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ピアノ合わせをしてきた

 次の日曜日の本番(発表会)のためのピアノ合わせをしてきました。ううむ、本番直前だなあ(笑)。それもたった一回だけ、それもサラッと合わせただけ…。ううむ、本当に次の日曜日が発表会だなんて、信じられないなあ…。緊張感無さ過ぎ(大笑)。

 実際、緊張感が皆無なんですよ。これが門下の特性なのかどうかまでは分かりませんが、門下が違えば、発表会に臨む姿勢も色々と違うわけで、そういう姿勢の違いが緊張感の有無につながるのかな?って思います。

 例えば、すでに発表会のプログラムは決定され、印刷して仕上がっておりますが、それにも関わらず、その後、予定に無かった方が発表会に出演される事となり(発表会参加自体は希望制なんですね)、急いでその準備をやっていたりします(本番直前なのに:笑)。それくらい、おっとりと言うか、ガチガチとは程遠い発表会なんですね。

 だいたい、発表会の準備開始だって、実にゆっくりしたものです。「先生、私たちは暗譜もするし、演技もするので、発表会が決まったら、出来るだけ早くから準備に取りかかりたいです」と前々から言っていたので、本番四カ月前(四カ月前ですよ。キング門下なら最低でも半年前から準備開始です)に、イの一番で教えてもらって、さっそく選曲&準備に入りましたが、他の門下の方々は、発表会が決まってから、ゆっくりと予定を確認され、参加するしないを決め、参加するとなったら、そこから曲を考え始めて、おもむろに選曲して準備をして音取りをして…と私の目からは「いかにものんびりしているなあ…」と見えるほどのペースで準備をされていました。

 キング門下だったら、半年前にきちっと選曲をすませ、キリキリと準備をして、ピアノ合わせだって本番までに2回あるし、それ以外に試演会というの名の、衣装着用の内部向けのリハーサル/発表会もあるし、だいたい、レッスン自体が発表会に向けて増やされるし…なんかもう、これでもかってくらいに発表会に向かって緊張感を高めていくんですが、Y門下は、その辺、アッサリしたものです。

 考えてみれば、フルートの笛先生の門下では「発表会の準備は三カ月前からで十分。それでもまだ余裕があるでしょ」とおっしゃってましたし、実際、そのタイムスケジュールでやってました。ほんと、門下によって、発表会の準備期間もマチマチですね。

 と言うわけで、私は四カ月前から発表会の準備に取りかかっていました。当初は「準備期間が短い!」とか思って、内心、焦っていましたが、実際、本番近くになってみると「…準備期間にかなりの余裕があったなあ」って思います。たぶん、準備期間が一カ月ぐらい短くて、三カ月しかなくても、何とかなっていたかもしれません。でも、今回、発表会直前にシックハウス症候群モドキになって、十日以上ろくに練習できなかったわけだから、これはこれで良しかな?

 さて、肝心のピアノ合わせです。

 シックハウス症候群モドキから重篤な喘息患者になってしまった私は、胸をヒューヒュー言わせ、息も切れ切れ、声もバスボイスになった状態で、ピアノ合わせに行ってきました。

 歌う順番でピアノ合わせをする事になりましたので、最初は、トスティ作曲「Non t’amo piu!/君なんかもう」です。ピアニストさんが適切なテンポで弾き始めたので、そのテンポに乗って歌ってみました。実に歌謡性に富んだピアノを弾かれる方で、ピアノの歌に合わせて、こちらも合わせて歌っていけば、ほぼOKなので、実に歌いやすかったです。 特に不安な箇所もないし、こちらも調子が悪いので、一発OKという事にしました。

 ピアニストさんは、前回の先生のコンサートでピアノを弾かれていた方です。Y先生とは、よくコンビを組んで演奏会を行っている方のようです。実に歌曲やアリアに詳しい方のようで、正しい歌詞で歌いながらピアノをサラっと弾いちゃう方で、この方自身、かなり歌えそうな感じがします。そんな頼もしいピアニストさんです。

 本番では、ソロ曲は二曲連続で歌うのですが、私の体調が悪く、連続二曲の歌唱には耐えられそうもないので、妻と交互にピアノ合わせをしてもらう事にして、息を落ち着ける事にしました。「君なんかもう」って五分近くある曲なんですが、五分間も咳を我慢して歌い続けるって…喘息患者的に難行苦行でございます。なんか、気が狂いそう…。ちなみに今現在、1分おきに5~6回連続の咳を1セットずつ行うのがデフォルト状態です。だから、歌の間、咳を我慢するのが、本当につらいですよ。ああ、本番当日はどうしましょう?

 ちなみに、咳のしすぎで、マジ、ノド痛いです(涙)。声もほぼ潰れてますが…話し声と歌声は使う声帯が違うのでしょう? あるいは使い方が違うのでしょうか? 歌声は、話し声ほどに潰れていないのが、せめてもの救いかな?

 二曲目は、プッチーニ作曲「トスカ」より「E lucevan le stelle/星は光りぬ」です。この手のアリアは、色々な意味で危険ですね。何が危険かと言うと、歌っているうちに、オペラの役柄に入ってしまうと言うか、カヴァラドッシが降りて来ると言うか、なんか歌っているうちに自分じゃない人になってしまうので、私が歌っている最中に、先生がゼスチャーであれこれ指示を出すんだけれど「目には映れども見えず」状態になってしまいました。歌い終わって、我に返ってから始めて、先生のダメ出しが耳に届く…と言った感じで…ダメですね。憑依型の人間の欠点ですな(笑)。

 ダメ出しの内容は三つ。「もっと休み休み歌いましょう。フレーズの切れ目切れ目では、きちんと息を整えてから、次のフレーズを歌いだすようにする事。ピアニストは歌手の息が整うのを待っているし、そのように作曲もされているので、たっぷり休みながら歌うこと。絶対にインテンポで歌ってはいけません」「劇的な表現は、もう少し控えよう。劇的な歌い方をすればするほど、声が消耗してしまう。元気な時でもキツいけれど、調子が悪い時はなおさら、声の温存を考えながら歌った方が良いです」「全体的に、声はもう少し被せて歌った方がノドに優しいです」との事です。

 とにかく、あれこれダメが出たので、最初からもう一回、返す事(歌い直す事を“返す”と言います)となりましたが、とにかく、消耗してしまったので、また少し休む事にしました。

 いやほんと“消耗”という言葉がふさわしいくらいに、精神的なエネルギーが消耗した私です。これ、歌曲を歌っている時は、あまり感じないんですよ。アリアを歌った時に、激しく消耗を感じる私です。歌曲の場合は“消耗”と言うよりも“疲労”って感じです。この違いはどこにあるんでしょうね。

 休憩後の返しでは、注意された事は気を使って歌いましたが…あちらを立てれば、こちらが立たず…で、また別の失敗をしてしまいました。とは言え、この曲は何度も歌える曲ではないので「後は本番に期待しましょう」って事になりました。実際、この曲を、短時間のうちに三度も歌うのは…私には無理だよなあ。

 で、また休憩を入れて、今度は、ヴェルディ作曲「椿姫」より「Libiamo,  ne’lieti calici/友よ、さあ飲みあかそう(乾杯の歌)」です。

 しかし、ヴェルディは、プッチーニとは、また違った消耗の仕方をします。プッチーニが溜めて溜めて、溜めたエネルギーを一気に「ファイヤー」と叫びながら燃やすのだとしたら、ヴェルディは最初から最後まで強火でガーっと燃やしていく感じです。プッチーニの方が大変だけれど、ヴェルディの方が疲れます(汗)。

 「乾杯の歌」は最後の8小節に問題あり…と言うか、私、そこまで燃料が持ちません。最後の最後でFのロングトーンは厳しいね。そこで、先生の提案で、楽譜通りではなく、オペラハウスでよくやる[省エネ的な]歌い方に変更する事にしました。具体的に言えば、8小節を前半4小節と後半4小節に分け、前半の4小節は最初の2小節だけ歌って、残りの2小節はお休みして、最後の4小節はちゃと歌うという、ある意味、姑息な歌い方。まあ、こういう歌い方、確かに、舞台公演でたまに聞きますが、あれにはこういう意味があったのかと、今更知る私でした。

 しかし、オペラアリアの勉強をしてみて知るのは、舞台で歌われている歌って、結構、あっちこっち譜面通りじゃないんだよね。いわゆる“慣習ではこう歌う”ってのが多いのですが、特に、ソプラノとテノールの歌には、変更点が多いよなあ。やっぱ、ソプラノとテノールってのは、わがままなんだろうね。で、その数々のわがままが許され既得権益となったのが“慣習的な歌い方”って奴じゃないかしらね。そんな歌い方をされていると知ったなら、作曲家の方々は草葉の陰でイライラするんだろうね。

 とりあえず、歌とピアノを合わせてきたよ。ピアニストさんが割と自由自在に歌手に合わせるタイプの人のようなので、こんなピアノ合わせでもいいんだろうなあ…。それに、せっかくピアノ合わせをしても、私って、リハーサルと本番で、全く違う事をやっちゃう人だから、ピアノ合わせって、意味があるんだか、ないんだか。いや、ないわけは無いけれど、これだけ自由自在なピアニストさんだと、こっちも安心して暴れられると言うか…。

 「私、舞台に上がると、ヒトが変わりますから…」と言ったら「舞台は、歌とピアノのアンサンブルだから…」と釘を刺されました。そりゃあそうだよね。今回が初顔合わせで、その初顔合わせの人(それもアマチュアなジイさん)に「ヒトが変わりますから…」って言われたら、ちょっと釘を指しておこうって思うよね。でも、私、本当にヒトが変わるからなあ…。

 ピアノ合わせを終えた感想は…なんか平常心なんですよ。今までは、本番が近くなると、色々と焦ったり心配したり不安になったりしていたし、実際、満足いくほどの準備なんて出来ないまま本番を迎えていたのですが、今回はそうではないんですよ。

 別に不安がないわけじゃないです。完璧に歌える…とも思ってません。ただ、これだけ準備して、それでも歌えないところについては、仕方ないなあって思えるようになりました。まあ、一種の開き直りなのかもしれません。もちろん、舞台では全力は尽くします。

 例えば「星は光りぬ」の高いAは難しいですね。まだ完璧には歌えません。でもプロの歌手だって(あっちゃいけないけれど)たまに失敗する箇所だもの。それくらい歌うのに難しい箇所だと思います。そんな難しい箇所なんだから、その箇所が歌えない~なんて気に病んでも仕方がないって思ってます。それよりも、それ以外の箇所をしっかりきちんと歌うことを心がけ、難しい高いAは、誠実に歌ってみようと思ってます。誠実に歌った結果、ダメだったら、あきらめる…でいいんじゃないかって思ってます。それがテノールってモンでしょ?

 それに、今回の私は、自分で言うのもなんだけれど、去年までの私とは大きく変わったと思います。具体的に「こう変わりました」と書くと、ハードルを上げてしまいそうなので書きませんが、そういう変化を自分で感じているので、本番近くになっても、特に不安もないのでしょう。今年は自分が信じられる…んですね。まあ、裏切られるかもしれませんが(笑)。

 さあ、もうすぐ本番だ。覚悟を決めて、その日を迎える準備をしましょう。後は、当日までに、体調が回復して、喘息が直って、ノドの腫れや痛みがなくって、万全の状態で歌えることを願うけれど…こればかりは、どうしようもないよね。

 日程:2013年8月11日(日)
 時間:14時開演(13時30分開場)
 会場:フォーラムホール(交通案内などは、こちら

 よろしかったら、見に来てみてください。無料だよ。

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コメント

  1. wasabin より:

    すとんさん、おはようございます~

    そろそろですね~本番♪

    経過を時々訪問し聞いてますが、普段どんな?か練習途上のUpされた歌しかわからないので、
    豹変さが掴めるかしら・・?(笑)

    自分を信ずることが出来ればもう成功ですね♪
    私の場合は実力が分かってるので・・=開き直りです、いつも (^o^); 
    普段の8割を目指して歌います。
    それがアドレナリン作用で9割になる事もありますが、本番を楽しむ事も大事なんでしょう。

    そうそう、伺いたい気持ちは大!です。 先約がありますが・・・そんな遠くない場所ですし・・と、言っても一時間以上の移動は私には「旅」なんです(笑)。

    音源でも動画でもUP楽しみにしてま~す♪

    応援してま~す!!

    私のトコも落ち着いて来たので、遊びにいらしてくださ~い(^^)/

  2. すとん より:

    wasabinさん

     そうなんですよ、もうすぐ本番です。頑張りますよ。

     無理することはありませんが、時間に余裕があったら、見に来てくれるとうれしいです。もちろん、黙ってやってきて、こそっと覗いて、黙って帰る…でいいですよ。こっそりコソコソでも大丈夫です(笑)。大したモンじゃないので、お気軽にお越しください。あ、でも、他の方々の歌は聞くと勉強になるかもしれませんよ(マジです)。

     音源は、一応録音するつもりですし、よほどの事がない限り、アップもするつもりです。よほどの事があったら…この前のピアノ合わせの時の音源をアップしちゃうかも(爆)。

     それと、最後になりましたが、ぷちさんの事、ご冥福をお祈りします。

  3. すずめおばさん より:

    みんな体調悪そう・・・(^^;)
    私もガタガタです。

    でも、本番に強いすとんさん。うらやましい!
    本番中にどうか咳が出ませんように・・・(^人^)
    きっと大成功です!

  4. すとん より:

    すずめおばさん

     そうなんです、私“本番に強い”んです。忘れてました(爆)。

     私が本番に強い理由は…憑依タイプの人間だからでしょうね。舞台に上がると、私は私ではない誰かになってしまうんですよ。オペラアリアなどで、役柄があるなら、その役に。歌曲などで役がなくても、まるで詩人にでもなったかのような気分で歌っちゃいますからね。私は弱い人間ですが、私じゃない人は、結構タフだったり、英雄だったり、恥知らずだったりしますので、それで“本番に強い”んだと思います。

    >みんな体調悪そう・・・(^^;)

     私は薬物汚染が原因ですから、ちょっと違うのかもしれませんが、やはり、今年の暑すぎる夏に皆さんやられているんだろうと思います。

     私の場合は、カラダから毒が抜けてしまえば、元気になるはず…なんですよ。ですから、デトックスデトックスってわけで、血行を良くして、新陳代謝を良くして、出すもの出して…と(適度に)頑張っております。

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