スポンサーリンク

私は厚生年金なのですよ

 声楽のレッスンに行ってきました。夏の間、罹患していた風邪からようやく回復してきました…とは言っても、まだ完全回復ではなく、多少はノドの不調が残っている感じです。ううむ、長かかったなあ、今回の風邪は50日近くも苦しんだんだよ。これ、コロナよりも、ある意味、たちが悪いと思うよ。

 それは置いておいて、久しぶりにエンジン全開でレッスンを受けてきました。元気にレッスンを受けられる、幸せを感じてます。

 レッスン前に先生と雑談として、年金問題の話をしました。日本の音楽家たちは、先生業等をやっている一部の方を除いて、その多くは基本的に個人事業主なので、国民年金だけの人が大半です。国民年金だけで老後の生活を支えるのは無理で、つまり一生働き詰めが運命づけられているわけです。だからこそ、若い時にババっと売れまくって一財産を作る必要があります。フルートのH先生なんかは、そのパターンで、若い時にガンガン働いて財産を作って、その余力で悠々自適の半分リタイヤ生活を暮らしているわけですが、すべての音楽家がそんなわけにはいきません。

 声楽のY先生は、今や中堅声楽家で、音楽の仕事だけで暮らしているプロの音楽家ですので、現在ガンガン働いている最中なのですが、そのY先生曰く「イタリアの音楽家が羨ましい」のだそうです。聞けば、イタリアには音楽家年金があって、ある一定期間、プロの音楽家として働いた人には、手厚い年金がもらえるんだそうです(ちなみに、この仕組みを作ったのは、作曲家であり国会議員でもあった、ヴェルディです)。確かに、日本にもそういう音楽家年金があったら、救われる音楽家がたくさんいるでしょうね。私自身は厚生年金なので、あともう少しだけ働いたら、カツカツだろうけれど、年金生活に入るつもりですが、これが国民年金だけなら、とてもそんな事は言ってられないだろうからね。

 さて、久しぶりにきちんと発声練習をしました。健康を感じるってのは良いね。病気になって初めて実感する健康のありがたみです。ちなみに、ずっと風邪をひいて調子が悪かったので、むしろ声帯は使い減りもなく、いい感じだそうです。

 さっそくドニゼッティの「Spirto gentil/優しい魂よ」を歌います。ポイントは、声を自分の眼の前(だいたい30cmぐらい前)から出すようにすると楽に歌えると言われました。今の私は、モロにノドから声が出ています。いわば「声が張り付いている」感じなんです。そうではなく、声をカラダから話して発声すると良いのです。なんともオカルトな表現ですが、言わんとすることは分かります。ただ、分かっても出来ないだけなのです(だいぶ悲しい)。

 何度も何度も注意されていますが、クチは縦開きが基本だし、しっかり腹筋を使って発声しないといけないし、特に高音はたくさん息を吐いて、その息の勢いで上アゴを開いていかないといけません。

 力みは厳禁。大声も禁止。無意識だけれど、ついつい大きな声で歌おうとしがちだけれど、大きな声を出すと、ついつい力んでしまいます。本来は力まないで遠鳴りの声で歌えるのがベストだけれど…それがなかなか難しくて、無意識に力んでしまい、ノドが疲れてしまうんだよなあ。

 High-Cはやはり難しいです。なんとか声を引っ掛けて出せればいいのだけれど、曲の終盤近くなので、声のスタミナが切れているのが悩みです。声が元気なら、High-Cも、ほんの一瞬くらいなら、何とかならないでもないのですが、スタミナ切れの状態では、それも無理ゲーです。やはりHigh-C回避が正解かな?

 カデンツァの高いHには、最初からこだわるつもりはありません。いや、出せれば良いのだけれど、所詮カデンツァですから、どう歌おうと私の勝手であり自由なので、その時の自分なりのカデンツァが歌えれば、それでいいやと割り切ろうと思ってます。それに、Hは無理だけれど、それなりに高い音を出せば、カデンツァ的にはOKだしね。

 ブッツィ=ペッチャの「Lorita/ロリータ」は、やはり難しいです。常に上昇フレーズの時は、ノドを開いて響きを上げていくことを癖にしていかないと難しいです。ほんと、この歌曲は、なまじのアリアより難しいと思いますよ。

 発表会まで、あと一ヶ月もありません。私の準備(主に練習量)は大いに不足していますが、それを嘆いても仕方ありません。今の私の最善を尽くすだけです。久しぶりに鉄火場に臨むような心境になっている私です。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村 クラシックブログ 声楽へ
にほんブログ村

コメント

  1. tetsu より:

    > 音楽家年金

    かみさんに誘われて、映画館で見ました(映画館でみた直近かも!?)。

    カルテット! 人生のオペラハウス
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%88!_%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9

    ジュゼッペ・ヴェルディの「音楽家のための憩いの家」(英語“Casa di Riposo per Musicisti”)をモデルにしています。

    こちらはすでに厚生年金生活です。
    一番最初の入社時「給料は拘束された料金とおもったら」と言われて、仕事は惰性か「下部構造は上部構造を規定する」の呪文のせいか続けてしまいました。
    今は母の介護で、掃除、ゴミ捨て、洗濯その他ありますが、「恍惚の人」の時代と全く変わって、ビックリです。
    高分子吸水材がとんでもなく優れもので感動的です。
    以前の年下のケアマネさんは「恍惚の人」知らなくて、こちらがビックリでした。

    失礼しました。

  2. すとん すとん より:

    tetsuさん

     この映画は映画館で見た記憶があります。イタリアの音楽家は年金がもらえるだけでなく、音楽家専用の老人ホームもあるわけで、その業界から国会議員を出すことは大切な事なんだなって思います。日本の音楽業界も、国会議員を出すようになれば、あれこれ色々良くなるのではないかと、勝手に考えていた時期もあります。

     まあ、正直な話、どんな業界であれ、政治家と癒着しておく事は大切な事なんだよね。
     私は「恍惚の人」は言葉だけ知っていて、小説も映画もテレビドラマも見ていません。別に避けているわけではないのだけれど、何となくチャンスが無かったんです。チャンスがあれば、森繁の映画で見たい気がしますが…アマプラやディズニープラスにはないんだよなあ(私が加入している配信サービスはこの2つです)。

     あ、「黒部の太陽」はアマプラに有ったので、先日見ました。

タイトルとURLをコピーしました