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現代フルートの標準はゴールドなのかもしれません

 そもそもフルートという楽器は、そもそも横笛です。原初のフルートは、動物の骨(もものあたりの太くて長い骨)であったという説もありますが、そこまでさかのぼると、さかのぼり過ぎの感もなくは無いです。一般的は、ルネッサンス時代に使われていた木製の横笛を現在のフルートの原型と考えるのが妥当でしょう。
 最初は、木製の管体に穴のあいた、今の小学生が使っているリコーダーのような楽器だったと思いますが、やがてキイメカが付くようになり、その数も徐々に増え、やがてすべての半音演奏が可能となりました。これがバロック時代のフルートです。
 19世紀の半ばに、テオバルト・ベームによって金属製のフルートが作られるようになり、それが現代フルートの誕生であると言われています。
 ベームが作った金属製のフルートの材質は銀でした。銀は柔らかくて、重量もそこそこあったので、フルートの材質として選ばれたわけです。すでに楽器製作の金属材料としては真鍮が一般的でしたが、ベームはあえて真鍮を選ばずに銀を選んだわけです。その理由は…私は知りません。知っている方が教えて下さい。私が思うに…真鍮は金属としては硬いので、ベームは硬い金属である真鍮を避け、柔らかい金属である銀を選んだのかな?とか考えますが、当ってますでしょうか?
 というわけで、ベーム以来、標準的なフルートは銀製となったわけです。ただ、フルートが銀で出来ていると、結果として高価な楽器になってしまうため、洋銀や真鍮で作られたフルートも廉価版として販売されますが、それでも楽器としての標準の地位は、銀製のフルートでした。
 それが変わったのが、ベームから約100年たった20世紀の中頃でしょうか? それまで銀が主流だったフルート界に金のフルートが登場し、プロを中心として徐々に金のフルートの使用者が増えてきました。21世紀になった今、プロの大半が、またハイアマチュアの相当数が、金のフルートを愛用するようになりました。
 現代フルートの標準は、もはや金製のフルートなのかもしれません。
 金のフルートは、銀のフルートと比べると、若干、質量が重くなる傾向があります。楽器が重いために、強い息でも音が割れず、大きめな音で鳴らす事が出来るようになるわけで、大きな会場で演奏する事が多い現代フルーティストたちのニーズにかなった楽器なのかもしれません。
 私自身は、当分の間、銀のフルートを吹き続けるつもりですが、私の前にレッスンを受けている姉様がゴールドフルートに持ち替えたのを見て、今の時代の標準フルートは金のフルートなんだろうなあって思った次第でございます。

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コメント

  1. tetsu より:

    こんばんは。
    > すでに楽器製作の金属材料としては真鍮が一般的でしたが、
    当時既にホルン含め金管楽器は真鍮が一般的だったのでしょうか。
    失礼しました。

  2. すとん より:

    tetsuさん
     別に私は音楽史や楽器史の専門家ではないので、憶測でモノを言いますと…。
     フルート製作者であるテオバルト・ベームは、モーツァルトよりも年下で、モーツァルトよりもずっと長生きをしています。つまり、ベームが現代フルートを作った頃は、すでにモーツァルトは、その短い人生を終えていたと考えられます。
     で、そのモーツァルトが書いた楽曲では、サクソフォーンは使われていませんから、真鍮製の金管のサクソフォーンはまだ無かったと思われます。でも、トランペットやトロンボーン等の代表的な金管楽器は(まだまだ発達途中でかなり音痴だったようですが)すでに使われています。ホルンもモーツァルトの筆でホルン協奏曲が書かれているくらいですから、当時すでに演奏に耐える金管のホルンが普通にあったものと思われます(もちろん、現代の楽器よりもずいぶん音痴でしょうが)。ホルンが動物の角から金管に変わったのは、フルートが動物の骨から木管に変わった頃だという説もあるようです。ホルンが動物の角から金管に直接材料を変更されたのに対して、フルートは動物の骨から一度木管に材料を変更されてから金属管(真鍮じゃなくて銀)に改めて変更されているわけで、そういうわけで、現代フルートってのは、かなり後発な楽器って言えるんだと思います。

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