ちょっと古い話だけれど、YOASOBI(よあそび)の「アイドル」がビルボードのグローバルチャート(つまり、総合チャート)で、2023年6~7月にかけて、3週連続で1位を取ったそうです。もちろん、こんな事は日本音楽史上初の快挙なんだな。
このグローバルチャートと言うのは、21世紀になってから作られたチャートで、チャートの対象をアメリカ国内だけでなく全世界に広げ、レコード売上だけでなく、配信とかもカウントするようにした、今の時代の総合チャートなわけで、そこで日本人アーチストとして初めて、YOASOBIが1位を取ったというわけです。
まあ、素直にすごいと思いますし、この「アイドル」という曲が実はアニソン(アニメ「推しの子」の主題歌)だという事にもビックリです。オフィシャルビデオを貼っておきます。
この曲はアニソンという事からも分かる通り、日本語で歌われています。日本語で歌われている歌が世界に出て行って、チャートで1位を取っちゃうなんて、私のような年寄からすればビックリ仰天の出来事です。
だって昔は(チャートで1位を取るどころか)世界に進出するなら英語で歌わなきゃダメって言ってたもん。だから、ピンク・レディーが世界進出した時も英語の歌をリリースしたし、ゴダイゴが英語歌詞の歌を歌っていた時も「世界進出を考えているグループは違うよなあ」と思ったし、YMOが世界進出をして成功した時はインストの曲だったので「やはり日本語で歌っちゃダメなんだよあ」と思ったし、宇多田ヒカルがデビューしてアメリカのチャートをちょっとだけ賑わした時も「彼女は英語で歌えるからなあ…」って思ったものです。
でもそんな彼らでもテッペンは取れなかったのに、YOASOBIは日本語歌唱のままでテッペンを取ってきたわけです。
そう言えば、昔パフィーがアメリカで人気者になった時、彼女たちは日本語のままで世界進出をしたんだよね…。
結論、世界進出をするなら、英語の歌詞でなくても全然良いのかもしれません。むしろ大切なのは、良い音楽かどうか、才能が本物であるかどうか、そこが大切なんじゃないかな?
…って事になるんだろうね。良い音楽であり、しっかりと個性的な音楽で、決して誰かのモノマネではない、本物の才能の持ち主がパフォーマンスする事が肝心なんだろうと思うわけです。
「スキヤキ」を歌ってアメリカ進出をした坂本九にしても、アニメがきっかけとは言え、アメリカで歌手として人気モノになったパフィーにしても、彼等は誰かのモノマネではなく、自分たちの個性を前面に出して表現して歌ったわけだし、今回のYOASOBIにしても、誰か海外のアーチストのモノマネではなく、ちゃんと自分たちの音楽をやっているんだよね。
マーケティングを考えると、オリジナル色の強い歌手は売りづらいよね。誰かのモノマネ、誰かのコピー、誰かの二番煎じの方が、市場でどれくらい受けるか計算しやすいからね。芸能界も産業だから、同じ売るなら、事前に計算のできるリスクの低い歌手を売り出したいよねえ…。そう考えると、同じようなタイプの歌手ばかりがテレビを賑わし、ガンガン売られているのも分からないでもありません。
それにモノマネをするなら、ビッグな方がいいよね。
日本人は海外に憧れがあるから、同じマネをするなら、海外アーチスト風の音楽の方がウケるし売れるんだと思うし、歌手自身も憧れの人に対するリスペクトがあるから、そういうモノマネ路線になりがちだけれど、それは国内向けの歌手の売り方であって、世界進出をするなら、誰かのモノマネじゃダメなんだと思うわけです。世界に出るなら、売れるかどうか分からなくても、オリジナリティ強めじゃないと認めてもらえないんだよね。
モノマネを聞くくらいなら、本物の方を聞きたいでしょ? それは当然の事です。
あと、英語の歌じゃなきゃダメという思い込みに関しては、もちろん、外国語に関するコンプレックスも当然あるだろうけれど、それ以上に、たぶん、我々日本人は、歌を聞く時に、歌詞を聞き過ぎるんだと思います。
だから「海外で勝負をするなら英語で歌わなきゃ…」って発想になるんだと思いますが、それは大きな間違いなんだろうね。歌詞は大切だけれど、本当に大切なのは、まずは音楽。それはメロディーだしサウンドなんだと思います。そこがちゃんとしてなきゃ、いくら英語で歌っても、世界でテッペンが取れるわけないよ。
そう考えると、日本にもオリジナリティあふれる音楽はたくさんあるし、そういう音楽を作ってきた人もたくさんいたけれど、みんな「日本語で歌っているから…」という理由で海外進出を諦めてきたわけで、今思うと、それが何とももったいないですよね。ああ、ほんと、もったいない。
そういう意味では、今回のYOASOBIの快挙は、実に素晴らしいと思うわけです。ぜひ、年末の紅白で聞きたいです(出場するよね?)。
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