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金管楽器と歌手の生歌、大音量なのは、どっち?

 …と尋ねると、圧倒的大多数の人は「それはさすがに金管楽器でしょ」と答えると思います。でもね、昔々のヨーロッパの大道芸では、トランペット対オペラ歌手という対決があって、どっちの方が、音量が大きいか、どちらが細かく動けるか、どちらの方がきらびやかな音色が出せるかなどの対決が行われていたそうですから、歌手の生歌だって、そんなに捨てたものじゃないかもしれません。

 実際、素晴らしいテノール歌手の声は、しばしばトランペットに例えられますし…ね。
 そこで、データーで調べてみました。参考にしたのは、このページです。

 参考ページによれば、金管楽器の音量は、110デシベルです。

 歌手の生歌ですが、ポピュラーのヴォーカリストなら、アマチュアで90デシベル、プロで100デシベルだそうです。ポピュラーのヴォーカリストさんたちは、普段の歌唱はマイク使用が前提となりますが、マイクが無くても、それなりの音量で歌っている事が分かります。ちなみに、アマチュアのヴォーカルの90デシベルと言うのは、フルートやヴァイオンリの音量とほぼ同じです。

 声のデカさが売りの、クラシック声楽(オペラ歌手)となると、アマチュアで110デシベル、プロになると120デシベルになるそうです。つまり、金管楽器って、アマのオペラ歌手程度って事になり、プロのオペラ歌手の方が10デシベルほど大音量となるそうです。

 「たった10デシベルでしょ? オペラ歌手の大声にはビックリしたけれど、金管楽器と大差ないじゃん」

 そうおもうでしょ? でもね、デシベルという単位が曲者なのです。

 詳しくは、こちらのページを読んでいただければ良いのですが、10デシベル違うと、音量としては、約3倍ほど違います。

 約3倍違えば、かなり違います…ってか、大違いです。

 ちなみに、ポピュラーのプロ歌手とオペラ歌手では20デシベルの音量差がありますから、比率に直せば、10倍も違います。いやあ、オペラ歌手って、本当に大声なんだなあ。

 オペラ歌手並の騒音として“ジェット機(200m)・新幹線鉄橋・F1コース〔50m〕”
とあります。並大抵の音量じゃないなあ…。

 と言う訳で「金管楽器と歌手の生歌、大音量なのは、どっち?」の答えとして、歌手がプロのオペラ歌手なら、歌手の圧勝。アマのオペラ歌手なら引き分け。ポピュラー歌手なら、余裕で金管楽器の勝ち…となります。

 意外だね。意外だったでしょ?

 ちなみに、こちらのページの情報によると、人間の声の大きさの限界値は、120デシベルなんだそうです。プロのオペラ歌手って、ほぼ限界ギリギリの大声を日常的に出しているってわけですね。ちなみに、普通の人の大声って、80~100デシベル程度なので、ポピュラー歌手って、プロアマともに、普通の人って事になります。なんか、納得。

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コメント

  1. operazanokaijinnokaijin より:

    お久しぶりです、operazanokaijinnokaijin(オペラ座の怪人の怪人)です。
    すとん様、ご記憶でしょうか?

    さてさて、音量の話ですが、
    音量というのは数値化できるのでしょうが、
    数値化できない「聞こえ方」について書きます。

    大昔、リチャード・ストルツマンという、
    クラリネットの大物奏者の
    オーケストラとの共演を聞きました。

    音量というのではないのでしょうが、
    音の聞こえ方として、

    オーケストラ<ストルツマン

    すなわち、ストルツマンのクラリネットソロの音の方が
    オーケストラの音よりも「大きく」聞こえたのです。

    数値化できる音量の問題ではなく、
    数値化できない「聞こえ方」の問題と思うのですが
    私の空耳かしら?

    おしまい

  2. ドロシー より:

    すとんさん、こんにちは。
    そういえば、トランペットで、オペラやオラトリオの中に出て来るのは、大体おめでたい場面ですね。
    バッハ、ヘンデル、A.スカルラッティみたいなバロックの作曲家はコロラトゥーラソプラノにトラペットのオブリガード付の曲を沢山書いています。
    けど、コロラトゥーラソプラノって、元々声の小さい人が多いので、大体トランペットに消されてしまっていることが多いです。
    でも、声の小さなベテランアマチュアほど、なぜかデュエットとかオブリガード付歌曲とかやりたがる人が多いですね。

  3. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん、お久しぶり。

     同じようなデシベルでも聞こえ方が違う…と言うのは、その音の倍音構成の違いが原因なんだそうです。と言うのも、人間の耳って、一定程度の高音が耳につくように作られています。たとえば、女性の悲鳴とか、子どもの泣き叫ぶ声とか…一種のエマージェンシーコールですね。逆に低い音は、かなりの音量(つまり、エネルギー量)がないと、ちゃんと耳に届きません。

     オーディオのスピーカーは低音の強い音ばかり鳴らしていると、ヘタリが早いのですが、それも同様な理由ですし、実はスピーカーに一番悪い音は、テノールの歌声(そこそこ低音で、エネルギー量はたんまりある音…ですね)だという説もあります。

     オペラ歌手の歌声は大ホールでも生声で響くほど大きな声ですが、でも生身から出している音なので、音量には限界があります。それでも会場中に声が轟く理由は、シンギング・フォルマントを多く含んでいるからです。これは、3000Hzあたりに倍音の大きな山がある音です。ちなみに、オーケストラなどの楽音や、普通の人の歌声だと500Hzあたりが山場で、そこからなだらかに高音に向かって倍音が減少していくんだそうです。オペラ歌手の歌声が、耳で聞くよりもずっとずっと高音成分を多く含んでいるので、広い会場でも声が轟き渡るのです。

     ソリストの音も、オーケストラの伴奏の中で埋没せずに浮き立って聞こえるのは、音にエッジが立っているからなんですが、このエッジの正体も、高音成分を多く含んだ倍音構成の音だと、私は聞いています。

  4. すとん より:

    ドロシーさん

    >声の小さなベテランアマチュアほど、なぜかデュエットとかオブリガード付歌曲とかやりたがる人が多いですね。

     ルチアのフルートのオブリガード付きのアリアで、フルートに負けていたアマチュアソプラノさんの歌を聞いたことがあります。もっとも、彼女の場合は、フルートとの勝負以前に、ちゃんと歌いきれていなかったような…気がします。

     ある程度の学習キャリアがあると、大抵のアリアとか歌曲とかは歌い尽くしてしまい、その手の歌に触手が伸びるんだろうなあ…って思います。積極的でいいですね。私などは、以前歌った歌を、今の自分が歌ってみたら、どうだろうかと思うことも多いので、なかなかレパートリー(と言うか、歌った事のある歌)を増やせないでいます。

     トランペットのオブリガード付き歌曲か…面白そうだな。チャンスがあれば、歌ってみたいです。まあ、私の場合、音量勝負なら、そんなに負けないと思うんてすよ。

     Y先生からも「無駄に大きな声」とお墨付きをいただいているし…ね(笑)。

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