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声は楽に出すべきか?

 声は楽に出すべきか? あるいは、しっかりと声帯にプレッシャーをかけて出すべきでしょうか?

 本来、この2つは相反するものではなく、同時に適度に行わなければいけませんが、往々にして「楽に声を出そう」とすると、力が抜けすぎてしまいがちになりやすいし、逆に「声帯にしっかりプレッシャーをかけて声を出そう」とすると、つい力んでしまい、全く楽ではなくなってしまいます。

 ちょうど良いとか、適度に行う…というのは、ほんと、難しいことです。

 であるならば、どちらに主眼をおいて行うべきか…ですが、私は「声を楽に出す」方をメインに考えて行きたいと思っています。

 と言うのも「しっかり声帯にプレッシャーをかけて出す」をメインに考えてじまうと、次のような弊害が考えられるからです。

 1)声がウチへこもりがちになり、いい声が出たと勘違いしがち。

 2)ついつい力んでしまいがちになる。

 3)すぐに声を使い切ってしまい、長時間歌えなくなってしまう。

 4)声帯が固くなって、難しい音程(高音や低音)は出なくなってしまう。

 5)声帯への負担が大きく、病変を生じることすらある。

 以上の理由で、声をしっかり出す方向の努力はあえてせず、まずは「楽に声を出していく」ように心がけていきたいのです。楽に出しながらも、最低限のプレッシャーで発声できるように自分を変えていくわけです。

 そのため、修行中の段階では、弱々しい声しか出ないでしょうし、高音も低音もからっきしでしょうし、何より最初は“ふがいない歌声”でしかないので、自分的にも不安だし、不満足になってしまうわけです。…が、そこを乗り越えないとダメなんだと思います。
 最初は、小さな声、弱々しい声であっても、それが本来の自分の声であることを受け入れなければいけません。

 無理して虚勢を張ってイキった声で歌っても、見苦しいだけなのです。

 急がば回れ、なのです。そんな弱々しいところから、声を組み上げていかないと、いつまで経っても、美しくハリのある声で歌うことなんて、無理無理無理なのです。

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