この曲、すっげー歌いたい! もう、歌いたくて歌いたくて歌いたくて、身を捩っちゃうくらいに歌いたい曲なんです。ロッシーニの「La Danza/踊り」 別名「ナポリのタランテラ」とも言います。ほんと、すっごい曲なんです。まずは聞いてみてください。
ね、すっごい曲でしょ。歌っているのは、ロランド・ヴィラゾンというテノール歌手です。この曲はロッシーニが引退直前に書いた「音楽の夜会」という歌曲集の中の一曲です。
引退と言っても、ロッシーニが引退したのは44歳の時です。彼は76歳まで元気に活躍していますから、彼が作曲家だったのは前半生だけだった…という事になります。なんで、そんな事をしたのかと言うと…色々な説はありますが、ロッシーニって、すっごい才能の持ち主で、売れっ子作曲家だったんだそうです。オペラをガンガン書き飛ばして、バンバン大ヒットさせて、ガッポガッポお金を稼いで稼いで、使い切れないほどのお金を稼いでしまったので、後半生は稼いだお金を使って生活しましょうって事で、さっさと引退して(デブなので)食べるの大好きだったので、レストランを経営しながら、食道楽に励んだんだそうです。
全くうらやましいね。
そう思うのは私だけでなく、楽聖ベートーヴェンもそうだったみたいです。
ベートーヴェンって、実はロッシーニと同時代の人なんですが、ベートーヴェンは、当時の市民たちがロッシーニのオペラばかりに夢中になって、自分のコンサートにはちっとも客が来てくれない…と愚痴った手紙が残っているくらいに、ロッシーニの大成功をうらやんでいたそうです。実際、当時のロッシーニの人気はすごくって、彼の現役時代に、彼の伝記が、文豪スタンダールによって書かれて(「ロッシーニ伝」です)いるくらいの超人気者の大セレブだったわけです。ほんと、すごいね。
ま、ベートーヴェンもうらやむほどの大作曲家だったのが、ロッシーニって事になるわけです。現存する曲だけでも、キラ星のような名曲が大量に並んでいるロッシーニですから(ただしオペラに限る:笑)、彼が44歳なんて働き盛りでなく、しっかり晩年まで作曲し続けていてくれたら、どんなに素晴らしかったか…ほんと、残念で仕方ないです。
さて「La Danza/踊り」という曲は、歌唱には作曲家によってテノールが想定されている曲なので、歌っているのも、ほとんどがテノール歌手です…ってか、プロのテノール歌手なら、ほとんどの歌手がレパートリーに入れているというくらいに超定番曲です。たまに女声が歌っているモノもありますが…やっぱり、この曲はテノールのモノだと思います。
歌詞は…読んでも意味ないです。内容は「さあ、踊ろう。みんなで踊ろう。ひたすら踊ろう」って事を言ってるだけです。この曲の魅力は、歌詞には全くありません。ひたすら、音楽の魅力と歌手の声の力だけで聞かせる曲です。さすがは、ベートーヴェンを嫉妬させるほどの大作曲家の作品です。
だからこそ、歌ってみたい曲なんですよ。でも私には難しすぎて、歌えない(涙)。ああ、悲しい、悲しい。
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コメント
ほんとにすごい歌ですね。
ロッシーニって、そうなんですか、べートーベンまで嫉妬させちゃってたんですか@@。音楽室の肖像写真では真ん中あたりにちんまり飾ってあったような覚えがあります、私にとってはロッシーニ=セビリアの理髪師、です。床屋さんのイメージがあります。そんなに大物の作曲家の方とは存じませんでした[E:coldsweats02]。
この歌、三連符の連続ですね。この速さの三連符はすごいドライブ感があって、ぐいぐい引っ張ってくれますね。この歌を紹介していただいてロッシーニを見直してしまいました。すとんさんも、今から数年後に絶対歌えますよ。この速度では無理でも、ゆっくりから譜読みしてだんだんスピードに乗っていけば歌えると思います。
高く見上げる目標に置くにはもってこいの歌だと思います、いつか絶対歌ってください。楽しみにしてますからね。
だりあさん
ああ、三連符に聞こえたんですね。(私も含めて)日本人は音楽を無意識に4/4拍子あるいは2/4拍子に聞いてしまうものなんだそうです。それは民族の血なのかもしれません(笑)。ですから、この曲を4/4拍子の音楽として聞くと、確かに三連符の連続に聞こえるんですが、実はこの曲、6/8拍子なんです。この6/8拍子というのが“大雑把に言えば二拍子なんだけれど、一拍は常に三分割されているリズム”の事なんです。だから、耳で三連符の連続に聞こえるのは、ある意味正解なリズムなんですね。
クラシックには、6/8拍子って、ヤになるくらいたくさんなるんですが、これまた日本人は苦手とする拍子なんですね。日本人には6/8拍子のリズムが全く取れない人も大勢いるとか?
ちなみに、6/8拍子って、馬の並足のリズムなんですよ。だから、乗馬をする人は、6/8拍子が体内に刻まれているわけだけれど、日本人の体内にはどうも刻まれていないようなんですね。ちなみに、付点のリズムは馬の駆け足のリズムね。日本人は付点のリズムが得意なんですよ。って事は、日本人(の祖先)は、馬に乗るといつも駆け足であって、ゆっくり並足での移動なんて無かった…って事になるわけど…、そんな馬鹿な(笑)。
>この速さの三連符はすごいドライブ感があって、ぐいぐい引っ張ってくれますね。
六拍子とか三拍子の音楽って、独特のドライブ感がありますね。だから、舞曲には六拍子とか三拍子の曲がたくさんあるのも納得です。ちなみに、この曲も舞曲ですからね。
ちなみに、ロッシーニとベートーヴェンの比較論は、当時の人気は圧倒的にロッシーニの勝ち。でも、ロッシーニはお金になるオペラしか書かなかったけれど、ベートーヴェンはほとんどのジャンルの音楽(つまりお金にならないような音楽ばかり)を書いたわけだし、ロッシーニは大衆に迎合した音楽を書き続けていたけれど(これはこれで大変だし、大切なんだけれどね)、ベートーヴェンは未来を見据えた尖った実験音楽ばかり書いていたわけで、後世の我々にとっては…と言うか、音楽史的にはベートーヴェンの方がエポックメイキングな作曲家だった事は間違いありません。
ただ、我々が学校で習った音楽の歴史ってのは、明治に日本にやってきたドイツ人御用学者さんたちの目線…つまり“ドイツ帝国万歳”目線なので、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、ワーグナーが過大に評価されているキライがあります。
当時のヨーロッパの音楽シーンを考えてみると“イタリアは作曲家&演奏家の生産地であり、彼らがオーストリアのウィーン、およびフランスのパリに輸出され(or 出稼ぎに出て)流行を作り出す”という図式があります。だから本来、クラシック音楽を語る時には、イタリア目線はもちろん、ウィーン目線、パリ目線の3つの目線が必要なんだけれど、不幸な事にこの3つの目線は、明治の日本には入ってこず、ドイツ目線の音楽史が入ってきたわけだけれど、ドイツってのは、当時、ヨーロッパの辺境だったわけで、実に偏った目線だったんだなあ、これが。
ベートーヴェンは偉大な作曲家である事には異存ないけれど、ドイツ目線なので、イタリア人作曲家が不当に軽く扱われていたり、無視されている音楽史を我々は学校で学んでいるわけです。
モーツァルト(オーストリアの作曲家)は、映画「アマデウス」以来復権できましたが、以前は軽くスルーされていた作曲家です。ロッシーニを始め、ヴェルディやプッチーニなどのイタリア系作曲家はまだまだスルーされていますし、フランス系作曲家のサンサーンスやドビュッシー、ラヴェルなどは、扱いが軽すぎると思います。パリで活躍したオーストリア系ハンガリー人である作曲家のリストなんて、ショパンとは比較にならないほどの大作曲家(私はモーツァルト並だと思ってます)なのに、ピアノ専科のショパン並の扱いとか…。とにかく、学校で習った音楽史って、とっても偏っているんです。
まあ、ムキになって語るほどの事でもないんですが(笑)。
この曲、いいですよね!この妙なテンションの高いかんじ、好きですわ!あと、ロッシーニの猫の二重奏も可笑しい!ニャーニャーで始めニャーニャーで終わる、笑。ロッシーニ、凄いです!!
アデーレさん
おぉ、ロッシーニの「猫の二重唱」は、声楽発表会の定番ソングですなあ…。私もいつかきっと歌います(笑)。あの曲も、ロッシーニの天才性をよく表している名曲です。知らない人のために、YouTubeのアドレスを貼っておきましょう。
>https://youtu.be/9tWr6ma5bQ0