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2012年 ラ・フォル・ジュルネに行ってきたよ その9…今年の総括

 おやつを食べたら、ちょっと元気が出てきましたので、今年のラ・フォル・ジュルネの(私にとっての)最後のコンサートに臨みました。

打楽器アンサンブル

 最後は…打楽器アンサンブルのPPP[Percussion Performance Players]さんのステージです。実は最初、私はこのグループのコンサートを避けたのですが、その理由は…私、大きな音が苦手なんです。それと衝撃的な音(つまり太鼓の音)も苦手。なので、打楽器アンサンブルって、今までも色々と聞いてきましたが、やはり、どの団体も苦手なんですよ。はっきり言って、あんまり大きな音を聞き続けていると、気分が悪くなるんです。だから、打楽器アンサンブルの団体のコンサートと聞いて、避けていたのですが、マトリョミンの電磁波に当たったので、たとえ打楽器アンサンブルであっても、口直しになるなら、それはそれで良いのではないかと思って、思い切って、聞いてみることにしました。

 もちろん、座席は、中央、やや後方の席をゲットしました。

 ふと、周りを見回すと、展示ホールもだいぶ寂しい感じになっていました。そりゃあ、最終日の夜だもんね。展示ホールの周囲にある企業ブースさんも片づけ始めています。最後にお土産を買おうと思っていた、島村楽器などは、すでに片づけが終了していました。そう言えば、昨年も最後にお土産を島村楽器で買おうと思っていたら、私たちが行った時には、すでにお店は終わっちゃっていて、島村さんでは買い物できなかったんだよね。一年前の経験が、全然身になっていない私でした。ああ、島村で買い物がしたい~。

 やがて、PPPのメンバーがステージに現れました。若くて元気のよさそうな若者、男性3名、女性2名のグループでした。

カバレフスキー:道化師のギャロップ
リムスキー=コルサコフ:くまんばちの飛行
PPP:What’s up
PPP:Steps
PPP:PPPの大運動会

 このグループのステージは、見てて良かったです。実に素晴らしかったです。まるで、オモチャ箱を引っくり返したような、楽しいステージでした。演奏をしながら、ギャグやコントを入れてきます。やっている事は…なんとなく…ブルーマンたちに通じるモノがあるかな? とにかく、すっごく楽しいステージです。

 それにしても、あんなにコントを入れて、ハチャメチャな事をやっているにも関わらず、演奏は半端なく上手なのはなぜ?

 彼らは元々は、同じ音大のパーカッション仲間なんだそうです。その仲間同士でグループを結成して活躍しているのだそうです。ちゃんとした音大卒のミュージシャンたちなんだ。本来ならば、オーケストラあたりでパーカッションをやっているような人たちなんだ。そりゃあ、道理で上手なはずです。その技術の根底には、クラシック音楽の基礎があるわけじゃない。

 しかし、音大を出たからと言って、みんながみんなオーケストラ団員になれるわけじゃないし、ソリストになれるわけじゃない。まして、担当楽器がパーカッションという少数民族ならば、クラシック系音楽で生活を成り立たせるのは困難でしょうね。でも、そこで腐らずに、自分たちでこうやってグループを作って活動しているんだから、この人たちはすごいし、バイタリティーがある。

 笑いと音楽の融合って…クチで言えても、なかなかうまくできないものですが、この人たちは、この人たちなりにそれをやって、こうやって一つの形にしているわけで…ううむ、あなどれないぞ、PPP。

 それにしても、このグループのステージを最後に見れて、本当に良かった。「音が大きそう…」と言って、敬遠しないで良かった。終わりよければ、すべて良しだね。
 
 
 このグループのステージが終わったところで、会場に『蛍の光』が流れました。ああ、今年のラ・フォル・ジュルネも終わりだね。以前は、最後の最後に、音楽監督のルネ・マルタン氏が現れて、次年度のテーマ発表をしていたのだけれど、それもいつのまにか無くなってしまいました。ちょっと寂しいです。
 
 
来年のテーマ

 ちなみに、来年のラ・フォル・ジュルネのテーマは、まだ未定らしいですが、どうやらフランス音楽を取り上げる予定になっているそうです。ビゼーからピエール・ブーレーズまでと言うわけで、ロマン派以降のフランス音楽って事になりそうです。

 近代フランス音楽には、美しいフルート曲がたくさんありますので、来年はフルート曲がたくさん聞けるかな? ちょっと期待してもいいのかな?
 
 
私なりの、今年の総括

 さて、今年のラ・フォル・ジュルネの出足はどうだったのでしょうか? 私の感覚では、初日はスカスカで、最終日は混雑って印象です。まあ、この手の事は、印象だけで話していけませんから、数字を出しましょう。

開催年/開催日数(テーマ作曲家)…来場者数・公演数・有料公演チケット販売数

2005年/3日間(ベートーヴェン)…32万人・209公演・12万枚
2006年/4日間(モーツァルト)…70万人・377公演・16万枚
2007年/5日間(国民楽派)…106万人・473公演・20万枚
2008年/5日間(シューベルト)…100万人・529公演・18万枚
2009年/3日間(バッハ)…71万人・419公演・14万枚
2010年/3日間(ショパン)…81万人・358公演・14万枚
2011年/3日間(後期ロマン派)…22万人・274公演・5万枚
2012年/3日間(ロシア音楽)…46万人・351公演・12万枚

 2011年は東日本大震災の年ですから、開催できただけでもOKな年なので、ここはあまり勘定に入れなくていいと思います。

 日本におけるラ・フォル・ジュルネのピークは2007年であった…と言えるかもしれません。この年まで規模拡大され、この年以降、少しずつしぼんできたって感じでしょうか?

 ちなみに、テレビドラマ「のだめカンタービレ」は2006年秋のドラマです。つまり、2007年は、ラ・フォル・ジュルネの全盛期であると同時に、のだめブームの年であったわけです。のだめブームは、ドラマ開始の2006年秋~映画完結編の2010春までと考えられます。2011年は大震災で、人々の気持ちも含めて、色々なものがリセットされました。それらを踏まえての今年2012年の46万人/12万枚を、どう捉えるかって事でしょうね。

 おそらく、主催者的には、2010年のショパンの時と同じ規模を想定していたのかもしれません。それは、公演数を見て、そう思われます。しかし、2010年と同じ規模で開催したにも関わらず、人出は81万人から46万人へと、ほぼ半減。当然、グッズなどの売り上げも半減でしょうし、周辺地域に落とすお金だって半減した事でしょう。また、販売チケット枚数だって、14万枚から12万枚へと、2万枚(15%)減です。チケット1枚2000円とすると4億円の減収です。主催者にとって、これはかなりの痛手でしょうね。

 のだめブーム&クラシック音楽ブームという、一時的なブームが終わり、ラ・フォル・ジュルネというイベントの実力が試されている時期なのかな? 今までは、ブームの後押しもあったので、どんな作曲家でも、どんな演奏者でも、お客は集まったのかもしれないけれど、これからはどうなんだろ?

 だいたい、クラシック音楽ファンって、ディープな人はもちろんだけれど、ライトな人だって、結構、こだわりがあったりするわけでしょ。テーマ作曲家で集客力って、かなり変わるんじゃないかな? はっきり言っちゃえば、今年のロシア音楽というテーマは、なかなか興味をひきづらいでしょう。普通の日本のライトなクラシックファンは、ロシア音楽なんて、あんまり知らないもの。そういう意味では、来年のフランス音楽は、今年以上に苦戦するかもね。

 それと、演奏家の集客力って影響あると思います。具体的な名前は出さないけれど、数年までレギュラーで来ていた大物たちの数名が、今年は来ていないでしょ? 原発事故のせいだろうけれど、やはり演奏者でチケットの購入を考えるという部分があるわけだから、海外大物アーティストさんの不参加は、チケット売り上げの影響力大でしょう。

 あと、やっぱり宣伝不足は否めないかな? テレビなどで取り上げると、人が集まるってのは、それまでの宣伝が不足していたからって事だと思います。

 それと、クラシック系の音楽イベントと言うのは、チケット収入だけでは成り立ちません。ラ・フォル・ジュルネに限らず、チケット収入だけでは、ほとんどの音楽イベントって大赤字なんです。実は、様々な団体から、補助金や援助金や献金などを集めて、それでどうにかイベントが成り立っていると言うのが、日本の音楽イベントの現状。おそらく、ラ・フォル・ジュルネもそうでしょう。

 そう考えると、展示ホールでブースを出してくれる企業さんが、年を追うごとに激減しているという事実は、厳しいですね。ラ・フォル・ジュルネを応援してくれる企業さんが減っている、って考えられます。

 集客力が落ち、チケットの売り上げが落ち、企業の援助が減ってくると、ラ・フォル・ジュルネの継続って、厳しいでしょうね。

 しかし、集客力が落ちたと言っても、それでも40万人以上のクラシックファンを集める力はあるわけです。これってスゴくない?

 ちょっとググってみました。人をたくさん集めるクラシック音楽系のイベントとして有名らしいイベントとして『仙台クラシックフェスティバル』と言うのが、あるそうです。で、そこが集客力が3万人程度だそうです。また、すごく人を集めるというイメージがある、ロック系の野外イベント、例えばフジロックあたりの集客力が11万人程度です。ま、私の知らない/気付かないイベントもたくさんあるでしょうが、それらのイベントと比べても、ラ・フォル・ジュルネの集客力って、すごくない? でしょ、でしょ?

 そうなると、たとえ赤字であっても、簡単にやめられなくなりますね。何とか、資金を集めて継続してゆきたいのが、人の情というものです。

 ラ・フォル・ジュルネでは、来年以降は、個人協賛(つまり個人サポーター)も考えているようです。企業ばかりに頼っていたら、すでに継続が難しいのかもしれません。

 もしも、個人サポーター制度が発足したら、私も微々たる援助はしていきたいと思ってます。だって、毎年、楽しませてもらっていますから。でも、多額の寄附はできないよ。そういう意味で、うまい落としどころを考えてもらいたいなあ。
 
 
 『楽しませてもらっている』と言うと、私のラ・フォル・ジュルネ通いも長くなりました。最初のベートーヴェンの年は、全く情報が無くて、ラ・フォル・ジュルネの存在自体に気づきませんでしたが、次のモーツァルトの年は、NHKテレビの中継で、その存在を知り、その翌年の国民楽派の時に、試しにほんの1日だけ参加してみたら(それも昼間の一番良い時間は、東京タワー見物に行っちゃいました:笑)、すごく楽しかったんです。それで、4年目のシューベルトの時から、本格参戦を始め、今に至るわけです。毎年毎年、色々な思い出を重ねてきました。今年はさしずめ「腰痛とひざ痛」の年かな(笑)。

 それにしても、ラ・フォル・ジュルネで、今まで知らなかったミュージシャンたちを知る事ができましたし、その幾人かのファンになりました。今まで聞いた事のない曲も好きになったし、CDだけで聞いていた時は?と思っていた曲が好きになったりもしました。ラ・フォル・ジュルネのおかげで、私の音楽人生は、確実に豊かになりました。ラ・フォル・ジュルネ、ありがとう。

 そして、私にとって、ラ・フォル・ジュルネは、すっかり年中行事になっています。もはや、GWの季語みたいなものだね、ラ・フォル・ジュルネって。

 ぜひ、来年も頑張って開催してもらいたいものです。このラ・フォル・ジュルネがなかったら、たぶん私は、フルート始めてなかったと思うし…。そういう意味でも、大恩人なんですよ、ラ・フォル・ジュルネって。

 今年も、長い長い連載にお付き合いくださり、感謝感謝です。

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