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練習熱心なほど上達しない理由

 フルートであれ声楽であれ、基本的には練習しないと上達しません。だからと言って、毎日毎日熱心に練習しても上達するわけではありません。むしろ、練習熱心な人ほど、下手になってしまったり、技術的に行き詰まったりする事もあるようです。それはなぜでしょうか?
 徒然草ではありませんが「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり」が、すべての理由でしょう。
 先達とは、先輩の事です。徒然草では案内人の事を指していますが、一般的には指導者の意味に捕らえて考えるようです。つまり「どんな小さなことであっても、指導者に付いて学ぶ方が、より良い事です」って事です。
 指導者の役割って何でしょうか? 指導者にはたくさんの役割がありますが、一番大切な役割は“過ちを指摘する事”です。そして“正しいやり方を教える事”も大切です。
 つまり“過ちなく、正しいやり方”で熱心に練習するのがベストなんですよ。ところ、その“過ちなく、正しいやり方”で練習するのって、案外、難しくありませんか?
 ヨーロッパでは、毎日のように先生のもとに通って、そこで練習&レッスンを受けるんだそうです。自宅で練習はしちゃいけないと言われる事すらあるようです。それは“過ちだらけの、間違ったやり方”で練習する事を回避するためなんです。
 ところが、日本では、レッスンなんて、よくて週に1回。下手すると、隔週だったり月イチだったりするわけで、その間、全く練習しないわけにはいかないので、当然、自己責任で練習をする事になります。
 先生から習った事を忠実に守って“過ちなく、正しいやり方”で練習できればいいのですが、未熟な私たちは、ついつい誤った練習をしてしまいがちだし、先生の教えを誤解した練習をしてしまったり、無駄な練習をしたり、ネットを参考にむしろ下手になる練習をしてしまったり…とか、色々やってしまうわけです。
 そりゃあ、練習すればするほど、下手になるよね。熱心なだけに、その熱心さが裏目に出てしまうわけだ。なんとも悲しい話です。
 私も、いっぱい、身に覚えがあります(汗)。
 ですから、練習することで身についた事もないわけじゃないけれど、むしろ、練習しない事で出来るようになった事もたくさんあります。
 練習しないと、忘れるものね、良い事も悪い事も…。良い事を忘れてしまうのは悲しい事ですが、悪い事や悪い癖や悪い習慣を忘れてしまうのは、とても嬉しい事です。悪い事を忘れた結果、正しい事が簡単にできるようになったりして…。実際、私が高音を出せるようになったのは、インフルエンザになって、1ヶ月以上も練習できなくて、あれこれ忘れてしまった結果です。
 それまで、かなり熱心に高音発声の練習をしていたのに、ちっともモノにならなくて困っていたのに、ちょっと練習をしなかっただけで、簡単に出来るようになっていた事実には、当時、ほんとビックリしたものです。
 正しい練習をいっぱいするなら練習も意味ありますが、間違った練習を熱心に行うのは、時として上達の妨げであり、それくらいなら練習しない方が結果が良かったりするのも事実だったりするわけです。
 あと、これは難しい問題ですが、指導者について学びさえすればいいという話ではなく、指導者の質も実は問題だったりします。技術不足であったり、教授能力が欠如していたり、やる気がなかったり、そもそも指導者には向いていない人の元で学ぶのは、独学で学ぶよりも危険かもしれません。とは言え、生徒の側で先生を選ぶのは難しい話です(涙)。

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コメント

  1. ショウ より:

    凄く共感します。
    言われたことを家で試してみて、こんな感じかなと思ってレッスンに行くと全然違ったなんてザラです(笑)
    へー海外では毎日のようにレッスンがあるんですか。いいですねー なかなか金銭的に毎日通うようなことは難しいです。
    それにしても相変わらず喉の奥を開けるというのが分からないです・・
    顕著に喉の奥を開けて歌っているような歌手って誰かご存知ないですか?参考にしたいです。

  2. すとん より:

    ショウさん
     プロのクラシック系歌手は皆さんノドを開けて歌っていますよ。問題は、ノドが開いているかどうかは、録音を聞いただけじゃ分からないって事です。ノドが開いていない時の声を知っていて、ノドが開いている時の声を知っているならば「あ、今、ノドが開いている」とか「開いていない」とかの区別がつくだけです。
     よく言われるのが「あくびの声」です。これはノドが開いている時の声なのです。だから、終始あくびの声で歌うのがベストだと言う人もいるくらいです。ただ、私は音程によって、ノドの開け方を変えるように先生から教わっているので、いつもいつも、あくびの声では歌いませんけれど。
     ちなみに、私も自分でできるようになるまで、ノドを開けるという感覚が分かりませんでした。そんなモンかもしれません。

  3. ショウ より:

    音程によって喉の開け具合を変えるというのは難しそうですね!
    教えて頂きありがとうございます。

  4. すとん より:

    ショウさん
     どういたしまして。でも、あくびの声で歌っていると、自然とあくびが出てしまい、眠くなってしまう私でした(笑)。

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