標題は難しそうですが、そんなに難しい事を語るわけではありませんので、あまり期待しないように(笑)。
作曲…と言っても、歌の作曲の話です。
私、こう見えても若い時はバンドを組んでいました。ギターを担当していました。
バンド自体は、当時よくある、ヴォーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムという、ごくありふれた編成のバンドで、音楽的には、ロックとフォークとゴスペルの中間あたりのサウンドを目指していました。カバー曲もいくつかやったけれど、基本的にはオリジナル曲を演奏していました。で、作詞作曲はギターである私と、キーボードの彼が、それぞれに書いたり、たまに合作したりして、それをみんなでアレンジして演奏していたわけです。
で、我々のバンドの作曲方法は、まず私が歌詞を書いて、それを私とキーボードの彼がそれぞれに、または一緒にメロディーとコードを書いて仕上げるというやり方をしています。いわゆる“詞先”というやり方です。クラシック声楽曲も、大半が詞先ですから、オーソドックスなやり方と言えるでしょう。歌謡曲や演歌の作曲でも詞先だと聞いています。
詞先と言っても、私の場合は、出来上がった歌詞を読みながら歌って、それを楽譜に書いてメロディーを仕上げ、出来上がったメロディーに対してコードを付けていくというやり方をしました。つまり、メロディーは感性で作りますが、コードは知性と理性で付けていったわけです。キーボードの彼の場合は、歌詞に対して、メロディーとコードを同時に付けていくというやり方をしていたと思います。
ちなみに、今のJ-POPの世界では、詞先ではなく曲先の方が主流なのだそうです。曲先とは、先に作曲家がメロディー(と伴奏)を作ってデモテープに吹き込み、それを作詞者(たいていの場合はヴォーカリスト)が聞いて、そのメロディーに歌詞を入れて、曲を仕上げていくというやり方です。つまり、歌詞の世界に合わせてメロディーやサウンドを作っていくのではなく、メロディーやサウンドに合わせて、歌詞を書いていくというやり方なのです。
サザンオールスターズの桑田佳祐氏などは、自分で歌詞も書いちゃう作曲家ですが、作曲をする時は、ひとまず歌詞は横に置いて、まずはギターを弾きながらデタラメの歌詞で歌いながらメロディーを作っちゃうんだそうです。で、出来上がったメロディーに対して、本物の歌詞を付けていくんだそうです。
メロディーに合わせて歌詞を書くなんて…私には到底出来ない芸当です。また、歌詞も何も無いところからメロディーを作り出すなんて、これも私には出来ません。私は、あくまでも歌詞が先で、歌詞の持っているイントネーションを発展させてメロディーを作るので、曲先という作曲方法自体が信じられないのです。
まあいいや。
曲先の場合も、色々なやり方があると思います。まあ、普通は桑田氏のように、メロディーとコード進行を同時に作っていくか、あるいはメロディーだけ先に作って、後から別の人(編曲家さん)がコード進行を含めた伴奏を作っていくやり方が主流だろうと思われます。でも、そうではない手順を踏む作曲家も多々いるわけです。
例えば、スウェーデンのポップスター、アバの作曲チーム(最近では、ミュージカル「マンマ・ミア」の作曲家としての方が有名か?)は、作曲をする時に、まず最初にコード進行を決めるんですよ。ギターとピアノの二人で、ああでもないこうでもないと議論しながらコード進行を決め、出来上がったコード進行に、メロディーとリズムを加えていくんだそうです。で、最後に歌詞。だから、曲先であるアバの未発表曲には、発表済みの曲と全く同じで歌詞違いの曲ってのがあるわけです。
アバのようにコーラスワークに特徴のあるグループならではの作曲方法と言えるでしょう。
もっと面白いのが、マイケル・ジャクソンの作曲方法です。彼は、まず最初にリズムトラックから作曲するんだそうです。それもドラムを叩くのではなく、クチドラムでズンドコズンドコ歌ってリズムトラックを作り、それに合わせて、メロディーを歌い、他の楽器も、クチ楽器で歌って作曲しちゃうんだそうです。で、バックミュージシャンたちは、録音されたクチ楽器から譜起こししたものを、リアル楽器で演奏してバックトラックを作るんだそうです。面白いやり方ですね。なので、時折、仕上がったトラックの中に、マイケルのクチ楽器が残っていたりいなかったりするんだそうです。
マイケル・ジャクソンの作曲の師であるポール・マッカートニーの場合は、事前に歌詞を書いておいて、スタジオに入って、そのメロディーを歌いながらギターやピアノを弾いてデモテープを作り、そのデモテープを元に、プロデューサーやプロのアレンジャーに依頼して、曲を仕上げるんだそうです。オーソドックスなやり方ですね。
作曲と一言で言っても、その作曲家ごとに、色々な手順があるんですね…というお話でした。
↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村
コメント