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すでに若くないのだから、テクニックで発声しましょう

 声楽のレッスンに行ってきました。

 発表会後、始めてのレッスンだったので、本番の写真をいただき、公式音源をいただき、まずは発表会の反省会をしました。

 先生曰く「見させていただきました」だそうです。何を見たのかと言うと、私の舞台姿です。私は、舞台に上がると、普段とは別人格になってしまうタイプの人なのですが、その豹変ぶりを「見させていただきました」という事です。

 先生がおっしゃるには「あれだけ人間が変わってしまうと、レッスンの意味がありません」って言われちゃいました(汗)。と言うのは、レッスンでは、レッスンの時の私が、より上手に歌えるようになるために、色々とアドヴァイスをしているわけです。それなのに、本番の私ときたら、レッスンとはまるで別の人間になってしまうので、あれではレッスンの意味が無いんだそうです。

 「普段のレッスンから、舞台の上と同じテンションでいてくれれば、より効果的なアドヴァイスができるんですが…」と言われましたが、レッスン室は舞台じゃないから、それはちょっと無理ですね。

 ちなみに舞台の上の私は、レッスンの時よりも、すべての点において良いのだそうです。ま、火事場の馬鹿力? でも、それでも色々と足りない部分はあるわけで、あの状態の私に必要なアドヴァイスって奴は、普段の私に対するアドヴァイスとは全然違うんだそうです。それが先生ご自身の反省事項のようです。

 妻は私とは逆で、レッスンで習った事をきちんと舞台の上でやっていたそうで、そういう意味では、先生の想定の範囲内の出来だそうですが、それだけに予定調和的で面白くないんだそうです。

 舞台って魔法がかかっている場所ですから、普段どおりではダメで、やはりハジけないとダメなんですが、だからと言って、私のように、別人格になってしまっては、変わりすぎなんだそうです。ううむ、なかなか難しいですね。

 発表会は終わりましたが、すぐに地元のクラシックコンサートが始まりますので、その準備に取りかからねば!

 さっそくレッスンに入りました。まずは発声練習からです。

 注意される事は、毎回一緒です。なにしろレッスンと言うのは、先生と生徒の根比べ的な部分はありますからね。でも、毎回毎回同じ事を注意されていても、それが半年一年と経つと、生徒が変わっているんだから、不思議です。私もY先生に師事し始めて、約一年ですが、ほんと、この一年で私の発声は、私も知らないうちに、大きく変わったと思いますよ。だから、毎回同じ指摘であっても、毎回同じように真摯な態度で従わないといけないのです。

 「クチビルをきちんと使いましょう」と言われました。クチビルはY門下に来てから意識するようになりました。アはともかく、ウとオはクチビルの突き出しが全然足りないそうですし、イとエは横に引っ張り過ぎなんだそうです。つまり、まだまだってわけです。

 「声は必ず一度、後ろにまわして出す事」、私の現在の発声方法は『しっかりノドを鳴らして、声を前に出していく』発声法なんだそうです。この発声法自体は間違いではないのだそうですが「これは初心者や声の無い人に教える発声法であって、すでにすとんさんは、その段階をとっくに過ぎているので、いつまでもそういう発声法をしていると、壁にぶつかるし、ノドも壊しますので、早急に発声法を変えましょう」と言われました。

 『しっかりノドを鳴らして、声を前に出していく』発声法は、元々は歌うためではなく、声帯を鍛えるための発声法なんだそうです。とにかく初心者は歌った経験が少なく、声帯周りが未訓練状態なので、まずはそのあたりを鍛える必要があるので、そういう発声をさせる場合もあるそうですし、これを行うと、声量が増やせるし、歌はお客さんに聞こえてナンボですから、ノドをしっかり鳴らして声量増大を狙う事は、必要と言えば必要な事だけれど、最初から声を持っていて、声量増大など考えなくてもいい人が、これをやってしまうと、良くないのだそうです。

 具体的に言うと、声域が狭くなるんだそうです。とりわけ、高い音はまず出なくなります。また、ノドを鳴らしすぎて、ノドを壊して、声をつぶしてしまうのだそうです。

 一年前の私は、確かに、そんな状態だったなあ…。

 とにかく、今の私が覚えなきゃいけない事は『ノドを鳴らさずに、響きで歌う事』、そのための具体的な方法が『声を後ろに回して発声する事』なんだそうです。これをやると、一時的に声量が減ってしまうし、楽に歌えてしまうので物足りなさを感じてしまうけれど、そこはグッと我慢なんだそうです。声量が減るのは一時的な問題で、慣れてくると、声を直接前に出すよりも、響きを使った発声の方が、より遠くまで届くので、音量が増したように感じられるし、楽に歌えるので、長い時間歌う事もできるようになるし(キング先生のところにいた時は、せいぜい3分歌うのがやっとでした)、何よりも良いのは、声に力みが取れて、美しい音色の声になる事です。さらに、高い音も低い音も歌えるようになる事なんだそうです。ううむ、こりゃあ素晴らしいね。

 とにかく今は、この『ノドを鳴らさずに、響きで歌う』発声法を身につける事が急務で、この発声法で高いA(ラ)まで、ストレス無く歌える事を目指すべきなんだそうです。

 若いうちは、力付くでAまで、あるいはそれ以上も歌っちゃうテノールはたくさんいるそうです。それは若さの力で、無理を無理やり乗り越えているだけなんです。だから40代に入ってしばらくすると、声をドンドン失って、やがて高い音が歌えなくなるテノールが大勢いるんだそうです[キング先生もテノールは50歳まで、って言ってましたな]。なぜなら、そういうテノールは若さだけで歌っていた人なので、若さが無くなった時に、ちゃんと声が出ず、歌えなくなって、大変な目にあうわけなんです。

 私はすでに若さの無い人間ですから、力付くで歌うのは、最初から無理なわけで、だからこそ、きちんとテクニックを学んで、合理的に歌わないと、歌は最初から歌えないのだそうです。

 ちなみに『ノドを鳴らさずに、響きで歌う』発声法で行ける高音はAまでだそうです。それよりも高い音は、このやり方では無理なんだそうです。だから、Bより上の音は、また別のテクニックが必要なんだそうですが、それはAまでをストレスなく歌えるようになってからの話…って事です。

 まあ、Aまで歌えれば、クラシカル・クロスオーバーの曲は大抵歌えるし、合唱のテノールパートならお釣りが来るくらいだから、まずは私もAまできちんと手中に修めたいです。でも、オペラアリアを歌うなら、Aまででは足りないので、当然、その先も学びたいですけれど…ねえ。

 夢を見るのはタダだからね(爆)。

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コメント

  1. はる より:

    ストンさんのブログは、中身が濃くって参考になる事がたくさんあります。
    声楽のお話しでも、フルートにも通じるところがあって、興味深く拝見してます。
    (なんでもフルートの話しにしてしまって、すみません)

    響きを意識する練習を私もしていて、一時期、音が小さくなってしまったのですが、
    最近、薄皮を剥ぐように、音が変わってきて嬉しいのです。

    でも、ちょっと良くなったと思ったら、しばらくすると、壁にぶつかったり、やっぱりまだまだ…と落ち込むんですよ(笑)

    私もブログやってみたいなと思った時期があったのですが、ものを書くってなかなか。

    私は続かなさそうで、勇気がでません。

    こちらに遊びにきて、たまにコメントさせていただくのが一番みたいです。
    ちょっとズルいですけど、お許し下さいませ。

  2. すとん より:

    はるさん

     確かに、毎日とは言わなくても、ブログを書き続けるのは大変かもしれませんね。凡百のブログが一年はおろか、半年も続かないそうですし。まあ、文章を書くのが楽な人か、日記をつけることに慣れている人がいいんでしょうね。

     私は前者です。文章を書くのが楽な人なんです。基本的に、文章の推敲なんて、ほとんどしません、ブログの文章は、ほぼ垂れ流しですからね(笑)。あと、世の中には、万年筆だとかボールペンだとか鉛筆だとか、色々な筆記具がありますが、私にとって一番楽な筆記具は、実はキーボードなんですね。これが一番疲れずに長い文章を短時間で楽々と書ける手段なんですよ。ま、入力方式が、今どき珍しい“親指シフト入力”なんですがね(爆)。

     ローマ字入力だったら、たぶん私、ブログやってませんよ。昔、ローマ字入力をやっていて、左小指が軽度の腱鞘炎になってしまい「これはアカン」と思って、親指シフト入力に変更したという経緯があります。

     今は、誰もがほぼローマ字入力じゃないですか? 皆さん、手は健康ですか? ちょっと心配ですよ。

    >こちらに遊びにきて、たまにコメントさせていただくのが一番みたいです。

     私はコメントをいただけるのが、うれしいタイプの人なので、どうぞご遠慮なく。歓迎ですよ。

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