スポンサーリンク

「なんちゃってジャズ講座」に行ってきました

 ヴァイオリンのレッスンの時に、ヒイロ先生に「今日は、笛先生主催の『なんちゃってジャズ講座』があるんだよ。おもしろそうだから、ぜひ行くといいよ。私も助手として参加するからサぁ~」と教えてもらったので、さっそく行きました。会場は我が家の近所のジャズバー。当然、テクテクと歩いて行きました。ヒイロ先生からは「ヴァイオリンを持ってくるといいよ」と言われてましたが…フルートを持っていきました(笑)。楽器を持たずに参加という選択肢がないなら、やはりここは、ヴァイオリンではなくフルートを持参した方が何かと良いでしょう。なにしろ、ヴァイオリンでは、音階すらまともに弾けないんですから。

 さて、笛先生主催の「なんちゃってジャズ講座」ですが、これはジャズ初心者向けの「ジャズって何?」という講座…というか、ワークショップでした。そこで私なりに学んだことを書きます。まず…

1)止めない、辞めない、止まらない

 まず、ジャズに一番必要なのは“持久力”なんだそうです。とにかくジャズは一曲一曲が長いし、セッションし始めると、とかくエンドレスになりがちなので、なによりも必要なのが“持久力”なんだそうです。なので、参加者全員(先生一人、助手二人、生徒五人、ママ一人)で、エンドレスにピアノをリレーしながら弾いていくという事をしました。

 弾くと言っても、生徒さんはピアノが弾けない人ばかり(ヴァイオリニストが二人、ヴォーカリストが二人、フルーティストが一人。私は当然フルーティストとして参加です)なので、ごくごく簡単に、C[ベース]-C[コード]-C[ベース]-C[コード] / G[ベース]-G[コード]-G[ベース]-G[コード]/ を延々と繰り返すだけ。もちろん、ベースは左手で、コードは右手で演奏です。

 会場には60の速さでメトロノームを鳴らしますので、その音を裏拍に感じてピアノを弾きます。ピアノの演奏は、適当に納得したら次の人と交代します。その交代の時に、音楽を止めないように、うまくリレーをするのが肝心なのです。それと、ピアノを弾いていない人は、手拍子でリズムをキープします。

 いやあ「音楽を止めない」は難しいですね。とにかく、何があっても音楽を止めない事が肝心なんですが…私、何度も止めてしまいました。リレー部分ではなく、一人で演奏していて(汗)。だって…ピアノに不慣れなので、弾きながら、リズムがドンドンずれてしまって、にっちもさっちも行かなくなるんだもの。でも、たとえ、どんな理由があっても、音楽を止めない事が最重要課題なんです。

 ちなみに私がなぜリズムがずれてしまうのか? 一つはピアノに集中していて、耳が十分に開いていないから。もう一つは、自分の体内のリズムでやっている(ここがすでにダメ)ので、何もトラブルがなければいいのですが、一瞬、コードを押さえ間違えるとか、ベースを間違えるとかすると、その一瞬だけリズムがズレて、それが重なると、段々と大きくズレてくるわけです。さらに、自分の叩くリズムの切れが悪く(本当に悪くて、実に気に入らないのですよ)色々と不満で、なんとかかっこいいリズムを叩き出そうと試行錯誤しているうちに、音が長くなったり短くなったりして、これもズレの原因となります。

 ちょっとのズレの段階で気がつけば、演奏しながら修正も可能ですが、その段階で気づかないと…音楽止めちゃいます。ああ、いけないいけない。

 それと、手拍子で上手にリズムを取る方法も教わったよ。いやあ、裏拍のリズムって簡単そうで意外と難しいのよ~。

 (ジャズ系の)裏拍の手拍子の、手を叩くタイミングなんだけれど、裏拍なので、当然2-4で叩くのだけれど、1-3はお休みではなく「手の甲で自分の隣の空気を叩く」くらいの気持ちでアクションでやるのがジャズ流というか、アメリカ~ンな手拍子なんですね。そういう気迫で手拍子をすると、かっこ良くウラで叩けるわけよ。対して日本式の手拍子は1-3で叩く上に、叩いた時に必ず“揉み手”が入り、リズムが粘ります。これはすごく、ジャポネスクな手拍子なので、ジャズでは禁則です。

 延々と、これをやって疲れたので、ちょっと休憩をいれて、次はCをC7にして再チャレンジです。C7にするとは、Cに7thの音を加えて、右手は四つの音を弾きましょうという事です。もちろん、それが難しい人は、適当に音を省いてもいいけれど、必ず7thの音は入れる事でやりました。私は…もちろん省きました。右手のルートを省いて、E・F・B♭でやりました。だって、左は必ずCを弾いているんだから、省いてもOKでしょ。

 ピアノマラソンをしながら、同時にアドリブマラソンもしました。そのアドリブとは、ヴォーカルアドリブで、ピアノを聞きながら、その傍らで思いついたメロディを歌っていくというアドリブです。順番的には、歌って、ピアノ弾いて、手拍子叩いて、歌って、ピアノ弾いて…という順番ですね。

 で、そのアドリブですが、まずは助手のヴォーカリストさんが雛型としてアドリブをしました。これが良かったのか悪かったのか、この最初のアドリブパターンから、結局、生徒のみなさんは、抜け出す事ができずに、その亜流ばかりを歌ってしまいました。

 本来ならば、ピアノを聞きながら、どれだけ自由にヴォーカルでアドリブができるか、そういうワークショップだったのですが、なかなか作られた枠の外に出るというのは、難しい事です。アドリブがバッキングに合わせると言うよりも、バッキングがアドリブ(つまりメロディ)に合わせてくるものだから、もっと自由にもっと逸脱しながらアドリブをした方がおもしろかったのだと思います。

 ちなみになぜヴォーカルでアドリブだったのかと言うと、それはおそらく、楽器の演奏技術に左右されずに、また楽器の違いを越えて、純粋にアドリブの勉強(アドリブ体験)をするためだったのだと思います。

 ま、とにかく、私たち生徒たちは、アドリブとは言え、なかなか枠から飛び出る事はできませんでしたが、さすがに、先生&助手のみなさんのアドリブはすごかったですね。アドリブって、演奏技術ではなく、ハートの問題なんだと言う事がよく分かりました。歌えない人は、楽器を持ったからと言って、アドリブができるようにはならないみたいですね。やはり、まずは歌でアドリブをできるようにし、次にその歌のように楽器でアドリブをする…というのが、正しい手順のようです。

 とにかく、歌だよ、歌。ジャズは歌なんだよ。

2)ブルースはエンドレス

 マラソン大会の次は、ブルースをやりました。それもロックブルースです。この日の昼間のヴァイオリンのレッスンで習ったアレです。でも、こっちの「なんちゃって講座」のブルースはもっと簡単な進行で…

 C7/C7/C7/C7 // F7/F7/C7/C7 //
 G7/G7/F7/F7//C7/C7/C7または単音Gの連打 /C7または単音Gの連打 //

 と言う、さらに簡単なバージョンでした。これでもちゃんとブルースに聞こえます。

 [追記]「なんちゃって~」でやったブルースは12小節ではなく16小節のブルースでしたので、上記のコード進行の一部を書き直しました。

 最後の小節の「C7または単音Gの連打」と言うのは、まだ曲を続けるなら「単音Gの連打」をし、これで曲を終えるなら「C7」にするという意味です。

 ピアノでやる時は、右手は小節の頭でバァーンと鳴らせば、それで良しです。それよりも大切なのは、左手で、符点のリズムで、CCGGAAGGなので「タンカ、タンカ、タンカ、タンカ~」って感じです。

Photo  ところでなんで、三拍目のベースはAなんだろ? 理屈で言えば、AじゃなくてBbなんだけどなー、分かんねーなー。

 さて、ブルースは12小節ですが、これは実は三人の奴隷の会話なんだそうです。

「なんか、この仕事、しんどくねー」
「んだんだ、本当に、しんどいなー」
「でも、あっちの仕事は、もっとしんどそーだよ」

 こんな感じの会話を音楽で延々と繰り返しているわけよ。なにせ、労働歌だから、働いている間中、ずっと歌っているわけで、だから、終わりがない。エンドレス。だから、いつまでもいつまでも演奏は続いてきます。そこがブルースの特徴なわけね。

 [追記]ブルースは三人の奴隷で話しているので、3×4の12小節が本来の姿ですが、ロックブルースはロックの寸法に合わせるために、三人目の奴隷が他の二人の倍の分量(8小節)語りますので、16小節になるそうです。

 ブルースは先生がピアノを弾いて、みんなで交代にアドリブをやっていきました。楽器の人は、ここから各自の楽器でアドリブです(私は当然フルートです)。とにかく、ブルースならば、ブルーノートで演奏すれば、難しい事はないと教わったばかりなので、ブルーノートで合わせてみました。「和風なフルートですね」とヴァイオリンの人に誉めてもらいました。

 ちなみに、ブルースって何?って人は、アッコちゃんのエンディング曲を思い出していただけるといいです。あの曲って…典型的なブルースなんですよ。

3)ジャズはブルースと小唄でできている

 「ジャズは大きく分けると、ブルースと小唄でできてます」と笛先生はおっしゃいました。なので、次は小唄の勉強です。先生のおっしゃる小唄と言うのは、いわゆる「2-5」のコード進行を持った曲の事で、そのコード進行は…

 C/A7/Dm/G7/(Ⅰ/Ⅵ7/Ⅱm/Ⅴ7)

 …と言ったものです。「Dm/G7」の部分が、いわゆる「2-5」になってます(Ⅱの和音からⅤの和音に進行すること)。これも理屈ではなく、実践あるのみという事で、先生がピアノで、みんなは交代しながらアドリブをやっていきます。ブルースは元々が泥臭い音楽なので、私はついつい和風なフルートを吹いてしまいましたが、小唄の方は、元々垢抜けた音楽なので、和風にはなりませんでした。

4)メジャーがあればマイナーもある

 メジャー進行の小唄をやったので、次は当然マイナー進行の小唄をやりました。コード進行は…

 Cm/Abmaj7/Fm6/G7//(Ⅰm/Ⅵbmaj7/Ⅳm6/Ⅴ7)

 …です。小唄はマイナーになると「2-5」ではなく「4-5」になります。

 こちらは、アドリブを一人ではなく、二人で担当するという練習もしました。それも交互ではなく、同時にアドリブをし合うという奴です。これは難しかったです。

 ほら、アドリブって、一人でやっている時は、割と好き勝手にやればいいのですが、二人でアドリブをするとなると、音が多くなる分、ハマる音が減ってくるので、一人でアドリブをカマスよりも、余計に耳を開いて演奏しないとダメです。それと、今のこの瞬間では、どっちが主導権を握っているかを常々確認し、自分が主導権を握ってる時は積極的に前に出て、そうでない時はされげなくオブリガードみたいなものでお茶を濁さないといけません。ムズいです。

 で、最後は何となくなだれ込んで、全員でアドリブをし合うという、パーティー状態の演奏になりましたが…これって、すごく難しいです。だって、ハマる音が本当に少ないんだもの。やっぱり、ジャズは、ビッグバンドとかでない限り、少人数で行う音楽なんだと思います。とにかく、大勢は大変です。

 「なんちゃってジャズ講座」はおもしろかったですよ。それにしても、ブルースは小唄がジャズの基本ねえ…。ううむ、一つ賢くなりました。

コメント

  1. YOSHIE より:

    ジャズのリズム、難しそうですよね。

    私なんか、体の中にあるリズムが基本オィッチニサンシーだから、西洋音楽は、ホント辛いです。

    すとんさんは賛美歌歌いだから、ゴスペルとか研究してみるとかどうでしょう?(忙しいようなので、隙間産業で)

    レッスン日にゴスペルクラスやサックスグループの人達とはち合わせることがあるのですが、
    何気に華やかで賑やかな雰囲気です。

  2. すとん より:

    >YOSHIEさん

     いいですね、ゴスペル。私はバックのクワイアではなく、ソロ歌手であるリーダーというのをやってみたいです。ただ、ゴスペルの発声方法は、ジャズ歌手のそれよりとも、オペラ歌手のそれとも違って、独得なんですが、まあその辺はおいおい克服するとして、ちょっと研究してみたいですね。

     私はクラオタですし、今はジャズ修行中の身ですが、どうにもこうにも、基本リズムが“音頭”なので、なかなか西洋音楽はキビシイですよ(笑)。でも「習うよりも慣れろ」で浴びるほどリズムを聞いて、カラダの中にビートが刻まれるようになったら、しめたものです。まずは、そこを目指したいですね。

     そのためには、もっとたくさん、ジャズの演奏を聞かないと…。

  3. アンダンテ より:

    すっごい、おもしろそうな講座ですね~
    私は頭固くて応用きかなくて、そんなとこにのこのこ入っていったら赤っ恥かいたあげく雰囲気ぶちこわしそうだけれども。

    とにかく止めないことが大事、というのは納得です。ミスタッチしたとかいっていちいち止まるジャズピアニストはいませんね、っつーかクラシックのピアニストにもいないか(^^;;

    こないだのライブのとき、飛び入りソロが暴走しすぎてわけわかんなくなって、リズムだけ刻みながらayucoさんが「誰か責任とってー」といったけど、ギタリストさんは「大丈夫、まだぜんぜん生きてる」とかいってました。その、「生きてる」状態を続けることが大事なのね。

  4. すとん より:

    >アンダンテさん

    ソロが暴走して‥まるで私のようです。どこかで見てたの?

    暴走だけなら、まだマシで、私はよく迷子になります。ダメじゃん。

    ところで、銀座アップルストア、ナウ。なんだけど、ipadは楽しいけど、ちょっと苦戦です。でも、これ、欲しいかも‥。

タイトルとURLをコピーしました