今回の曲も、前回同様にイタリア古典歌曲からです。カッチーニが作曲した「アマリッリ」です。初心者の方々が、よく発表会等で歌っています。
アマリッリとは、イタリアの女性の代表的な名前の一つなんだそうで、この曲はそのアマリッリに向かって歌っているので、当然男性の歌となりますが…やっぱりメロディは男性向きではありません。となると…カストラートのための曲だったんでしょうね。
イタリア古典歌曲が作曲された時代って、カストラート全盛期だったそうですから、自然とカストラート向けの曲がたくさん収録されていて、今やそれらを歌う歌手たちが絶滅してしまったために“オペラ・アリアだけれど、どの声種であっても歌ってもかまいませんよ”的な雰囲気になっているのかもしれません。
例えれば、シューベルトの「アルペジオーネ・ソナタ」のような存在なのかもしれません。今やアルペジオーネという楽器は存在せず、しかしアルペジオーネ・ソナタという名曲は残っているわけで、だからソロ曲に恵まれない、フルートとかビオラとかチェロなどの他の楽器が、アルペジオーネ・ソナタを頑張って演奏していく…みたいな感じ? ちょっと違うかな?
「アマリッリ」という曲は、カストラートの曲ですから、音域や音色で考えるならば、現在では純粋な歌曲として、女性歌手が歌うのがベスト…なんだろうと思います。でも、本来男性の曲ならば、男性に歌わせてみたいというのが人情ですが、でもカストラートなんて現存していないのだから…カウンターテノールの歌唱で聞いてみましょうって事にします。と言うわけで、カウンターテナーのフィリップ・ジャルスキーの歌唱でお楽しみ下さい。
こうやってカウンターテナーの歌唱で聞いてみると、カウンターテナーも捨てたもんじゃない…ってか、やっぱりバロックの歌はカウンターテナーの方がいいんじゃないかって気にもなります。
さて、歌詞ですが、今回の訳詞は、こちらのモノです。
Amarilli,mia bella
アマリッリ、私の美しい人、
non credi,o del mio cor dolce desio,
信じないのか、私の心の優しい望みよ
d’esser tu l’amor mio?
あなたが私の愛する人だと。Credi-lo pur:
どうかそう信じておくれ
e se timor t’assale
そうすれば、たとえ不安があなたを襲ったとしても
dubitar non ti vale.
恐れる必要はないのだから。Apri-mi il petto e vedrai scritto in core:
私の胸を開いてごらん、そうすれば心の中に書いてあるのが見えるだろう。
Amarilli e` il mio amore.
「アマリッリこそ私の愛する人だ」と。Credi-lo pur:
どうかそう信じておくれ
e se timor t’assale
そうすれば、たとえ不安があなたを襲ったとしても
dubitar non ti vale.
恐れる必要はないのだから。Apri-mi il petto e vedrai scritto in core:
私の胸を開いてごらん、そうすれば心の中に書いてあるのが見えるだろう。
Amarilli e` il mio amore.
「アマリッリこそ私の愛する人だ」と。Amarilli e` il mio amore.
「アマリッリこそ私の愛する人だ」と。
カウンターテナー、いいですね。でも、男性なのに女性の音域で歌うのは、一般人の感覚で言えば「気持ち悪い」わけだし、クラシック的に考えると、合唱では歌うパートがないし、オペラでは役がないです。まあ、アマチュアの場合、カウンターテナーになっても、活動範囲が著しく狭くて趣味としては楽しみきれないかも…しれません。ではプロ歌手さんたちの場合は…いっそ芸能人としてタレントさんになるという道が開けますが…一流のカウンターテナーである米良美一さんや岡本知高さんでさえ、テレビに出ればオネエタレント扱いだったり、デブキャラ扱いなので、そこが一つの壁かもね。日本じゃカウンターテナーは不遇だよね。彌勒忠史さんのように音楽だけの活動ができる人は希少なんだよねえ。
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コメント
カウンターテナーね、最近は藤木大地さんがいますね!彼は前なら普通のテノールだったみたいだけど、カウンターテナーになりましたね!それが、大当たりして?二年前くらいに日本音コンでカウンターテナーで初めて一位とりまして、ホォー、日音コンもカウンターテナー認めちゃいましたか!って思った。しっかりとNHKニューイヤーオペラにも2連続出演と凄い勢い!いまや、カウンターテナーはモツレクやらメサイヤやらで引っ張りだこ?か、よく見かけるけど、まあアルトより面白いかも。。。というか、発声に興味があるわ〜。意外とカウンターテナーの声って響くのよね。発声どうなってんのかしら??藤木さんの目をむいて歌うのちょっとあまりすきじゃないけどね☆
勿論、テノールの時とはかなり発声変えたでしょうね!頑張ってほしいですね☆
アデーレさん
>いまや、カウンターテナーはモツレクやらメサイヤやらで引っ張りだこ?か、
昔々、教会では女性が目立ってはいけなかったので、宗教曲(合唱)の女性パート(ソプラノやアルト)も男性が歌っていました。それを担っていたのが、カストラートさんだったわけで、カストラートが絶滅してからは、少年合唱とかカウンターテナーが担っていましたが、それもやがて先細りになって、現代のように女性が担うようになりました。
だからカウンターテナーがソプラノパートやアルトパートを歌ってもいいのだけれど、ソロならともかく、合唱はきびしいね。と言うのも、男性と女性では音域が同じでも音色がかなり違うので、この両者を合唱としてまとめるのは、難しいと思います。
>意外とカウンターテナーの声って響くのよね。
それはたぶん違います。声の響く人だけが成功して生き残るだけです。声が響かなくても良いなら、私だってカウンターテナーやれますよ。合唱程度なら十分ですが、独唱としては、私の発声では、あまりに声量がなさすぎて、実用的ではないので、カウンターテナーをやらずに、テノールをやっています。だって、テノールなら、独唱として、声量バッチリだからね。
>発声どうなってんのかしら??
テノールは響きの場所を上げているけれど、基本的にはバリトンと同じ胸声中心の発声方法です。カウンターテナーは、女性と同じ頭声中心の発声をします。これは性別と言うよりも、使う音域が違うために、発声方法が違うだけです。その証拠に、女性にもごくわずかだけれど、テノールとかバリトンとかがいますが、それらの方は男性と同じ発声方法になります。でも、いくら音域が同じでも、性別で音色が違うので、いくら低くても、女性のテノールやバリトンは、やはり女声にしか聞こえません。
有名な人では、和田アキ子さんがそうですが、あの人ってバリトンなんだよね。でも、彼女の声は、低い女声であって、男声とは違うでしょ? つまり、そういう事なんです。