さて、話は5月4日の12時半のあたりから始めましょう。
フルートのレッスンも終わり修了書(「Cool!」という判定でした)をいただいたら、さっそくさっきと同じコンヴィクトへ。本日二度目のマスタークラスの見学です。途中、エレベーターのところで、古典四重奏団の方々とすれ違いました。うわ、この前テレビ番組(NHKの「名曲探偵アマデウス」)で「死と乙女」を演奏していた人たちじゃん。テレビに出る人とすれちがったちゃったよ…とワクワクなミーハー気分で会場に向いました。
マスタークラス(チェロ:ロラン・ピドゥ)
今回のマスタークラスはチェロ。これも半券無料プログラムです。先生はフランス人でパリ音楽院(のだめちゃんの留学先ですよね)の先生だそうです。フランス語しか話さない人でした。フランス語はカケラも分からないので、私にとってフランス人は宇宙人と同じようなエイリアンでして、なんか親しめないんだよなあ…。ちなみに「フランス語」と入力しようとしたら「腐乱後」と出てきて、びっくり! 「ふらんすご」ではなく「ふらんご」とミスタッチしたんだねえ…、きっと。
生徒さんは芸大の4年生のすごくきれいなお嬢さん。曲目は「アルペジョーネ・ソナタ」でした。会場には若いチェリストたちがチェロ持って大集合してました、狭い部屋なのに…。
先生は手ぶらで登場。なんでもロストロポービッチもマスタークラスの時は手ぶらなんだそうですが(笑)、その理由は「模範演奏も生徒さんの楽器で弾くため」。つまり「それができないのは楽器のせいでなく、あなたの腕のせい」ときちんと分からせるためだそうです。うわあ、キッツ! でも、それはそう思いました。昨年のフルートのマスタークラスでは、先生と生徒さんの楽器が違いましたので、生徒さんと比べて先生が深々とした美しい音色の音を出しても「だって楽器違うもんなあ…、先生の楽器、生徒さんよりもあきらかに良い楽器じゃん」と見てて思ったくらいですから。
で、レッスンでは徹底的にヴィブラートを直されていました。ヴィブラートはヴィブラートと分からない程度にかけるのが良いのだそうです(歌でもそうですね)。ヴィブラートの際の指のささいな動かし方まで指導してました。それときちんと自分の音を耳で聴いてヴィブラートの深さを確認することも再三注意してました。
そうそう、チェロを弾く時は(心の中で)歌いなさいとも教えてました。フレーズには歌詞を乗せて演奏すること。フレーズの切れ目でさりげなく、しかし必ず呼吸すること(逆に言うとフレーズの途中で息するな)。「歌うように演奏する」という表現がありますが文字通り「歌うように演奏」しなさいと言ってましたね。それくらい歌は楽器演奏者にとって大切ってことですか…へえ、日本には歌える楽器奏者って何人いるんでしょうね。民族的な課題かもしれないなあ
あと、体の重みをうまく使って弾きなさいと教えていましたが、それは日本女性である彼女にはムリだろうなあ、だって腕だってあんなに細い(本当に棒のように細かった)し、体もヤセてて小さくて軽そうだし…。ゴツい白人男性とは違うよなあ…。
とにかく、私はチェロを弾きませんが、すごくおもしろかったし、色々と参考になりました。それにしても、シューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」っていい曲だなあ。一つの曲を深く知ることができるのがマスタークラスの特徴です。うん、やっぱりマスタークラスっていいよね。
最後に、美人で妙齢のお嬢さんが膝小僧を丸出しにして、チェロを股にはさみこむ姿は、いかがなもんでしょ。オジサンは別な意味でドキドキしちゃいました。若い女性なんだから、演奏する時の服装にもうちょっと配慮があったら、うれしかったなあ。
さて、チェロのマスタークラスを見終わった私たちは、小腹もすいたので、途中のコンビニ(東京国際フォーラム内にコンビニがあるんですね)でおにぎり買って、それを持って、今度はグラーベン広場での半券無料コンサートに行きました。グラーベン広場って飲食可能な会場なんですよ。
シューベルト交響曲第3番(ベートーベン・ティアーデ室内管弦楽団)
グラーベン広場(地下2階の展示ホール)そのものに入場するのに半券が必要なのです。そこはチケット売場のある地下一階からよく見える場所にあります。地下一階から見ると、人だかりもしてるし、お店もたくさん出てるし、何やらコンサートもやっているし、なんか呼び込みもしてるし、サイン会もやっているし、ラ・フォル・ジュルネのグッズやお土産も売っている(正確にはグラーベン広場ではなく、隣のシューベルト市場なんですが)し、なんか呼ばれているような気になる場所です。
だけど、そこは半券無料ゾーン。チケットのない人は入れないゾーン。去年もそうでしたが、今年も入り口付近で揉めている風景を何度か見ました。チケットなくても、そっちに行きたいよね。チケットさえあれば行けるんだからと言っても、肝心のチケットがほぼ完売状態じゃ、買うに買えないよね。かわいそうだけど仕方がない。来年はぜひ前売りチケット争奪戦に参加してください。
それはさておきグラーベン広場。ここはなかなかおもしろい。広い会場の真ん中にステージが作られ、そこで無料コンサートが開かれるわけなのですが、そのステージの周辺には、数多くの座席が用意され(この会場だけで何百もの座席があります)、さらにその外側に色々なお店が出てて、もうワクワク。フルート体験レッスンを受けた島村楽器もグラーベン広場にあります。
グラーベン広場に行く途中、雑踏の中、音楽家の青島広志氏とすれちがいました。妻は青島氏に気がつかなかったようなので「有名人の青島広志氏とすれちがったよ」と小声でささやいたつもりなのですが、どうやら私の声がすでに10メートルほど離れてしまった青島氏の耳に入ったらしく、彼がこちらに振り返りました。思わず目が合っちゃいましたので、へへって感じで、手を振りながら会釈しちゃいました(我ながら意味不明な動作だなあ…)。
妻に「あなたの声は人ごみの中でも、よく通るんだから気をつけてね。特に音楽家の悪口は言っちゃダメよ。どこに本人がいるか分からないんだから…」 まさにそのとおり。気をつけます。
ちなみにグラーベン広場の隣がシューベルト市場。レコード屋(新星堂)とグッズコーナーです。明後日も来る予定なので、今日は冷やかしに徹しました。ここも半券無料コーナーなので、チケット持ってないと入れません。お土産もチケットがないと買えないのね。私は構わないけれど、商売的にはどうなの?って思いました。
このシューベルト市場。私の記憶が正しければ、この場所は、去年は関係者オンリーのレストランでした。ガラス一枚向こうで、名だたる音楽家の方々がお食事をしてらっしゃるのを、トランペットが欲しい黒人少年のように眺めていた記憶があります。そのスペースが今年はお客様向けに解放されたというわけですが…関係者オンリーのレストラン(なんでも帝国ホテルのケータリングだそうですが…)はどこに行ってしまったのでしょうか?
あ、シューベルト市場では「冷やかしに徹する」と書きましたが、首から下げるチケットケースだけは買いました。これをぶら下げていると、半券無料のコーナーに入る時、わざわざカバンからチケット出さずに済むので、とても便利です。ラ・フォル・ジュルネでは必要な首輪(首掛け式のストラップ)だと思います。
首輪(笑)と言えば、現地では様々な首輪をした人がいました。私たちのような一般人はチケットの半券が入ってますが、その他の人は日の丸を首からさげてました。
赤い日の丸に「ARTIST」って文字が入っているのは、演奏家の方々。たいていフランス語話してます。これがもう、実にたくさんいるんです。どこにでもいます。グラーベン広場にボオーっと立っていると、なぜか隣に赤い日の丸の首輪の人が立ってたり、エレベーターに乗って移動しようとすると、どやどやと赤い日の丸を下げた人が集団でやってきたり、それはもう音楽家密度が高すぎ!って感じです。
もちろん首輪には「ARTIST」であっても色違いがありますし、また文字も「CREW」とか「FAMILY」とか、なんか色々あって、色違い&文字違いのたくさんの日の丸の首輪があって、なんか愉快でした。
あ、書き遅れましたが、シューベルトの3番って、いい曲だと思います。立ち見で聞きました。今度CDでちゃんと聴いてみたいなあと思いました。
フルートのデモンストレーション・レッスン
交響曲第3番が終わって、すぐに島村楽器へ。さっきレッスンを付けてくれた、ちっちゃくてかわいいフルートの先生が店頭でデモンストレーション・レッスンをするので、見に行きました。生徒さんは同じ島村楽器の店員さん。デモンストレーションなので、ある程度の打ち合わせが必要なんでしょうね。一般人ではなく店員さんを生徒さんにしたので、レッスンが円滑に進みました。
デモンストレーションなので、レッスンの始めにビゼーのメヌエットを演奏してくれました。わらわらと人が集まってきます。人が集まってきたところでレッスン開始。基本的には私がさっき受けたレッスンとほぼ同じ。レッスンは約20分で「月の光」の前半8小節を吹いて修了。でもレッスンが進むにつれ、さっき集まってきた人たちがバラバラと解散。終わる頃にはほとんど人がいなくなってました。普通の音楽ファンは、楽器の演奏法なんかには興味ないんだなあと思いました。
レッスンが終わったので、今度はメンデルスゾーンの「歌の翼に」の変奏曲をピアノを伴奏にして吹いてくれました。またまた人がわらわらと集まってきます。集まったところで、島村楽器さんの宣伝をひとくさり。でも宣伝が始まると同時に観客解散。ま、世の中って、そんなもんだよね。
だいたい、フルートのデモンストレーション・レッスンをしている島村楽器からさほど離れていないH.I.Sでは、ピアノコンサートやってるし…、すぐそばではJBLがスピーカーのデモ演奏してるし、なんか音楽があふれ過ぎって感じかな。
私たちも解散する観客に混じって、地上へ出ました。地上にはネオ屋台村というのがあって、ランチっぽい食事を屋台販売してます。大半がエスニック系の珍しい食事です。これが結構安くておもしろい。私はまず、ベトナムのお米のラーメンである「フォー」を食べました。珍しい味なので、美味しいんだかマズイんだか判断がつかないのが愉快。小腹がくちくなったので、再び演奏会です。
今日はここまで。時間的には5月4日の12時半から3時までの話でした。とにかくまだ、有料プログラムにはたどり着かない私たちでした。それだけ無料のプログラムも充実しているラ・フォル・ジュルネというわけですね。続きはまた明日。
コメント
おお~マスタークラス、いいですね。
今年は時間が合わなくて行かれませんでした。。。
ついつい自分の好きな楽器のレッスンばかり聴いてしまいますが、全く分からない楽器を聴いてみるのも新鮮かもしれませんね♪
出来れば声楽もあったら嬉しいのに。。。
日の丸カード(笑)、私もいただきました!でも色は黄土色みたいなものですけど。
ちなみにFamilyパスはグリーン、プレスは薄いブルー、スタッフは濃いブルーと色も分かれているんですよ~。
それで施設の入れる範囲が決まっているんです。(ちょっとした裏話です・笑)
>なつめさん
日の丸カード(笑)の解説ありがとうございます。なんか色とか文字とかに一定の規則がありそうだけれど部外者にはなかなか分かりづらくてねえ…。
この日の丸カードなんですが、マスタークラスの入り口に「LFJルールに拠って」という張り紙があって、お客様入場後の入場優先順位というのが書いてありました。マスタークラスでは1~7位までが設定してあって、私が覚えている範囲では、1位が「KAJIMOTO」の☆付き。2位が「PRESS」で3位が「ARTIST」で、最後の7位が「KAJIMOTO」の☆なしのカード。これを見て、あの日の丸にも上下関係があるんだなあ…と思いました。
たとえ黄土色であっても、日の丸もらった、なつめさんはエラい! 根拠ははないけれど。