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合唱人が声楽を学んで得られる5つの利点

 日々、合唱を嗜んでらっしゃる方の中には、合唱だけでなく声楽も習っている方々が、少なからずいらっしゃると思います。もろろん、これらの方々の多くは、合唱人としての向上のために声楽を習っているわけです。

 では、合唱人が声楽を学んで得られる利点…私がざっと考えるに5つの利点がありますが、それらについて考えてみましょう。

1)声楽を学ぶ事で、ちゃんとした発声が学べる

 いきなりこう書くと、カチンと来る方も大勢いらっしゃると思いますが、落ち着いてください。

 多くの合唱団で、毎回の練習の最初に“ヴォイトレ”と称して10~30分程度の発声練習をします。団によって、専門の先生にお願いしてヴォイトレをしている団もあると思いますし、その時に懇切丁寧な指導を受けている団もあると思います。

 でもね、でもね。合唱団でのヴォイトレは、あくまでも先生一人で団に所属している大勢の団員の方の発声をみているわけです。必ずしも、マンツーマンの指導が行われているわけではありません。

 実は発声と言うのは、天才ではない限り、個人的に矯正していかないと、どうにもならないものなのです。発声の先生が、一人ずつ声を聞いて、つきっきりで具体的な指導をしていかないと改善されないのが発声なのです。そういう意味では、発声ってのは、学びにくいものなのかもしれません。

 例えてみるならば、短距離走のようなものなのかもしれません。

 誰だって短距離ぐらい走れます。でも、普通に走っただけでは速くは走れません。速く走るために、合理的なフォームが必要となります。この合理的なフォームと言うのは、普通の人が走る姿からは程遠いものだったりしますし、一人ひとりのカラダが違うために、一人ひとりにとってのベストのフォームもまた違います。だから、短距離を志す人は、専門のコーチとつきっきりで速く走るためのフォームを探し出して身につけていきます。もちろん、天才にはコーチは不要です。天才は自分一人で最適なフォームを見つけて走ってしまうでしょう。でも、多くの凡才は、コーチと二人三脚で試行錯誤を重ねながら、そのランナーに最適なフォームを見つけていくのです。

 歌の発声も、誰でも声ぐらい出せるし歌も歌えるけれど、広い音域を美しく歌うためには、声楽コーチにマンツーマンで指導を受けないと、なかなか難しいようです。

 それに、実際の所、各合唱団でヴォイトレと称して行われているものの多くは、練習前の単なる準備体操だったりします。準備体操は準備体操として必要ですが、準備体操ばかりをしても、声はちっとも美しくならないのは自明の理です。

 だから、声楽を学んで、個人的に発声をみてもらう事で、発声が良くなるのです。

2)自分の声で歌う自信が付く(ソロが取れるようになる

 合唱で歌っていても、それは集団として歌っているわけで、決して一人ひとりが個人として歌っているわけではありません。また、求められている声も集団としての声であって、その中で、個人の声が突出していてはいけません。合唱では基本的に、個を集団に埋没させていかないといけません。集団の中で生きる声で歌わないといけません。

 そのため、極端な話、個人としてはきちんと歌えなくても全然OKです。高い音や低い声、あるいは声の変わり目などの声の出しづらい箇所は、パスして歌っても集団として成り立っているなら問題ありません。声的に問題なくても、上手く歌えない箇所とか暗譜が完了していない箇所も同様にパスしても、集団として成り立っていれば、これまたOKです。なにしろチームプレイで歌っているわけですから、個々の弱点は他のメンバーがカバーすれば、それで良いのが合唱なのです。

 しかし独唱はそういうわけにはいきません。いつ何時でも、きちんと歌うことが要求されるし、休む事も逃げる事も仲間に頼る事もできません。演奏の責任をきちんと自分一人で背負っていかなければいけません。

 それゆえに、歌う技量も上がるし、覚悟も定まります。他人に頼る事も少なくなり、勉強もきちんとしていかないといけません。つまり、自分の声で歌う自信を持てるようになるわけです。もし、団内でソリストを募った時などは、積極的にアピールできるようになるかもしれません。

3)歌が上手になる

 個人で歌を学んでいるのだから、そりゃあ上手にならないと困ります(笑)。

 合唱であっても、歌が下手では困るけれど、合唱では、自分が歌えない場所は歌わないという選択肢があるし、中途半端な出来で歌われても、周囲の人々に迷惑がかかるから、むしろ歌わない方が良いのだけれど、それを繰り返していては、いつまでたっても歌が上手にはなりません。

 独唱なら、失敗しても自分のせいですから、気にせずに失敗できるし、失敗を重ねていくことで上達していく事もできます。それに一人で歌っているわけだから、失敗をすれば、その事実と一人で立ち向かっていかなくてはいけません。そういう事を繰り返しているうちに、歌が上達していきます。

4)楽譜に強くなる

 また合唱なら、楽譜に弱くても周囲が歌っている声に合わせて歌うことで、なんとなく歌えているような気分になれます。また多くの団では音取り用の音源を制作して団員たちに配布しているところも多いと思います。そういう団では、楽譜が読めなくても、音取り音源を聞いて耳で覚え歌う事ができます。

 しかし、独唱ではそうはいきません。楽譜と向き合って自分なりの表現を考えて歌わないといけません。もちろん、独唱の場合、有名歌手たちの音源も豊富にあって、それらから音取りをする事はできるでしょう。音取りはしても、表現方法まで真似てしまっては、それは自分が歌ではなく、有名歌手のモノマネにしかなりません。コピーキャットでは歌手として終わりです。

 結果として、楽譜に強くならざるを得なくなります。なにしろ、周囲の人を頼れませんから(笑)。楽譜にも自然と強くなっていきます。

5)レパートリーが広がる

 もちろん、合唱をやっていれば合唱曲のレパートリーが増えます。しかし独唱をやると、合唱曲だけでなく独唱曲のレパートリーも増えます。特に、合唱曲の中にある独唱曲が歌えるようになるのがうれしいです。

 合唱団で合唱を始めて、最初の頃は合唱も面白いし、歌もぐんぐん上達していくと思います。数年して、伸び悩みの時期がやってきますが、そんな時は「ちょっと声楽を習ってみるか」と思い立つのも面白いことだと思います。

 もちろん、合唱人が声楽を学ぶ事で失うこともいくつかありますが、それはまた機会を改めて書きたいと思います。

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コメント

  1. アデーレ より:

    合唱の指導って難しいですよね。きっと。まして、若者ではなく、ママさんコーラスとかは尚更(笑)だって、よい声だから来てる訳じゃなかったりもする(笑)例えば、コーラス後のランチが楽しいとか、または誘われたから、とか。たとえ、やる気満々のバリバリで入っても、ママさんの声って千差万別です。ちょっと年齢によっては、いかにもおばさん声の人もいるし、なによりパートの分け方が曖昧。性格的にソプラノ気質で自分が1番って人!実は声はメゾかはたまたアルトじゃん!って人もいるし(笑)でもね、ソプラノが好き主役?主旋律しか嫌だもん、っていう我儘な人がいたりしてるから、声的にはソプラノがソプラノじゃあなくなるんですよね(笑)で、音程が正解に取れる人がメゾかアルトにいくのよ、。だから、それを全体的にならして美声に導くなんて、、そりゃあ、なかなか大変なんですわ。メゾかアルトの人、本当に指導者がマジに真剣なら1人1人歌わせてパッサージュの位置で、はい、貴方はソプラノ、とか振り分ければ良いんだから間違っても、メゾかアルトなんてまじらないはずなんだが、それはやらないんだよね。だから、隣で歌う人、やけに声太いんだけど、、?とか、高音もソプラノでソやラくらいでヒイヒイいってはおかしいんだけど、黙って知らないふりしてるようです。きっとオペラの合唱団とかは合唱でもハイツェーも普通に出ないといけない訳じゃない?だからソプラノでラとかで高い、とか思ったら、それは、もしかして私はソプラノじゃないのかも?と疑った方が良いと思うんだけど、、そこはママさんコーラスはそうはなりません。
    だから指導者は大変だろうな、って思う。どうして1度、声の診断しないんだろうね。1人では歌えない人がコーラスなんでしょうか?それならば、尚更、パートの判断は正しくしてほしいな、といつも思っています。その方が歌うのも本人楽だし、音色も美しいのにね。不思議、不思議なママさんコーラスのお話しでしたとさ(笑)

  2. すとん より:

    アデーレさん

     ママさんコーラス(ってか、最近は“お母さんコーラス”って呼ぶのが正しいらしいです)は、まあ、色々ありますわな。それは別に女性専科のママさんコーラスだけでなく、男性もいる市民合唱団もそうです。

     一つには、大人ってわがままだし、趣味なんだから好きにさせてくれって部分もあるし、なにより指導者は“雇われ”って部分も大きいですね。いくら「先生」と呼ばれていても、所詮は雇われですから、雇用主(ってかクライアントかな?)の要望には最大限に応えないといけないし…。

    >どうして1度、声の診断しないんだろうね。

     激しく同意。まあ、かなり真面目に音楽やっている団は“声聞き”をやるそうだけれど、まあたいていの団は、自己申告でパート分けをやっているのが普通みたいです。合唱では、男声は、どうひっくり返ってもメロディを歌うことはないのですが、女声の場合、ソプラノとアルトの違いは、声の違いだけでなく、メロディを歌うのか、そのメロディを支えるのかという、大きな違いがあるわけです。あえて言えば、お姫様になるのか、お付きの侍女になるのか…ってくらいに違うわけでしょ? お姫様気質の人とか、ちやほやされたい人とかは、声がどうであれ、ソプラノに行くわけだし、歌があまりお上手無い人もメロディを歌いたがるから、ソプラノって玉石混交だし、それがゆえに、素人合唱団はあくまでも素人合唱団なんだなって思うわけです。

     ま、上手な合唱を聞きたければ、プロ合唱団の演奏を聞けばいいわけだし、素人合唱団は、歌いたい人が歌って喜ぶのが目的(ま、アマチュアなんて、そんなもんです。自戒こめてます)なんだから、それでいいっちゃあ、いいんだな。

  3. 椎茸 より:

    いまは合唱をやっていないのですが、たまに見学などに行くことがあります。曲に入る前の「発声練習」とか「体操」の時間が苦手です。
    パートが自己申告なのも謎ですね。私が合唱を始めたのは高校の部活でしたが、半年に一度、OBが個人の声を聞いてパート分けの見直しをしてました。それが当たり前だと今でも思ってます。

  4. チューリップ より:

    すとんさん、
    blogを休まれるという記事を拝見し寂しく感じていましたが、また再開されて嬉しいです!密かにチェックさせていただいてますw

    合唱の記事とても興味深いです。
    でも合唱は人間関係難しいそうで入るきも湧きません・・・まとめる方は本当に大変でしょうね。。皆同じくらいの本気度ならば良いのでしょうがムラがあるとやはり。

    ところでご相談ですが、引っ越し後最近また声楽をはじめましたがまた発表会がない教室にしてしまいました(T-T)先生が良いので後悔はありませんが、たまに発表会などで歌う機会を作る方法ないでしょうか。まわりに声楽好きもいなくて寂しいのです。

  5. すとん より:

    椎茸さん

     市民合唱団には、歌が上手になる事よりも、健康増進が目的で入っている人も少なからずいるわけですから、体操とか発声練習とかは、とてもとても大切なんだと思いますよ。

     歌の事だけ考えたら、発声練習なんて、声が減るだけだから、やらないほうが良いんですが…なんて事を合唱団で発言したら、総スカンを食らいそうですね(でも、事実ですよ。声は大切にしないといけません)。

     パートが自己申告なのは…友人関係を重んじているからでしょう。「私、あの人と同じパートがいいわ」って事なんですよ。自分の声がそのパートに合っているのかとか、そのパートを歌えるのかどうかは、二の次三の次なんです。

     大人って不真面目ですからね。むしろ子どもたちの方が真面目です。部活なんて、ほんと熱心だものね。

  6. すとん より:

    チューリップさん

     ブログは一ヶ月ほど休んでいました。ブログを書かない生活って…結構充実していましたよ。時折「このままブログ辞めちゃば…」などとい悪魔の声が聞こえた時もありましたが、私は常に何かしら表現をしていないと死んじゃうタイプの人間なので、またこうして戻ってまいりました。

     しかし、合唱に限らず、人間が集まるとアレコレ問題やら事件やらが起こるものです。まとめている人は、本当にご苦労様なことです。

     さて、発表会の無い教室にいながら、人前で歌うチャンスをどう作るかですが…いくつかチャンスはあると思います。

     1)市民文化祭に参加するのはいかが? 大抵の市町村で、秋になると市民文化祭のようなものが開催されます。で、たいていクラシック音楽部門があるので、そこに出演希望を出してみるのはいかがですか? 私の地区のように、誰でも自由参加という緩い市町村もあれば、事前にオーディションをして合格しないと出られないところあるそうですが、まではチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

     2)やっぱり先生に相談してみる。お教室での発表会がなくても、先生のお知り合いの別の発表会に混ぜてもらえたり、近所のアマチュアの人たちが集まって歌う場を教えてくれたりします。蛇の道は蛇なんです。

     3)最近はどうなのかな? 以前はよく、ミクシィあたりで、定期的に自由参加の発表会や練習会が行われていました。私もヴァイオリンの練習会に数回参加した事があります、面白かったですよ。当時は、声楽の発表会もあったんですが、今でもやっているのかしら?

     4)自分で演奏会を主催してみる。私の知り合いが、これをやるんですよ。なんかスゴイパワーなんですが、自分が主催者ですから、一番美味しいところを持っていけるんで、なんか病みつきになるみたいです。歌う場がなければ、自分で作っちゃえ…は乱暴だけれど、正しいやり方なのかもしれませんね。

     こんな感じでいかがでしょうか?

  7. チューリップ より:

    すとんさん、

    お返事遅くなってしまいました。blog再開していただけて嬉しです。

    いろいろあるのですね!詳しくありがとうございます。チェックしてみます。
    まだまだ初めて三年たったところで、自分がどんなソプラノかも分からないのでとりあえず練習会みたいなのがいいかなあと思いました!
    ありがとうございます。

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