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「絶対音感」という本を、久しぶりに読みました

 「最相葉月著 絶対音感 小学館」…ぎっくり腰になって、病院で5時間も待っちゃった時に読んだ本がコレ。我が家の本棚にあった本なので、初版の単行本[ハードカバー]です。現在は、新潮社から文庫化され(それも二回目)、内容も少し訂正してあるそうですが、そんな事は気にせず、単行本の方の感想でレビュー記事を書いちゃいます。

 いわゆるノンフィクションと言うジャンルの本、綿密な取材を基礎にしているから、ルポルタージュと言った方が良いのかな? ま、そんな感じの本。ちょっとばかりボリュームあります。

 タイトルどおり、絶対音感に関するアレコレを、結構、中立な立場で書いてます。出版された当時は、かなり話題になった本ですね。絶対音感神話を壊した本でもあります。絶対音感に対するヤッカミでしょうか、当時の論調は絶対音感に対する否定的なコメントが多かったような気がしますし、宣伝文もそっち系でしたね。

 著者は案外クールで、決してそんな風には書いてませんが…。

 絶対音感を持っている人の話、持っていない人の感想から始まって、絶対音感教育が日本で生まれ発展していった歴史、研究対象としての絶対音感の話、移動ド唱法と固定ド唱法と絶対音感の話、絶対音感と音楽家たちの音程の取り方の話、指揮者と絶対音感の話、コンピュータと絶対音感の話、五嶋みどりと龍と彼らの母親である五嶋節のファミリー・ヒストリーの話など、こんなチンケなブログでは書き切れないほど、多岐にわたるテーマで、ホント、興味深い内容の本でした。腰の痛さも忘れるほど夢中になって読んでしまいました、昔、一度読んだにも関わらず…。

 絶対音感について、きちんと調べてみよう、考えてみようという人は、まず手始めに読んだ方が良いです。絶対音感って、持っていない人には憧れですが、持っている人にとっては便利なはずだけれど、それほど便利さを感じないもので、持たされた人にとっては厄介なものらしいです。なんなんでしょ、この温度差?

 私自身は絶対音感を持っていません。それどころか、相対音感ですら危ない(笑)ので、絶対音感を持っている人がうらやましいです。音楽の先生の免許も持っているのに(笑)。私も人間音叉になりたいです。

 その一方、息子君には、絶対音感が身につかないように育てたつもりでした。そんなものを身につけて「僕は将来音楽家になるんだ!」なんて、寝ぼけた事を言わない様に、配慮して育てたつもりでしたが、先日試したら、アイツ、絶対音感持っているかもしれない…。ヤッベ~。彼には堅気な人生を歩んでもらおうと思っているのに…。

 この前まで「僕はお医者さんになるんだ[よし、がんばれ]」と言ってたのが「僕は歌手になる[おいおい]」と言い出した。ううむ、どこで間違えたんだか。ま、医者でなくてもいいけれど、堅気になって欲しいのだよ、オヤジとしては…。さあて、どうしましょう。

 妻も絶対音感は持っていないようですが、かなり優秀な相対音感を持っていますので、音楽をやるのに、全く不自由はないようです。うらやましいです。

 絶対音感を持っていると推測される知り合いの音楽家の方々は、ほぼ口を揃えて「絶対音感なんて不自由なもの(あるいは、不便なもの)は持っていない」と言い張りますね、決まったように。でも、あなたの人間音叉っぷりは、絶対音感とは違うのかねと、小一時間問い詰めてみたい心境です。

 ホント、持たない身としては、絶対音感はうらやましいですね。特に持っていたら、音大入試に便利だろうし…って、池田理代子じゃあるまいに、今更音大に入る予定もないけれどね。

 後半、キーが滑って、グダグタになりました、ごめんなさい。でも、この本は、ホント、お薦めです。

コメント

  1. Cecilia より:

    これを語ると熱くなりそうです!!

    まず私自身はこの本を読んでとても良いと思いました。
    中立的な立場で書かれていて、肯定も否定もしていないと思いました。
    ですが、ワイドショーなどで「絶対音感教室」の話題が増えるなど騒がれてブームになったりしたし、「絶対音感は必要ではない。」みたいに強調する人も増えましたね。

    私が絶対音感という言葉を知ったのは、以前通っていた教会で純正率コーラスをしている方の娘さんが絶対音感を持っているという噂を聞いたのがきっかけです。
    相対音感もない私は音楽専門学校で非常に苦労しました。
    なので娘達には音感をつけたいと思ったのですね。
    絶対音感を毛嫌いしている人が多いように思うのですが、気のせいでしょうか?
    お世話になった教室では絶対音感と共に相対音感を付けましょう・・・と言って独自のメソードがありました。
    途中でやめたけれど、できれば最後までさせたかったです。
    ほぼついた長女はやはり暗譜が早いし、耳コピでいろいろできるので得していると思います。

  2. ことなりままっち より:

    これの文庫版をもっています。
    きちんと読めば、必ずしも「絶対音感礼賛」の本ではないことが分かるのですが、絶対音感関連の掲示板記事なんかだと、これを読んで絶対音感をつけたいと希望する保護者の方が結構いるようで・・・。
    「絶対音感教室」は、ネットで知り合ったお友達がそういう教室で仕事をしていて、内情なんかも知ってるのですが、通わせる親御さんのみょ~な情熱って聞いてると怖いですよ。(というか、絶対音感”だけ”をつけさせてどうするつもりだ)

    私の音感は「でゃ~てゃ~音感」(名古屋弁で失礼します。大体音感といってます)ですので、厳密な絶対音感かというとそうでもない。聴音が得意だったのは訓練の成果だと思います。子どもの頃からやってたので…
    でも、音楽やってる人は普段気にしてません。自分が絶対音感があるのかないか、なんてことは。(ですよね?)

  3. tico より:

    私もこの本を発売された当時に読みました。とても参考になりました。私は相対音感です。ただ、ギターの音は聞き慣れているので、だいたい当たります。ギターの場合は相対音感の方が便利みたいです。構造と演奏方法に関係しているように思います。例えばスケール(音階)練習の場合はどこの音から始めようと全部「ドレミ」「ラシド」って聞こえるから何調でも弾けます。ただ、生徒さんが絶対音感を持っておられるかピアノ育ちの人にはアドバイスが出来ませんので、自分で考えて覚えろって言ってます。(汗)

    歌は移動ドで覚えてますね。

    音大の入試には聴音が必要らしく、私はこれは落第だなあとか思ってます。ハ長調のドミソ、ドファラ、シレソくらいならわかるでしょうけど…。こんなの試験に出ないでしょうしねえ。(笑)出来ると採譜には便利でしょうねえ。

  4. すとん より:

    >Ceciliaさん
     実は私もこの話題だと熱くなるタイプかもしれない。本の紹介はしましたが、まだ言い足りないかも…。
     ホント、当時はワイドショーにも取り上げられた話題の書でした、この本。
     絶対音感、持っていない人間には、本当にうらやましい感覚です。

  5. すとん より:

    >ことなりままっちさん
     ははは、絶対音感に限らず、早期教育にかける親御さんの熱意ってすさまじいものがありますよね。子どもが幼児のうちは、まだ夢も希望もありますから…。そのうち現実を思い知らされることになるのですが…。
     音感教育教室の内情…ちょっぴり知りたいかもしれない…ふふふ。

  6. すとん より:

    >ticoさん
     ギターの場合、カポタストを使用することもあるわけで、確かに相対音感でないと演奏は難しそうですね。
     ticoさんの歌は移動ドですか。私の以前のT先生も移動ド派の方でした。私自身は固定ド派なので、レッスンの度に、楽譜に全部カタカナを振ってました、今では懐かしい思い出です。
     読譜だけでも、かなり苦労しました。で、苦労は身についたかと言うと…私の場合、微妙かもしれないなあ。

  7. Cecilia より:

    この本に五嶋みどり・龍と母の節のことが書いてありますが、合わせて「母と神童」を読まれることをお勧めします。
    もしかしてもうすでに読んでいらっしゃるのかもしれませんが。

    レヴェルの高い合唱団にいる人はそれなりに音感も鍛えられていますが、声楽の人って音感が悪い人が多いかも・・・。
    ピアノが大して出来なくて声楽になった人は特に・・・。

    絶対音感がなくても音楽はできるし、素晴らしい音楽家も多いです。
    必要なのは相対音感のほうですね。
    でも絶対音感はあると便利なもの・・・という認識です。
    2人の娘に”完全な絶対音感”を付けることができませんでしたが、後悔はしていません。
    絶対音感の不便さを解消するためには相対音感を育てる必要がある・・・ということです。

    この本を読んで戦時中の音感訓練のことを知り、驚きました!

  8. すとん より:

    >Ceciliaさん
     「母と神童」は未読ですが、アマゾン行く度に、トップページで『これでもか~、これでもか~』という感じで薦められています(笑)。買わないと拙いかな…。
     確かにレベルの高い合唱団の人の音感って、半端ないものがありますね。特に無伴奏合唱とかオケ付き合唱をメインにやっているところは、微妙なピッチを合わせることに長けていて、その微妙さは、絶対音感は持っているけれど、相対音感は持たない方々(いるんですよ、案外)だと、付いていかれないほどです。
     声楽の方に音感が悪い人が多いかもというご指摘は、案外当たっているかもしれませんね。声楽では、音程は多少甘くても、声が素晴らしければOKというところがありますから。
     どっちにせよ、私のこの年齢では、絶対音感は身につかないので、相対音感を磨く方向で、日々の練習に励んでおります。

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