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高音を弱音で歌うことは、テノールの魅力の一つです

 声楽レッスンの続きです。

 「さて、それでは…」という事で、いよいよ秋のクラシックコンサートに向けての準備が始まりました。

 「まずは、パリ…」
 「“パリを離れて”は、まだ音取りが済んでません」
 「じゃあ仕方がないですね、Come againにしましょう」

 と言うわけで、ダウランド作曲「Come again/来たれ、今いちど」になりました。それにしても「…音取りが済んでません」とは、我ながら大胆不敵と言うか、ちゃんとレッスン前に音取りぐらいしておけよ…って気もします。

 「Come again/来たれ、今いちど」は、元々世俗曲という事もあり、歌うには簡単な曲ですので、とにかく1音1音丁寧に声を回して歌うことが肝心だと言われました。また、響きを上に持って行くこと。子音の音程に注意する事。子音を捨てずに最後までしっかり歌うこと。これらの注意を受けました。

 また先生ご自身もちょっと手間取りましたが、変拍子を自然に乗り越えて歌えるようになるために、この曲をしっかりとカラダに入れてしまうように言われましたが…この件に関しては、自分のカラダに入れるのは当然として、そうでなくても、ピアノを聞いているとリズムが分かるので、よくピアノを聞いて歌えば大丈夫そうです。

 先生曰く「1番は良いのだけれど、2番3番がダメです」との事ですが、これは歌い込みの量の違いに起因するのでしょうね。練習では、ついつい1番ばかり歌ってしまいがちなので、今後は2番や3番にも気を配りながら歌うようにします。もっと、私が歌っている3番の歌詞って、本当は8番の歌詞なんですけれどね。つまり、本来の1番2番を歌った後、3~7番を飛ばして、最後の8番を歌っているんですけど…まあ、そんな事はどうでもいい事ですね。とにかくたくさん歌って、クチで覚えないとね。

 それにしても、英語はイタリア語やドイツ語と違って、スペルと発音が一致しないので、歌う上では色々と厄介な言語ですね。

 次は、トスティ作曲の「Ideale/理想」です。この曲は今回が初レッスンです。

 「この曲は、歌も難しいけれど、私もチャレンジなんです」と先生がおっしゃいました。どうもこの曲、ピアノも難しいようです。

 三連符と八分音符の歌い分けをきちんと意識する事が大切です。ピアノは三連符のリズムを刻んでいるので、そこに載ったり載らなかったりしないといけません。とは言え、拍頭はきちんと合わせないといけませんが。

 歌がピアノに合わせるのではなく、この手の曲の場合、ピアノが歌に合わせるものです。だから、歌はピアノが合わせやすいように、考えて歌ってあげないといけません…との事です。具体的に言えば、ブレスの位置とか、フレーズの切り方とか、そういうところでピアノと息を合わせていくのです。そのためにも、歌手はしっかりと自分のリズムで歌い通す事が必要なんです。なまじ日和ってしまうと、ピアノが合わせづらいんだそうです。

 この曲には、高音のフレーズの箇所に、しばしばpやppがあります。こういう箇所は、しっかりと弱音で歌いましょうって事です。と言うのも、高音を弱音で歌えるのがテノールの魅力なんだそうです。同じ音をバリトンが歌うなら、弱音で歌うのは、とても厳しいんだそうです(音域の上限近くだったり上限越えていたりするわけだからね)。上の音に余裕のあるテノールだからこそ、軽く柔らかく高音を歌えるわけで、それを利用しない手はないし、作曲家もそれを期待しているわけです。

 ついつい弱音を忘れて歌ってしまいがちだけれど、頑張って弱音に挑戦してみましょう。

 それと、この歌、二箇所でテノール特有のバリエーションを加えて歌うことにしました。それに関してはOKだけれど、そうなると、最初のバリエーションで高音Aを使う事になるので、しっかりとノドの準備をして、Aを歌ってくださいとの事です。具体的に言うなら、Aの前の音で(声色が変わってしまうけれど)しっかりとノドの下方を開き、そのままポルタメントでノドの上方を開けながらAに持っていくというテクニックです。ノドを上下にしっかり開けば、Aは私に出せない音ではないそうですから、やり方さえ間違えなければミスらない音なんだそうですし、そのやり方通りにやってミスったら、そりゃあ歌手の責任じゃないそうです(じゃあ、誰の責任なんでしょうね)。

 2番目のバリエーションでは、フレーズ全体を1オクターブ上げて歌うのですが、それもなるべく弱音でたっぷりと歌うのが効果的なんだそうです。歌の難易度はかなり上がりますが、そうやって歌うとカッコいいので、そうしたいと思います。

 この曲を知らない人のために、YouTube画像を貼ります。

 これくらい、軽く軽く歌えたらいいなあって思います。

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