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アゲハのご帰還

 ようやく、楽器店から連絡が入り、アゲハのご帰還となりました。

 忙しい中、むりやり時間を作り、るんるん気分で、さっそくアゲハを引き取ってきました。楽器店では、何やらどこぞのフルートフェアをやっていた様子だけれど、それをのぞいている暇すらないほどに、タイトなスケジュールの中、チャチャっと、アゲハを引き取ってきました。だって、待ち焦がれていたんだも~ん。

 戻ってきたばかりのアゲハは…実に、ピカピカ。ほんと、まばゆいばかりに光ってます。新品で買った時でも、こんなにピカピカしていませんでした。さらに言うと、ピカピカなだけではなく、実にツルツルのスベスベでもありました。お店で点検試奏のために、アゲハをクチにあてただけで「あれ、違う」と思いました。ほんと、感触が全然違ったんです。

 実に、新品以上に新品になって帰って来ました。ううむ“磨き”ってスゴイなあ…。

 実際、消耗品はすべて新しい部品と取替え、すべてのパーツを分解して磨き上げて、その上できちんと調整されて店に戻ってきたわけですから、ほぼ新品状態です。なので、お店としては、再調整品に関わらず、新品扱いとなりました。つまり、新品購入の際に付く、一年間の無料調整サービスが付いてきました。。

 「今回は磨きも加えたので、新品扱いは分かりますが、磨きは無しで、タンポの交換だけの場合でも、一年間の無料調整サービスは付きますか?」と尋ねたところ、タンポのみ交換のオーバーホールでも、無料調整サービスは付くそうです。ううむ、太っ腹~。

 タンポって交換しちゃうと、最初の一年間はマメに調整が必要なんですが、少なくとも、交通費の負担だけで、調整してもらえるなら、気安く調整を頼めるので、うれしいです。

 さて、肝心のアゲハの状態ですが、外見だけなく、中味も実にピカピカになって帰って来ました。私が五年かけて、黒く硫化銀でコーティングした管内も、光り輝いていました。

 で、きちんと吹いてみると……とても吹きづらくなりました(涙)。おまけに音色も少々硬め。ああ、五年かけてアゲハとはだいぶ仲良くなったつもりでしたが、オーバーホールで磨きをかけてしまったため、二人の関係もきれいにリセットされ、また、アゲハは元のツンデレフルートに戻りました。ああ、一から二人の関係を作り直さないと…。

 そうそう、以前、田中会長がつけてくれた、コルクによる“簡易Eメカ”は、取り外されて無くなってました。まあ、もはや、Eメカに頼る必要ないほどに上達した(はず)の私なので、それはそれで良しとしましょう。実際、高音Eは“簡易Eメカ”無しでもなんとかなります。

 高音Eは“簡易Eメカ”無しでも、とりあえず平気なんですが、高音F#はスカるようになりました。いや、たいてい失敗する(涙)。マズイなあ…。元々アゲハは、高音F#は出しやすい楽器だったのですが、今は高音Eよりも出しづらくなってしまいました。

 最高音の方は、Cはもちろんですが、C#ですら、簡単に鳴ります。以前は最高音付近は、かなり苦労したのですが、とりあえずC#まではOK。まあ、Dはとても鳴りづらいのですが、アゲハは元々Dは鳴らない楽器だったので、それはそれで良しです。

 最低音の方は、CもC#もうまく鳴りません。オーバーホールに出す前は、結構キレイに鳴っていたので、残念ですが、購入当初はCもC#もロクに鳴らなかった事を思い出せば、ホント、リセットされちゃったんだなあって思いました。

 凹んでいたところは「以前、ここが凹んでいたんだよねえ…」と分かる程度に凹みが直っていました。まあ、それは仕方ないか(笑)。

 音色は、以前と比べると硬めで凛とした感じになってましたが、これは硫化銀のコーティングが取れてしまったのだから、仕方ありません。また、たっぷり吹き込んで、黒々と内部をコーティングしてあげれば、音色も柔らかくなるでしょう。

 キーメカの調子は、いいですよ。まあ、アゲハは以前から、キーメカの調子が悪くなる事はなかったので、そういう意味では『お変わりなし』です。

 でも、ほんと、磨き入りのオーバーホールをしちゃうと、新品に戻っちゃうんですね。「“磨き”を入れると、フルートの癖が取れて、吹きづらくなるよ」とH先生がおっしゃってましたが、まさにそんな状態です。“私専用のアゲハ”だったのに、今一度“万人向けのアゲハ”に戻っちゃった感じで、なんとなく寂しいかな? でも、ある意味、アゲハは若返って帰って来たわけで、それはそれでうれしくもあります。

 さっそく、アゲハでミニヨン・エチュードの20番を吹いてみたら…いやあ、難しい難しい。音がマトモに鳴らずに、スカるスカル(汗)。そうそう、昔のアゲハって、そんな感じでツンツンしていたんだっけ? レンタちゃんの素直さが、ちょっぴり懐かしいです。

 でも、アゲハは、ツンツンしていてこそのアゲハなんです。今度もきちんと教え込んで、またデレデレしてくるように、してみせるさ。そうさ、私は頑張るんだから、ね。

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コメント

  1. operazanokaijinnokaijin より:

    ああ、木管楽器だったのが、
    今回、銀管楽器になって、帰ってきたのですね。

    私は、銀が黒く変色した、木管楽器風フルートが大好きです。
    私は、断固、磨かないぞ!

    と、反対意見を述べてしまいましたが、
    すとん様におかれても、色々とお考えになって、
    今回、磨かれて、
    ピカピカになった帰ってきたフルートに、
    また、愛着でございましょう。

    フルートって、いや、フルートに限らず、
    楽器って、見た目の美しさも、大事ですよね。

    おしまい

  2. パールパン より:

    はじめまして。
    五年使っているフルートの
    オーバーホールを考えてます。
    それで、調べていたら、こちらにたどり着きました。

    磨ける事も、初めて知りました。
    オーバーホール、まだしなくていいかな、
    するとしたら、磨こうかな。
    うーむ悩む。

    まずは、バイトを増やそう。。。(◎´∀`)ノ

  3. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

     そうなんです、木管楽器だったのが、銀管楽器になって、戻ってきました(笑)。

     私もピカピカの銀管楽器よりも、黒々とした木管楽器の方が好きなんですよ。でも、今回は、オーバーホール初体験という事もあり、“タンポ交換”にせよ“磨き”にせよ“凹み直し”にせよ、一度経験したかったのです。

     ピカピカの楽器がお好みの方は、ぜひ“磨き”を入れた方が良いですね。

     次のオーバーホールでは“磨き”抜きで頼むつもりです、それはそれで、楽しみです。

  4. すとん より:

    パールパンさん、いらっしゃいませ。

     “磨き”はメッキをかけていない、シルバーとゴールドの楽器のみ、可能です。メッキの楽器には“磨き”というメニューはありませんので、ご注意ください。ほら、だって、メッキの楽器に磨きをかけたら、メッキが剥がれてしまって、大変な事になるでしょ? 

     オーバーホールの目安は、だいたい五年だそうです。具体的に言えば、タンポのヘタレ具合(タンポの弾力性。硬くなるとダメみたいです)で決まりますので、たくさん吹いたのでは早めにオーバーホールをしなければならないとか、あまり吹いていないのでオーバーホールはまだ数年先でいいとか、そういう事ではないようです。不安ならば、調整の時に、見てもらえばいいと思いますよ。ちなみに、調整は半年に一回が程良い間隔なんだそうです。

    >まずは、バイトを増やそう。。。(◎´∀`)ノ

     オーバーホールにかかる費用は、安めのフルートが一本買える程度かかりますからね。貯金、必要ですよ。

  5. もっちゃん より:

    はじめまして(^ ^)
    フルートを新しく購入するために色々調べていたらすとんさんのブログに辿り着き、参考にさせていただきました。
    今まではヤマハ211→ムラマツGXの順に使ってきており、GXを買って7年目です。
    楽器店の試奏品のなかにたまたまアルタスのモデルがありました。
    パール、ヤマハ、ミヤザワ、ムラマツは吹いたことがありましたが、アルタスは未知数でした。しかし、とても吹きやすく、しかも音色がかなり好みだったのです♪( ´▽`)
    師匠はムラマツユーザーですし、ムラマツやパウエルを進められましたが、私は断然アルタス好みでした。パウエルは私に向かないのか吹きにくかったです(´・_・`)
    ムラマツの上位モデルは私の好みではないみたいでした。
    買ったのはアルタスGPTです!
    これから、ムラマツ仕様になっている吹き方をアルタス向けに変えていきます笑

    すとんさんのブログを読んでとても共感することが多かったのですが、まさか同じアルタスを自分が選ぶとは思ってませんでした!これからもブログを読ませていただきます!よろしくお願いします!
    記事の内容とはあまり関係がなくてすみません。

  6. すとん より:

    もっちゃんさん、いらっしゃいませ。

     ウェルカム、アルタスユーザー! って、別に私はアルタスさんの回し者ではありませんが(笑)。でも、私と同じメーカーのフルートを選んでいただけると、何となく、うれしいです。

     私の師匠もムラマツユーザーでして、一緒に合わせる時は、無頓着には合わせられないので、いつも耳をピクピクさせながら合わせてます。慣れないうちは大変ですが、たぶん、こういう練習は、自分の耳を鍛えるためには、良いのではないかと思ってます。

    >これから、ムラマツ仕様になっている吹き方をアルタス向けに変えていきます笑

     はは(汗)、確かに、アルタス向けの吹き方ってあるんじゃないかと思います。まあ、大きな違いではありませんが、より美しい音色を響かせるための、ちょっとしたコツのようなものですね。

    >記事の内容とはあまり関係がなくてすみません。

     いえいえ、うれしいご報告、ありがとうございました。

  7. su_zan より:

    おかえりー。
    たぶん、ミヤザワになれちゃったんだねえ。
    吹き方が意識しなくてもそうなるから、身体のバランスがミヤザワになっているのよ。
    ゆっくり音だししてみてください。

  8. めいぷる より:

    御当人には長かったであろうオーバーホールでしょうが、間に他記事があるのでアッと言う間にも感じます(#^.^#)v

    私もよーやく(相当粘った…笑)ADRCをオーバーホールへ出すべく予約しました。2箇月強待ちますが、実質二週間で、代替器を借りれます。楽器自身はボロボロですが多々な条件が重なったので意外にお安い見積もりでした。 その分、自分の楽器のオーバーホールに備えて貯金開始です…笑

  9. すとん より:

    su_zanさん

     おっしゃるとおり、ミヤザワと言うか、レンタちゃんに慣れちゃったんだと思います。だって、楽なんだもん。水は高きから低きに流れるものだしね。

    >ゆっくり音だししてみてください。

     ですね、まずはそのあたりからボツボツと焦らずにやってみたいと思ってます。

  10. すとん より:

    めいぷるさん

     実はレンタルフルートがとてもよかったので、当人的にもあまり長くは感じていません。もちろん、自分の楽器が無いという寂しい気持ちはありましたが、借りてきたフルートがなかなか楽しいフルートだったので、それはそれは良しでした。

     それにしても、オーバーホールは安くないですね。貯金が必要ですよ、全く。でも、逆に言えば、オーバーホールさえきちんとしていれば、いつまでも使えるんだから、考えようによっては安いものです。だって、総銀やゴールドフルートが、オーバーホールできずに、使い捨てだったら…考えるだに恐ろしい事です。

  11. しーちゃん より:

    アゲハちゃん、お帰りなさい!生まれ変わって帰ってきたのですね!
    また、1からのスタートなんですね・・・大変だけど、やる気が湧き上がってきますね!

    あ、そうそう、先週の土曜日、銀座山野楽器で、
    アルタスフルートのアンサンブルグループの
    コンセールルミエールさんの演奏を聴いてきました。
    ちょうど、私のフルートも無料調整会で点検していただきました。
    まだ、購入後間もないので、それほど手を入れるところはなかったんですが、
    やはり、専門家に見てもらうと安心ですね!
    半年に1度の点検、大切ですね。

  12. すとん より:

    しーちゃんさん

     そうです、文字通り、生まれ変わって…戻ってきました。いやあ、ほんと、まだ私と仲よくなる前の、見知らぬフルートに逆戻ってきました。ある意味、時計の針を逆回転してきたようです。

     まあ、また、最初から調教のやり直しです。ふふ、楽しみです。いや、調教のされ直しか? どっちにせよ、また改めて関係を作り直しです。

     今の私は五年前の私とは違います。今なら、もっとアゲハを素敵に育てられる…と思いますよ。

     コンセールルミエールはCDでしか聞いたことないんですよ。ああ、生演奏聞きたかったなあ。CDって、音は聞けても、響きは聞けないからなあ。聞くなら絶対に生だよね。

     生、大好き。

    >半年に1度の点検、大切ですね。

     いやいや、ほんと、そうですよ。でも、私は次の調整は、半年待たずに行くつもりです。

  13. 江戸川 より:

    はじめまして。アルタス使いではありませんが、私も自分の楽器をオーバーホールに出してきました。調整でしにぎつつ、10年ぶりくらいなんですが…。磨きはなしでお願いしました。来月後半には戻ってくる予定です。お目汚ししました。

  14. すとん より:

    江戸川さん、はじめまして。

     江戸川さんもオーバーホールですか? “磨き無し”は、ある意味、正解かもしれませんよ。フルートは磨いてしまうと、それまで楽器と過ごした時間がリセットされてしましいますので、無しで済むなら無しもアリかと。

     でも、オーバーホールで、タンポも新品になって、調整も徹底的にやってもらうと、かなり吹きやすくなると思います。楽しみですね。

  15. Lucifer より:

    はじめまして。
    先々月ぐらいにアルタスを使い始めた者です。

    オーバーホールするとそれだけ変わってしまうんですね…。
    フルート歴的にまだオーバーホール出すようなレベルでないのですが…

    参考にさせていただきます・・・!

  16. すとん より:

    Luciferさん、いらっしゃいませ。

     オーバーホールをするだけでは変わりません。通常のオーバーホールって『タンポの交換』と『調整』だけですから。私は、それに『修理』と『磨き』を加えたフルコースで行なっただけです。

     『磨き』はいけません。これは楽器をリセットしてしまいます。『磨き』をしなければ、オーバーホールはいいものだと思いますよ。

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