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音痴の特徴

 世の中には“音痴”と呼ばれる人がいます。音痴にも色々なタイプがあるようですが、ここではザックリと「歌うと、音程やリズムが甘い人」の事を言う事にしましょう。ですから、元々“歌わない人”とか“耳や脳に障害を持っている人”は除外します。

 さて、ある意味、程度の差こそあれ、我々は皆、音痴であるとも言えます。だって、人間は楽器ではないし、パソコンでもありません。ほとんどの人の歌は、機械で測定すれば、音程やリズムが甘かったり、ズレていたり、誤差を大きく含んでいたりしますが、もちろん、それらは程度の問題であって、普通の人がその人の歌を聞いて「あれ?」と思わない程度の人は、音痴には入れない事にします。

 つまり、音痴とは、他の人が聞いて「あれ?」と思う程に、音程やリズムが甘い人って事です。

 音痴である最初のポイントは“他の人が聞いて~”という部分でしょう。つまり、音痴かどうかと言うのは、他人が決める事なんです。と言うのも、音痴の人って、往々にして、自分が音痴だという自覚がない事がありますし、音痴の自覚があっても、その深刻さを自覚していない事が多いからです。

 つまり、音痴だという自覚がないから、音痴なんです。

 音痴だという自覚がないので、音程が外れていても、外れているという自覚がなくて、そのために、いつまでたっても音が外れたままになり、音痴が持続して固定化しちゃうわけなんです。

 逆に言うと、音痴脱出の第一歩は、自分が音痴であるという事実を認めて、受け入れる事なんだと思います。

 では、自分が音痴だと自覚すれば、音痴は解消するのかと言うと…そんなに簡単な話ではありません。

 ままならないのは、自分のカラダです。自分のカラダの各所が、常に自分の意思どおり動かせるのなら、問題は解決です。いや、音痴の解決どころか、スーパーアスリートにだって、なれちゃいますよ。

 しかし、多くの人は、自分の意思どおりに自分のカラダを動かすのは、実は、苦手です。苦手と言うか、出来ないと言うか、不器用なのです。不器用だから、音楽の音痴だけでなく、運動オンチもいるわけだし、色々と生活上の不便があるわけです。特に年を取ってしまった音痴は厄介です。

 話を音楽に戻しましょう。

 ドを聞いて、その音をマネて、ドの音が歌えますか? いやいや、ドの音を聞きながら、その音に合わせて、ドの音を歌えますか? 「はい、それは簡単な事です」とおっしゃる方は音痴ではないのでしょう。しかし、音痴の人は、そんな簡単な事すら、出来なかったり、意味が分からなかったり、出来ても苦労をするわけです。出来ないからと言って、いい加減に取り組んでいるわけではなくて、ドを歌おうと努力はしますが、その努力が実を結ばないから、音痴なんです。

 まずは、自分の意思どおりに自分のカラダが動かせるように…つまり、音程であれ、リズムであれ、自分の意思どおりに声を出せるように訓練をしていく必要があるわけです。そのためには、色々と筋力が必要だし、狙った筋肉をきちんとコントロールできるような器用さが必要です。つまり、訓練とか練習とかが必要なんです。だから、音痴脱出は簡単ではないのです。

 歌が上達するために、発声練習が必要不可欠なのは、そういう事なんです。

 メロディーを正しく歌えない理由の一つに、イメージの問題もあるかもしれません。ドとかレとかの単音ならともかく、歌やメロディとなると、イメージが必要です。メロディーのイメージ、伴奏の和音進行のイメージ。これらをきちんとイメージする事ができ、そのイメージ通りに声が出せれば、歌えるんだと思います。ですから、単に声が出せるだけでは音痴脱出は無理で、歌のイメージをきちんと持つ事ができるかどうかは大切な事なんです。

 歌以前に、その人の中で、正しいメロディーがイメージできなければ、いくら発声を頑張っても、正しく歌えない…って思うわけです。メロディをイメージするためには、音感も必要だろうし、聴覚記憶も必要だろうし…ってなると、それらも合わせて訓練する必要があるのかもしれません。

 この部分の練習には、厳密に考えるなら、ソルフェージュを学ぶ必要があるのでしょうが、趣味のオトナの場合は、なかなかソルフェージュの学習までは手が出ません。ですから、何か代替となる手段を考えて学ばないといけないのだろうと思いますが…それもまた難しい話ですね。

 つまり、音痴には、発声の部分に問題があるケースと、歌のイメージの部分に問題のあるケースと、2ケースがあるんじゃないかと思います。で、両者はそれぞれに独立した問題であると同時に強い関連性もあるわけで、あたかも車の両輪のような関係なんじゃないかと思います。

 と言うわけで、音痴の特徴をまとめてみると…。

 1)自分が音痴であるという自覚が無い。
 2)自分が音痴であるという自覚はあっても、訓練不足のためにうまく歌えない。
  2-A)発声に問題があってうまく歌えない。
  2-B)イメージに問題があってうまく歌えない。
  2-C)発声とイメージの両方に問題があってうまく歌えない。

 こんな感じでしょうか。

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コメント

  1. 在日日本人 より:

    音楽の音痴とは話がそれるのですが、病的な音痴になったことが一度あります。

    三十歳ごろのことです。ラジオで音楽を聞いていたら、ひどい音痴の曲が流れました。これはギャグでやっているのか、それとも放送局で何かトラブルがあったのかと思いました。ところが他の局に変えても、状況は変わりません。それで自分の耳に問題が生じたことがわかりました。
    片方の耳は正常ですが、もう片方は音が半音低く聞こえます。ひどく気持ちの悪い状況です。音程のずれた合唱を聞かされているようなもんです。

    病院に行くと、「突発性難聴」と診断されました。これが発病したら治療開始までの時間が重要である、原因は不明、と言われました。すぐにステロイド剤の点滴を受けました。連日、点滴に通ったと思います。病気は完治しました。再発はない病気だそうです。

    私の場合は、音程が狂って聞こえましたが、他にも症状はいろいろあるようです。ググってみてください。調べてみたら、何十年経過しても原因不明のままでしたね。

    すとんさんのブログを訪問される方々は、みな音楽好きでしょう。聴力を失うことは恐ろしいことです。突然、つまり、まさに突発的に耳に異常が生じた場合は、放置せずにすぐ病院に行くことをお勧めします。

  2. すとん より:

    在日日本人さん

     実は恥ずかしい話ですが、私、二十歳の頃、急に右耳が聞こえなくなった事があります。「すわ、突発性難聴か!」とビビリ、翌日、大学の保健室(保健室と言いながら、各種専門医が常駐している、素晴らしい保健室なんです。おまけに、治療費・薬代とも、学生なら無料なんですよぉ~)に行って、耳鼻科の先生に診てもらったら「ん? 耳の穴が垢でふさがっているぉ」との事でした。

     それから一週間、毎日保健室に通って、少しずつ耳垢掃除をしてもらいました。アルコールを入れて、超音波振動で柔らかくしてから、鼻からエアを入れて…なんか七面倒臭いやりかたで、耳垢掃除をしてくれました。

     今思うに、耳垢塞栓という病気だったんでしょうね。

     あれから30年以上の月日が経ち、実はその後一度も耳垢掃除をしていないのですが(笑)、全く難聴になっていません。「え! 耳垢掃除してないの?」 そうなんです、してないのです。と言うのも、耳鼻科の先生に「耳垢は、別に掃除しなくていいよ。めったに詰まるものじゃないし、自然に出て行くし…」と言われたので、してないのです。確かに掃除をしてなくても、たまらないみたいです。

  3. 在日日本人 より:

    面白いお話を聞かせてもらいました。私の人生で、耳掃除をしない人との遭遇はこれで二人目です。
    耳掃除をしないことに恐れを知らないすとんさんは、これで女性ファンを何割かなくし、逆にコアな男性ファンを増やしたことと思われます。ひょっとすると、耳掃除をしない人は、けっこういるのかもしれないな。

    昔、長身でおっとりとした慶●ボーイの友人がいました。今で言うところの上品な草食系です。彼と複数の女の子を伴って、中年女性の家を訪ねました。そこで話がたまたま耳掃除の話になったところ、その友人がぼそっと一言、「僕は一度も耳かきしたことないなあ」とつぶやきました。

    すると見事なまでに、瞬時に場の空気の色が変わりましたね。その兄ちゃんは自分がたいした発言をしたとは夢にも思ってないわけですが、若い女性たちはみな言葉を失ってました。「ゲゲッ、ま、マジ?」って感じです。

    中年女性が彼を叱りつけながら、緊急手術的な耳掃除がその場で始まりました。中年女性の膝枕で友人が耳掃除されている周囲を、若い女性たちが取り巻いている図は面白かったです。私一人でゲラゲラ笑ってました。何が面白いかというと、本人は事の重大性がわかってないからですね。本人にとっては非常識でも何でもないんですから。

    かくいう私も、中国にいたころ「朝起きて顔を洗ったことがない」と言ったら、同じ様な状況に陥りました。そりゃ中国でなくても驚かれるだろうな。今ならわかります。本人はぜんぜん大したことないと思っているわけですから、怖いです。カルチャーショックです。

    逆に中国を体験しちゃうと、人前でウンチするのも平気になりましたね。私も日本では気配りしてますから、外出時にウンチする時は扉を閉めてますけど。

    耳掃除は女性にしてもらうと実に良い塩梅です。愛が深まります。

  4. すとん より:

    在日日本人さん

     そんなに耳掃除をしない事が大変な事なんですか? 私も人生で困れば、耳掃除くらいやりますが、まったく困らないし、他人にも迷惑をかけていないので、放置です。まあ、それで引く人がいるなら、別にそれはそれでいいや。

    >耳掃除は女性にしてもらうと実に良い塩梅です。愛が深まります。

     んー、分かるような、分からないような…。

  5. 在日日本人 より:

    >そんなに耳掃除をしない事が大変な事なんですか?

    いえいえ、とんでもない、何の問題もないです。お気になさらないでください。ただあの時は、私の友人の呑気さと、周囲の女性のギャップが面白かったのです。今回はすとんさんがマジメに耳垢のことを語るので、それが面白かったのですよ。マジ、受けました。

    笑いってのは、こうあるべきだと思います。笑わそうとウケを狙ったものは面白くないんですね。自然体の人間の行動で、微妙にズレているところを見つけるのが面白いんです。そういう種類の笑いが私は好きなんですよ。

    オナラってのは一般的に笑いを誘うものですが、私を笑わせるのにオナラだけでは不十分です。
    マジメな話をしながら平気でオナラをするチャイニーズの友人がいました。こいつを女性の前に連れて行くととても楽しめました。本人はまったく笑わずにプープーやりながら、政治を熱く語ったりするのでね。女性は驚いて椅子からビクっと飛び上がるけど、彼に気を使って何も言いません。最高です。私は気づかないフリして、彼と議論を続け、心の中でクククと笑ってました。

  6. すとん より:

    在日日本人さん

     なるなるなるほど、そういう事ですね。

     笑いのツボと言うのは、なかなかに難しいものです。いわゆる、お笑い芸人の皆さんは、笑わさせることに地道を上げているわけですが、なかなかに難しいですわね。

     私も、お笑いが大好きなのですが、やはり計算されたお笑いよりも、神によって導き出された偶発的な笑いの方が好きかもしれません。絶妙なタイミングでひねり出されたオナラなんて、最高ですよね(笑)。

  7. tetsu より:

    こんばんは。

    > 音痴の特徴

    こちらも一番の弱点で、アマオケの指揮者によく指摘されます。
    音程の感覚はフルートの場合「育ちの違いで千差万別」(by 元師匠)らしいです。
    幼少期から弦楽器をさらった場合、1hz単位で音を聴きわけできる絶対音感なければ仕事できません。
    フルートは指使いはあっても結局は自分で音程作る楽器です。チューナーで音程合わせるとか、音階さらうとかありますが、アマオケでその瞬間に周囲と音程合わせなければ、と言われるとこれも結構大変です。
    逆に言えば、ここまで指摘してくださる方がいらっしゃる(ほぼボケ防止)、というのも励みになります。

  8. すとん より:

    tetsuさん

     音感…悩ましいですね。音感の有無もありますが、音感を持っていても、どれくらいの精度の音感を持っているかで、聞こえる世界が違ってくるんだろうと思います。

     私は絶対音感はもちろん、相対音感も持っていません。そういう意味では、音痴の仲間に入ってしまう人なんだと思います。でも、音楽は好きだし、楽しんでいます。趣味で演奏する分には問題ないと思ってます。プロにはもちろん成れないし、有料コンサートに出演しないようにしています。これでもそれなりに気を使っていはいるんです。

     『好きこそモノの上手なれ』でありたいのですが『下手の横好き』になっているんだろうと思ってます。

  9. wasabin より:

    ブログ全体を暫くサボっていて、訪問したら、、、
    私、ここにコメしたんだけど・・・承認制じゃなかったら、消えちゃったんだわ~
    コメか私の記憶のどちらかです~

    まっ大した事書いてないし、
    私は音痴; 時々、それも音程とリズム両方なんです。
    それでも歌っているって、頑張ってるでしょう??
    って、そんな事だったと思います。

    聴力テストは音出す前に聞こえちゃう程(冗談です)、成績いいんですけどねえ~~;

  10. すとん より:

    wasabinさん

     ここは承認制じゃないですよ。ただ、ニフティの仕様で、コメント記入欄の一番下のボタンが2つ、左が「確認」で右が「送信」でしょ? 左の「確認」を押して、アップしちゃった気になってしまうというケースは、ままあるようです。ちなみに、左の「確認」を押しても、コメントは表示されるだけでアップされません。ちゃんと右の「送信」を押さないとアップされないんですよ。

     たぶん、wasabinさんも、左の「確認」を押してアップした気になっていたんじゃないかしら。そういう人が多いので、本当は「確認」のボタンを非表示にしたいのだけれど、これはニフティの仕様なので、私にはどうにもできないのです(許してくだされ)。

    >私は音痴; 時々、それも音程とリズム両方なんです。

     アマチュア歌手は誰のために歌っているのか? おそらく、大半のアマチュアさんは“自分のため”に歌っていると思います。ですから、そこさえきちんと掴んでいれば、音痴でも問題ないです。

     これが、施設訪問だとか、有料公演に出演とかになると、話は別です。だって、お客さんのために歌うわけだからね。お客さんのために歌うなら、お客さんが納得して感動できる歌を歌わなければいけません。ですから、基本的に音痴がダメです。それどころか、正しく歌えても、つまらない歌しか歌えないのではダメです。ただし、多少の音痴であっても、その音痴を補って余りあるほどの感動的な歌が歌えるなら、音痴もOKです。

     ちなみに、私も聴力テストの成績は良いです。でも、音感は鈍いし、耳は遠いし(笑)。

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