理想を求めるためには、まず、自分の中に理想像がなければいけません。目指すべきモノのイメージがはっきりしていなければ、それを目指す事は無理です。
私が理想とする美声とは、どんな声なのか、考えてみました。
以前は「とにかくデカい声」が理想でした。生声でホール全体に力強く響き渡る声こそが理想でした。だってカッコいいじゃない? それに歌なんて、聞こえなきゃ意味ないしね。
むろん小さすぎる声はダメだと、今でも思っているけれど、無駄に大きければ良いとは思っていません。いやむしろ、声に大きさという要素を考えなくなりました。
だって人間だもの。生物学的な限界ってあるでしょ? 大きい声と言っても限界はあるのです。それに今はP.A.システム(いわゆるマイク)もあるし、どうしても大声が必要なら、マイクを使えばいいだけだもの。だから、大声を理想とするのは止めました。
次に理想にしたのは、憧れのドミンゴやモナコのような重いテノールの声です。重い声って男らしくてカッコいいからね。でも、それはあまりに私の地声とは違う声なので、やがて諦めざるを得ませんでした。あまりに違うモノを追い求めても仕方ないのです。
次に理想にしたのは、私の声質に近い、軽やかな高音を持つ声です。ま、ベルカントテノールの声ですね。ある意味、今でも理想の声なのだけれど、私の目標にするには、かなり高めの目的なんですよね。いくら私の声が軽くて細いとは言え、ベルカントテノールに遠く及びません。目指してはいても、なかなかあんな運動性は得られないし、あそこまでの高音は出せません。
理想が憧れのままなんて…人生がまだまだ長い若者ならともかく、もうすぐ死んじゃうジイさんが目指す理想ではありません。
そこで考えたのは…私が目指せる、ちょい難な声を理想とする事です。具体的には、まずは穏やかな声である事。聞き苦しくなく、安心して聞くことができる癒やし系の声です。そのためには脱力したまま発声できる事が肝心です。
そして美しい声である事。この場合の美しいは、医学的に健康な声であると、ほぼ同義です。しわがれていない声で、霞みのない声、若々しくて張りのある声。要は、高めのイケメンヴォイスです。アニメの少年主人公のような声です。だってテノールって王子様の声だから、アニメで言えば少年主人公を目指すべきなんですよ。…たとえ私がジジイであっても(笑)。
高声を出せるに越したことはないけれど、無理なら諦めます。高音を発声するには筋肉が必要だけれど、もはや筋肉を育てられるほど人生が残っているわけではないからね。今ある筋肉で、できるところまでを目指します。
そんなわけで、理想の声は、穏やかで美しくて大きな声なのです。
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