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メーカー推奨に戻してみました

 この話は、ある意味、この記事の続きかもしれない(笑)。

 なんか、どうにもフルートのピッチが高い私です。ピッチの高めなヨーロッパに移住する予定もなく、当分はここ日本で頑張っていくつもりなので、どうにかピッチを日本の標準あたり(442Hz)まで下げていかなければいけないなあ…と、これでも悩んでおりまして、当面は音曲げで対応するも、かなりグイグイと曲げていかないといけないので、なんか不安な日々を過ごしておりました。

 ある日、ハタと思いだした事がありました。それは、アゲハの製造メーカーであるアルタスの田中会長の言葉。そこで、秋のフルートフェアでいただいたレジュメを取り出して読み返してみたところ…。

アルタスのフルートを試奏する時は、できれば他のメーカーのフルートと一緒に吹かないでください。なぜなら、設計思想があまりに異なるため、アルタス本来の性能が発揮できなくなる恐れがあるからです。(ピッチが高いと感じる。音色が変えられないと感じる。持ちにくいと感じる…等です。)

 …ピッチが高いと感じる? はい、ただ今、そのように感じている最中でございます。また、同じ文章で田中会長は次のようにも書いています。

是非、アルタスフルートを試奏する時は、ALTESの教本等に書いてあるフレンチ奏法を思いだして、その方法で充分吹き込んでみてください。

 ALTESの教本…つまりアルテだよね。とりあえずアルテを確かめてみるも、別にこれと言って目新しい事は見つけられませんでした。

 私が使っているアルテは日本フルート協会のもので、比田井洵氏の編著の黄色い奴。おっかしーなーと思いつつ、ちょっと『???』と思った事があったので、比田井洵氏のものでなく、植村泰一が訳している、原著のALTESを忠実に訳した方のアルテスで確認してみると…あれ、フルートの組み立て方が違うよ。

 植村泰一氏が訳した「アルテス・フルート奏法」だと…あれあれ…これはアルタスのフルート取り扱い説明書にかかれていたフルートの組み立て方と一緒だ。つまり「歌口の向こう側の縁を胴部管のキイの中心に合わせる」です。

 忘れてたー。アルタスのメーカー推奨の組み立て方は、かなり内向きだったんだー。以前も一度、内向きに組み立てることにしていたのに、いつのまにか、何となく、標準の組み立て方(実はちょっと外向き:笑)になってしまっていた私でした。

 そこでいきなり、メーカー推奨(フランス人のアンリー・アルテス氏も推奨)の組み立て方にしてみました。ちょっと吹きづらい(笑)。いや、かなり吹きづらい(爆)。けれども、ピッチ合わせはだいぶ楽になりました。頭部管も5mm程度の抜きで441Hzに楽に合わせられる。音もさほど激しく曲げなくても済む。ひとまずはこれかな?

 たぶんこれで正解なんでしょう。しかし…何となく、フルートをここまで極端に内向きにして吹くことに心理的抵抗を感じないわけではない。だから、いつのまにか標準の組み立て方になってしまったのだろう。

 本当は、頭部管の向きをいきなり変えるなんて事は、無謀以外の何ものでもないんだけれど、今の私にとって、ピッチが合わない、合わせるのに、すごく努力がいるという、この状態が、とてもストレスになっているんです。とにかく、いつも、チューナーのグリーンランプが点灯したままの状態でフルートを吹きたいんです。だから、いきなり頭部管の向きを変えてみました。

 でもね、いくらピッチのためとは言え、いきなり極端な内向きにしたために、色々と支障は出ているような気がします。特に自分でも思うのは、音色が硬くなってしまった事と、第三オクターブがとても出しづらくなってしまった事。あと、最低音と最低音のドが、どちらも調整不能くらいピッチが外れるようになった事。この二つの音以外は楽にピッチ合わせができるのに、この二つはむしろダメになりました。ま、これらの諸問題については、おいおい解決していくしかないだろうと思います。

 無伴奏ソロしかやらないならともかく、ピアノでもオーケストラでもフルートアンサンブルでも、他人とアンサンブルをする事が将来ないとは断言できない以上、常に標準ピッチで演奏できるように、自分を訓練していかないとダメだものね。まずは、ピッチです。もちろん、音色の追求も怠りなく…だけれど、今はピッチです。

 やっぱり、アルタスフルートは、他のフルートとは、一味も二味も違うフルートなんだろう。とにかく、その個性を受け入れ、メーカーが推奨するやり方を基準として、そこから自分なりの奏法と言うのを探していく…って事なんだろうと思います。

 ある意味、私がやっている事は「足に靴を合わせる」事ではなく「靴に足を合わせる」ような事なのかもしれない。時代錯誤もはなはだしい行いなのかもしれないけれど、これもアゲハのオーナーになってしまったという、一種の宿縁だから、仕方がないです。喜んで、靴に足を合わせていきましょう。

 でも、これで、ひとまず、ピッチ問題は解決…だとうれしいな?

コメント

  1. 河童 より:

    アルテスにそんな解説があったなんて知りませんでした。
    かなりの内向きですね。

    この吹き方で構えが固まると、他メーカーのフルートは吹けなくなる(アルタスのユーザーはアルタスしか吹けなくなる)わけですね。

    我がパールはどんな傾向なのかな?
    チューナーで見ると、2オクターブ目まではぴったしなんですが3オクターブ目がすべて上ずってしまいます。
    技量不足ですかねー・・・トホホ

  2. かのん より:

    うちの師匠は、フルートのセッティングは比田井さんはアルテスが言った通りには書いてない、と最初に言っており、わたしも内向きのセッティングです。うちのヤマハ笛のピッチは、安定しない私の吹きかたでも、それでだいたい442位になってます。

    アンブシュアや吹き方と頭部管の角度は関係あり、必ずしも比田井さんの方法が正しくないとはいえないが、それを読んだほかの人が国内で広めたせいで、あれが標準だと思ってる人が多い、と言っていたような。

    比田井さんがなにを思ってあの角度にしたのかは、是非知りたいところです。

  3. かのん より:

    追伸
    フルートクラブ版には、比田井編とかいてあり、比田井訳、とはかいてないとかなんとか。

  4. すとん より:

    >河童さん

    >チューナーで見ると、2オクターブ目まではぴったしなんですが3オクターブ目がすべて上ずってしまいます。

     それで正解みたいですよ。フルートの3オクターブ目は、クロスフィンガリングだったりして、イレギュラー発音なので、そこまでとはだいぶ勝手が違い、奏者がかなりコントロールする必要があります。そういう意味では、3オクターブ目の音程は、奏者次第なので、技量が十分なら…オンピッチになるわけですね。

     これは伝聞(それも情報元を忘れてしまいました)なのですが、頭部管の向きが内向きなのが、フレンチスクールで、標準がドイツ式。外向きがアメリカン(つまり“現代奏法”)だと聞いた事があります。どれが正しいのかと言うと、本来のフルートはドイツのベームさんが作ったので、標準のドイツ式がまさに“標準”で正しいのだと思います。

    >この吹き方で構えが固まると、他メーカーのフルートは吹けなくなる(アルタスのユーザーはアルタスしか吹けなくなる)わけですね

     いや、アルタス以外に、たぶん、ルイ・ロットとか、オールドヘインズとかが、吹けるんじゃないの?

  5. すとん より:

    >神音さん

    >比田井さんがなにを思ってあの角度にしたのかは、是非知りたいところです。

     私も知りたいです。おそらく、よかれと思って改変したんだろうと思いますが…。

    >フルートクラブ版には、比田井編とかいてあり、比田井訳、とはかいてないとかなんとか

     はい、そうですよ。こちらのサイトが参考になりますね(http://www.jfc-pub.co.jp/faq.htm#honyaku)

     ちなみに、今の流行りは、外向きなんだそうですよ。

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