お誘いを受けたので、BEEさんの発表会に行ってきました。
BEEさんが歌われたのは、R.シュトラウスの「僕の頭の上に広げてくれ」と、ドニゼッティの歌劇“アンナ・ボレーナ”から「邪な二人」の二曲でした。歌そのものは、不勉強なので、よく知らない(ごめん)のですが、歌唱はいつものBEEさんの歌唱で、ご本人的には色々と悔いが残ったようですが、観客的には溜め息ものの絶唱でした。特にアリアの方は、私の周囲のお客さんたちも舞台に食いついてましたからね。なかなか素晴らしい歌唱だったと思います。
BEEさんの武器は、その強いノドでしょうね。とにかく、声そのものがパワフルですし、高音はカツーンと響くし、なかなかその手のタイプのソプラノさんって、アマチュアでは珍しいですよ。それにしても、選曲がマニアック(笑)。でも、いい歌唱でした。ファッションの方は(ハズしていたら、ごめん)なんとなくアラビアンな感じがしました。ああいう衣裳も、とても素敵です。それと、BEEさんは単に歌うだけではなく、演技も付けながら歌っていましたね。やっぱり、オペラアリアは、たとえ演奏会形式であっても、若干の演技は必要ですよね。とりあえず、満足いたしました。
さて、ここからは、発表会を見せていただいての、全般的な感想を書きます。
出演者は約30名ほどで、お一人2曲前後歌いますので、全体では66曲、約5時間の発表会でした。まあ、私のようなアマチュア歌手のコンサートが好きな人間には、なかなかグッドなボリュームでした。その内容も、イタリア歌曲、ドイツ歌曲、ミュージカルソング、日本歌曲、カンツォーネ、オペレッタ、オペラアリアと多種多様に渡り、出演者も小学生から白髪の後期高齢者まで揃い、音程も怪しい方からプロかと思えるほどに見事な歌唱を繰り広げる方まで、実に幅広くて、見ていて楽しかった発表会でした。でも、やはり高校生から大学生の方々がメンバー的には多かったです。若い人が多いのは、いいですね。歌のレベルは、押し並べて、聞き応えのあるお上手な方々が多かったかなって印象です。アマチュア歌手としては、お上手な方が多かったかな。
ちなみに、私はちょっと遅刻して、7曲目から聞きました。最初の6曲を聞き逃したので、ちょっぴり残念でした。でも60曲以上も聞いたわけだけれど、全然退屈しませんでした。
そうそう、伴奏ピアニストさんもたくさん出演されていました。プログラムを見ますと、9名の方がピアノを弾いてますが…5時間もの発表会をお一人で弾くのは、そりゃあ無理ですよね(笑)。複数のピアニストさんで分担するのって、現実的だなあって思いました。
それと一人で複数の曲を歌う方は、きちんとプログラムの中で、歌う順番を散らしていて、連続二曲を歌うという事はありませんでした。出入りの時間が余計にかかるけれど、歌う側のスタミナを考えると、歌う順番はプログラムの中に散らしてもらった方がいいですね。だって、大曲を連続して歌うのは、ツライでしょ?
それにしても『選曲と緊張感』ってのは、アマチュア歌手にとっては、永遠の課題ですね。
選曲は…どうしても舞台にあげる曲は、規模の大きな曲を選びたいし、ちょっと難しめの曲にしたいものです。問題は、その曲が本番までにきちんと仕上がるかって所でしょうね。おそらく間に合わなかった人と思われる方もいらっしゃいましたが、それってツライですね。私自身が、いつもそんな感じでしたから、そういう方には同情をします。やはり発表会に限らず、人前で歌う時は、きちんと自分の実力に見合ったレベルの曲を選曲したいものです。だって、難しい曲で撃沈するよりも、レベル相応の曲をきちんと歌った方がカッコいいし、自分でも満足できるじゃない。撃沈を繰り返して、失敗経験ばかりを積ませるのは、歌の上達という面から考えると、却って良くないと思います。
緊張感は…練習ではきちんと歌えていたのに、本番では頭は真っ白、ノドも絞まって、日頃の実力の半分も出せなかった…ってパターンです。それって、見ていても分かります。「ああ、緊張で我を忘れているなあ…」って思えると、思わず「頑張れ!」と心の中で声援を送りますが…どうにもしてあげられないのが残念です。これは舞台慣れしてもらうしか手がないんでしょうね。
歌っている時の手振りって、面白いですよね。演技をしながら歌っている人は問題ないのですが、そうでない人は、なかなか面白いですよ。
例えば、右手をグルグル回しながら歌う人は、きっと、日頃から先生に「息を流し続けながら歌いなさい」って指導されているんだろうし、高音になると両手で何かを引っ張るようなしぐさをする人は「高い音はしっかりノドをひっぱりなさい」と注意されているんだろうなあって思うし、小さく指揮をしながら歌っている人は「リズムをしっかりとキープしなさい」って注意されているんだろうし…。まあ、無くて七癖ですからね。私も自分が気付かないだけで、きっと変な癖の一つや二つ、持っているんだろうなあ。
そうそう、白髪のオジサマが「人知れぬ涙」を歌っていましたが、それを聞いた私は、軽い敗北感を感じました。聞けば、そのオジサマはバリトンなんだって。一応、バリトン用に、低めに転調してあるそうだけれど(私には音感が無いので、聞いただけじゃ分からないのよ:涙)、それにしても、なんかなあ『頑張れ自分』って感じになりました。バリトンさんでも歌っちゃう曲なんだから、テノールの自分はもっと頑張らないといけませんね。
若いテノールさんが歌った、ベッリーニの「喜ばせてあげて」はいい曲でした。私もそのうち、歌ってみたいです。
いつも余所の発表会に行くと、色々な事を感じ、学んでくる私でした。
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コメント
ひぇぇ。ちょっと私のことは褒めすぎです、すとんさま(^^;;;
今のうちにせめて半分ぐらい削ってもらった方が。。。
私は深くて丸い声で歌えるようになりたいのです。
ともかく、暑い中、しかも合宿の後のお疲れのところご足労いただき、本当にありがとうございました。
しっかしすとんさんも歌がお好きですね。5時間ですよ!(^O^)
私はこの前、二期会研究会の駅伝コンサートに行きましたが、プロの歌でも約4時間聞いてるとヘロヘロでした。
もっともオペラは4時間ぐらいかかるのはざらですけどね。
そうそうピアノ伴奏ですが、学生の伴奏は同じ高校なり大学のピアノ科の学生がやってたみたいですよ。
学生が多いと華やかですね。
楽屋はテーマパークのようでしたが(^^;;
参加してる方も総じて楽しかったです。
今度はすとんさんたちですね。
頑張ってください。
私はしばらくコンコーネで精進、精進の日々が続きます。
BEEさん
誉めすぎなわけないでしょ、まだ言葉が足りないくらいです。私が良いと思っていなければ、わざわざ電車に乗って発表会を聞きに行くなんてしませんよ(笑)。
>私は深くて丸い声で歌えるようになりたいのです。
…私もです。テクニックも必要だろうけれど、骨格の問題もあるし、日本語話者だという決定的な部分もあって、難しいですね。それとノドが強い人間は、持ち声である程度歌えてしまう部分があるので、そこは痛し痒しだと思います。でも、ノドの強い人間が深みのある声で歌えるようになったら、鬼に金棒ですね。
>しっかしすとんさんも歌がお好きですね。5時間ですよ!(^O^)
好きですよ、大好き。私は歌が好きなんです。…もちろん、5時間聞くと、ヘロヘロになりますが、好きな事やってヘロヘロなんですから、全然平気ですよ。
学生さんたちの伴奏は同じ学校のピアノ科の学生さんたちが担当していたのですか、なるほど、それで伴奏ピアニストさんの数が多かったのですね。発表会は歌う側も勉強ですが、伴奏する側も勉強になるいいチャンスですものね。それらを除いても、趣味のオトナの方々の伴奏も…お二人のピアニストさんが交代でやられていたような気がします。どちらにせよ、ピアニストさんの負担を考えると、歌手ほどではなくても、ピアニストさんも数多くいらっしゃった方が良いですね。
>今度はすとんさんたちですね。頑張ってください。
はい、私の方は10月の土曜日の夜です。頑張りますよ。
5時間ですか~!!
全部聴くなんてすごすぎです。
アマチュアの方たちの発表会は、いろいろな選曲があって楽しそうですね。
自分は、楽器の演奏が続くと疲れると思いますが
声楽だったら疲れも半分くらいかな~って思います。
人それぞれの声があって面白いですから。
私も、機会があればどこか行ってみたいなと思いました。
椎茸さん
長時間の声楽鑑賞って、大変そうでしょ。実際、大変は大変なんですが、でも全然大丈夫なんですよ。と言うのは、私に限らず、声楽愛好者は、オペラで鍛えられていますからね(笑)。オペラの上演って、短いものは2時間超くらいで、だいたい長めの映画一本程度ですが、長いものだと5~6時間あって、それこそ、映画を3~4本、ハシゴで見るようなものです。日頃から、その手のもので鍛えられていますから、5時間のコンサートでも、元気で聞けるんです(笑)。
>アマチュアの方たちの発表会は、いろいろな選曲があって楽しそうですね。
アマチュア歌手は、常に全力ですから、コンサートにユルミが無いんですね。プロの方は、緩急取り揃えてきますが、アマチュアは急急ですから(笑)。そこがまた楽しいんですよ。
>私も、機会があればどこか行ってみたいなと思いました。
私は市の広報とか、市民会館の上演予定などをチェックしてます。意外な時期に、知らない団体が発表会や演奏会をしていて、案外、めっけものですよ。