金魚は魚類ですから、変温動物です。我々哺乳類は恒温動物ですから、彼らとは感覚があれこれ違います。
例えば、暑さ。今は夏で、どんな動物であっても、夏の猛暑は厳しいものですが、この厳しさの感覚は、恒温動物である我々と、変温動物である金魚たちでは、かなり違います。
我々にとって夏の暑さは「暑~~い!」わけで、体温を適正に維持するために汗をかくなどの冷却行動を取るわけで、その代償として脱水症になったり、冷却行動がうまくいかなければ熱中症になったりします。
金魚に脱水症や熱中症はあるのか? まあ魚類だから脱水症がないのは明らかですが、陸で生活する爬虫類や両生類などの変温動物たちには汗腺がありませんから、汗なんてかきませんし、当然、脱水症はありません…ってか、そもそも体温が無い(体温=気温や水温)ですから、体温を維持するという行動そのものがありません。
だから当然、熱中症もありません。そもそも彼らには、暑さ寒さの感覚なんて無いでしょう。
ただ“体温=気温や水温”ですから、外気温に体温が左右され、夏は行動が活発になり、冬は不活発になるだけです。暑さ寒さの感覚は当然存在せず、夏の暑さは快適であり、冬の寒さは不快…というよりも不活発に感じるんだろうとは思いますが、そもそも彼らには快不快を感じるほどの脳みそがあるのかも疑問ですが…。
冬は冬眠したり(カメとかはそうだよね)、世代交代をしたり(昆虫の多くがそう)、そもそも冬が厳しい地域では生活していなかったり(多くの爬虫類や両生類がそう)するわけです。
水生動物にとって、水は原則的に水温が零下にはならない、比較的温暖な環境なので、そこで生活する魚類が変温動物なのも理にかなっていると言えば、その通りなのです。
だいたい、川や海や湖は、まず凍らないし、凍っても、氷下の水で暮せばいいわけです。池のような小さな環境だと、すっかり凍ってしまって水が無くなってしまう環境もありますが、そういう環境で生活する魚類(たとえばメダカ)とかは、冬になると水と一緒に凍ってしまって、氷によるコールドスリープな冬眠をするそうです。タフだね。
とまあ、冬をそんな感じで乗り切る変温動物たちですが、夏はどうするのか? 結論を言えは、どうもしないみたいです。と言うのも、夏は気温が上がるので、体温も上がって、そのためにやたらと活発になって、元気ハツラツになるだけだからです。ただ、過剰に暑いと“ナチュラル・ハイ”になっちゃようです。
この感覚は我々恒温動物には分かりづらいのだと思います。
「元気ハツラツになるのなら、それは良い事でしょ?」
それがその生き物の許容範囲内の“元気ハツラツ”なら問題ないけれど、許容範囲外というか、想定の範囲の外で“元気ハツラツ”だと、過剰にカラダに負担がかかるわけです。その状態は、我々哺乳類的には“ヤクでむりやりハイになった状態”に近いかもしれません。
変温動物たちにとって、高い外気温は歓迎すべき事ですが、何事にも限度があるわけで、限界を突破しちゃうのはよくありません。
金魚たちで言えば、夏の水槽の温度対策をしないと、この“ナチュラル・ハイ”状態に突入し、無駄に体力を消耗し、カラダの弱い子からドンドン死んでしまいます。厳しい夏を乗り越えたところで、秋には夏バテが襲ってきますから、やっぱりカラダの弱い子からドンドン死んでしまいます。
変温動物とは言え、カラダはタンパク質でできているわけで、タンパク質は基本的に熱には弱いのです。我々恒温動物は自分たちで体温を一定に維持できるので、多少は厳し目の外気温の中でも生活できますが、金魚を含めた変温動物たちは、自分の体温は周囲の環境任せなので、ペットとして変温動物を飼っている者としては、その環境を適切に保ってやる必要があると思っています。
というわけで、ここ数年は、例え人間がいなくても、金魚たちのためにエアコンはつけっぱなしの我が家です。それでも室温のある程度の上昇は避けられないので、夏の間の金魚たちは活発になって、その食欲は…そりゃあ凄い事になってます。冬なら一ヶ月以上は保つ水草も、夏場は3日かそこらで食べ尽くすし、タニシもほんと、あっという間に食べちゃうんだよね。参ったもんです。
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