私の声種はテノールで、それも軽いテノールです。あえて細かい事を言えば、リリコテノールって奴になるようです。それもだいぶレッジェーロに近いリリコテノールなんだそうです。ですから、レパートリー的には、リリコテノールのレパートリーを中心に、レッジェーロ向けの歌も少々って感じになってくるのだろうと思います。
キング先生以前に指導をしてくださった方や、関わりのあった先生方は「君は(声的には)テノールなんだけれどね(…高音が無いよね…)」と言って、何とか私が高音が出せるように、あれこれとアドヴァイスしてくださいましたが、それらのご指導に、なんとも答える事のできなかった私でした。
キング先生に至っては、私が自分をテノールだと言いはるので(一応)テノール扱いをしてくれましたが、事あるごとに「声的にはバリトンだよね」とか「あなたにはテノールは無理だからね」とか「テノールアリアは歌えるようにならないから、歌曲を歌いなさい」とか、とてもありがたいアドヴァイスをいただいていました。最後の頃は、しつこくバリトンへの転向を言われていましたよ。「バリトンなら簡単に出来るじゃない。何も難しいテノールにこだわる事ないでしょ」って言ってました。私の甲高い声じゃあ、バリトンのような深い音色の中低音なんて、ひっくり返っても出せないのが分からなかったのかな~。
まあ、とにかく、キング先生のところで習っていた頃の私は「音色はテノール、声域はバリトン」という、なんとも残念なバリノールだったわけです。
ちなみに私の声を聞いてバリトンだと判別したプロ歌手はキング先生だけで、他の先生たちは「君がバリトン? それはないでしょ」と軽くいなしていたので、キング先生に習っていた頃の私は、よほど声が重々しくなっていたんだろうと思います。
キング先生の元で3年超の個人指導を受け、それから今のY先生の元に移動して、そろそろ4年。キング先生のところで学び、カラダに染み込ませていた事が、ようやく少しずつカラダから抜け始め、Y先生が教えてくださった事が少しずつできるようになってきました。
3年かけて習った事を、カラダから抜くために、3年かかりました。これでようやくスタートラインに戻ってきた気分です。ああ、私の歌人生におけるこの6年間って、何だったのでしょうか?(涙)
ま、それはともかく(笑)、以前はあれほど、どうにもならずに、バリトン転向すら命令されていた私ですが、最近になって、ようやくテノールとして必要な高音発声の光が、見えてきました。たぶん、もう大丈夫です。この方向で頑張ってカラダを作っていくと、高音もそれなりに発声できる、普通のテノールとして頑張れそうな予感がしています。
高音発声に必要なのは、キング先生が強く否定した“コツ”です。コツという言葉が悪ければ、テクニックであり、手順です。なすべき手順をきちんと順序良く踏んでいけば、私が本来持っている音までは、きちんと発声できそうだという、予感がしています。
本来持っている音とは…ファルセットで発声できる音域までだと聞いたことがあります。ファルセットで発声できるのなら(いわゆる)頭声でも発声できる…んだそうです。そうならば、私はHi-Fまでファルセットで出せるから、鍛えていけば、テノールのアリアは全制覇できるって事になります。だってテノールアリアの最高音は、Hi-Esだったと思うから(笑)。余裕だね。
閑話休題。問題は、高音発声を行うには、手順を順序良く踏んでいく事が必要で、そのためには、きちんとカラダを作っていないといけないって事です。やり方だけ分かっていても、実際に行えないのでは、手順を踏むも何もないわけです。ですから、今私がしなければいけないのは、高音発声に必要な手順を一つ一つきちんと踏んでいけるだけのカラダ作りって事になるわけです。
手順を踏むのは大切な事です。この手順を間違えると大変な事になります。以前、キング先生の元で、声を出すたびにノドを痛めて、口内が血の匂いでいっぱいになっていたのですが、これなんて、手順の間違いもいいところです。ステップ1や2を飛ばして、いきなりステップ3に行っているようなもので、あの血の匂いは、無理な声の出し方をして声帯周辺が腫れたり切れたりしていたからだと思います。あのままキング先生の元で学び続けていたなら、おそらく声帯を壊してしまい、音声障害を背負うことになっていたと思います。今思えば、よくノドを壊して声を無くさなかったものだな…と感心します。私は元来ノドが強い人なので、一時的に無茶をしても、しばらく時を置けば割と回復して、何とかなりましたが、これって、普通の人だったら、回復する前に次のレッスンがやってきますから、早いペースで声を壊して、とっくに歌を辞めざるを得なくなっていただろうと思います。
実際、妻はキング先生に師事してすぐに声を壊してしまったので、歌手専門の声のお医者さんのところに通って、ようやく声を治したくらいで、あれが声が専門でない町医者などに通っていたら、妻は今頃歌えない人になってしまったかもしれません。
だから、手順を順序正しく踏んで発声する事は、大切なのです。
うむ、前フリだけで長話になってしまいました。本題は明日にします。
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