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外山浩爾さんの講評から

 先日、地元の合唱祭がありました。私は仕事の都合で、終わり近くにやっと会場入りをしました。観客としてこの合唱祭に参加するのは、実は始めてです(いつもは出演者だったり、スタッフだったりです)。

 今年の審査員は外山浩爾(とやま・こうじ、聖徳大学教授・声楽家[バリトン]・合唱指揮者)さんでした。合唱祭が終わり、最後に審査員として外山さんが講評をなさいましたが、その内容が興味深かったので、要点を私がまとめて書いてみたいと思います。聞き書きですので、内容が違っていたらごめんなさい。文責はすとんにあります(笑)。

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 まず、合唱団の力の差は発声の差にあり。上手な団は発声がしっかりしているが、そうでないところはまず発声からきちんと訓練した方が良い。発声の差が演奏の差となる。

 最初から響きのある声を出そう。音の最初をソロソロと出して、これでいいかな?って思うのでしょう。最初弱くて途中から「うわー」と声を押して大きな音にするのは、ダメ。音の出だしだけを強めにし、あとは響きのある声で歌う。fp(フォルテ・ピアノ)やsf(スフォルツァンド)ってそういうことでしょう。イタリア人はみんなそういう風に歌います。途中から声を押すのは日本人の悪い癖です。やめましょう。

 日本語の歌を歌っている団が多かったけれど、「ん」はしっかりと口を開けて音を出すように。口を閉じて「ん」を歌っている団があったけれど、「ん」にも音符が割り振られているのです。作曲家の意図を理解し、きちんと音を載せて「ん」を歌ってください。そのためも、しっかり口を開いて「ん」を歌ってください。

 昔の指導者はアゴを下げて口を開きなさいと注意していましたが、口を開くにしても、下アゴは下げずに、逆に上アゴを開けるようにして口を開くのが現代的で良い方法です。多くの団でできていますが、まだの団もありますので、注意してください。下アゴを下げると、自分のアゴで、喉が押さえられてしまいます。これではダメです。

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 こんな感じでしょうか? 実際には多くの実演を交えながら、ユーモラスな口調で講評されていましたが、どうも私の筆力の不足のため、こんな感じでしか書けません、勘弁してください。

 この講評に対する私の感想。

 まず「力の差は発声の差」というのは、ある一定以上の水準に達している場合は正解だと思う。でも、その一定以上の水準に達していない団がたくさんあるのが、アマチュア団体の実態。実際、地元の合唱団は、コンクール上位常連の本当にうまい人たちから、どんな音楽も現代音楽として歌ってしまう団まで色々あるのだ。

 「最初から響きのある声で」というのは、始めて聞いたことだけど、分かる気がします。合唱に限らず、アンサンブルの時、出だしってなんか様子見って部分ありますよね。その事を含めて注意されたのだと思います。あと、子音を立てて歌うと外山さんのおっしゃる通りになる気がします。

 「ん」はどの指導者も言いますね。でも必ず口を閉じる人がいる。ウチの地元のコーラス人にはたくさんいる。かく言う私もそのタイプ。最近は気をつけていますが、それでもなんかイヤなのね、「ん」を口を開いて歌うのって。で、口を閉じて「ん」歌っちゃうわけだけれど、それじゃ「ん」じゃなく「むぅむ」って感じになり、正しい「ん」にはなりません。なぜかな? 日本語の発音自体が変わってきているのか、たんなる方言音なのか? どうなんでしょ??

 「アゴを上に」ってのは、初めて聴きましたし「え?」って感じなんだけれど、これって現代的なの? これだと上を見て歌うことになるよね。キング先生は「目線はやや下に」っていつもおっしゃっているんだけどナ。ちょっと違う感じがする。どうなんだろ? 流派の違いかな? ま、私はキング先生の教えの通りにやっていきたいと思ってますけれど。

 日頃、交流のない先生のお話って、結構面白いなあと思います。へえ~、そんなところに気をつけるんだあ…って思うのです。

コメント

  1. Cecilia より:

    はい。
    一定以上の水準に達していない合唱団に所属しております。
    (でも皆の意識では市内では一番の合唱団)
    合唱祭でも聴いていて満足できないところばかりです。
    お年を召した方も多いし・・・なかなか難しいところです。
    これで県の合唱祭に行った時、私はわかっていたけれど愕然としましたよ。
    やはり発声ですよね。
    譜読みに時間がかかるので発声まで行き届かないのですが、そこらへん工夫してどうにかすべきだと思うのですね。
    私は今休会中ですが、近隣にそれなりのところもないし、ここでやっていくのでしょうけれど・・・続けたら役が回ってくるし、コーラスに満足できるわけではないし・・・なんとなく負担感のほうが大きいです。
    おまけに気も使う!
    良い方も多いのですけれど。

  2. tico より:

    >「ん」を口を開いて歌うのって。

    これに関連するかどうかわかりませんが、声楽を習って2ヶ月以内のことですが、声を響かせるポイントの説明の時に「ハミングをした状態で口だけ開ける」というのがありました。ノドの状態はハミングのままキープ。私は何も考えずにやると、「なかなか出来る人いないのですよ!」って驚かれてしまい、かえって私が驚きました。ということで、ハミングの延長で発声をすべてやることの一番重要な現象(?)が「ん」で口を開くってとこかなあと、読みながら思いました。「ん」でポイントが落ちると次にいいポイントに当てられないと、今の先生にもよく注意を受けています。

  3. すとん より:

    >Ceciliaさん

    合唱は一人の力ではどうにもならないところがあり、そこが楽しく、またそこが歯がゆいところでもあります。

    普通のアマチュア合唱団の場合、練習が歌中心になり、どうしても発声まで手が回らないところが多いですよね。それはスポーツで言えば、ゲームばかりして、肝心の筋トレや走り込みを避けているのと同じ構造だと思います。

    私が思うに、発声をきちんとやれるようになれば、おのずと「一定以上の水準」の合唱団になれるのではないかと思うのですが、やはり当人たちの意識の問題でしょうね。

  4. すとん より:

    >ticoさん

    ハ、ハミング…! 実は私、「ん」以外にハミングも鬼門だったりします。私の場合、根本の欠点に鼻声がありまして(この件については、いづれ記事で書くつもりですが)、マ行・ナ行・ん・ハミングの四部門に苦手意識をもっております。

    ハミングがスっとできる人って、うらやましいです。

  5. Cecilia より:

    私もハミング苦手です・・・。

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