントロールが上達するんですよ。他の楽器を吹いた時に、ビックリするくらいに簡単に吹けるんですよ。すごいでしょ?
あと、ヌーボはそれほどではありませんが、アゲハは音色が素晴らしいのです。私の耳には鈴が鳴るような美しい音色なのです。世間一般のフルートって、見かけはキラキラしていますが、アゲハは見かけだけでなく、その音までもキラキラしているんですよ。
だから、多少吹きづらくても、頑張って吹いちゃうんだよね。だって、フルートを吹いているだけで、お耽美な気分になれるんだよ、そりゃあ吹いちゃうよね。
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コメント
Altusいいですよね。わたしは1207 (シリアル番号1340と古いもの)と、最近の楽器である1407を持っていますが、それぞれ味わい深いです。スイートスポットは昔の楽器のほうが狭いですね。
これは全般的に言えるようで、今手元に1920年代の楽器、たぶん1924年とかの木製の楽器があるんですが、むちゃくちゃスイートスポットが狭いです。本当に息を針穴に通すよう。最初は全然音が出ませんでした。が、ふけるようになってくると、表現力の幅が桁違いになってくるんですよね。
すとんさんもアゲハさんのおかげできっと楽な楽器を吹いていては手に入らない表現力を手に入れていると思います。
Natさん
Altusいいですよね。確かにおっしゃるとおり、スイートスポットは他社の楽器よりも狭めですが、その分、何とも言えないいい音色で鳴るんですよね。
ですから、自宅での練習であっても、良い音色で鳴りますから、笛の練習と心の癒やしが同時にできて、何ともお得です(笑)。
で、残念なのは、今の私は仕事の都合で、フルートのレッスンをお休みしている事でしょうか? レッスンをお休みしていると、吹かなければいけないノルマのようなモノが無くなりますから、自然と自宅でもフルートを吹いている時間が少なくなり、あの音色に心を踊らせる時間も少なくなりました。仕方のない事とはいえ、かなり残念に感じています。