さあて、いよいよ、本番の日になりました。午前中はゲネプロ、午後は本番というタイムスケジュールです。私たち夫婦は集合時間ぎりぎりの10:00に会場入りしました。
会場に入って、チェックを済ますと、そのまま控室へ直行です。こういう演奏会では、ホールに備えつけの通常の楽屋は、プロの方々(指揮者・ソリスト・オーケストラの面々)が使用するので、我々素人合唱団は、楽屋ではなく、建物内の通常の会議室等を控室(当然、大部屋です)として使用します。会議室が控室である事自体には、不満はありません。ただ、ホールまでちょっと距離がある事(廊下は寒いのだ)と、本番前に、ほんのちょっとだけだけど、観客の目に触れるところを歩かないといけないのが、興ざめです。
とりあえず、本日の出演者としてチェックインをしたら、さっそく控室に入って、自分の居場所をキープします。そしたら、後は声出しの時間(10:40)までひたすら“待ち”です。皆さん、チェックインした時にいただいた「本日のプログラム」を見てます。私もお約束通り、隅から隅まで見ましたよ。ちゃんと、本日の参加メンバーを確認。ソプラノ69人、アルト68人、テノール20人、バス30人です。私や妻の名前もそこに入っている事を確認。
プログラムを見るだけでは、やっぱりそんなに暇はつぶせません。そんな事は最初から分かっているので、私は「ザ・フルート」を持参しました。持て余した暇な時間は、持って行ったザ・フルートを読んだり眺めたりして過ごしました。へへへ。そう言えば、ザ・フルート、そろそろ次の号が発売ですね(楽しみ楽しみ)。
40分も雑誌を読んでいると、結構疲れます。いいかげん疲れたところで、10:40となり、合唱団の役員さんから声がかかり、声出し会場(小ホールです)に移動です。私は、この時点では、まだラフな私服姿です。ま、大半の人は、私同様私服姿ですが、気合の入った人は、この段階ですでに本番の衣装に着替えています。何事も、形から入る人ってステキ。きっとすでに“気分はアゲアゲ”なんでしょうね。本日は晴れ舞台なんだろうなあ…。
声出しの前に、市長さんがやってきて「市長の激励」というのがありました。政治家は大変だね…と思ったけれど、そういえば、この市長さん、実は合唱人なんだよね。市長になる前は、地元の合唱団でバンバン歌っていた人なんだよ。そういう方が市長をやっているから、この不景気な中、貧乏な我が市ではあるけれど、こんな合唱のイベントが細々とは言え、行われているのだと思うと、もうちょっと、この方に市長を頑張ってもらわないといけないかな…と思いました。そうそう、市長さん、第九を歌いたがっていたっけ。
さて、いよいよ声出し。今日の声出しは副指揮の先生が担当です。いつものS先生は、別の場所で“本番”があるので、それが終わり次第、こっちにやってくる予定となってます(自営業は忙しいのだ)。、肩甲骨のマッサージは高音を支えるためには必要だって、体操をやりながら教わりました。へー、いい事を聞きました。
声出しをしながら、他のメンバーを観察しました。年齢的なモノもあるけれど、補聴器の使用者が相当数いました。最近の補聴器って、きっと性能いいんだろうね。以前なら、補聴器が必要な年令になったら、音楽を辞めなければいけなかったろうに、今はいい補聴器のおかげで、聴力が多少衰えても、音楽活動ができるなら、それはとってもいい事だと思いました。なにしろ、老化って奴は、いづれは誰もが通る道だし、そうなっても、人生の楽しみは手放したくないよね。“未来も明るい”って言えるかな。
12:00まで、声出し&昨日のオケ合わせの時のダメ出しの確認と練習。その後、いよいよ、ゲネプロのために、本番会場(大ホール)に移動です。
本番会場に入ると、オケは第三楽章までのリハが終わり、休憩時間でした。一応、我々は本番通りの手順で舞台に上がったものの、ひな壇に立ってからが、長い長い。ソリストにとっては、ゲネプロが最初で最後のリハーサルなので、ソリスト同士とか、ソリストと指揮者とかの打ち合わせに時間がかかります。当然、その間は、合唱団とオーケストラは待ちぼうけです。
合唱団は、大人だらけなので、体力があまりありません。みんな、すぐに床に座っちゃいます。ただ、私同様、ひな壇の一番後ろの人は、イスになるような段差がないので、基本的に立ちっぱなしになりますが、それがつらい人は、ひな壇の後ろにある反射板についつい寄っ掛かっちゃいますが…これって、とっても危ないんですよ。私は、そういう人を見つけ次第に「危ないよ」って注意して回りました。いや、本当に舞台の反射板って怖いんです。これって、天井からぶらさがっているだけだから、寄り掛かるとグラっと動いて、寄り掛かっていた人は反射板とひな壇の間に転落します。ひな壇の高さは1m50cmほどなので、落ちる(大抵の場合、頭から落ちます)と怪我します。下手すると死にます。怖いんだよー。
そうこうしているうちに、ゲネプロ(ゲネラル・プローゼ ゲネラルプローベ[=Generalprobe]:本番前に行う、最後の通し稽古の事)となりました(2009年12月9日訂正追記)。
プロのオケはすごいね。昨日のオケ合わせ以上にピシっとしていたよ。昨日のアレはなんだったのって感じですが、なかなかに素晴らしい演奏でしたよ。ほとんど止まらず(一カ所だけ、ソリスト同士の合わせのところを確認するために止まっただけ)にゲネプロは終了。ちなみに私、一カ所間違えました。897~898小節を901~902小節の音で歌ってしまった。はは、暗記が不十分だったね、うっかりうっかりだよ、へへへ。
そうそう、ハプニングと言えば、指揮者が演奏中にピャンと指揮棒を飛ばしちゃいました。やや、と思ってみていたら、何食わぬ顔で、そのまま素手で指揮を続け、ソリストが歌っている部分(ソリストにお任せの部分ね)になったら、やおら、そばに置いてあった指揮棒ケース(一見、フルートケースにそっくりです)の中から、別の指揮棒を取り出して演奏を続けました。練習なので、たまたま指揮棒ケースを近くに置いてあったわけだけど、あのケースの中に、複数の指揮棒が入っているわけなんだね。知りませんでした。
それに見とれていたら、歌の出だしを間違えました(だから、あれは私のせいじゃないもーん)。
さて、何はともあれ、ゲネプロ終了です。その続きの話は、また明日。
コメント
>この方に市長を頑張ってもらわないといけないかな・・・
これ、重要です!!
私のフルートの先生が在住の市では、文化面の予算を文字通り片っ端から削減してしまい、演奏家協会に順ずる組織を始め、市民イベントの補助の廃止、組織の解体を、市長が先頭になり敢行してしまっています。
不景気だから、で削られるのは、家計の中でも公共の中でも趣味・嗜好の分野だと思いますが、細々とでも組織や催しが続いているのと、完全に解散状態になるのは大きな差が(再開にすごいエネルギーが必要になると思います)あると思いますから、公私ともにどうにか続けられる環境を守れるといいですね。
>ムラマツEXⅢさん
やっぱりそう思いますか、思うよね。このご時世、文化教養分野に理解の深い人が首長をやっているというのは、大切な事なんだろうなあと思いました。
でも、財政が厳しい中で、こういう行事をやり続けているというのも、大変だろうなあとは思います。ウチの方は、ウチだけでなく、近隣の市でも文化教養事業が盛ん(市民オペラとか市民演劇とかやってますし、アマオケもある)なので、市長さんも「隣が○○やっているぞ」と言えるので、頑張れるのだと思います。
恵まれた環境にいる事を感謝しないといけませんね。
マイスターとして表彰している市町村があるのですが(うちの師匠も表彰されています)、興味のない方は【無駄】の一言でばっさりと予算を削るんですよね。
こういうものこそ、大切にしてもらわないと、日本の技術力が落ちるってわからないのかしら?と思ってしまいます。(半分愚痴です。ごめんなさい)
さすがすとんさん、ザ・フルートを持参していたのですね。今月25日頃発行予定なので、私も今から楽しみにしています♪
ゲネプロも十分楽しめたご様子ですね。羨ましいです。
ちなみに、知り合いのフルートで第九に参加する方は「自分が落ちても、周りのフルートは音大生ばっかりだから大丈夫」と言ってました。きっと沢山の方々と演奏されると思われます(笑)
>橘さん
マイスターの件、分かります。優れた技術を持った職人さんは、国の宝なのに…。なんか目に見えないモノは評価されづらいんですよね、音楽にしても、職人の技術にしても。本当は、目に見えないもの、見えにくいものほど、大切にしないといけないのに。それだけ、即物的で短絡志向の人間が幅を利かせるようになってきたのだと思います。
日本は技術立国なんだよ。決して、商売上手でもなければ、金融を牛耳っているわけでもなく、愚直にいいモノを作って、それを世界中の皆さん方に買っていただいて我々の生活が成り立っているって事を忘れちゃったのかな? 我々の国は、職人の国。持っている様々な技術が、世界のトップレベルにあるから、暮らしが成り立っているという事を、みんな、思い出さないといけませんよ。もしも、私達の国の技術レベルが下がったら、こんな国、誰にも鼻も引っかけてもらえなくなるし、当然、私達の生活レベルはどん底にまで落ちるのが、分からないのかな。
それにしても、フルートが複数人数で1パートを担当するオケって、きっとアマチュアにやさしいオケだったんでしょうね。なんか、ほっこりする話です。
「ゲネプロ」は Generalprobe=ゲネラルプローベ
ですね。
>センニンさん
あら、ホントだね。教えてくれて、感謝です。さっそく訂正しておきます。ありがとう。