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モードっぽく演奏しようとしたけれど…

 フルートのレッスンに行ってきました。

 アルタス田中会長ご推奨の、フルートの組み立て方&構え方&吹き方に転向して以来、フルートにまつわる諸問題の多くは改善されたのですが、一つだけ、どうにもこうにもいかなくなった事があります。それは高音の発音がかなり困難になった事。特に第三オクターブのBあたりから上が難しくなりました。やはり原因は、単純に頭部管の向きを変えて、私がまだそれに慣れていない事。それと、裏Gisホールにコルクを貼って、だいぶフルートの抵抗を強めてポイントを狭くしたので、それに負けている事が考えられます。

 前回のレッスンの時も、高音の発音はダメだったので、一週間様子を見ましたが、一向に改善されません。改善されないまま吹いていると、いつしか、このダメな状態がデフォルトになってしまうので、早急に手を加えてキレイな音を出せるようにしないといけないと言われました。

 どうしたら、解決できるか? 悩みながら、よくよく先生が観察したところ、どうも私場合、クチビルに問題があるようだとの結論。つまり、クチビルが硬いのだそうです。この欠点は今までだってあったはずだけれど、たまたま見えなかっただけ。今回の一件で欠点が明らかになったのは、むしろよかった事なのかもしれません。 

 で、当然、クチビルを柔らかくする練習を始めました。まず、ロングトーンの練習は現状を悪化させるだけなので、それは辞める。クチビルをたくさん動かしながらフルートを吹く。例えば、パパゲーノじゃないけれど、パパパと言いながらフルートを吹いてみる。これを毎日やれば、そのうち、クチビルから力が抜けて、クチビルが柔らかくなるそうです。何事も辛抱と鍛練です。

 とにかく、フルートは絶対に無理をして吹いてはいけないそうです。優しく柔らかく鳴らす楽器であって、絶対に音量を求めたり、目立つ音を求めたり…は無しの方向でお願いなんです。

 今回のレッスンは、セッションレッスンだったので、曲をやりました。やったのは、ジャムセッションでも取り上げた「ゴッドファーザー愛のテーマ」と、バカラック作曲の「アルフィー」です。どちらの曲も、まずはピアノで合わせて、それから色々なアプローチをして、最後にフルート二本でしめる…というやり方でやりました。

 「ゴッドファーザー」は、ジャムセッションでもソロを多めで演奏したのですが、今回も、テーマに忠実に演奏してみたり、かなりテーマから離れたソロをやってみたりと、一つの曲を色々なアプローチで演奏して、楽しかったですよ。

 この曲には、音域の問題があって、そのまま譜面どおりには吹けないので、オクターブ上げでフルートを吹いていたのですが、オクターブ上げで演奏する時は、高いところが本当に高くなっちゃうので、そこを刺激的な音で吹いてしまうと、元も子もなくなってしまいます。ですから、高い音を吹く時は、必要以上に刺激的な音にならないように、十分に気をつけて演奏するように言われました。

 また、伴奏に回った時は、ビートを感じられるような音形で演奏しないとダメです。簡単にビートを感じさせる手法としてはアルペジオがあります。単純で毎度の演奏テクニックですが、これをうまく使うのがカッコいい伴奏というものです。

 「アルフィー」はメロディがキレイな曲ですね。これだけメロディがキレイだと、下手なソロはなかなか入りません。

 なので、レッスン中に、アドリブソロをどうやって取った方が良いか(私の場合は、和音で攻めていくか、音階で攻めて行くかって事)と質問したところ、先生が、ビバップとモードジャズの話をしてくださいました。

 コードで行くならビバップの方向になるし、音階で行くならモードジャズの方向になるわけで、どっちにしましょうか? って事になりました。

 ビバップなら高速アルペジオ奏法をマスターしないと(汗)。その点、モード奏法ならば、私の理解では、コードに縛られずに、その曲の調や基音に支えられながら、ドリアン旋法を用いて演奏していく事だから、指が少々まわらなくてもなんとかなるはず。ならば、モード奏法の方向がいいかな?

 ちなみに、ドリアン旋法と言うのは「レを基音とし、レから始まってレに至る音階(または、ドを基音と考えるなら、ミとシを半音下げる音階)」の事です(たぶん。間違ってたらゴメンなさい)。つまり、音階の中の全音と半音の関係を通常の関係とはちょっと変えて演奏することです。

 「せっかくだから、モードっぽく演奏してみましょう!」というので、試しにトライしてみました。

 テーマはとにかく通常のまま演奏する事にして、アドリブソロをモードっぽくドリアン旋法って奴で吹いてみるという打ち合わせだったのですが、実際には、ソロに至るころには、すっかりドリアン旋法の事を忘れて、いつものように適当にやっちゃいました。ううむ、やっぱり難しいや。でも、少しずつモードにも慣れていかないと、アドリブが広がっていかないから、頑張っていかないと。せっかく先生もピアノを通常の奏法ではなくペダル奏法で弾いてくださってのに…ね。残念残念。

 最後に「アルフィー」をフルート二本で吹いていたら、次の生徒さんが来て、うっかりメトロノームを鳴らしちゃったっので、最後はメトロノームのテンポにちょっと引きずられてみたりして(笑)。

 演奏中に、もっともっと、他の人の演奏が聞けるようにならないと、ソロはなかなか上手には取れないですね。

コメント

  1. うぉぉん より:

    へええー。
    パパパと言いながら吹くっておもしろそうなトレーニングですね。
    私も口の周りが柔らかくないのでトライしてみたいです。

  2. 河童 より:

    >ダメな状態がデフォルトになってしまう
    のは恐ろしいですね。
    私はじたばたせず(あれこれ口を動かさない)、力を抜いて中音域を綺麗に響かせる努力をします。高音域が出ないときは中音域でも問題があるのでわかります。
    あれこれ工夫して音を出してもその場限りで再現できませんのでダメなんです。
    調子の良いときは小細工なしで鳴るのですから、無理をしないことにしています。

  3. すとん より:

    >うぉぉんさん

     パパパっておもしろいでしょ。クチビルは柔らかい方がいいですね。フルートを吹く時もそうですが、歌う時もクチビルは柔らかい方がいいので、私はなおさら、パパパをやんないとダメみたいです。

  4. すとん より:

    >河童さん

     そうそう、ダメな状態がデフォルトになってしまうのは、とても怖いですし、そうなってしまったと思われる方を私は知っています。ああはなりたくないものだと、怖くなってしまいました。

    >調子の良いときは小細工なしで鳴るのですから、無理をしないことにしています。

     そうですね。あと、名人ほど、楽そうに演奏しますが、あれはきっと、本当に楽なんだと思います。演奏者が楽に演奏するから、聞いている方も楽に聞ける、という部分は絶対にあると思います。

     無理をしないこと…大切だと思います。

  5. Tomys より:

    老いた犬に芸は仕込めない はまさに名言ですネ。
    私は今年79才ですがフルートをやったりウクレレをやったりアドリブに挑戦してみたりと苦労しています。 フルートの高音についてですが 年をいくと唇の筋肉が衰えて細い穴を作って鋭い空気が吹けないと諦めています。 いま丁度モード奏法について私も自分の先生に教えてもらっている所なのでコメントしました。残り少ないので早くうまくなりたいです。

  6. すとん より:

    >Tomysさん、いらっしゃいませ。

     人生の大先輩からのコメント、大感謝です。

    >年をいくと唇の筋肉が衰えて細い穴を作って鋭い空気が吹けないと諦めています。

     私もすでに諦めてます。なので、穴を作るのではなく、クチビルは基本的に閉じる事にしています。閉じたクチビルの中央部から最小限の息を通す事で、結果的に細い息を作るようにしてます。もう、クチビルの筋肉でどうこうできるほどの若さは私にもありません。

     モード奏法、難しいですね。でも要は和音よりも音階を重視してアドリブを組みたてていく手法なんだと思います。

     時は逆さまに流れないものですし、その事を悔やむ時間があったら、前に進まないと人生もったいないと思ってます。しかし、若い時は、時間なんて無限にあるような気がした事が、今では懐かしい感覚です。

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