初心者とは、あくまでも始めたばかりの人の事であって、別に下手くそとか未熟者とかを意味する言葉ではありません。しかし、初心者は往々にして、まだまだ未熟であり、その結果、まだまだ上達の余地がある事も事実です。
で、そんな初心者も、それなりに経験を積んで上達してくると、やがて上級者とか達人とかになるわけです。それが世の常です。学校の部活などでは、右も左も分からなかった1年生が、月日が経って2年生になれば、いっぱしに新入生たちの指導をし始めるようなものです。
人間って、普通は成長するし、そういう前提があります。
ところがね、悲しい事に、若い人と違って、老人になると、この“成長”って奴がなかなか目に見えるほど顕著じゃないんだよね。若い人が1年で達成するような事を、いつまでもいつまでもやっていたりするわけよ。
例えば、フルートの教則本であるアルテの1巻を終えるのに、私は2008年に始めて、2014年にようやく終えています。あしかけ6年も取り組んでいたわけだけれど、若い人はこれをだいたい1年掛からずに終えるわけです。ネットで中年と思しきオジサンが1年で終わったそうだから、普通はその程度で終えるものを、老人な私は6年掛かったわけです。
老人力をなめんなよ!
声楽だって、似たようなモンです。今に至るお稽古としては、2007年から始めて、2022年の今では15年(!)も継続しています。15年ですよ、15年! これが若い子なら…例えば中学1年生から15年学ぶとすると…中学を終えて、高校を終えて、音大に入って卒業して、海外に留学して…もしかすると、留学帰りでブイブイ言わせてプロデビューしちゃっているかもしれないのが、15年という年月です。
そこへ行くと、私の15年なんて…発表会の音源等をアップしているので、私の歌の実力なんて、皆さんご存知でしょうが、あんなモンです。プロになった元中学生と比べられるどころか、未だヘタッピのまんまです。
老人力をなめんなよ!
いやあ、自分でも驚くぐらいに成長が遅い! でも、さすがに15年もやっている人を“初心者”とは呼べません。じゃあ、なんて呼ぶべきか…といえば“初級者”でしょうね。まだまだ実力は初級レベルなので、初級者。間違っても“下手くそ”とか“ヘタッピ”とかは呼ばないでください。心がボキボキ折れてしまいますから。
しかし、15年もやっていて、未だ初級者とは残念にも程があるが、これが現実だから仕方ない。それにしても、私が中級者は無論、上級者とか、プロ並みとかの実力を備える日がやってくるのだろうか? それこそ、老人力はますます強くなってくるわけだし、学んで上達する速度よりも老人力によって衰えてくる速度の方が上回る日がやってくるのも、そう遠くない将来だろうしね。
「下手の横好き」という言葉を座右の銘にでもしようかしら?
結論 事を学ぶのに“早すぎる”という事はまずありませんが、“遅すぎる”という事は十分にありえます。しかし、遅すぎたからと言って、そこに成長が無いわけではありません。ただ、到達点が高くならないというだけの話です。
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