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ヴァイオリンの試奏に行ってきました その5 ここまでの感想です

 ここまで、4軒のお店と、19梃のヴァイオリンと、9本の弓を見てきました。自分的には、ひとまず一段落つきましたので、ここまで試奏してみて、初心者なりに、分かったことや感じたことなど、つまり感想を、ひとまずまとめておきます。

 ヴァイオリンって、実に個性豊かですね。実に一本一本の性格がはっきりしています。それと、それぞれに音の違いはあるけれど、それは善し悪しと言うよりも、好き嫌いの世界だなあと思いました。実はここに書かなかったけれど、庶民的な値段の楽器も試奏してきました。おそらく廉価なモデルは造作に難があるのかもしれませんが、少なくとも、ちゃんとした店で販売されている楽器ならば、そんなに変なものはありませんでした。音は、もちろん、違いましたし、人によっては、それを「安い楽器の音」と表現するかもしれませんが、私はそういう音色の楽器もアリだなって思いましたし、合奏をするなら、個々の楽器の音色は問題になりませんから、そういう楽器も十分アリだなって思いました。

 もっとも、私は合奏はやりませんし、あくまでソロ志向な人間なので、何はさておき、音色中心主義なんですけれどね(笑)。

 で、ヴァイオリンの値付けについてですが、これは思い込みではなく、やはり皆、値段なりの品質と言うか風格と言うか、まあ、その手のものが保たれているような気がしました。それなりの値段の楽器は、やはりそれなりの値段としての風格が備わっていますし、丁寧に作られていると思います。

 ヴァイオリンの世界では、値付けにどれだけの意味があるかと悩みましたが、骨董品レベルまで行くと話は別かもしれませんが、素人向けのモデルについては、ほぼ妥当な順列で値付けがされているような気がします。とは言え、それは1万円単位の話ではなく、10万円レベルの話です。つまり、5万円と15万円と25万円のヴァイオリンには、値段なりの違いを感じるという話で、18万円と20万円と22万円のヴァイオリンには、差はないと思いました。

 しかし、それにしても、やっぱりヴァイオリンは高いです。フルートもセレブな楽器ですが、ヴァイオリンは、もっと、セレブな楽器です。

 生産国による音色の違いというか、チューニングの違いのようなものって、あるかもしれません。もっとも、予算20万円の楽器と言うと、圧倒的に、ドイツっぽい楽器と中国っぽい楽器ばかりですが、ドイツ娘にはドイツ娘に共通したオーケストラっぽさが、中国娘に中国娘に共通したセクシーでハスキーな音色があると思います。

 そして、悲しい事に、私はそのいずれも好みではないみたいです。おそらく私の好みは、もっと価格帯が上のヴァイオリンじゃないと持っていないモノなのかもしれません。

 そう言えば、どこに行っても、中国とドイツ、それに東ヨーロッパの娘さんばかりと出会いました。イタリア娘やフランス娘とは、全然会いませんでした。20万円という価格帯だと、イタリア娘やフランス娘と、おつきあいするのは難しいみたいですね。会わせてもらえませんでした。でも、きっと、私は、イタリア娘やフランス娘が好きなような気がします(笑)。

 日本の娘さんと言えば、ヤマハとピグマリウスは出てきましたが、スズキは出てきませんでした。スズキには20万円前後のモデルだってあるのですが、それでも出てこないと言うのは、何かあるのでしょうね。マーケッティング的なものだろうと思いますが…ちょっと残念です。

 今回、19梃弾いて、私が気になったのは、ルーマニアのグリガのガマ2と、ハンガリーのフィレンツ・ベラ・ヴァーチのCDM-Rと、日中合作のピグマリウスのデリウスのアドヴァンスでした。

 イタリアのヴァイオリンを弾いていないので、はっきり言えませんが、たぶん、この三つって、イタリアヴァイオリンの、フェイクなヴァイオリンなのではないかと思います。イタリアオペラが大好きで、イタリア歌曲が好きで、ヴィヴァルディとヴェルディとトスティが好物で、ベルカントな歌に惚れている私だもん。私のイタリア~ンな何かが、この子たちを好んでいるのではないかと思います。

 フェイクな楽器で我慢するか、オリジナルを入手するか。普通はここで悩むのでしょうが、私は全然悩みません。だって、おそらく、私が欲するオリジナルな子って、イタリアものでもヴィンテージものだろうから、そんなもの、天文学的なお値段なはずですから買えるはずがありません。素直に、フェイクにしておきます。

 東ヨーロッパ、要注意です。

 弓は皆さんが口をそろえて言うように、高いほど良いです。と言っても、私が試したのは、アンダー10万円クラスですけれどね。でも、このクラスの弓ですと、1万円の差って、結構大きいですね。

 弓は高くなるほど、弦に吸いつく感じで弾きやすいですし、無駄にはねることもないです。適度に柔らかく、適度に腰があります。おそらく、もっとお金を出せば、もっと良いものが手に入るのでしょう。しかし、上を見ればキリがありません。どこで手を打つかが問題ですね。

 とりあえず私が気に入った、三梃のヴァイオリンには、それぞれに問題があり、決定打に欠けます。

 ガマ2は音色は良いし、弾きやすいけれど、音量が小さめで表現の幅が狭いです。ポピュラー音楽を中心にやるなら、問題ないでしょうが、クラシック系の曲をやる時に、物足りなさを感じるでしょうね。人間に例えれば、心優しくて穏やかで控えめな女の子ってところでしょう。

 ピグマリウスのアドヴァンスは、見かけも音色も美しい楽器ですが、弓を選ぶ楽器で、演奏が難しいです。人間に例えば、美人で心優しいのですが、優等生っぽいところがあり、少々生真面目で融通が利かないタイプの女の子ってところでしょうね。

 フィレンツ・ベラ・ヴァーチCDM-Rは、よく分かりませんが、なんか惹かれます。人に例えると、不思議ちゃんで、コミュニケーション下手な子でしょ。慣れないうちは何を考えているのか、よく分からないタイプでしょ。ちょっと重たい性格の子かもしれません。それと、間違いなくツンデレです(笑)。

 予算の20万円と言うのが、中途半端なのかもしれません。もっと、ババンと予算をつぎ込めれば、それなりの楽器が購入できるのでしょうが、まだまだこの価格だと、満点ではなく、どの部分を重要視するかで、楽器のチョイスが変わってくるような気がします。いっそ、予算をグッと下げて、セットで10万円くらいの楽器にした方が、スパっと割り切れていいんじゃないかとすら思いましたが…そうすると、本当に気に入った音色の楽器がなくなってしまうかも…。

 今まで行ったお店はすべて路面店でしたが、ヴァイオリンの世界には、職人さんがやっている工房系の専門店というのがあります。雑居ビルの片隅とか、マンションの一室で営業しているタイプのお店です。そういうお店には入ったことのない私です。ううむ、そういう店にも行って、試奏ができないと、ヴァイオリニストとして、まだまだなのかもしれません(まだまだでいいじゃん:笑)。…ってか、そういう工房系専門店に予算20万円の品物がどれだけ置いてあるのか…。桁が一つ二つ違うような気がします(涙)。

 まあ、それはともかく、ヴァイオリンって、行く先々の店で、品揃えが違うんです。これもおもしろいところです。店によって、置いてある楽器も違って、それぞれ個性豊かで、試奏に行けば行くほど迷いが深まります。

 さあ、これで試奏の旅『入門編』は終えたつもりです。しばらくの小休止をはさんだら、次は試奏の旅『基礎編』を始めるつもりです。で『基礎編』の次が『初級編』で、その次が『若葉編』で(笑)…。つまり、ちょっと休んだら、また試奏に行きま~す。

コメント

  1. 5万の楽器だと、材料費や加工費を切り詰める努力が最優先のようですが、20万になると、そういうことが無くなるので、満足度が違ってくるのだと思います。私の見聞きした少ない例では、20万~50万の範囲だと、大きな違いはありません。

    先日、中国製の弓を買ったことを書きましたが、15.75万で満足すべきものでした。アルシェに同価格のものがありますが、未確認です。その上は満足すべきものです。

    ネット上で見ていると、鈴木バイオリン、ピグマリウスは初心者用銘柄、イタリアは手作りなので100万前後から、モダンやオールドのイタリアンが買えない場合は、フレンチかジャーマンの古い物を買う、こんなところが、一般的な認識のようです。

    手に触れた事が無いのですが、Jay HaideやHenshengの楽器、いずれも中国製ですが、安価でよいと書いている(宣伝なのかも)人が居ますね。

  2. すとん より:

    >エルネトス・アントルメさん

     まとめてみると…、ヴァイオリンは20~50万円でフレンチかジャーマンの古いもの、弓は20万円前後から上がお薦めという事ですね。予算的には40~70万円の幅になるわけで…そういう相場なんでしょうね。私の予算からだいぶ跳ね上がるけれど、これが正直な話なんでしょうね。

     予算の見直しが必要か…。ううむ。

     以上の事を頭に入れた上で、じっくりと腰を据えて、自分の楽器を探していきたいと思います。

  3. 紫水 碧 より:

    楽しそうですね。頑張ってください。私はカタログマニア(笑)なので、自分の専門以外のカタログを大量に持っていますが、その中にスズキがあります。スズキは初級者用と聞いていますし、もちろん間違ってはいないと思いますが、多分ジャンルを選ぶ楽器ですよ。すとんさんはきっとポップスだけでなく、オールジャンルやるような気がするので、どちらかというとクラシック向きなスズキはもしかしたらあれ? ってなるかもしれませんね。私も聞いた話ですので、正しい自信は全くありませんが…
    それと、私のブログにリンクを貼らせて頂いても良いですか?

  4. すとん より:

    >紫水碧さん

     スズキも、きちんとフラッグシップモデルもあり、高級ハンドメイドヴァイオリンも生産しているようですが、やはり一般的なイメージは「分数ヴァイオリン」とか「初心者向けヴァイオリン」とか「町の総合楽器店で売っているヴァイオリン」とかいうイメージになってしまうと思います。

     実際、ど初心者の私である私も、現在、スズキのヴァイオリンで練習しているし…。

     おっしゃる通り、たぶん私はオールジャンルやるでしょうね(笑)。確かにそういう意味では、あまりクラシッククラシックした楽器は合わないと思います(そういう意味で高価な楽器は不要なんだと思ってますが…)。普通のチューニングのスズキは…おっしゃる通り、クラシック系の楽器でしょうね。あまり、フィドルっぽくないです。ただ、そこはチューニング(音合わせではなく、楽器としての性質を整えるという意味ですね)次第だろうと思ってます。

     でも、お店をウロウロしていると、本当に色々なヴァイオリンがありますから、やがて、お値段も音色も私好みの子がきっといるはずだと思うので、それを気長に探すことにしています。

    >それと、私のブログにリンクを貼らせて頂いても良いですか?

     どうぞ、よろこんで。私は紫水碧さんのブログを知らないのですが、もし音楽系のブログをおやりになっていらっしゃるなら、相互リンクがいいかなって思ってます。

  5. アンダンテ より:

    丁寧に弾きくらべていらっしゃいますね~
    インスピレーションで買ってしまった私とはえらい違いです(^^;;

    私も、
    ・100万までの楽器ならまさに「値段どおり」に並んでいる
    ・同程度の価格の中でも個性さまざま
    というのは実感しました。

    「んーこれはいい楽器だと思うけど好きじゃない」
    というのがありますね。

    今回買った楽器はその、私好みである度合いがもう半端じゃなかったもので、「このコどうしても連れて帰る!!」になっちゃいました。バヨも我が家を気に入ってくれたみたいでよく鳴ってます(^^) 楽しい音楽ライフを支えるにはよい楽器ですね♪

  6. すとん より:

    >アンダンテさん、いらっしゃいませ。

     丁寧と言うか、性格なんでしょうね。あと、おそらくヴァイオリンを買うなんて、私の人生で最初で最後の出来事だと思うので、このチャンスをたっぷり楽しもうと思っているフシもございます(笑)。

    >「んーこれはいい楽器だと思うけど好きじゃない」

     あー、分かる分かる。そういう楽器はたくさんありました。問題は、その逆パターンで「これは楽器としては多々問題があるけれど、気になって仕方ない」というケース。こういう事例にはぶつかりたくないなあ…。だって、それって問題があるって分かっていながら、結局買っちゃうわけで、なんて言うかな「悪い女と知りながら、ずるずる付き合ってしまう」ってのと、なんか通じるところがあります。

     え? そんな悪い女と付き合った事があるのかって? それは内緒です(笑)。

  7. 青葉台のサラサーテにお買い得の楽器が入荷!
    中国製で¥262,500、値段以上の価値が期待できそうです。
    他の楽器、弓もあります。

  8. すとん より:

    >エルネスト・アントルメさん

     サラサーテさんのサイトを見ました。確かに安くて良さそうです。普通の人にはお薦めな楽器かもしれません。

     あの楽器が、ヤマハとかで売ってたら、即買いなんですが(笑)。

     なぜかと言うと、私、困った事に、ヴァイオリン工房ってところには、なるべく行きたくないんですよ(大笑)。なので、おそらく、よっぽどの事がない限り、サラサーテさんに限らず、工房系の販売店には行かないと思います。困ったもんです。

  9. 分かりました。でも、サラサーテは工房ではなく、個人経営の販売店です。新作、モダンを扱っており、著名なものよりもお値打ち品に力が入っています。私のモダンや中国製の弓はここで買っています。

    修理、調整は、リュウテリア・ガンという工房に頼んでいるそうです。

    ご主人は、サラリーマン生活の後、お店を始めたようです。ヴァイオリンも弾きますが、W大交響楽団時代にはフルートを吹いていたそうです。

  10. すとん より:

    >エルスネト・アントルメさん

    >サラサーテは工房ではなく、個人経営の販売店です。

     あら、そうなんですか。それは私が誤解していました。失敬、認識を改めないと…。

     私が工房系のお店に二の足を踏むのは…頑固な人が苦手だからです。職人さんにも色々いらっしゃいますが、独立して頑張っている職人さんって、たいてい自分のポリシーを強く持っている頑固者が多いので、ちょっとパスなんです。

     私、頑固者って、とても苦手なんです(笑)。私自身が、かなり頑固な人間なので、頑固×頑固は争いや憎しみの原因ですから、避けて通るようにしてます(爆)。私は“理想に燃える職人さん”ではなく“単純に手仕事が好きでモノを作るのが幸せ”というタイプの職人さんが好きだし、コミュニケーションもうまく取れます。

     あと、一見さんお断りとか、予約を入れないとドア開けてやらないぞとか、ポピュラー音楽に対して上から目線で見るお店って、かなり苦手です。特にヴァイオリンを扱っているお店には、クラシック至上主義な店とか、先生の紹介がないとちょっと…というお店が多くて、かなり辟易してます。

     私なんかは、むしろ、クラシックではなく、ポピュラー音楽に特化しているくらいのお店の方が良いのではないかとすら思ってます。いわゆる、フィドルがたくさん並んでいるお店の方が、理想の楽器と会えるような気がします。

     サラサーテさんが工房系のお店でないなら、夏になったら、フラっと行ってみようかな。

  11. ぴろろん より:

    ①千駄ヶ谷のイルマジコのオリジナル「サントスピリト」ss20・・・本体で21万円
     ですが、弓・ケース他セットで割引後はご予算に近い水準までなると思います。
     中国産ですが、イタリアと日本の職人監修?とのことであり、華のある良い音色
     です。(弓は人気があるブラジルarcos社。フィッテングも日本人好みで見た目も
     良いです。)
    ②下高井戸のバイオリンレガート こちらはショップでないわゆる工房系です。
     メールで予約しての訪問となりますが、店主は輸入業務を中心とした方なので
     職人気質な感じではないです。弦楽器のことを色々教えてくださいます。
     ここの20万円台の中国産バイオリンはイタリーらしい音だと感じました。ご予算
     に応じ色々相談可能だと思います。

     

  12. すとん より:

    >ぴろろんさん、いらっしゃいませ。

     千駄ヶ谷に下高井戸ですか。どちらも、たぶん行った事ない…。田舎もんはこれだから困りますなあ(汗)。

     それはともかく、ヴァイオリンはフルートと違って、取り扱っているお店が多いし、小さくても個性のあるお店が多くて、楽器を選ぶ前に、店を選ばないといけないわけで、そこが楽しくて大変なところだなあと思ってます。

     さっそく、お薦めのお店のサイトを拝見しました。確かに良さそう…。特にサントスピリト(聖霊?)ってのは、美しくて私好みです。ぜひ、夏の試奏ツアーに入れてみたいです。

     私の場合、予算は20万円ですが、すでにケースは持っています(現在は、スズキ君の運搬用に使ってます)し、弓もとりあえず持っています(これについては、そのうち、ブログに書きます)ので、20万円のすべてをヴァイオリンに注いでも、フルートの神様は怒らないのではないかと思ってます。

     でもまあ、マイヴァイオリンの購入は、色々と楽しみながら、時間をかけて行うつもりです。おそらく、ヴァイオリンの購入なんて、私の人生で最初の最後になるはずですから(笑)。

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