私は声楽のレッスンに行く度に、Y先生から「もっと軽い声で、もっと軽い声で」と言われます。たまに「バリトンの私よりも重い声で歌っている」と注意される事もしばしばあります。
重い声…それはスピントな声であったり、ドラマチックな声であったりして…本来はカッコイイ声のはずなんですが…でもダメなんです。それはなぜか?
カラダに悪いからです(きっぱり)。聞いていて苦しいからです(さらにきっぱり)。
歌は自分の本来の声で歌うことが大切です。その本来の声が重い声ならば、重い声で歌って良いのです。それがバリトンであり、バスなのです。でも、本来の声がそんなに重くないのに、作り声で重くして歌ってしまってはいけないのです。
それは本来の自分の声ではないし、何よりも、ノドを痛めるからです。
よく声優さんたちが、キャラの声で歌を歌います。あれも一種の“作り声での歌唱”なわけで、ノドに良いはずありませんが、でもあれはマイクで拡声するのが前提の歌い方で、作り声であっても、クラシック声楽と比べると、ノドへの負担は少ないのです(無いわけではありません。そこはプロ根性とテクニックで乗り越えているわけですね)。作り声でクラシック声楽を歌うと…ノドへの負担が多く、声を壊してしまいがちです。
ノドが弱い人はあっという間にノドを壊してしまいますが、私はノドが強いという稀有な才能を持っているため、少々重い声で歌ってもノドが大丈夫なため、重い声(実は作り声)で歌うのが癖になっていたわけです。
それにキング先生時代には、好きなオペラ歌手のマネをして歌えと指導されていて、一生懸命、マリオ・デル・モナコやプラシド・ドミンゴなどの重厚な声をマネようとしたのです(マネなんかできるはずないのにね)
大切な事は、自分の本来の声で楽に歌う事です。それがたとえ、自分の好みの声でなくとも…です。
無理に作った重い声の大半は、ノド声です。
ノド声には二種類あって、一つはノドに過重な力を加えて発声する声。もう一つは、舌根を持ち上げてノドにフタをするようにして発声する事。どちらも本来の声よりも暗い音色の声が出ますが、決して健康的で楽な発声には聞こえません。私が罹患しているのは、前者のタイプのノド声ですね。
このタイプのノド声が悪い理由には多々ありますが、一番良くないのはノドに不健康な事です。無理やり締め付けてカチコチに固めたノドに、無駄に勢いをつけた息を通して発声するわけです。声帯周りの筋肉や粘膜に過度な圧力がかかり、傷が付くことだってあるし、その傷がポリープなどへ発展することだってあるわけです。弱いノドでこれを繰り返してしまうと、いわゆる“ハスキーヴォイス”になってしまう事すらあります。ハスキーヴォイスは、一部の音楽ジャンルではもてはやされる声ですが、クラシック声楽では、単なる悪声扱いです。
つまり「ハスキーな声に成りたくなきゃ、軽く歌え」って事ですよ。それが、軽く歌わないといけない理由なのです。
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コメント
LaLaLand、お薦めです。
私、最後、涙が止まりませんでした。
ネタバレはいけないので、
詳しく書けないのが残念です。
すとん様、LaLaLandをご覧になったら、
ネタバレ解禁で、大いに語り合いましょう。
おしまい
軽い声、自分本来の声。心掛けてはいるのですが、どれが自分本来の声なのか分からなくなったりもします(苦笑)。私の場合、喉仏の位置を高めに取ると軽い声、逆に低くすると重めの声になるようです。声が重くて調子悪いと感じる時は喉仏を下げ過ぎている事が多い感じがします。かといって上げすぎると今度はポップスのようや軽薄な音色になってしまいます。ベストなポジションを目下模索中です。
operazanokaijinnokaijinさん
ラララ、お薦めですか? そうでしょうね。まだ体調がきちんと回復していない上に、仕事が繁忙期で、近くの映画館じゃやってないし…という悪条件が重なっているんです。まあ、しばらくすれば、DVDも出るし、やがてテレビでも放送するでしょうが、映画はやっぱり映画館で見ないとダメじゃん…というのが私のポリシーなので、ぜひぜひ上映中に見に行きたいのです。
映画館並の巨大スクリーンと音響システムが自宅にあったら、映画館に行く必要もないけれど…そんな事はありえないので、せっせと頑張って映画館に通う私なのでした。
ラララ、見たい…。
オデさん
自然な声と言うのは、ニュートラルな声です。でも喉仏は、自然な感じで下げるのが良いです。ただし、音色を暗くするために下げるのではなく、声に張りを持たせるために下げるのです。その際は、単に喉仏を下げるだけでなく、同時に軟口蓋を上げないといけません。この二つの動作を同時に行うのが、クラシック発声のコツでございます。
ポップスの人は、あまりこの動作をしないんだよね~。