私は合唱を歌うのは、決して嫌いではありませんが、得意とは言えません。いや、どっちかと言えば苦手の部類に属するかもしれません。
合唱を歌うのが苦手な事については、色々と理由があります。
1)声が周囲の声や伴奏と溶けずに、音質的に飛び出してしまう
2)声が大きすぎて、ホールに朗々と響いてしまう
3)他のパートにつられやすい
1)と2)は独唱を中心に声楽を学んでいるので、ある程度は仕方のない事です。そうであっても、自分の声を抑えて歌えば問題はないはずなのですが、私は自分の声を抑えて歌うのが苦手です。いや、最初こそは小さめの声で歌うように心がけていても、やがて乗ってくれば、大声を出さないまでも、自分にとってのmf程度の音量で歌ってしまいます(だってその方が楽だし自然だし…)が、この自分にとってのmfは、他の人にとってはfffか、それ以上の音量らしく、それじゃあ合唱をぶち壊しかねないのです。
それに音量を抑えたとしても、私の声って、よく通るし、ホールだと響き渡っちゃうんだよね。だから、音量を度外視しても、音質的な問題もあって、合唱の中で声が浮き上がっちゃうわけです。
ほんと、困ったものです。
ならば、音量も抑え、音質も地味にして歌えばいいじゃん…って話ですが、それがまたなかなか継続できないのです。
さらに自分の声ばかりが響いてしまうので、合唱団的には参っちゃうし、観客的にもダメダメなんですが、自分的にも、他の人の声が自分の声で聞こえなくなっちゃうんですよ。だから、違った事をしていても、なかなか気づかなかったりします。
全く、合唱には不向きな声なのです。
そこで、3)なのですが…、もちろん、きちんと練習やらリハーサルやらの時間が十二分にあって、歌うべきパートの音がしっかり取れていれば、他のパートにつられる事は(あまり:汗)ありません。練習不足であったり、音取りがきちんとされていない段階で合唱を歌ってしまうと、たいてい他のパートにつられてしまいます。それはそれは、面白いくらいに釣られまくります(涙)。
たいていは、無意識にメロディーを歌っているんです(汗)。そばで正しい音で歌っている人がいても、ダメです。私自身がしっかりと音を取っていないかぎり、どうやってもメロディー、または一番高声であるソプラノ(の1オクターブ下)を歌ってしまうのです。
私、ハモリパートを歌うのが、超絶苦手なんです。体質的にハモリは無理なんです。常にメロディーを歌いたがる…そんな悲しい体質なんです。だからたっぷりリハーサルをして、そのハモリのメロディが自分の中でメロディーに感じられるくらいに歌い込まないと、なかなかうまく自分のパートが歌えないのですね。ああ、残念。
実は、この1)2)と3)の問題の根が一緒であるのではないかと、最近気づいたのです。
つまり、私の声が合唱から飛び出しやすい事と、私が他のパートにつられやすい事には、深い関係があった事に気づいたのでした。
どうやら私は、歌う時に、自分の声を(伴奏と合わせて)聞いて、音程やリズムを常時調整しているようなのです。つまり、常に周囲の状況に自分を合わせながら、フィードバックをして歌っているわけです。だから、自分の声が聞こえない状況では、まるっきり歌えなくなってしまうのです。そこで無意識に自分の声が自分に聞こえるように歌ってしまい、結果として私の歌声が合唱から飛び出したり、ホールに響き渡たらせたりしてしまいます。
でも実際の合唱では、そんな事をすれば、自分の声が大きくなりすぎて、うまくフィードバックができない上に、微かに聞こえるメロディーに無意識で乗っかってしまって、もうワヤクチャな歌になってしまうのです。
合唱人からすれば、考えられないくらいの、ヘボ歌手なんですね、私。
解決策は…合唱に参加しない事…かな?
あとは、私並の声量の歌手たちが揃っている、オペラ系の合唱に限って参加するとか? 周りみんなが私並の声量なら、1)~3)の問題も表面化せずに済むけれど…私、合唱を歌うなら、オペラ系じゃなくて、宗教系のミサ曲とかカンタータとかを歌いたい人なんです。オペラを歌うなら、合唱ではなく、ソリストをやりたいんです。合唱を歌うなら、合唱が主役となる宗教曲が歌いたいのです。
モーツァルトの『レクイエム』とか、バッバの『マタイ受難曲』とか歌ってみたいじゃないですか?
とにかく今はまだ、私の歌の技量が少なすぎて、合唱に対応できないのが現実です。ああ、早く歌が上達して、独唱も合唱も両方できる歌手になりたいものです。そうなると、趣味の幅もグンと広がるんだけどなあ…。
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コメント
すとんさん、こんにちは。
1)2)については、元々大人数を前提とした合唱団に入れば良いのかなと思います。
歴史ある名門合唱団より、本番が終わったら即解散の所。例えば「一万人の第九」とか・・・
声の小さな人ばかり集めた少人数合唱団だと悲惨ですけどね。
あと、オペラの合唱団は、ソリストを「さすがプロ!見習わせていただきます」と自然に思えるようじゃないと、しんどいです。
先日、数十団体もの合唱団が集まったイベントに行ってきました。「大地讃頌」とか「筑後川」とか、宗教曲のような合唱向けに書かれた作品は素敵でしたが、オペラアリアとか、昔のポピュラーとか、日本歌曲とかをアレンジした曲が多かったです。元々ソロで歌った方が良いのに、やっぱり一人だと恥ずかしいのでしょうかね。
どこかの学校か企業内合唱団は別として、殆どの合唱団は高齢者が多くて、なかなか溶け込みにくそうというのもありますが・・・
すとんさん、バッハ系ならば、古楽唱法を学んでみてはいかがでしょう。古楽唱法はそれほど一般的ではありませんが、あの東京藝大も2000年からその分野が出来たくらいのマイナー?な分野ではありますが、ハミングのような独特な唱法ゆえ、すとんさんのようは、やや硬い声?系の方も鍛錬によりマッチする声に変わると思われます。しかし、この歌声、好き好きございまして、苦手な方には耐え難い?声でもあり、1度拝聴してみてはいかがでしょう。。なかなか、古楽を極めている指導者は少なく、、師匠を探すのはまた手間だとは思いますが、。また、本来ならば、すとんさんのような声量あり、声も存在感ある方が合唱するならば、やはりオペラ系がよいのですがね
(笑)私もハモリは苦手、、合唱も。歌は間違っても、全て自己責任のソロが性に合うざます(笑)
ドロシーさん
大人数の合唱団…ウチの地域は地方なので、なかなか無いですね。オペラ系の合唱団は、最近ちらほら立ち上がっていますが、私自身、今のところ、オペラの合唱を歌うつもりがないので、パスです。
合唱は、そもそも合唱曲として作曲された曲がいいですね。アレンジものは…ドロシーさんのおっしゃるとおり、一人で歌えばいい曲を無理して合唱にアレンジしたものは、あまり好きではありません。
とは言え、市民合唱団と言うのは、観客に聞いてもらうための音楽ではなく、自分たちが歌って楽しい曲を演奏する団体ですから、それもアリなんでしょうね。
>やっぱり一人だと恥ずかしいのでしょうかね。
…でしょうね? 人前で歌うのが恥ずかしいという感覚が、私には理解不能なのですが、そうみたいです。歌なんて、人前で歌わなきゃ楽しくないでしょ…って私は思うのですが…。
>殆どの合唱団は高齢者が多くて、
そうなんですよね。市民合唱団のお達者倶楽部化は、いよいよ大詰めです。おそらく、10年後の日本の合唱界は、閑散としているんじゃないかと推測しちゃうんです。
アデールさん
古楽唱法ですか? 実は一度チャレンジをするチャンスがありました。3年前に、ダウランドの「Come Again」を歌った時です。Y先生から、古楽系の歌曲を歌う時は、古楽の歌い方をしないといけないと、教えられてレッスンも受けましたが、私自身、バロック曲を今の我々の感覚で歌いたかったので、好きにさせてもらったわけです。…ってか、古楽の曲は好きだけれど、古楽唱法は…たぶん苦手(汗)。やっぱり私はロマン派の音楽が好きなんですね。
>歌は間違っても、全て自己責任のソロが性に合うざます(笑)
私もそうでございます。
しかし、3年前の音源をさっき聞き直しましたが、いやあ、響きが低いなあ。こりゃあダメだ。でも、その事に気づけたという事は、今は3年前よりもだいぶ上達しているってことだなと納得しました。
ハモリが苦手、というのはやはりハモリの感覚がわかっていらっしゃらないからだと思います。
私の所属している混声のアカペラ合唱団(合唱のアカペラです)ではパート練習というのはなくて、楽譜を渡されたら全パート一斉に譜読みをはじめます(全パートがいきなり一斉にそれぞれのパートを階名で歌いだします)。その後の練習は普通の団と同じです。
そもそも合唱というものは全てのパートが重なってはじめて完成されるものなのであり、
テナーだけ、アルトだけの楽譜というのは不完全なものなのです。
パート練習というのはピアノを例にとれば、ある特定の一音を拾ってつなげて練習するようなもので、いくら励んでも曲全体を奏でる練習にはなりません。
つまり、自分のパートだけどれほどみっちり音をとっても、曲全体の中でその音がどのような立ち位置にいるかが分かっていなければ、本当に「音取り」をしたことにはならないのです。
ソプラノにつられるのは曲のメロディしか聞いておられないからではないですか?
メロディだけが楽曲を作っているのではありませんよ。声楽曲や歌謡曲ならそれでもいいかもしれませんが、
合唱はオーケストラや吹奏楽みたいに様々なパートが一つの曲を作る演奏形態です。メロディ+伴奏ではありません。
自己練習では、他のパートが練習しているときに自分のパートを小声(自分にしか聞こえないレベル)で歌って自分の音の立ち位置を確かめる、というのをよくやります。
さすがに武満徹みたいなのになるとあまりに複雑な音階はピアノでとったりしますがね。
でも私は内声(アルトです)なので、武満なんかアルトだけで音取りなんて臨時記号の嵐で気持ち悪くてできたもんじゃありませんよw
それが全体でハモると複雑で味わい深い何とも言えない素晴らしい響きになるんですから、作曲家ってほんとうにすごいなぁと思います。
まりりんさん
>ハモリが苦手、というのはやはりハモリの感覚がわかっていらっしゃらないからだと思います。
まりりんさんがそうおっしゃるなら、そうなのかもしれませんが、で、私はあなたのその言葉を聞いて、どうすればいいのでしょうか?
>ソプラノにつられるのは曲のメロディしか聞いておられないからではないですか?
まりりんさんがそうおっしゃるなら、そうなのかもしれませんが、で、私はあなたのその言葉を聞いて、どうすればいいのでしょうか?
>自己練習では、他のパートが練習しているときに自分のパートを小声(自分にしか聞こえないレベル)で歌って自分の音の立ち位置を確かめる、というのをよくやります。
これは私もよくやりますが、だからと言って、それで良しってわけじゃないと思います。
実は(ブログに書いてませんが)、最近の私はメサイアの練習をしています。まあ、そういう時期ですからね。もうすぐ本番なので、練習にも力が入っているのですが、指導者からは“30人力の声”と呼ばれています。それだけ声が大きくてよく通るって事なんでしょうが、これって褒められていないって事ぐらい、自覚してますよ。
文体は軽いですが、合唱に関しては、私、真剣に悩んでいます。なにしろ、合唱って、全然楽しくないし、やるたびに悲しい思いしかしませんからね。合唱という音楽は好きなのですが(以下、省略)。