実は、今回の記事は、昨日アップしたレッスン記事の続きだったりします(テヘっ!)。レッスン記事が長くなってしまったので、雑談部分だけを取り出してみました。
ってわけで、一通りレッスンが終わったあと、先生に質問してみました。
「このフルート教本、『アルテ』となってますが、よくネットなどでは『アルテス』と呼びますが、一体、どっちの名称が正しいのですか?」と尋ねてみました。
答えは即座に「『アルテス』でしょ? みんな、そう言っているでしょ? 『アルテ』なんて言っている人、いないよ(ここにいますよ、目の前にいますよ)」
(アルテの前書きの部分を開いて)「ここに『アルテ教則本』と書いてあるし、編著者自らが、確かにフランスでは『アルテス』だけれど、日本では『アルテ』と呼ぶから、本書を『アルテ』とします…って書いてますが…」
「一体、いつの話だい?」
「…(昭和35年?)…」とボソと言ってみました。ちなみに、昭和35年というのは、編著者である比田井さんが『アルテ』の前書きを書いた年ね。
「安いから使っているけれど、この『アルテ』はホンモノとはだいぶ違うんだよ(だから、名称もいい加減なんでしょう)」
「へえ~。ホンモノは巻末にガリボルディが載っていないというのは知ってますが…」
「あっちこっち違うのだけれど、一番大きな違いは、2巻になると、先生のパートが載っていないんだよ、デュエットの教本なのに、そのデュエットの一方のパートが載っていないって、ありえないでしょ? その載せなかった理由が『2巻になると、先生のパートが難しくなり、演奏に集中すると、生徒のミスを聞き逃す恐れがあるので、先生のパートは省略されました』って書いてあるわけだ。だけど、あの程度の楽譜が難しい? 生徒のミスを聞き逃す? そんな事、あるわけ無いでしょ?」と一喝されてました。
確かに、姉様のレッスンを見ていると、先生と姉様の二重奏では、先生もやたらと難しそうなフレーズをヒャラヒャラヒャラ~と吹いてますが、吹きながらも、しっかり姉様の指導をしてますからね。H先生的には、中級者用フルート教本であるアルテ2巻程度で“難しすぎて演奏しながらでは、生徒の指導が出来ない”なんて事は、ありえないでしょう。
「だから、以前は、安いから生徒にはこいつ(黄色いアルテ)の2巻を買わせてたけれど、それには先生のパートが載っていないから、こっちはフランスの原著を買って、それで先生のパートを見て、合わせてレッスンしていたんだよ。フランスの原著っのが、すごく高くてね。高い上に、作りが粗雑だから、すぐに壊れてしまうんだよ。だから何冊も買い直したものだよ。その点、今はいいね。シンフォニアから、正しい『アルテス』が発売されているから、今は、フランスの原著ではなく、シンフォニア版を使ってレッスンをするんだよ」
「へえ、じゃあ、私もアルテスの2巻はシンフォニアですか?」
「まだまだ、だいぶ先の話だけれどね。そうそう、シンフォニアは、中味は良いのだけれど、版が小さくて見づらいのが欠点ですね」との事です。
話はそこから更に脱線して、いかにフランスの楽譜が高いのかという話になりました(確かに、ソノリテとか見ると、無駄に高価ですね…)。おまけに、高いだけでなく、中味もヒドイというのです。なにしろ、最初から、あっちこっちミスだらけ(校訂がちゃんとしていない)だし、そのミスを全然直さないそうです。先生曰く、同じ輸入楽譜でも、アメリカのモノは安くて良いそうです。だから、彼らだってやればできるけれど、フランス人はそれをやらないだけ。それがフランス人の国民性ってやつかもしれない…との事でした。
で、結局、一番いいのは、やっぱり日本の出版社から出されている楽譜なんだそうです。安いし、紙も製本もしっかりしているし、見やすいし、間違いもすぐに直してくれるし、校訂もしっかりしている(ただし、黄色いアルテは、フランスの楽譜並にダメなんだそうです)ので、日本製の楽譜が使っていて、一番安心できるんだそうです。
…どうも、話を聞いていると、日本における、フルート関係の楽譜と、声楽関係の楽譜って、全然違うみたいですね。声楽関係だと、日本の楽譜は間違いだらけだし、その間違いを全然直してくれないし、そりゃあヒドイものです。私は、日本の楽譜の間違いを確認するためだけに、イタリアの楽譜を手元に置いてますからねえ。でも、日本の楽譜は、中身は間違いだらけでも、製本はいいし、紙もいいし、見やすいし、安いし、歌詞の訳や語注も付いているし、至れり尽くせりなので、使うわけなんだけれど、これで間違いがなければ、本当に最高だと思いますよ。
そんな日本の楽譜会社でも、フルート関係だと、間違いを訂正するんだ…なんか、意外。それだけ、声楽よりもフルートの方が手間隙かけられる? つまり、フルートの方が声楽よりも楽譜が売れている? って事なのかな???
閑話休題。とにかく『アルテ』って、正しくは『アルテス』と言うそうです。『アルテス』が正しい呼称ですが、このブログでは、これからも、あの黄色いフルート教本の事は『アルテ』と呼んでいきます。だって、あの本の編著者みずからが、この本は『アルテ教則本』と呼んでくれと、はっきり書いてありますからね。ですから、ジョセフ=アンリ・アルテスが書いたフルート教本を『アルテス』と呼んでも、日本の黄色い表紙のフルート教本は、あくまで『アルテ』なんです。そういう事なんです。いいじゃん、それで(笑)。
それに『アルテス』と『アルテ』は、中身が結構違うそうだし(爆)。なら、名称が違っていても、かまわないでしょ(笑)。
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コメント
基本的にフランス語は、子音のみの語尾は発音しない、が。
著者はJoseph-Henri Altèsでフランス人。
http://www.metmuseum.org/collections/search-the-collections/110000584
アクサン記号が、
(è) accent grave
(é) accent aigu
AltèsとAltésの発音(フランス語:音声ボタンを押す)
http://translate.google.com/#fr/ja/Joseph-Henri%20Alt%C3%A8s.Joseph-Henri%20Alt%C3%A9s.
最初はアルテス、後はアルテの発音。後のはアクサンが違うけど。
おまけ、経緯はよくわからないけど言い分けてるみたい。
http://www.jfc-pub.co.jp/faq.htm
どうもです。
使っていたのは黄色いアルテだったので、アルテスには違和感があります。
日本の譜面ではJFC版は安くていろいろあって便利です。
Louis Lotはルイロか、ルイロットか、というのにも似ていますね。ちなみに、
http://www.larrykrantz.com/ppguide/ppguide.htm
ではtを発音していますし、
http://blog.goo.ne.jp/louislot1800
ではルイロット、なので、tありかとおもっています。
定番中の定番のテキスト(教科書)が存在する分野は、
生徒、学生にとって、ありがたいことでありまして、
大昔、経済学と言えば、サムエルソン先生の教科書、
中昔、マクロ経済学なら、中谷巌先生の入門マクロ。
現在、マクロ経済学は、マンキュー先生が世界制覇。
大昔、高校の英語教材なら、
駿台700選とか、試験に出る英単語とか。
日本史世界史なら、山川の教科書。
ところが、私の高校の世界史の先生は、
「いや、山川はそれほど良くない。
俺の手製のプリントで授業を進めるぞ。」と。
私、果敢に抗議しました。
「山川の教科書が、これだけ絶賛されていて、
どの合格体験記を読んでも、山川やれ、とあるのに、
山川の教科書を使わずに、手製のプリントで授業されても、、、。」
先生「いや、山川の教科書より、俺のプリントの方がいい。」
私、世界史、捨てました。
ああ、つまらない話を書いてしまって、
アルテ、アルテスに全く言及しない私を、
すとん様、どうか、お許しください。
ひょっとこさん
調べてくださって感謝です。ううむ、フランス語は一年ほど、ボケーとテレビ講座を見ていたのですが、その程度じゃ、この問題はよく分かりません。とりあえず、フランス語的には「アルテス」が正解みたいですね。
でも、これまた、ひょっとこさんが調べてくださった通り、黄色いアルテは「アルテ」みたいですね。どうやら、アルテは、アルテスを翻訳したものではなく、アルテスに色々とオリジナル要素を加えて日本語化したので、アルテスじゃなくて、アルテ…という事のようですね。ちょっと???と思いますが、編著者がそう言いたいなら、そういう事にしておきましょ。
なんか、色々と調べると、面白いですね。
tetsuさん
ルイロットの場合は、私は、正式名称は“ルイロット”で、略称が“ルイロ”じゃないかと思ってます。マクドナルドの事を“マック”または“マクド”と呼ぶようなものじゃないかと思ってます。違うかな(?)
今度、H先生に尋ねておきます。
operazanokaijinnokaijinさん
おお、私の場合は、学校では三省堂を使ってましたので、受験では、自分で勝手に山川の教科書を買って、それを参考書代わりに使って、日本史も世界史も勉強してましたよ。
高校の教科書は、教科書取り扱い店に行けば、当時から普通に買える事を知っていましたので、そのあたりに迷いはなかったです。むしろ、三省堂と山川の二種類で勉強できて、ラッキーって思ってました。
でも、結局、入試は『地理』と『倫社』で受験しました(爆)。
そんな私です。
Louis Lot
仏語読み ルイ・ロ
英語読み ルイス・ロット
日本語読み ルイ・ロット
だと思うけど。
仏語の語尾の子音字は読まない原則で。
ちなみにルイ13世も英語読みはルイス。
> マクドナルドの事を“マック”または“マクド”と呼ぶようなものじゃないかと
関西ではマクド、その他でマックとおもっていたら、下記のサイトがありました。
http://www.freeml.com/wefree/say/hamburger/
パリとかウィーンに旅行にいったとき、日曜に開いていてすぐわかるのは マクドナルドしかないので、便利でした。
Louis Lotの読み方は地域によって違う、ということはないようにおもいますが。
関係ない話題にずれてしまい、失礼しました。
名称…両方聞くけど、大雑把に同じものを指しているし気にしたことなかったです。。。というのは、これ、マトモに練習(レッスン)したことないんですよ、ワタシ(^。^;)。時折どんくさいことをやってしまうと「それ2巻に書いてあるよ」などと師匠に突っ込まれます。(-_-;)
先日、アルタスを試奏しましたよー。 私には少し苦手かも(-_-;) 想像していたより息は入るし、音色がサンキョウに近い明るさで、、、密度の濃い音色が好みの私には無理でした。
ヘインズもオールドと共に吹いてきましたよ。ロットはサブではなく「その他の楽器」になってしまうので今回は見合わせました。
あと、どなたかが他記事でコメしていた「フルートスピード」を試しました。
何種類かあり、材質や装着位置によって音色変化するそうですが「うんうん!」って感じで面白かったですよ〜☆
ひょっとこさん
なるほど、フランス語読みが『ルイ・ロ』で、英語読みが『ルイス・ロット』。日本語読みというか、日本での慣習的な呼び名が『ルイ・ロット』ってわけですね。
フランス語は語尾の子音を読まないわけで、英語は逆にきちんと子音を呼んでいく野に対して、日本語読みは、前半は子音を読まず、後半は読んでいるわけで、なぜそうなったのか…ちょっと面白い結果ですね。
そうか、ルイロは愛称ではなく、正式名称だったんですね。勉強になりました。
tetsuさん
マックとマクドの呼び方地方分布の話は、面白いですね。
似たような話で、ケンタッキーフライドチキンの呼び方も、たしか地方差があったと思います。『ケンタッキー』と呼ぶ地域、『ケンタ』とかなり省略して呼ぶ地域。『ケーエフシー』と呼ぶ地域。あと『かしわ』と呼ぶ地域もあると聞いたことあります。
どうしても、屋号が長いと、短く省略されて呼ばれてしまうので、最初から短い屋号、あるいは短く呼べるような屋号にすればいいのに…って思っちゃいます。
その点、日本の老舗の屋号は、どこも呼びやすくていいですね。
めいぷるさん
ま、アルテもアルテスも似たようなものなので、気にしない方が普通だと思いますよ。かく言う私も普段は、あまり気にしてません(笑)。
確か、めいぷるさんは、以前はアルタスユーザーだったのでは? 音色が好みじゃないからと買替えられたんでしたっけ? アルタスは色々と癖が強いので、好みが分かれるメーカーだと思うので、苦手な方がいても、すごく納得です。ま、万人受けする楽器メーカーじゃないと思ってます。
>想像していたより息は入るし、
そりゃあ、仮にもモダン楽器ですから…。オールドや木管と比べたら、息は入っちゃうと思います。
“息が入る”と言うと…最近感じた事なんですが、息が入るからと言って、野放図に息を入れてしまうと、音色がハスッパな感じになってしまうので『息は入るけれど、ケチって少ししか入れない』のがいいのかなって思うようになりました。これが、フルート全般に通じるモノなのか、アルタス限定なのかは分かりませんが、『息は入っても入れるな』が最近の私の交通安全標語です(笑)。
フルートスピード…楽しそうですね。これは試す価値アリですか?
何でもまず自分の目で確かめる・・・・・
と言うことでシンフォニアの「アルテス フルート奏法 第1巻」の中古を手に入れて比べました。
ウーン!!アンブシュアの解説から違いますね。
あとシンフォニアのは楽典的な解説の章が入ってますね。
アルテは演奏の細かい解説がありますが、シンフォニアのは少しだけ。
どっちが良い悪いではなく、アルテはアルテスを参考に書かれた別のフルート教則本ですね。
河童さん
おぉ、シンフォニアを購入されましたか! 私も自分の目で確かめないとなあ…と思いつつ、もう老眼なので、本なんて、必要最低限しか見たくない人だったりします。シンフォニアって、活字、小さいでしょ。
アルテを持っていても、シンフォニアのアルテスは持っていると良い…とか聞きます。ここは一発、勇気を出して購入するか…今さっき、フランコ・コレッリの10枚組CDボックス購入したばかりなんだよなあ(笑)。
活字は決して小さくはありません。
もしかして小さいのはアルテスの原著のことかなあ?
河童さん
活字が小さくないなら、買いでしょう。もっとも、活字が小さいと言っているのは、H先生(と私)ですからね。老眼であれこれ見えない二人の老人の会話ですから、若者が平気でも、我々には小さいって事…あるんですから、どのレベルで「活字が小さい」のかが問題です。
ちなみに、私、文庫本はもちろん、普通サイズの本も普通には読めないですよ。読書用の老眼鏡を使って、やっと短時間なら読めるかな…って感じです。楽譜? はっきり見えないです。ってか、心の目で見てます(笑)。
河童さんへのコメントへの追加です。
先日、シンフォニアのアルテを見てきました。ううむ、黄色いアルテとは全然違いしました。とてもたくさん注がついていて、それを読むだけでも勉強になるような気がしました。
しかし、H先生がおっしゃるとおり、字は小さいと思いました。私は本を開いた時に、目を疑いましたもの。これは字が小さい。老眼にはキツイです。老眼鏡+拡大鏡が必要かもしれない…って思いました。少なくとも、老眼鏡だけでは、長い時間読む事はできないなあ…って思いました。
そうですか。私はあの大きさで困ることはないのですが・・
たしかに読むと勉強になりますが、全くのフルート初心者(かつ楽典なんて齧ったことのない人)にはむつかしい印象です。
河童さん
目はねえ…本当に、見えないのよ。若い時は全然分からなかったけれど、今なら、なぜ図書館に大活字本があるのか、理解できます…ってか、活字が大きいのは、目に優しいでよす。
パソコンは字の大きさを変えられるから、年寄りには、本よりも優しいんだよね。
とにかく、小さな活字の本は、本当に読めないので、困っちゃいます。