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メトのライブビューイングで「ジークフリート」を見てきました

 メトで昨年から行われている『ニーベルングの指輪』のチクルスの第三弾である『ジークフリート』をライブビューイングで見てきました。今回は、ブログが忙しくて、記事のアップが遅れてしまって申し訳なかったです。大半の映画館での上映は本日までなので、御覧になりたい方は急いでください。また、横浜は1/21(土)~27(金)に、神戸と広島は2/25(土)~3/2(金)にやるそうですから、今回見逃してしまったという方は、そちらから、これから見れますので、よろしく。

 さて『ジークフリート』ですが、実は私、見る前は、そんなに期待してなかったのです。指輪四部作の中で『ジークフリート』って作品は、今一つパッとしない印象があるし、今回のメトのは、主役のテノールが降板に次ぐ降板で、結局アンダーの人(はっきり言うと、ペーペー)がジークフリート役になったと事前に聞いていたので「大丈夫なの~」って、正直思ってました。それに、あの演出でしょ。ワルキューレでは悪くなかったけれど、次はどうなの?って不安に思ってましたし…。そんなわけで「“ジークフリート”見ておかないと“神々の黄昏”が見れないからな~」というノリで『ジークフリート』を見てきた私です。

 いやいやいや~、驚いた。ジークフリートを歌ったジェイ・ハンター・モリスというテノール、いいわー。素晴らしいですよ。こんな歌手が、まだこの世に埋もれていたんだねー。実に素晴らしい歌手でした。美声だし、イケメンだし、白人だし、タフだし…まさにジークフリートそのものって感じの歌手でした。いいわ、この人。

 とにかく、5時間以上にも及ぶ、長い長いオペラを最初から最後まで、失速せずにきちんと歌いきっただけでも素晴らしい。それだけでも素晴らしいのに、身震いするほどの美声なんですよ。だいたいジークフリートを歌う歌手って、タフさが売りの歌手が多くて、パワーはあるけれど、声の美しさは???って人が多い中、タフさと美声が両立しているなんて、実に素晴らしいです。ただ、あまりに声が美しすぎて、劇場で聞いた時に迫力不足と感じられるのではないかしらと、ちょっと心配しました。それくらいキレイな声なんです。

 美声であるのはモリス自身、意識していると言うか、パワーを捨てて美しさを優先する歌い方をしていると、インタビューで言ってたほど、美声にこだわっているようです。ビバ!美声!

 今回のメトは、ヴォータン役のターフェルと言い、ブリュンヒルデ役のヴォイドといい、メトはパワー系ではなく、美声系の歌手を揃えて、指輪を上演するつもり…のようです。こういう美声系のワーグナーがこれからのトレンドになるのでしょうか?

 ま、とにかく、モリスというテノールはいいですよ。メトの次の「神々の黄昏」でもジークフリートは彼が歌うことになったそうです。メトは実にいい歌手を見つけました。なんでも、モリスは最近まで、地方のオペラ劇場で歌いながら、バイト生活をしていたそうで、それがいきなりのメトの大舞台でしょ。ほんと、シンデレラ・ボーイだよね。この人のジークフリートもいいけれど、イタリアものも聞いてみたいなあ。プッチーニなんて、いいんじゃないかな?

 さて、例の舞台装置というか、マシンですが、演出方法がこなれてきたというか、今回は前回以上に、効果的で良い演出だったと思います。正直『ラインの黄金』の時は???と思った舞台装置でしたが、今回は“good job”ですよ。先進性と伝統性が適度に調和していて、よかったです。次の『神々の黄昏』の演出が期待できます。

 演出というと、今回のヴォータンと言うか、さすらい人は眼帯をしていませんでした。その代わり、左目に黒いカラーコンタクトを入れ、目の周囲を真っ黒に塗りつぶしていました。あれは“目がつぶれている”という表現だったのかな? 舞台全体が暗いし、彼は顔の彫が深いので、最初は単に陰になっているだけ…とか思ってしまいました。ちょっと分かりづらい化粧ですね。

 そうそう、今回は“森の小鳥”が大活躍でした。3Dキャラとして舞台に初登場です。やはり姿が見えると見えないでは、オペラの中でも印象がだいぶ違いますね。また“森の小鳥”の歌手(モイツァ・エルドマン)がカーテンコールに現れた(幕間のインタービューにも答えていたよ)で、ちょっとビックリかな? 今まで私が見た『ジークフリート』だと“森の小鳥”役の人は、衣装を着ていないという事もあってか、カーテンコールに出てこないものだったから。

 今回の演出はおおむね良いのですが、一つだけ私の趣味に合わなかったのは、大蛇のハリボテ。なんか、このハリボテだけが美術的に異質な感じがして、イヤでした。ま、このハリボテと言うか大蛇は、ジークフリートに退治されたら、早々にファフナーの姿に戻って、ファフナー役の人が演技をしていましたので、まあ良しって感じでしたが、大蛇とジークフリートの死闘のシーンなんて、ハリボテがあまりにアレだったから、私はシラけちゃいましたよ。

 それにしても、今回のオペラの第一幕で、ジークフリートとミーメの言い争いを見ていると、ついついミーメ視線になってしまい、ミーメに肩入れしてしまう自分を発見。それどころが、オペラ全編を通して、ジークフリートに肩入れできませんでした。私が肩入れしてしまうのは、ミーメだったり、ヴォータンだったり、ブリュンヒルデだったりします。もはや、ジークフリートのような若者なんて、私にとっては、絶対他者になってしまったのでしょうか? ああ、私も年を取ったな~って思ってしまいました

 その他の事についても、ちょっと触れておくと…アルベリヒを歌ったエリック・オーウェンズって歌声だけでなく、普段の話し声も深くて響き豊かな人でした。指揮者がレヴァインからルイージに交代してました。おそらく、このまま、なし崩し的に、メトのオケはレヴァインから、ルイージに譲り渡されるのでしょうね。ルイージはレヴァインほどのカリスマ性はないかもしれませんが、オペラ劇場では歌手が主役なんですから、指揮者は彼ぐらい地味な方がよいかも。しかし、約5時間半の上映時間は、長いね(笑)。普通の映画なら三本立てに相当する時間だよ。午前中に映画館に入ったのに、終わって出てきたら、もう夕方でした。ほんと、ライヴビューイングを見るのも、一日仕事だね。

コメント

  1. BEE より:

    立ち姿、まず1分からやってみましょう。
    って私か。(^^;)

    ジークフリート観に行かれたんですね。
    唯一行けそうだった日に風邪を引きかけてあきらめました。
    でもすとんさんの記事によると1月に横浜でやるとか!!
    いきたーい。
    だってどう考えてもこれを見ないことには「黄昏」観れないっすよね?
    頑張りまーす。
    横浜情報、ありがとうございました。(^o^)/

  2. すとん より:

    BEEさん

     さっそく立ち姿、やってみました。運悪く、始めた途端に上司がやってきて「何やってんの?」って尋ねられちゃいました。普段は私の部屋には来ないんですが…なぜか今日はたまたま?やってきて目撃されちゃいました。もちろん「いや~、座りっぱなしなんで、たまにはきちんと立ってみようかな~なんて思いましてね~」と冗談なんだか真面目なんだか分からない返答しちゃいました。

     とにかく、毎日、立ち姿やってみますよ。部屋の壁と仲良しにならないと…。

    >だってどう考えてもこれを見ないことには「黄昏」観れないっすよね?

     観れない観れない、そりゃあマズイよ。見逃せないって。それに、そういうのを抜きにしても、ジークフリートやっているモリスが本当にいいんですよ。カッコいいよォ~、美声なイケメンだよぉ~。

     横浜の映画館は、みなとみらい線の新高島駅の臨港口だと目の前になります…が、私は普段、JR横浜駅東口からテクテク歩いてます(ちょっと距離があります)。映画館のすぐそばにはコンビニもあるので、なんか買い込んで行くといいです(ジークフリートは長いからねえ…)。

  3. グレッチェン より:

    ワグナーは 歌う方も観る方もタフじゃないといけませんわね[E:coldsweats02] 初デートはワルキューレだったのですよー お互い重くて一度で終わり[E:heart03] 今だったらデートにはワグナーはお薦めしませんね

  4. すとん より:

    グレッチェンさん

     デートにワルキューレ? それは何かの罰ゲームですか? ありえないわー。映画みたいに2時間程度で済むならともかく、ワルキューレ? 6時間近くかかるじゃない? それに安くないし、オペラ終わったら、バタンキューだよ。

     でも、思い出としては、最高かもね。きっと歌好きなグレッチェンさんのために、きっと彼氏はすごく気を使ってチェイスしてくれたんでしょうが…『生兵法怪我の元』になっちゃったんだね、残念。

     ワーグナーはデートどころか、並の音楽ファンにも薦められないわ~、ワーグナーの毒が楽しめるようになるには、それなりの修行が必要ですから(笑)。

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