とにかく、銀座山形屋さんには販売拒否にあってしまいました。あと地元にある紳士服屋さんは、既製服販売の店ばかりで、そこでは私の服は買えません。これで地元でタキシードを作るのは不可能って結論に達しました。
仕方がない、横浜に行くか…。
デブに優しくない、お客を選り好みする銀座山形屋さんは、いわゆる横浜にはありませんが、その他のオーダーメイド系の紳士服屋さんなら、横浜に行けば、嫌になるほどたくさんあります。その中には、デブに優しくて、お客を選り好みしない店もあるはずだから、そういう店でタキシードを作ってもらいましょう…って事に決めました。
で、さっそくどの店にしようか、妻と相談です。
最初の候補に上がったのは、以前よくスーツを作ってもらっていた店です。湘南地方からは撤退してますが、横浜にはまだ店舗がありますから、そこに行って作ってもらうという手があります。あそこならデブに優しいし、接客も親切丁寧だし、文句はありませんが、問題があります。横浜店はJRの駅から遠いのよ。私は、基本、JRで移動する人なんだけれど、そこの横浜店はJRの駅から、かなり遠いのよ。むしろJRで行くなら、東京店の他が全然便利なくらいです。なので、そこは涙を呑んで却下です。
次の候補に上がったのは、よく行ってた店が湘南地方から撤退したあと、デパートの催事場等で、年2回ほどのペースで“スーツお仕立てフェア”をやってくれたお店です。その店は、以前の店が撤退した後の穴を埋めるように、不定期でフェアを開催してくれていました。で、私もそのフェアによく行って、3~4着程度スーツを作ってもらっていたので、その店のスーツのクオリティも接客態度もよく知ってます。なので、実店舗には行った事はありませんが、決して知らない店というわけではありませんし、そのお店は、横浜駅の直ぐ側に実店舗もありますし、デブにも優しいので、まずはそこに行ってみようかという話になりました。
ただね、ピンチはチャンスって言うじゃない? 今回、地元でタキシードが作れなかったわけで、そこで知っている店でタキシードを作るというのも、当然ありだけれど、このチャンスを活かして、今までお世話になった事のない店に行ってみるのも良いのではないかなって…そういう気分になりました。つまり、新規開拓だ!
それに例え新しい店がことごくと全滅だったとしても、私的には切り札を2枚持っているわけだし、手札を増やすとか、選択肢を多めに用意するという意味でも、新しいお店にチャレンジしてみるのもアリでしょ。新しいお店を開拓しよう…そう思ったわけです。
で、まずはネットで見て、良さげなHANABISHIさんに行ってみる事にしました。ホームページはこちらですね。
ここはJRの駅の側に実店舗があるオーダーメイド系の紳士服屋さんだし、銀座山形屋ほどではないにせよ、いわゆる老舗さんだしね。私のようなオジサンは、ブイブイ言わせている新興店よりも老舗の方が落ち着くのよ。 それにここの会社、正式名称は花菱縫製だそうで、元々販売店ではなく製造店が出発点だって事も、ものづくりのプロっぽくっていいよね。
始めての店で勝手が分からないので、ひとまず電話を入れてタキシードを作ってもらえますか?と、確認の電話を入れたところ、タキシードを作っているし、体型には柔軟な対応をしますという返事をいただいたので、電車に乗って、ピューとHANABISHIさんに行きました。
行ってみたら、お店はすごく混雑していました。かなり繁盛しているようです。多くの店員さんが忙しそうに立ち働いていました。オーダーメイド系の紳士服屋さんって、単価が高いこともあって、お店にお客さんがたくさんいるという印象ってあまりないのですが、たまたまだったのかもしれませんが、ここはまるで量販店のような賑わいでした。
店員さんに案内されて、しばらく店内のイスに座って、自分の順番が来るのを待ちました。オーダーメイド系の店だけあって、既製服はほとんどなく、布地と小物がたくさんありました。
しばらしくして店員さんがやってきて、奥に案内されました。面談コーナーと試着室が合わさったような場所で、色々と相談しながら注文を聞いてくれるようです。せっかくオーダーで服を作るのだから、満足のいくモノを作りましょうって事で、色々と尋ねられましたし、提案もしていただきました。
まずはタキシードを作りたい。主にステージ衣装として使いたい…と言いました。実は礼服としてのタキシードと、ステージ衣装としてのタキシードでは、ちょっと作りが違うんだそうです。なにしろ、舞台の上って暑いからね。なので、生地はなるべく薄い方が良いそうだし、裏地は使わないのです。ま、夏服みたいな作りになるそうです。で、いくら生地は薄い方がいいとは言え、見た目は立派じゃないといけないし、裏地を入れなくても、中が透けて見えちゃダメなわけで、そういういい塩梅の生地があるので、それを使いましょうって話になりました。
タキシードのデザインにもいくつかあるのですが、今私が着ているタキシードは、標準的な丸みのあるデザインのモノなのですが、今回は直線的なデザインを勧められました。ほら、私ってデブじゃん、体が丸いじゃん。なので、その体の丸さを直線的な服を着ることで中和しちゃいましょうって事なんだと思います。なので、服の丈も、標準よりもだいぶ長く(7cmほど)してもらいました。前から見て、縦の直線ラインを長めに取る事で、目の錯覚を利用するわけです。そんなデザインは、正式なタキシードには無いのですが、そこはステージ衣装ですから、見た目重視のおしゃれっぽい作りにしました。
動いた時にカタチが崩れないように、プリーツを入れるにしても、見えづらい箇所にはそれなりに入れてもらいました(見える箇所は伝統デザインどおりに入れるのです)。また、ポケットも私の腕の動きに合わせて、普通のタキシードとは違う箇所に作ってもらいました。
ステージ衣装なので、合わせてウィングカラーのワイシャツも作りました。当然、首周りは太めでゆったりにしてもらいました。
私はカフスボタン等の飾りボタンが好きな人なのですが、あれって、楽屋で着ている時にいつも手こずるんですよね。他に誰か人がいれば手伝ってもらうのですが、一人で着替える事も多く、そんな時は半べそかきながらボタンを付けているのですが、そんな話をしたら、飾りボタンに見える通常のボタンを最初っから付けておけばいいじゃないですか?という提案をいただきました。そんなボタンがあるなんて知らなかったよ。なので、袖も胸も、そうしてもらいました。愚痴ってみるものです。
ネクタイとカマーバンドは、黒が大原則で正義なのですが、ステージ衣装なので、渋めのワインレッドにしました。カッコいいよ。その他にも細々とご提案いただき、あれこれ自分風にしてもらいました。
それにしても、ここのお店は、採寸が実に細かくて、あっちこっちのサイズを測りました。他の店でもスーツは作りますので、通常の採寸箇所は知っているのですが、それと比べてもも実に細かく採寸してもらいましたし、歌用の衣装なので、それように首や胸は腹は、見た目はすっきりでも、必要に応じて膨らむし、膨らんだ時でもカッコよく見えるように作ってもらう事になりました。
「この店では、私のようなおデブちゃんは、どのくらいのサイズまで大丈夫ですか?」と尋ねたら、サイズに関しては制限が無いんだそうです。よくあるサイズで、型紙を流用できれば、それに越したことはないけれど、型紙が無いような大きなサイズでも、型紙を作ればいいだけの話なので、いかようにも対応してくださるとの事です。実際、ここの店は、格闘家の方も結構利用される(彼らは絶対に既製服は着れません)ので、大柄な人に対応するのは慣れているそうです。
ま、プロの格闘家さんたちと比べれば、私なんて、コビトみたいなモンだからなあ…。
ちなみに私の場合、縦横奥に大きいのですが、それでもただ単に大きいだけで、体のバランス的には標準的で典型的な体型…ってわけではないようです。手首が細いんだそうです。なんか、採寸してもらってビックリされました。ビックリされるほどに細いんだそうです。いやあ、そんなに手首細いんだあ。あと、肩がいわゆる撫肩なので、肩パットを少し多めに入れないとカッコよくないとか、尻から太ももにかけてが大きい(脂肪じゃないよ、筋肉が大きいんです)から、そのあたりをすっきり見せないといけないとか…まあ、体型は補正できないけれど、そのあたりを服の作り方でカバーしましょうって事です。
それにしても、相談しながら採寸して…って疲れました。途中でティーブレイクを入れたのだけれど、それにしてもあっちこっち採寸されて、本当に疲れました。ぐったりです。
4週間で縫い上がるので、また出来た頃に試着に行きます。で、試着の結果、細かい箇所に修正を加えて、それで出来上がりです。ま、いわゆるフルオーダーではないので、仮縫いでのチェックがないので、そこは楽です。
さて、いかほどのモノが仕上がってくるのでしょうか? 国内産の生地を使って、国内の職人さんたちが仕上げてくれるそうなので、個人的には仕上がりはだいぶ期待しています。で、仕上がりが十分良ければ、近々モーニングを作らないといけないかもしれない状況がやってきそうなので、来年あたり、ここでモーニングを作ってもいいかな…って思ってます。
本当は、地元にある銀座山形屋さんで、タキシードもモーニングも作りたかったのだけれど、作ってくれないのだから、仕方ないです。
それにしてもオーダーで服を作ると、いつもそうだけれど、気分がアゲアゲになります。自分専用のモノをプロの方々がわざわざ作ってくれると思うだけで、ほんと嬉しいよね。
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