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ヴァイオリンを作ってみよう! その9 木工作業の最終行程に入ります

 ペイント作業も終了したので、本当の最後の仕上げ段階としての、木工作業に取り組みます。

 まずは、塗りすぎてしまったニスを剥がす事から始めました。丁寧に塗っていたつもりだけれど、やはり、エンドピンホールやペグホールの内側を見ると、ニスが若干入り込んでいます。ほんの少々であって、元々ジャストサイズに加工してある部分ですから、ニスがちょっと入っただけでも、もうピンは入りません。なので、彫刻刀でニスを剥がし、ついでに元から粗削りでキツメだったところも、丁寧に精密ヤスリでヤスリがけをしました。その上で、エンドピンやペグを装着。ペグにはチョークをたっぷり塗って回して、ペグホールにチョークが万遍なく行き渡るようにしてみました。これでペグもペグホールもいい感じになったのではないでしょうか?

 ヴァイオリンのネックの裏は、通常、塗装しないものです。なので、私もその部分はステインは塗ったものの、ニスは塗りませんでした。後でニスの塗り跡の不格好なところはヤスリがけをして整えて、白木状態で仕上げればいいやと思っていたからです。

 ちなみにスズキ君のネック裏は透明ニスが塗られていて、ニス仕上げになっています。別にそれでも使用上に問題はないので、木材保護という観点からもそれもアリかなと思ってましたので、キラメキは本当に白木状態で完成でいいのかな?とは悩んでいました。なにしろ、白木が木材の一番弱い状態ですからね。

 悩んだ時は…やっぱりネットサーフィン(古っ!)です。色々と読んでみたところ、高級ヴァイオリンは、ネック裏は白木ではなく、オイルフィニッシュにするそうです。ふふーん、じゃあ、私もネック裏はオイルフィニッシュにしようっと(猿まね)。

 さて、問題は、どんな油を使うか…です。調べたところ、一般的には亜麻仁油(あまにゆ)が用いられるらしいです。この油は木製品、革製品のオイルフィニッシュの油としては、ごく普通に用いられるものらしいし、食用としても使用されている、なかなかのすぐれものらしいが…我が家には無い(汗)。オイルフィニッシュ用にわざわざ亜麻仁油を購入してくるのも癪なので、我が家にある別の油を使用する事にしました。な~に、油なら、なんでも一緒でしょ。

 一番最初に思いついたのは、サラダ油(笑)。でも、これではなんとなく安っぽいので却下。次に考えたのは、ごま油とかオリーブオイル。これらはなかなかいいんじゃないのと思ったところ、臭いがいつまでも残りそうなので、どうしたものだろうと悩みました。だってね、ヴァイオリンから、中華なごま油の香りがいつも漂っていたらどうよ? どうせ臭うものなら、イタリアンなバージンオイルにしてみようかと決意したところで、妻から「えごまはどう?」と提案されました。

 えごま油…シソの油です。無色透明で、臭いもほとんどない上に、油としてはなかなか上等なものらしいです(お値段もちょっとハリます)。ううむ、ヴァイオリンをシソの油で仕上げるのか…悪くないな。決定、えごま油でオイルフィニッシュです。

Photo  ネック裏をキレイにヤスリがけをして、えごま油を塗って、オイルフィニッシュしてみました。若干の時間を置いて3回ほど塗ってみました。木材にも油がちゃんと染み込んだみたいだし、見た目もいい感じになりました。これは正解ですよ。

Photo_2  左の写真が「使用前」で、右が「使用後」となっております。ううむ、見違えるほどキレイになりました。…が、写真じゃあ分かりづらいかな。

 ネック裏がとてもよく仕上がったので、調子にのって、指板とテールピース、アゴ当てにも、えごま油を塗りました。オイルフィニッシュも悪くないですよ。

 さあ、次はいよいよ、駒を削って、弦高を調整して、弦を張ったら、いよいよ完成だよ。

 駒はとても大切な部品です。付属の駒に手を加えて、二度と使えなくなるほどのダメージを与えたら、それこそ取り返しがつかなくなるので、別の駒を購入して、それに思う存分、手を加えることにしました。

 ヴァイオリンの駒って、どこでも売っているんですね(笑)。近所の楽器屋にフラ~っと行ってみたら、置いてありました。それも、フランスのオーベルトという高級ヴァイオリン駒です。ちなみに、1枚千円でした。これなら、いくら失敗しても(買い直してくれば)全然平気だぞ。

 さあ、良い駒を入手したので、これをキラメキ用にカスタマイズします。

 カスタマイズ前に、入手した駒を子細に見たところ、この駒は“仕上げ済み”の駒である事が判明。つまり、大半の加工は終了していて、後は個々のヴァイオリンにジャストフィットするように、足の部分を加工すればいいだけになってます。ラッキー。これなら、作業も最小限で済むじゃん。

Photo_3  さて、付属の駒とオーベルト君を比較してみました(左が付属君、右がオーベルト君です)。まず、横幅や各種のサイズや角度はほぼ一緒。年輪の入り方が、オーベルト君の方が細かくはいっているようです。つまり、木材としての密度が違うのだけれど、これは音と関係するのかな?

 肝心の背丈は…若干、オーベルト君の方が背が高いです。具体的に言うと、約3mmほど大きいです。付属の駒ですら、ちょっと背が高いなあと思っていたのに、オーベルト君は付属駒よりも3mmも大きいです。3mmなんて、普段の生活なら、軽く無視できる長さだけれど、ヴァイオリンの駒の高さとしては、有意に高いです。…となると、やっぱり自分で削るべきでしょう(笑)。なにしろ「大人の夏の自由工作」だから、ここは自分でエイヤーと駒削りにチャレンジしちゃおう! そうなると、手順は以下のとおり。

 1)まずは背の高さを3~5mm程度低くする。そのために上辺を彫刻刀でガリガリ削って紙やすりで仕上げる。

 2)そのため、弦と接する上辺部分が太くなるので、最終的な厚さを1mm程度にするため、斜めにさらに削る。

 3)全体的に分厚い(6mmほどある)ので、これも削って4mm強にする。

 4)弦の乗る部分を彫刻刀または精密ヤスリで削って作る。

 5)E線の食い込みを防ぐために、その部分に(革の代わりに)テープを貼る。

 6)ヴァイオリンにジャスフィットさせるために、ヴァイオリンの形に脚を削る。

 駒を削ると言っても、結構、やることありますね(笑)

 さあ、取り掛かるぞ~と思っていたところ、複数のヴァイオリンのメンテナンス系の本に、共通して、こんな主旨の事が書いてありました。

 ヴァイオリンの駒は、音質に大きな影響を与えるから、扱いは慎重にね。安いヴァイオリンの場合、駒を取り替えるだけでも、音は飛躍的に良くなるよ。一般的に駒の背丈が高いほど、ヴァイオリンは音量を増し、低くすれば低くなるほど、音量的には弱くなるんだよ。ストラディヴァリウスの時代のヴァイオリンは駒が低かったけれど、今はヴァイオリンにも音量が求められる時代なので、一般に駒の背丈は高目が標準よ。さらに駒の厚さも影響力強いよ。厚いと音がまろやかに、薄いと音が鋭くなるよ。

 ううむ、別に駒を削る事には何の躊躇もありませんが、駒を削って、音量が小さくなるのは、ちょっとマズイかもしれない。なにしろ、キラメキは素の状態の時は、めっちゃくっちゃ音量のない娘だったから。これは楽器が鳴らない/響かないという事もあるだろうけれど、駒の高さでそれが若干でも修正されるなら、直した方が良いだろうなあ…。

 ヴァイオリンの音は、マイルドでまろやかな方が私の好みだよね。素のキラメキは、実に耳に刺さるような、刺激的な音を出していたもの。駒が厚さで音がまろやかになるなら、それは願ったりかなったりだし…。

 ううむ、決めた。今回は、オーベルト君は削らない。フランスの駒専業会社のチューニングをそのまま使うことにしました。何、これが気に入らなければ、その時点で、シャカシャカ駒を削ればいいんだから(笑)。

 と言うわけで、駒を大胆に削るのは辞めて、E線に革の代わりにメンディングテープ(不織布です)を張り、駒の脚がヴァイオリンにジャスフィットするように、シャカシャカヤスリがけをしました。

 で、弦(ヴィジョンとゴールドブラカットの組み合わせね。スズキ君と同じ組み合わせにしてみました)を張って、完成しました。そうです、完成したんです。おめでとー。

 完成後の感想は…それは明日の記事に書きます。お楽しみに…ね。

 ちなみに、アマゾンに注文してから、完成まで25日かかりました(笑)。

コメント

  1. 紫水 碧 より:

    お疲れ様です!
    完成したヴァイオリンの感想も楽しみにしています

    ところで、ハンドルネーム変更とブログ移転をしましたのでご報告です。お手数をお掛けしますが、またリンクを貼らせていただけたらなぁ、と思います

  2. すとん より:

    >紫水碧さん

     了解しました。

     私も去年は散々、変態野郎に追いかけ回されて、そりゃあもう大変でした。こんなオッサンをストーキングするという、その感覚は理解不能でしたよ。愛の形は人それぞれですが、そういうイビツな愛情表現は、さすがに受け入れられませんでした(笑)。

     相談くらいはのれると思いますので、もしもお困りの事があるようでしたら、メールでもくださいな。

     完成したヴァイオリン話は、写真も含めて、明日のお楽しみで(笑)。

  3. たけひ より:

    どうも!はじめまして^^
    ちょっと興味深く見させていただいてます。
    (=^・^=)
    オーベルトの駒、削らないんですか?
    市販されてる駒はオーベルトも含め大半は未完成品ですよね~。
    削らなくって良いんでしょうか?
    気になったのでコメさせて戴きました。
    σ(^◇^;)。。。

  4. すとん より:

    >たけひさん、いらっしゃい。

    >市販されてる駒はオーベルトも含め大半は未完成品ですよね~。

     いやいや、どこのメーカーさんも、未完成品も完成品の両方のタイプの駒を用意しています。気の利いた楽器屋に行けば、ちゃんと未完成品/完成品が取り揃えてあります。

     なので、ご自分のヴァイオリンの音が今一つだなあ…と思ったら、楽器屋に行って、完成品の駒を買ってきて、取り替えちゃえばいいんです。

     もちろん、完成品と言っても、自分で最終的な調整(駒をヴァイオリンにフィットさせるためのヤスリがけです)をする必要は、もちろんあります。それは簡単な作業なので、チャチャとしましたよ。でも、それ以外は、駒専業メーカーであるオーベルトの推奨しているチューンのままで、ひとまず使ってみようと言うだけの話です。オーベルトのチューンが気に入らなければ、その段階で手を加えればいいだけの話なだけです。

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